(この記事は「War-Gamers Advent Calendar 2024」用に書きました。もともと12月20日にエントリーしていたんですが、16日と17日がずっと空いていて、主催のHarpoonArrowさんが責任感を持って執筆されるようだったので微力ながら慌てて書いてみた次第です。で、最初にお断りしておきますがビール飲んでいます。なのでちゃんと考えて書いたブログじゃありません。ウォーゲーム界のことをよく知らないのにこんなこと書きやがって、と思われる方がいても許して。)
いやー、今年も多くのウォーゲームが出ましたね。自分的に今年買ったもので一番気に入っているのはこれ。
でもこれだけ多くの作品が出ると目移りしてしょうがないんですが、ウィリーさんの書かれた「師走に書いても鬼は笑うか?」というブログ記事でこういう指摘がありまして。
来年も日本を含め、シミュレーションゲーム界のゲーム出版ラッシュは続くと思われます。10年前でも、コマンド日本版にゲームジャーナルだけで年10作でした。近年はこれにバンザイマガジンが年4作程度加わってるので、日本の雑誌付録ゲームだけで月一プレイだと消化しきれない量になりました。これに海外ゲーム付雑誌の和訳のあるものが加わります。その上にボックスゲームはまた別枠で存在してます。プレイするゲームは可能な限り絞らないとプレイしきれない時代です。
(中略)
何度もプレイして研究してもらえるゲームなんて初見で引き込めた一握りの作品になるでしょう。自戒をこめて書くのですが、何度もプレイしなければおもしろさが伝わらないゲームは初見で捨てられちゃうのです。
うーん、これは作り手としての問題意識もあると思うのですが、確かにプレイしきれない時代ですよね…。でもクリス・アンダーソンがロングテール理論を提唱して早20年、消費者が多種多様な商品にアクセスできるのは当たり前になっていますよね。ウォーゲームもその埒外にあるわけではなく、逆に多数の作品が出されるのをポジティブにとらえたほうが楽しいんじゃないかと個人的には思います。
でもポジティブって具体的にどういうことよ、って話なんですけど、最近は出版数が増えているだけでなくテーマというか取り扱う時代・地域も多様化していますよね。日本ではWWⅡ以外はあんまりウケない、他に強いて言うならナポレオニック?みたいな印象が個人的にあるんですが、それもじわじわと変わってきているんじゃないでしょうか。例えば2017年のこのインタビューでは
日本での定番と言えば,戦国時代と東部戦線,太平洋戦争です。最近は日中戦争も意外とイケるテーマになりましたが,当時は厳しい状況でした。一方,米国では南北戦争と独立戦争が定番で,それらは日本市場でウケが悪い。
と書かれていましたが、南北戦争、いまは結構受け入れられていますよね。
こういったウォーゲームの多様化は海外でも見られるようで、以前ブログでも紹介しましたがあるユーチューブ番組のホストが、最近はユニークな題材のゲームが出てきていて、バルジやスターリングラード以外のものをプレイしたいという新しい層が現れているって言っていました。
実際、ウォーゲームではマイナーな中世を扱ったLevy&Campaignシリーズは続々と新作が出ていますし、19世紀半ばの会戦をシミュレートするLes Grandes Batailles du temps de Napoléon IIIシリーズは今年も一作でたうえに、ついにケーニヒグレーツも出されるようですし。
で、この多様化っていうのが先日ジブセイルゲームズさんが書かれたブログ記事「ラストワンフィート:ウォーゲームの普及に関する話」の内容とリンクするんじゃないかと。というかリンクさせられたらいいなあという願望があるんですが。記事にはこんなことが書かれています。
決して少数でない“若い世代”が“男女を問わず”足を運んでくれます。その場限りになってしまう人が多数ではありますが、その後、毎回お会いすることになる若い世代もいらっしゃいます(さすがに少数ではありますが)。
いやー、嬉しいなー。たぶんですけど、ジブセイルゲームズさんが書かれている若い層の方々が興味を持つウォーゲームは、WWⅡに限らないんじゃないかと。バルジやバルバロッサ、ミッドウェーといった、1960年代後半から1970年代前半生まれのウォーゲーマーの間における定番テーマ、いわば共通言語ですけど、それを当然のものとして共有せず、様々な時代や地域の戦いをフラットな目で見られるんじゃないかなあと。もしそうだとしたら、ウォーゲームの多様化はこういった若い層にアピールするんじゃないでしょうか。でもまったくのあて推量で、というかかなり願望はいっているんですけど、実際どうなんでしょうかね。
なんてことを考えていると、
ぜひ即売会に自分のブースを構えられて“ラストワンフィート”の知見をされてはいかがでしょうか
っていう一文がグサッと刺さってきて、いや、自分、売れるようなもの作れないし…と日和ってしまいました。それに辺鄙なところに住んでいるので即売会に参加する物理的ハードルが高いんですよね。東京に出るのに移動で丸一日消えてしまうんですよ。ははは…。
でも先日女子大で授業をやる機会があって、授業のテーマが民族問題だったもんですから強引にでもウォーゲームを紹介できるのでは、と妄想を膨らましていたんですが。チキンな自分には無理でしたよ…。だって女子大生の集団にウォーゲーム紹介って、無理ゲーでしょ?! (こういった固定観念にとらわれていてはいけないとわかっているのですが)。それに、民族対立ではなく民族共生の話をしちゃったし。というかですね、ワンフィートどころか、リモート授業だったんで文字どおり生徒さんとの距離感がつかめなかったんですよね。でも何とか機会を見つけて、新しく出てきている層に接することはできないかなと思っています。そして中世に興味がある人がいればMen of Ironを熱く押したい!なんて夢想しています。
0 件のコメント:
コメントを投稿