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2026年8月28日金曜日

薔薇戦争のキープレイヤーを追う - "The Wars and Roses: The Key Players in the Struggle for Supremacy"

  薔薇戦争って言ったら日本語だとあんまり本が出ていないですけど、英語だとかなりあってどれを読めばいいか迷うんですよね。そりゃね、イギリスの内戦ですしね、それにシェイクスピアも何作かで題材にしているし。大量に書籍が出ていてもおかしくない。

 以前、「Plantagenet」(GMT)のデザイナーFrancisco Gradaille氏が『Battle Royal』と『Blood Royal』という本をTwitterでおススメしてくれて、この二冊は面白かったです。やっぱりウォーゲーマーが勧める本がいいよな、と思っていたんですけど、先日、「Plantagenet」のBackground Bookを見させてもらえる機会がありまして。そこでいくつか挙げられていたもののなかからそのまんまずばりのタイトル『The Wars of the Roses』というのを選んで読んでみました。



 この本、副題的にThe key players in the Struggle for Supremacyってついているんですけど、「Plantagenet」のBackground BookによるとThe lives of the main actors in the war, and with them we understand how their personality shaped the conflict.だとのこと。ほうほう。『Battle Royal』『Blood Royal』は結構軍事面にフォーカスしていたけど、こっちは個人なのね。まあでも主要登場人物一人一人を章立てて描写しているのではなく、薔薇戦争の流れを個人にフォーカスして述べていくって感じでした。ヨーク公リチャードや王妃マーガレット・オブ・アンジュー、キングメーカーのウォリックなどは当然なんですけど、ちょっとヨーク派寄りの印象。もちろんあくまで残っている資料に基づいてヨーク公とかを擁護しているんですけどね。例えば第一次セント・オールバンズの戦いに関して、If Richard, Duke of York, wanted the throne, he had only to finish the work an arrow had begun by widening the wound at the king's neck within the silent, unseeing walls of a tanner's house in St Albans. In fact, it was during the following Parliament under York's auspices that Henry's son, Edward, was created Prince of Wales, a move that effectively ended debate about York's own pretentions to be heir apparent.って感じで、最初っから王位を狙っていたのならこうしたはずだけど実際はこう行動した、みたいな叙述が結構目に入ったかな。

 あと、イギリスってマティルダとか結構女性君主が活躍するというか辣腕を振るうイメージがあったんですけど、Margaret had underestimated just how much her gender undermined her position.っていう指摘が意外でした。それとヘンリー六世に関しては結構批判的でした。King Henry must shoulder a large portion of the blame for the nation's dissent into anarchy.とか。そりゃそうか。

 薔薇戦争の主要人物って言ったら自分的にはなんつってもリチャード三世。「Men of Iron」の「Blood&Roses」で一番好きなのはボズワースで、AAR2回も書いちゃったし。

即ち聴かん: 「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

即ち聴かん: 失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

 この本では父親同様、リチャード三世をかなり擁護する感じで書いていました。ボズワースでも、シェイクスピアのあの有名なセリフ"A horse! A horse! My kingdom for a horse!"のシーンを引用して、

Richard asks for a horse not to make his escape, as Catesby believes, but to return to the battle. He is determined to kill Richmond (Henry Tudor), having killed five men already that he believed to be the earl. Even Shakespeare did not deny Richard his valiant end, though the passage has been misquoted to paint Richard as a coward.

って指摘していて、そうだよな、自ら突撃して戦死するような勇敢な王だったんだよなって胸アツになりましたよ。うーん、また「Blood&Roses」のボズワースやってみるかな。

2025年2月23日日曜日

紙の王冠なぞ被るか! The Battle of Wakefield (C3i Nr31) AAR part3

  連続しての攻撃をヨーク軍による継続奪取でくじかれたランカスター軍。やられたらやり返せ、敵に流れを渡してなるものかと、今度はランカスター軍がSeizureカウンターを使用する。右翼(マップ左方)で指揮官が突出しているパーシー隊を動かそうとするも、継続奪取に失敗。逆にヨーク軍に自由活性を与えてしまった。

 

 Men of Ironシリーズは活性継続にはサイコロによるチェックが必要で、先ほどのリチャード・ネヴィルのように動くと思っていた部隊が動かなかったり、意外なところで意外な部隊が動いたりしてゲームをスリリングなものにしているのだが、Seizureカウンターがさらに緊張感を増してくれている。Seizureカウンターには戦闘を有利にするものなどもあるが、敵の活性継続時に継続奪取を試みることができるカウンターもあり、効果的に使用すると敵に対する心理的ダメージも大きい。敵に対応する暇を与えず自軍部隊で連続攻撃、と意気込んでいたら、敵に活性をかっさらわれてしまうわけである。

 ただ継続奪取を試みる側にもリスクがある。サイコロを振って奪取に成功するかチェックしなければならないのだが、失敗した場合は敵に自由活性が与えられる。Men of Ironシリーズでは同じ部隊が連続して活性化することは基本的にできないのだが、自由活性を得たプレイヤーは自軍の部隊を自由に選んで活性化できるため、活性奪取直前に活性化した部隊も動かすことができる。要は、継続奪取に失敗すると敵プレイヤーは同じ部隊を2回連続して活性化することもできるようになるのだ。


 敵の継続奪取失敗で自由活性を得たヨーク軍は、左翼のヨーク公を動かす。継続奪取に失敗して落ち込むランカスター軍プレイヤーに対しダメ押しとばかりに、ヨーク軍はSeizureカウンターのUnsteady Troopsを使って敵右翼(マップ左方)パーシーの歩兵を混乱状態にする。

「イングランド王ヘンリー6世を手中におさめ、このままいけばイングランドの実質的な支配者になるかもしれないヨーク公。そのヨーク公が陣頭に立って攻撃してくるのを見てパーシーの兵たちは動揺したんだよね」

と得意げなヨーク軍プレイヤー。混乱した歩兵をヨーク公が重装騎兵2ユニットで攻撃すると、ランカスター軍の兵たちは散り散りになった。さらに突出しているパーシーの歩兵に対し射撃で損害を与えた後、白兵戦でとどめを刺した。


 ヨーク公の部隊の奮戦で敵パーシー隊はかなりの損害を被った。いけ、ソールズベリー伯、たたみみかけろ。だが、またも継続に失敗。

「おいおい、活性化値5ってかなり優秀なはずだろ。能力を出し惜しみしなくてもいいんだよー」


 またも敵の連携の悪さに助けられたランカスター軍。パーシーが残存の兵をかき集めて戦列を敷く。耐えろ、時間を稼ぐのだ。待っていれば必ず援軍が現れる。サマセットは防御を固めつつ、射撃でヨークの長弓兵を敗走させた。

 そんなランカスター軍にヨーク軍は猛攻を加える。まずは右翼のトマス・ネヴィルが長弓兵で正面サマセットの歩兵を混乱させ、そこにトマス自ら突撃。たまらずサマセットの歩兵は壊滅、そして下馬状態の騎兵(UH)にもネヴィルの重装騎兵が突撃し混乱させた。続けてヨーク軍中央のソールズベリー伯が活性化。ここでも射撃で混乱させ歩兵で白兵戦、というコンボ攻撃でサマセットの長弓兵が敗走する。そして息子のトマスに続け、とソールズベリー伯も重装騎兵を率いて突撃、だがなんとサイの目ゼロが出て両者混乱となってしまった。ランカスター軍に対応する暇を与えずに、トマス・ネヴィルが再び動く。ネヴィル親子の連携攻撃である。射撃と白兵戦で敵を敗走させ、先ほど混乱状態にした下馬騎兵にトマスが3ユニットの集中攻撃で蹴散らす。そしてさらにソールズベリー伯が継続活性に成功。

「げ、ヨーク軍の活性が4回続くの? 対応できないじゃん」

「ふっ、ソールズベリーの活性化値5は伊達じゃないんだよ」

「ソールズベリー、これまで継続活性に結構失敗してましたけど?」


 ネヴィル一族の怒涛の連携攻撃でランカスター軍の敗走ポイントは12に上った。このゲームのランカスター軍の敗走レベルは18。自由活性化が終わるごとに敗北チェックで10面体サイコロを振り、敗走ポイントとの合計が敗走レベルを越えたら負けである。つまり現時点ですでにランカスター軍は30%の確率で敗北チェックに失敗してしまう状況となっている。一方、ヨーク軍はいまだ2である。ランカスター軍の援軍は間に合うのか。


つづく

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C3i誌を出されていたRodger MacGowan氏の訃報が届きました。長年ウォーゲーム界に大きな貢献をされてきた氏のご冥福をお祈りいたします。

なお、カリフォルニアの火災で大きな被害を受けた氏のご家族への寄付は今も受け付けられています。

Support Rodger, Mae and Steven post-Palisades Fire


2025年2月18日火曜日

紙の王冠なぞ被るか! The Battle of Wakefield (C3i Nr31) AAR part2

  ヨーク軍は左翼ヨーク公、中央のソールズベリー伯と活性化が続いたが、さらにヨーク公が再び活性化。左翼(マップ左方)から全力で攻撃する。先ほどの突撃で混乱状態だったランカスター軍歩兵は重装騎兵の攻撃で壊滅。怒涛の波状攻撃でヨーク軍がランカスターの戦列に食い込んだ。


 ここでやっとランカスター軍の自由活性が回ってくる。右翼(マップ左方)のパーシーの部隊がヨーク公に反撃。敵の好きなようにさせてたまるか。指揮官パーシーが陣頭に立ち、突出している敵歩兵に打撃を加えた。

 続いて左翼(マップ右方)サマセット公が動く。敵最後尾のトマス・ネヴィルの部隊が遅れていて右翼(マップ右方)が手薄になっているのを見て取るや、歩兵が前進。敵の射撃を避けるようにして長弓兵の側面に回り込み、白兵戦をしかける。歩兵2ユニットの攻撃でソールズベリー伯の長弓兵は混乱状態となった。

「あれ、ランカスター軍は反撃なんかせず守りに徹したほうがいいんじゃないの? 増援が来るまで時間を稼げばいいんだしさ。無理に攻撃して、下手したら自滅するよ」

「いやいや、そんな口車には乗るかっての」


 先述のようにランカスター軍はほとんど歩兵のみの一方、ヨーク軍は歩兵のほかに長弓兵と重装騎兵も擁しバランスのいい兵種構成となっている。重装騎兵は白兵戦で攻守ともに歩兵に対して有利に戦えるし、長弓兵の射撃で混乱させたところに重装騎兵を突っ込ませたり歩兵で白兵戦をしかけたり、というコンボ攻撃もヨーク軍は可能なのだ。そのためランカスター軍は少々のリスクを冒しても適宜反撃して敵の攻撃力を削いでいく必要があると思われる。でもまあ、ヨーク軍中央のソールズベリー伯の活性化値5を考えると、反撃に出たはいいけれどもヨーク軍が連続して活性化してボコボコにされる、という可能性も高いのだけれども。


 ランカスター軍の反撃に対し、ヨーク軍は素早く対応。最後尾にいたトマス・ネヴィル自らが重装騎兵を率いて突撃。ソールズベリー伯の長弓兵に対する攻撃のため側面をさらけ出していたランカスター軍歩兵はたまらず壊滅する。トマス・ネヴィルの勢いは止まらず、さらに継続攻撃で敵歩兵1ユニットに損害を与えた。

 このトマス・ネヴィル、同じくウェイクフィールドで戦っているソールズベリー伯の息子である。有名なキングメーカー、ウォリック伯はトマスの兄にあたる。つまりウェイクフィールドの戦いではウォリックの父親と弟が加わっていたのだけれども、二人ともこの戦いで亡くなっている。ソールズベリー伯はウェイクフィールドの戦いの前年にブロア・ヒースでランカスター軍に大勝するなど有能な指揮官だったようで、このゲームでは活性化値が5とかなり高い。「薔薇戦争」(GJ)でもヨーク派貴族として登場しており、星二つの2-7である。ちなみにトマスのほうは31歳と比較的若くして亡くなったせいかぱっとした戦歴がなく、父親が大勝したブロア・ヒースの戦いでは逆にランカスター軍の捕虜になったりしている。うーん、兄のウォリックとなんかかなり差があるなあ。


 息子に救われた形になったソールズベリー伯。トマスに続け。ネヴィル家の団結力をみせてやるのだ。だがソールズベリー伯は継続活性に失敗して動かず。あれれ。活性化値5はどうしたんだよ。

 

 敵の連携が乱れている隙に、ランカスター軍は右翼(マップ左方)のパーシーがヨーク公に反撃。突出していた混乱状態の敵歩兵を壊滅、斜面を下ってそのままパーシー自ら敵陣に切り込んだ。ヨーク公の歩兵はその勢いを押しとどめることができず後退してしまう。

 

 おし、このモメンタムを持続させるのだ。活性化値4と優秀なサマセット伯がマップ右方でも攻撃、と思いきや、そうはさせじとヨーク軍がSeizureカウンターを使用。継続奪取に成功し、右翼(マップ右方)のトマス・ネヴィル隊を活性化。「マジかよ、このまま勢いに乗りたかったのに」とぼやくランカスター軍プレイヤーを尻目に、先ほどトマス自らの突撃で混乱状態にしていた敵歩兵にとどめを刺し壊滅させた。

つづく


2025年2月14日金曜日

紙の王冠なぞ被るか! The Battle of Wakefield (C3i Nr31) AAR part1

  薔薇戦争の初期の1460年、王位を狙うヨーク公リチャードはヘンリー6世を捕え、マーガレット王妃をはじめとするランカスター派に対して戦いを有利に進めていた。だが12月30日にウェイクフィールドの戦いで数的優勢なランカスター軍に大敗を喫し、ヨーク公は戦死してしまう…というのが今回のゲーム「The Battle of Wakefield」である。Men of Ironシリーズの一つで、C3i誌の31号に付いたもの。なんでこれをプレイしたかというともちろんMoIが好きだから、というのもあるんだけど、ウォーゲーマーだったらよく知っているようにカリフォルニアの火災でRodger MacGowan氏の自宅兼仕事場が焼失してしまって、C3i製作に必要な機材などもなくなってしまったという衝撃的なニュースが1月にありまして。少しでも応援になればとC3iのゲームをプレイすることにしたわけです。いやプレイだけじゃなくてゲームも買えよ自分。ちなみにMacGowan一家への寄付はこのブログを書いている2月13日現在も受け付けています。

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 このウェイクフィールドの戦い当時、ヨーク公はサンダル城に入って援軍を各地から集めようとしていた。だが食料調達に出た兵たちが敵と小競り合いを始めたのを見て、城から打って出る。そしてランカスター軍の待ち伏せをくらい両翼から包囲されて惨敗した―とよく言われているらしい。だがデザイナーは、数千のランカスター軍が布陣していたのならサンダル城からも見えたはずで、数的に劣勢だとわかっているヨーク公がわざわざ城から出て敵の罠の中に突っ込んでいくなど馬鹿げたことをやるはずがない、と書いている。まあ、12月の末なんで降雪や悪天候で視界が悪かったからヨーク公も敵の状況を誤認した、という説もあるらしいけど。いずれにせよ突出したヨーク軍に対し待ち受けていたランカスター軍が挟撃、というのはゲームのシチュエーションとしては面白く、このゲームでもランカスター軍の増援がマップ左右の両端から登場しヨーク軍の側面や後方を襲う、という形をとっている。増援が現れる前にランカスター軍を敗北に追いやりたいヨーク軍、かたやランカスター軍はひたすら耐えて増援を待つ、という展開になる。

 初期配置は写真のとおり。ヨーク軍の各部隊は歩兵(Infantry, Inf)、長弓兵(Longbow, LB)、重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)と兵種のバランスが取れているのだが、部隊ごとの兵力は少なく、各部隊5~6ユニットとなっている。一方のランカスター軍はほとんどが歩兵で、長弓兵は各部隊に1ユニット、重装騎兵はサマセットの部隊にのみ1ユニットだ。ただしランカスターの両部隊とも歩兵を8ユニット擁しており、増援が現れるまでひたすら防御するのには向いているのかもしれない。


 というわけでプレイ開始である。

「敵の増援? んなもん気にすんな。初っ端からフルスロットルで攻撃!」

 ヨーク軍は全部隊を急進させ、左翼(マップ左方)のヨーク公から攻撃をしかける。敵長弓兵を射撃戦で混乱状態にし、そこに歩兵が切り込んだ。たまらずランカスター軍の長弓兵は散り散りになって軍旗まで敗走。さらにヨーク公の部隊の最左翼では重装騎兵2ユニットが降り積もった雪を蹴散らしながら突撃、敵歩兵を混乱状態に陥らせた。

 続いてヨーク軍中央のソールズベリー伯リチャード・ネヴィルがヨーク公を支援。長弓兵でランカスター軍唯一の重装騎兵に射撃を加える。Men of Ironシリーズでは重装騎兵は射撃を受けた場合、条件さえそろえばカウンターチャージが行える。チェックに成功しさらに射撃でも損害を受けなかった場合、射撃をしてきた長弓兵ユニットに突撃ができるのだ。

 だが、たしかにカウンターチャージに成功すれば敵長弓兵を敗走させられる可能性が高いが、その結果重装騎兵が単独で突出することになる。ランカスター軍は増援が到着するまで防御に専念していればいいのだ。敵の挑発に乗ることはない。

 そう考えて自重したランカスター軍だが、百年戦争でもその威力を発揮したロングボウによって強制下馬(Unhorsed)の結果を被る。強力なはずの重装騎兵が、歩兵よりも脆弱なユニットになってしまった。

「げ、ランカスター軍唯一の騎兵ユニットなのに、馬をなくしちゃったの?! My kingdom for a horse!」

「そのセリフ、言っていいのはリチャード三世だけだからね」

つづく


おまけ。出先でぶらぶらしていたらたまたま見つけたウェイクフィールド通り



2023年11月6日月曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ⑤

  リチャードの凄まじい勢いを見ても冷静なランカスター軍プレイヤー。Seizureカウンターを使用して敵の継続活性を奪取し、

「歴史に名を残すのは、お前じゃない」

とつぶやく。

「映画『敦煌』の李元昊かよ。つうか、リチャードはボズワースで負けても十分歴史に名を残しているだろ」

 そんなヨーク軍プレイヤーのツッコミをしり目に、マップ右端に位置するトマス・スタンリーの部隊を動かす。リチャード隊左翼(マップ右方)の歩兵に集中攻撃をかけて損害を与えた。また、先ほどリチャードの重騎兵がウィリアム・スタンリー隊に切り込んできたが、そのユニットが背面をさらけ出しているのを兄トマス・スタンリーが見逃さない。長弓兵が矢を射かけて混乱状態にし、そこに重騎兵が突撃、敵騎兵を蹴散らした。


 ここまで戦闘に参加していなかったヘンリー隊だったが、ついに動く。スタンリーの側面攻撃でリチャード隊が手負いとなった今こそ、主役の見せ場。イングランド王位を継ぐのはランカスターの血を引くこのヘンリーなのだ。ものども、突撃! リチャードの白い猪を奴の血で赤く染めてやれ!!  ヘンリー自ら陣頭に立って突撃。粉塵を巻き上げて突っ込んでくる重騎兵集団の攻撃で、リチャード隊の重騎兵と歩兵が混乱状態となった。

 よし、余に続けオックスフォード、とヘンリーが命じるものの、これまでの激戦で疲弊したか、オックスフォードが動かない。そしてヨーク軍に自由活性が回ってくる。迷わずリチャードが活性化。左翼(マップ右方)の歩兵がスタンリーの歩兵を壊滅させる。リチャードは、王自ら勝負を決めてやる! と反転してスタンリーの重騎兵に向かう。ここでヨーク軍は「戦列の裂け目へ(Into the Breach)」という、白兵戦でDRM+1となるカウンターを使用。

「もう一度、あの敵戦列の裂け目へ! 皆の者、もう一度だ!」とリチャードになり切って檄を飛ばすヨーク軍プレイヤー。

「それの元ネタって『ヘンリー5世』でしょ。リチャードじゃないじゃん。というか、リチャードをあれだけの悪役に仕立て上げたシェイクスピアから引用してていいの?」


 このセリフ、シェイクスピアの「ヘンリー5世」の原文だと、

Once more unto the breach, dear friends, once more

ってなっています。dear friendsって呼びかけるんですね。それと、これはハーフラー(仏語読みだとアルフルール)の街の攻城戦のシーンで、このセリフのあとOr close the wall up with our English dead(さもなくばイギリス人の死骸で城壁を塞ぐのだ)」と続いていますね。


 すでに混乱状態だったスタンリーの重騎兵はリチャードの猛攻に耐えきれず、粉砕された。これでランカスター軍の累計敗走ポイントは16。敗北チェックのサイの目は…3。ランカスター全軍の士気は崩壊し、リチャードは王として君臨し続けることになった。



「いやー、もうちょっと粘っていればリチャードを挟撃して勝負がわからなかったと思うんだよね。でも苦労人のヘンリー・テューダー、ここで負けてもしぶとく生き残ってまたフランスに亡命して、捲土重来してきそうだよね」

とはランカスター軍プレイヤーの敗戦の弁。ヘンリー・テューダーは若い頃から亡命してフランスでしぶとく生き残っているし、1回大陸からの侵攻に失敗していて、2度目にボズワースで勝ちを収めているんですよね。それにリチャードはボズワースで勝ったとしても貴族たちの不満を抑えられたかどうかはわからず、ランカスター派の反乱は続くんでしょう。

 でもそんなことは置いておいて、映画「ロスト・キング」を見てからこのシナリオをやると燃えると思いますよ。「Blood&Roses」の入っている「Men of Iron Tri-pack」はGMTから再版が決まっているので楽しみです。

2023年11月1日水曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ④

 スタンリー兄弟がついに本性を現しランカスター側についたが、ヨーク軍のノーフォークが奮戦、またも長弓兵が猛威を振るう。集中射撃を受けオックスフォード隊の歩兵がたまらず壊滅。そして射撃で混乱状態に陥ったランカスター軍の歩兵に重騎兵が白兵戦をしかけ粉砕した。指揮官のノーフォークも自ら陣頭に立って突撃。混乱状態の徴集兵を側面から襲い瞬殺した。

 積み重なる損害に、ランカスター軍の累積敗走ポイントは12となった。このシナリオでのランカスター軍の敗走レベル(Flight Level)は18で、自由活性の終了時に10面体サイコロを振り、出た目を累計敗走ポイントに足してこの数値を越えると負けてしまう。つまり、現状では7以上の目が出ると終わりで、損害が増えるとランカスターが敗北する可能性がさらに上がっていくのだ。

 ヨーク軍にとっては一気に勝負をつけるチャンス。だが、またもリチャード動かず。おいおい、どうしたよリチャード。このままでは史実同様、負けてしまうぞ。もしかして失われた王になって、500年後に見つけてほしいのか?


 ヨーク軍が攻撃の手を緩めたすきに、ランカスター軍は軍旗(Standard)を活性化、軍旗周辺に敗走していたオックスフォード隊の4ユニットを回復させた。これでランカスター軍の累積敗走ポイントは8に下がり、一発敗北の可能性はなくなったことになる。


 そしてオックスフォードが継続活性しノーフォーク隊へ全力で攻撃。ノーフォーク隊は射撃ユニットは多いものの、歩兵や重騎兵が少ないため白兵戦では数的に不利なのだ。こうしてヨーク軍に攻撃する一方で、オックスフォードは先ほど敗走状態から回復して混乱状態になった4ユニットを、さらに正常状態に戻す。これでオックスフォード隊の戦力はかなり回復した。

 スタンリーが参戦したことで勢いづいたランカスター軍は、ウィリアム・スタンリー隊をヘンリーの隣にシフトさせ、支援態勢をとる。そしてまたもやオックスフォード隊が猛攻。先ほど軍旗のもとで回復したウェールズの長弓兵とノルマン弓兵が戦列に復活して弓矢の雨を降らせ、敵長弓兵を壊滅。そしてノーフォーク隊の重騎兵を包囲攻撃、混乱させた。


 オックスフォードはこのとき42歳。戦闘経験豊かで、ボズワースの14年前にあったバーネットの戦いにもランカスター軍の一隊を率いていた。ちなみにこの戦いでキングメーカー・ウォリックが敗死している。オックスフォードは父の第12代オックスフォード伯がエドワード四世によって処刑されたため、若くして第13代オックスフォード伯になっており、22歳の時にはエリザベス・ウッドヴィルの戴冠式で王妃に水を給仕する役を務めている。


 ここでやっとヨーク軍に自由活性が回ってくる。包囲され損害を受けているノーフォークの重騎兵が危ない。重騎兵は壊滅すると敗走ポイント(FP)が3と、結構高価なのだ。長弓兵とハンドガンの集中射撃で敵包囲網に穴をあけ、重騎兵が後方に退避。ふう、危ない危ない。

 ノーフォークとオックスフォードの死闘を静観していたリチャードだが、好機がやっと到来したと見たか、ついに動いた。重騎兵がスタンリー兄弟の弟、ウィリアムの歩兵に集団で突撃。3ユニットのチャージを受けた歩兵は瞬殺された。

 リチャードの猛攻で弟が危ない。兄のトマス・スタンリーが駆け付ける。リチャードの重騎兵を長弓兵の射撃で混乱状態にし、そこに重騎兵が突撃。リチャードのユニットは敗走した。

 だが、ここでオックスフォード続かず。この時点でランカスター軍の累積敗走ポイントは10、一方ヨーク軍は5にとどまっている。ヨーク軍に追い打ちをかけたいのに、連係ミスが痛い。60%の確率でオックスフォードが動くはずだったのだが。


 ヨーク軍のノーフォーク隊は射撃戦を繰り広げつつ、混乱状態の重騎兵と歩兵の回復に努める。そしてリチャードが熾烈な攻撃を続ける。重騎兵を引き連れ陣頭に立ち、歩兵も従えて猛攻、スタンリーの歩兵ユニットを壊滅させた。リチャードの白兵戦修正値(Charisma)+2は伊達じゃない。失われた王などになってたまるか!


つづく

2023年10月27日金曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ③

  オックスフォードの反撃を受けたヨーク軍のノーフォークだが、猛烈な射撃をくらわせランカスターの兵を次々と矢で倒していく。さらにノーフォーク隊の歩兵が対応射撃(Reaction Fire)をものともせずオックスフォードの砲兵にとりつき、壊滅させた。

「マジ? オックスフォード隊に射撃能力のあるユニットはなくなったじゃん。早くスタンリー裏切ってよ!!」

 これでヨーク軍は敵から撃たれる危険を考慮しなくてよくなった。ノーフォーク隊の重騎兵2ユニットが突撃する。オックスフォードの徴集兵1ユニットが混乱、もう1ユニットが壊滅した。 

 敵前衛が損害を受けている今こそ、追い打ちをかける好機! だがリチャード続かず。配下の奮闘を無駄にするつもりか? やっぱり悪王なのか?


 ヨーク軍の連係ミスを見て取ったヘンリーは、スタンリーに裏切りを促す。40%の確率だったが、スタンリー動かず。ええい、リチャードを目の前にして臆したか。それとも、実績のほとんどない28歳の若造ヘンリーの側につくことを躊躇しているのか。

 実際、14年間亡命していたヘンリー・テューダーは実戦で指揮を執ったことが少なかったようで、シェイクスピアの「リチャード三世」でも「実戦経験の全くない男だ(he was never trained up in arms)」なんて言われていますね。


 日和見しているスタンリーなど頼りにならんわ! とオックスフォードがノーフォークに反撃。またその間、混乱状態にあるユニットの回復に努めた。

 させるか! とノーフォーク。混乱状態の徴集兵に重騎兵が鎧袖一触、と攻撃するも、敵を侮りすぎたか徴集兵は踏みとどまった。だが、集中射撃にたまらずオックスフォード隊のウェールズ歩兵が敗走する。こうして敵を消耗させていく一方で、ノーフォークは混乱状態の長弓兵を回復させた。敵に弓兵がいなくなった今、こちらから一方的に射撃をくらわしてやるのだ。


 ノーフォークの攻撃で敵ランカスターの前衛はボロボロだ。王よ、敵にさらなる打撃を! だが、一人奮戦するノーフォークの懇願にも関わらず、またもリチャード動かず。何考えているんだ。

「いや、リチャードはやっぱり悪い奴なんだって。ノーフォーク隊に戦わせて限界まで出血するのを黙って見ているんだよ。悪人になると決めたって本人も言ってたじゃん」

いやそれ、またシェイクスピアの書いたセリフ。ちなみに原文は

I am determined to prove a villain

で、映画「ロスト・キング」でも出てきますね。


 リチャードがぐずぐずしている間に態勢を立て直したいランカスター軍。再びスタンリーに裏切りを要請する。引いたカウンターは70%で裏切るというもの。そしてスタンリー裏切り! おっしゃー!!

 

 スタンリー兄弟の兄トマス・スタンリーは薔薇戦争中に他の多くの貴族同様、寝返りをしているが、以前紹介した『Blood Royal』では、勝ちそうな人物であればだれであろうと忠誠を誓っていた、なんて書いてある。短い期間で大軍を召集する能力を見せつけ、どの戦いにおいてもほんの少しだけ遅れて参加したそうだ。


 スタンリーの裏切りを見て、オックスフォード隊が積極的な攻撃に出た。これまでは前面のノーフォークに加え、右翼にリチャードが迫ってきていたため、オックスフォード隊はユニット数が多いとはいえ限定的な攻撃をする余裕しかなかった。なにせ、ヘンリー本隊は5ユニットしかいないため、リチャード隊の攻撃をまともに食らったら支えきれず、どうしてもオックスフォードの支援が必要になる。だがスタンリーがランカスター側に立った今、右翼は彼らに任せられる。オックスオードは兵力を左にシフトし、これまでのうっ憤を晴らすかの如く果敢に攻撃。ノーフォーク隊に損害を与えた。



つづく

2023年10月22日日曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ②

  まずはヨーク軍のノーフォーク隊が前進、オックスフォードの部隊と射撃戦を展開する。そしてリチャードが白い猪の旗印を掲げ左翼方面(マップ右方)に前進。スタンリーに近づいたことで裏切りの可能性がやや低くなる。

 あ、白い猪っていうのはリチャードの旗印(heraldic badge)です。映画「ロスト・キング」でも、もちろん出てきましたね。



 ランカスター軍はオックスフォード隊が射撃で応戦するものの、ヘンリーが継続活性に失敗。敵の連携がとれていないうちに追い打ちを、とノーフォークは長弓兵に容赦のない射撃を行わせる。そうして敵前衛を牽制しつつ、リチャードがさらにマップ右方を急進した。

 ヨーク軍の好きにさせるわけにはいかない。オックスフォード隊が突出していたノーフォークの歩兵を3ユニットで集中攻撃、混乱させる。射撃戦では不利であっても、兵数ではオックスフォード隊のほうが上なのだ。そしてやっとヘンリーが動く。マップ右方にシフトしてリチャードに対応できるようにするとともに、スタンリーに近づくことで裏切りの可能性を上げた。


 このシナリオでは最初はスタンリーの2部隊は中立で動かないが、ランカスター軍は自由活性を使ってスタンリーの裏切り(Stanley Mobilization)チェックをすることができる。基本的に、スタンリー裏切りカウンター(Lancastrian Stanley counter)を1枚引いてそこに書かれているサイの目以下が出れば裏切るのだが、カウンターは5枚あって裏切りの可能性は30%~70%と幅がある。とはいえいろいろ計算すると、50%の確率で裏切るはず(でも計算自信ないなあ)。

 ただし、スタンリーの2人の指揮官のうちどちらかから12へクス以内にリチャードがいれば裏切りチェックのサイの目が1不利になり、逆にヘンリーが8へクス以内にいれば1有利になる。


 今回リチャードはスタンリーに近づくようにマップ右方に展開したが、実際はデメリットの方が大きいと思う。こちら方面は湿地(Bog)や小川(Stream)、それに沼地(Marsh)などがありリチャード麾下の重騎兵の機動力や突撃能力を活かしにくい。それだけでなく、スタンリーが裏切った場合、ヘンリーとスタンリーから挟撃される可能性が高いのだ。

 しかもマップ下方の中央右よりにある沼地は、「沼地とリチャード三世ルール(Marshes and the Richard the Third Rule)」なんてのがあって、騎兵がここで白兵戦を行うと強制下馬(Unhorsed)となる可能性がある。ボズワースでは沼地でリチャードが馬を失い討ち死にしたと言わているが、それを反映しているらしい。リチャード三世としてはマップ右下は縁起が悪い。


 一方、マップ左方にリチャードが展開した場合、平坦な地形が広がっているので重騎兵がその能力を発揮できるうえ、スタンリーの2部隊がマップ右方から主戦場に駆け付けるのに時間がかかる。そもそも、スタンリーは2人とも活性化値3と凡庸だ。ヘンリーの指揮範囲にいると継続活性でDRM1有利になるが、リチャードがマップ左方から全力で攻撃する場合ヘンリーがオックスフォードの救援に駆け付けざるをえず、スタンリーから離れることになる。つまりスタンリーが活性化しにくくなり、ヨーク軍を攻撃する位置にたどり着くまで時間がかかるのだ。

 ということでこのシナリオの場合、リチャードはマップ左方に展開したほうがメリットが大きいと思う。だがヨーク軍プレイヤーは

「進め!  雄々しく!  猛進して乱戦に飛び込むのだ。天国に行けなければ、ともに地獄に進もうぞ」

とうそぶきながらマップ右方に兵を進める。

「いや、それシェイクスピアの『リチャード三世』のセリフでしょ。不吉すぎない?」

と敵プレイヤーに心配される始末。両プレイヤーとも映画「ロスト・キング」を見てリチャード三世に肩入れしてしまっているのである。「リチャード三世」のボスワース戦のところを読み返したりしていたし。


ちなみにこれは「リチャード三世」のボズワース戦冒頭のところで、原文は

March on. Join bravely. Let us to it pell mell,

If not to heaven, then hand in hand to hell.

となっています。


つづく

2023年10月17日火曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

  映画「ロスト・キング 500年越しの運命」を見たら、当然ボズワースでリチャード三世の無念を晴らさなくては、ということでMen of Ironシリーズ「Blood & Roses」のボズワースのシナリオをやってみることにした。

 ボズワースの戦いと言ったら30年続いたイギリスの血みどろの内戦・薔薇戦争を終結させたと言われる戦いで、リッチモンド伯ヘンリー・テューダーがリチャード三世を打ち破った。シェイクスピアの戯曲「リチャード三世」でのリチャードの最後のセリフ、「馬の代わりに我が王国をくれてやる!(My kingdom for a horse!)」が有名である。

 というかね、「リチャード三世」で悪人に描かれて過ぎていて、その反動からかリチャードを擁護するRicardianなんて人たちが出てきているんですよね。リチャード三世協会なんてのもあるんだけど、映画「ロスト・キング」では学者からファンクラブと馬鹿にされていましたね。でもそんなRicardianが、川に投げ捨てられたという伝承が残るリチャードの遺体を、2012年に発見するんですよ。いやー、すごいなあ。


 で、ボズワースである。リチャード率いるヨーク軍は前衛をノーフォク公ジョン・ハワード、中央がリチャード、後衛をノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーが指揮しているが、以前のAARにも書いたようにノーサンバランドが動くことはほとんど期待できない。一方、ヘンリー・テューダーのランカスター軍は、前衛がオックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアーの部隊、その後ろにヘンリー直属部隊が布陣している。



 射撃力でヨーク軍は優位に立っている。百年戦争から薔薇戦争にかけて猛威を振るった長弓兵のユニット数はヨーク軍6,ランカスター軍3だ。またランカスターのオックスフォード隊は兵力が多いように見えるが、そのうち6ユニットは徴集兵(Levy)。徴集兵は他の兵種と共同でないと白兵戦がしかけられないので、あくまで補助的な戦力である。


 ちなみに、「Blood&Roses」のシナリオ集「Battle Book」にもちらっと書いてあるけど、この戦いのランカスター軍の多くはフランスやウェールズの兵で、ユニットにもウェールズやフランス、ノルマンディ、ブルターニュの紋章がついていたりする。ヘンリー・テューダーは亡命して長い間ブルターニュ公の庇護下にあった。そして今回はフランス王シャルル八世の支援を得て、ノルマンディーのアルフール港からウェールズにもどってきている。

 テューダー家はもともとウェールズの貴族で、薔薇戦争中はペンブローグ城を拠点にしてヨーク家に対し抵抗を続けた。ウェールズと言えば紋章は赤い竜で、ヘンリー・テューダーは1485年にリチャードを倒すためウェールズに上陸した際、赤竜の軍旗を掲げてウェールズ人の支持を得たらしい。ウェールズの吟遊詩人たちはヘンリーのことをアーサー王の再来と称え、その帰還を待ち焦がれていたそうだ。…というのは『物語 ウェールズ抗戦史』という本の受け売りで、この本の帯には「そのとき赤竜の軍旗を掲げアーサー王は蘇った。」なんて惹句が付いている。まあ、実際ヘンリーはアーサー王伝説をうまく利用したようで、息子にもアーサーと名付けている。


 おおっと、話がそれた。ということでランカスター軍はやや不利で、指揮官の活性化値ではランカスター軍のほうが優っているものの、マップ右下にいるスタンリー兄弟が史実のようにリチャードを裏切って味方に付いてくれないと苦戦することだろう。


つづく



2023年10月10日火曜日

「Plantagenet」(GMT)をやるなら薔薇戦争のこの2冊(その2)

  映画「ロスト・キング 500年越しの運命」、ウォーゲーマー界隈だったら見られた方も多いんじゃないでしょうか。いやーもうね、今は駐車場となっているところにRって書かれていて、その下にリチャードが埋まっているなんて、実話なんだけどもうほんと、運命的ですよね。あの映画見たらリチャード三世好きになる人、多いんじゃないかなあ。

 それに、歴史を知らなくても映画としても楽しめました。レスター大学関係者の言動を見ていると、自分もやっちゃいそうって思ってしまいましたよ。とほほ。


 …いや、今回は映画の話をするつもりじゃなかったんだ。今回紹介するのは、薔薇戦争関連の書籍、『Blood Royal』です。前回紹介した『Battle Royal』の続きにあたり、1461年にタウトンの戦いでヨーク派が大勝したその後からを描きます。エドワード四世、タウトンの後も結構苦労していて、1471年のバーネットとチュークスベリーの戦いでやっと国内が安定するんですな。…ということをもう他の本で読んだはずなのになあ。自分の記憶力のなさよ…。


 まあそんなことより、リチャード三世ですよ、リチャード三世。この本ではどんな風に描かれているのかなと興味津々だったんですけど、比較的バランスが取れた描写という印象。リチャードの軍事的能力についてはちゃんと認めていまし、対スコットランドのリチャードの戦いも記述しています。でもリチャード擁護派のいわゆるRicardianにはちょっと辟易している感じで、

the defining Ricardian dogma - that Richard III's black villainy was an invention of Tudor propagandists - was always skating on thin ice.

とか、

It is far more debatable whether Richard deserved a handsome tomb monument in Leicester Cathedral with 'Loyaulte me lie' inscribed without irony on the plinth.

なんて書いていますね。あ、 'Loyaulte me lie'っていうのはリチャードのモットーで、「忠誠が我を縛る」という意味になるようで、すべての書類にこの言葉を書いていたそうですね。そういえば映画「ロスト・キング」のボズワースの古戦場のシーンでも、リチャードの旗にLOYAULTEって書かれているのを見つけて嬉しくなりましたよ。

 筆者はRicardianよりではないということをにおわせつつ、それでも、リチャードが生まれたFotheringhayの城跡が現代のRicardianの神殿になっている、なんて紹介してくれていますね。注でちっちゃくだけど。


 ボズワースやバーネットなど、主な戦いは戦況図だけでなく、戦いに至るまでの両軍の動きを図で示してくれていて、ウォーゲーマーとしては嬉しくなりました。あと、ボズワースの戦いにはヘンリー側にフランス軍が多く加わっていたのはよく知られていると思いますが、フランス部隊の指揮官が、長方形やひし形の隊形で歩兵が長いパイクと短めのハルバードを組み合わせて使うという、大陸では一般的になっていた戦い方をイギリス軍に教えた、なんてことが書いていありましたね。


 もちろん戦いだけでなく貴族たちの政治的な動きも詳述してあるんですけど、登場人物が多いので、ときどき誰が誰やらわからなくなりましたよ。外国人が日本の戦国時代の本を読んだときもこんな感じなのかなあ。それと、自分の薔薇戦争の基礎知識ってGJ65号付録ゲームの「薔薇戦争」なんですけど、あのゲームだとウォリックのレーティングが3-6で、さすがキングメーカー、強ええって思っていました。でもこの本を読んでいると、軍事的な能力はそれほどでもなかったのかな、という気になります。もちろん政治的な力は大きいってのはちゃんと描写されていて、They have but two rulers, M. de Warwick and another whose name I have forgotten.っていう有名な言葉も出てきます。


 この本を読んで個人的に一番の収穫だったのが、イギリスの周辺国、フランスだけでなく特にブルゴーニュ公国のことが結構書かれていたことかな。「La Trêve ou l'Epée」(Ludifolie)というゲームで、エドワード四世とルイ11世が衝突していたら、という仮想戦が入っているんだけど、その前後の状況がよくわかりました。同じゲームに入っているGuinegatteの戦いも、この本でちょろっと触れられていて個人的には嬉しい。あと、ハンザ同盟のかかわりについてもちょっと触れられていて、いろんな知識がつながる感じでした。

 

 それと結構、女性の動きが描かれているんですよね。ヘンリー6世の妃マーガレットは当然としても、エリザベス・ウッドヴィルの母親のジャケット・ド・リュクサンブールとか、いろんな女性が及ぼした影響に触れていて面白かったんですけど、本の最後のほうで「イギリスの歴史においてこの時代ほど女性が影響力を持ったことはなかったのだ」なんて書いていました。


 ということで『Battle Royal』と『Blood Royal』、2冊セットで読むのをおススメします。薔薇戦争のゲーム、なんかやりたくなるなあ。


2023年9月15日金曜日

「Plantagenet」(GMT)をやるなら薔薇戦争のこの2冊(その1)

  Levy & Campaignシリーズの新作「Plantagenet」(GMT)が出ましたね。今回は薔薇戦争。薔薇戦争と言えば、Dan Jonesの『The Hollow Crown』の和訳、出ないですかね、薔薇戦争の本って日本語だとあんまりないし、とつぶやいていたら、「Plantagenet」のデザイナーFrancisco Gradaille氏が『Battle Royal』と『Blood Royal』という本をおススメしてくれました。


デザイナーさんご本人から推薦図書を教えてもらえるなんてラッキー、と思っていたら、この2冊、「Plantagenet」のBackground Bookで参考資料として真っ先に挙げてあるんですよね。でも教えてもらえたのはうれしいです。

 ということでさっそく読んでみました。この2冊、セットになっていて、『Battle Royal』は薔薇戦争の前半を、『Blood Royal』は後半をカバーしています。今回紹介するのは『Battle Royal』のほうなんですけど、薔薇戦争って言ったら一般的には1455年の第一次セント・オールバンズの戦いから始まると考えられているようですが、日本語ででている『薔薇戦争』や『薔薇戦争新史』、それに先述した『The Hollow Crown』と同様、『Battle Royal』もそれよりもっと前から書き起こしています。

 薔薇戦争っていろんな貴族が出てきて、それがまたややこしいんですよね。しかも爵位で呼ばれたりするから、これどのサマセットだよ、となったりして。SalisburyがキングメーカーWarwickの父親だってつい忘れそうになるし。まあ、自分の知識不足のなせる業ですが。しかも親子で同じ名前だったりするのがさらにややこしい。でもこの本ではランカスター家やヨーク家だけでなく、ボーフォートやネヴィルと言った家系についても説明してくれていて、なんとなく人間関係がわかるようになってきました。

 でもまあ、やっぱり興味があるのはもっと軍事的な面なので、読んでいて第一次セント・オールバンズ戦以降のほうが面白かったです。重要な戦いは戦況図付きで説明してくれているうえ、戦場までのアプローチがわかる道路網の図も載せてあって、両軍の機動がわかりやすくなっていました。薔薇戦争の最大の戦いともいわれるタウトンの戦いなんか、金属探知機を使って10年以上かけて戦場を調べた人がいるらしくて、金属反応が多いところがおそらく激戦だっただろうということがわかる図まで載せていました。こういう地道な調査はありがたいですよね。それに『Battle Royal』は2015年に出ているんですが、こういう最近の知見も入っているのが嬉しいです。

 それと、the English were renowned for their ferocity and were not temperamentally suited to positional warfare, which may explain why castle played such a peripheral role in the conflict.なんて書いてあって、そういや薔薇戦争で攻城戦って聞かないな、やっぱ中世のイングランド人って血の気が多いのかなってなんか納得しました。

 騎行(chevachée)と身代金という二つの戦費調達手段が薔薇戦争では封じられていたという指摘も、ちょっと新鮮でした。少し考えれば当然だとわかることですけどね、ははは。だって内戦で騎行のようなぺんぺん草も生えないような略奪は行えないし、薔薇戦争で貴族が殺されまくったというのは有名ですしね。

 あと、薔薇戦争の主要登場人物の一人、ヘンリー六世王妃マーガレットについて結構書かれていたのも勉強になりました。フランスから嫁いできたってのは知っていたけど、頼りないヘンリー六世に代わってランカスター派を切り盛りした、ぐらいのイメージしかなくて、仏王シャルル七世の姪だったとか、どこかで読んだことがあったかもしれないんですけどすっかり忘れていましたよ。マーガレットの母親のイザベル・ド・ロレーヌも女傑だったようで、マーガレットはgrew up witnessing how strong women could make something of weak menなんて書かれていました。


 というわけで薔薇戦争についてもっと知りたい、という人にはいいんじゃないでしょうか。でも「Plantagenet」(GMT)をやるなら、とか偉そうにタイトルに掲げておきながら、自分はまだ買っていないんですよね。すみません。地道に計画的な部隊運用を要求されるゲームって、なんか気後れしてしまって。テーマ的にはドンピシャなんですけどね。今のところAARを見て楽しんでいます。

2022年10月5日水曜日

『薔薇戦争全史』となるか、『ホロウ・クラウン』



  薔薇戦争の一般向けの通史ってあんまりなくて、『薔薇戦争』『薔薇戦争新史』ぐらいしか見つからない。でも日本語の本はあきらめて英語で探してみたら今度は大量にありすぎて、何を読めばいいのかわからないぐらい。日本語で戦国時代や明治維新の本が数多くでているのとおんなじ感じですかね。さらに薔薇戦争はシェイクスピア御大がいくつか作品を書いているんだけど、シェイクスピアはイギリスの学校では国語の授業で読まされるらしい。そりゃ英語圏で薔薇戦争関連の本がふんだんに出るわけですよ。『ゲーム・オブ・スローンズ』なんてのまで作られるし。


 どれを読もうか迷っていたら、以前nyaoさんに教えてもらった『十字軍全史』の作者ダン・ジョーンズの書いた『The Hollow Crown』という本を見つけたので、読んでみた。

 「ホロウ・クラウン」といえばnyaoさんやこーちゃさんが書かれていたテレビ映画シリーズで、タイトルがまるかぶりじゃないかと思われるかもしれないけど、The hollow crownというのはシェイクスピアの『リチャード二世』に書かれている言葉なんですね。


All murder'd: for within the hollow crown

That rounds the mortal temples of a king

Keeps Death his court


という一節がもともと。That rounds the mortal temples of a kingがthe hollow crownにかかっていて、Deathが主語でKeepsと倒置になっていて……え、文の構造なんてどうでもいいから訳せ? いや、いろんな翻訳が出ているのでそちらを読んでください。べ、別に訳せないからこう言っているんじゃないですよ。


 と、知ったかぶりしてしまったけど、すみません、シェイクスピアからの引用だったなんでぜんぜん知りませんでした。本のほうは2014年に出版されていてテレビシリーズは先に2012年に始まっているから、テレビとのメディアミックスか何かかな、それとももしかしてテレビシリーズの人気にあやかってタイトルをパクった? とか思いながら本を開いてみると冒頭にシェイクスピアからの引用が載っていました。

 ちなみにこの本のアメリカ版は『The Wars of the Roses: The Fall of the Plantagenets and the Rise of the Tudors』とそのまんまのタイトルになっている。教養のないヤンキーにはシェイクスピアからの引用なんてタイトルにしてもわからんだろ、というマーケティング的観点からですかね。アメリカ人の皆さんごめんなさい。英語もろくに読めない東夷に言われたくないですよね。


 テレビシリーズのほうはシェイクスピアの史劇に則っているみたい(すみません、まだ見ていません。ベネディクト・カンバーバッチのリチャードを見てみたいんですが)だけど、本のほうは史実の叙述になっている。これがまた読みやすいわけですよ。まあ、『薔薇戦争』や『薔薇戦争新史』(の原著の『Lancaster Against York』)を読んでいたときは薔薇戦争に関する知識がGJ65号のリプレイマンガぐらいしかなかったわけで、ヘンリーやエドワードやリチャードが複数出てきて混乱しまくってました。それに比べると今は薔薇戦争の大まかな流れとか主要人物は一応知っているから、『The Hollow Crown』も楽しめる余裕が少しはできたのかもしれないけれど。


 『The Hollow Crown』は、同じ作者の『十字軍全史』のときも感じたけど、読者の興味を持続させるような文体。かといって大げさに誇張しているわけではない。そういえば、『薔薇戦争新史』(の原著の『Lancaster Against York』)で印象に残っている、グロスター公リチャードがいきなりテーブルをバンと叩いて「謀反だ!(Treason!)」と叫ぶと兵たちが部屋になだれ込んできてヘイスティングスたちを連行するシーンは『The Hollow Crown』にはなかったな。

 もう一つ、王位を狙うヨーク公リチャードが、議会が開かれる大広間で王座に手を置くシーン。その場にいる貴族たちは当然承認してくれるだろうと期待に胸を膨らまししつつリチャードが振り向いたら、みんなドン引きしていたという、ギャグマンガに使えそうな場面で印象に残っていたんだけど(英国の歴史の品位を落とすようなこと言ってすみません)、これも『The Hollow Crown』にはなかったです。

 

 でもこのような具体的な場面の描写は抑制しつつ、読者の興味をそらさないのはさすが。というか、資料に依拠して分析はするけど演出はしない、という感じかな。例えば、エドワード四世がエリザベスと結婚したことはウォリックの寝返りを招くなど失策とされることが多いと思うんだけど、『The Hollow Crown』でもそういう点は指摘しつつ、なんでわざわざそんな結婚をエドワードがしたのかという分析もしています。そういえば、イングランド王が臣下の家から王妃を娶るなんてことはエドワードまで約400年の間なかったという指摘も意外。あと、ボズワースの戦いはわりと詳述していたな。


 『薔薇戦争』や『薔薇戦争新史』は百年戦争の途中から書き起こしているけど、『The Hollow Crown』もヘンリ―六世が生まれる前年の1420年から始まっていて、ヨークの血を引く最後の有力貴族が1525年のパヴィアの戦いで戦死するまでの約百年間を主に描いています。最終章ではエリザベス一世やシェイクスピアにも触れているけれど。ダン・ジョーンズの著書は『十字軍全史』と『テンプル騎士団全史』というタイトルで和訳本が河出書房新社から出ているから、『The Hollow Crown』も『薔薇戦争全史』って名づけて翻訳が出ないかな。






(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月3日日曜日

血まみれの野に散ったランカスター Tewkesbury 1471 - Blood & Roses (GMT) AAR ⑤

  ランカスター軍のサマセット公の攻撃で大損害を受けていたヨーク軍のリチャードだが、ウェンロックがサマセット公に続くことなく日和見しているすきに、後方に退避する。そして真打、イングランド王エドワード四世がやっと本格的に動く。別に弟を盾にしていたわけじゃないからね。ヒーローは遅れてやってくるものなのだよ。イケメンで鳴らしたエドワードだが、見掛け倒しじゃないところを証明してくれよう。

 射撃と白兵戦で次々と敵に損害を与えていくエドワード隊。ランカスター軍の累積FPは13に上った。

 ランカスター軍の敗北レベル(Flight Level)は20で、累積FPに10面体サイコロの目を足してこの数値を越えたら負けてしまう。自軍が崩壊する前にヨーク軍を倒すのだ。ウェンロック隊そしてサマセット隊がヨーク軍左翼に必死の攻撃を加える。


 イケメンが何だと言うのだ。毎年2月14日の民の苦しみがわからぬ奴に、王たる資格はないっ! イケメンもろともバレンタインを粉砕せよ!! ……いや、それゲームが違うから。

 生垣地帯で死闘を繰り広げる両軍。ヨーク軍はこれまでほとんど動かなかった右翼のヘイスティングス隊を投入。ランカスター軍左翼に弓矢と砲弾を浴びせかける。ヘイスティングスはエドワード四世の忠臣で、王の危機に奮い立たないわけがない。でも十年ぐらい後にはチャードによって反逆の罪を着せられ処刑されるから、王弟は助けないほうがいいんじゃないのと言いたくなる。

 ヘイスティング隊に続きエドワード隊が追い打ちの射撃を加え、ランカスター軍のFPは19に。これまで2度、敗北チェック(Loss Check)をしのいできたランカスター軍だが、さすがにやばい。一方ヨーク軍のFPは14、敗北レベルは22だ。とにかくヨーク軍に損害を与えるのだ。

 ウェンロック隊の攻撃でヨーク軍のFPは15に。敗北チェックを20%の確率でしのいだランカスター軍は、軍旗(Standard)の元まで敗走していたリチャード隊の2ユニットをサマセット隊の長弓兵とHandgunで壊滅させる。ヨーク軍のFPは17になった。両軍ともボロボロである。


 ヨーク軍に自由活性が移り、ヘイスティングス隊が猛攻を加える。そして迎えた敗北チェック。ヨーク軍のサイの目は4でセーフ。一方、崩壊寸前になりながらもこれまで耐えてきたランカスター軍のサイの目は、3。敗走レベルを超えたため、死闘を制したのはヨーク軍となった。


 ランカスター派の貴族たちは敗走中に殺されるか、つかまって斬首されるか、ということになるでしょう。ウェンロックはサマセット公に頭を割られるはず。こうしてイングランドでは不満の冬が去り、ヨークの太陽のもとで輝かしい夏を迎えるのでした。めでたしめでたし……って感じで内戦が半分で終わっていたらよかったんですけどね。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年7月1日金曜日

血まみれの野に散ったランカスター Tewkesbury 1471 - Blood & Roses (GMT) AAR ④

  ランカスター軍の右翼サマセットと中央ウェンロックの攻撃によって隊が分断されているリチャード。サマセット隊に必死の反撃を試みる。続いて、弟の窮地をエドワードが救出しようとするが、そうはさせないとランカスター軍はSeizureカウンターで継続奪取。

 と思いきや、ヨーク軍が奪取無効(Seizure Negation)のSeizureカウンターを出してランカスター軍の試みを無効化。簡単に戦いの主導権を渡すもんか。ヨーク家兄弟の団結を見せてやる、とエドワードが継続活性チェック。だが、失敗。おいおいしっかりしてよ、お兄ちゃん。奪取無効のカウンターを出した意味ないじゃないですか。
 
 このエドワード四世、長身のイケメンでモテモテだったそうである。軍事や内政の才能にも恵まれていたらしいけど女癖が悪く、キングメーカー・ウォリックがフランス王の義妹との結婚話を進めていたのに、勝手にエリザベス・ウッドヴィルという身分の低い女性と結婚してしまう。エリザベスは超絶美人だったらしいけど、王様としてはそんなことしちゃいかんでしょ。ウォリックが裏切るわけだよ。ウッドヴィル家は調子に乗っちゃうし。
 しかし、ヨーク家に復讐するためにあえてエドワードの王妃になるっていう「薔薇王の葬列」のエリザベスの設定は、なんか映画「乱」の楓の方を彷彿とさせますな。まあ、「乱」もシェイクスピアがもとになっているから、つながりがあるっちゃああると言えるのかな。

 ヨーク軍の継続活性失敗によって自由活性を得たランカスター軍。エドワードがぐずぐずしているうちに弟を仕留めてしまえ、とサマセット隊の長弓兵が弓矢の雨を降らせ、リチャード隊の兵士が倒れていく。リチャードを守っていた重武装の歩兵DMまでもが壊滅した。射撃のサイの目は9だったので指揮官の戦死チェックがあったが、リチャードはからくも生き延び自軍騎兵ユニットのもとに逃げ込む。

 リチャード隊が危ない状態に陥っているを見て、ヨーク軍はSeijureカウンターで継続奪取。リチャード隊が反撃に転じる。砲兵、それに銃のごく初期の形であるHandgun(HG)という、火器の連続射撃。炎のにおいが染みついてむせる、じゃなかった火薬の煙のにおいが染みついてむせるような射撃をランカスター軍に浴びせかけたのち、リチャード自ら騎兵を率いてサマセット隊の長弓兵を蹴散らす。やっぱりリチャードには騎兵が似合う。ボズワースとかね。

 ここで今度はランカスター軍がSeizureカウンターで継続奪取。やられたらやり返すのみ。さらに、動揺(Unsteady Troops)というSeizureカウンターを使い、リチャード隊の歩兵1ユニットを混乱状態にさせる。これでランカスター軍はSeizureカウンターを使い果たした。だがリチャード隊を崩せばエドワードの後ろに回り込める。出し惜しみせずにたたみかけるのだ。

 ランカスター朝の重鎮ボーフォート家の名誉にかけて、サマセット公が陣頭指揮を執る。射撃と白兵戦のコンボでリチャード隊はほぼ壊滅し、ヨーク軍の左翼は崩壊した。これでヨークの敗走ポイント(FP)は11となりランカスターと並んだ。

 ヨークの簒奪者に鉄槌を下す好機だ。サマセット公に続け、ウェンロック。だが、継続活性に失敗してウェンロックは動かず。おいー‼ 斧で脳天叩き割られたいのかー‼


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月29日水曜日

血まみれの野に散ったランカスター Tewkesbury 1471 - Blood & Roses (GMT) AAR ③

  ランカスター軍のサマセット隊は特別ルールを利用して連続して活性化していたが、2度目の継続活性に失敗。一度失敗するともうこの特別ルールは適用されなくなるのだ。もう一回成功していればリチャード隊はかなり苦しくなったはずなのに。


 このゲームのマップには含まれていないが、テュークスベリーの戦場ではマップ下方面にあたるところに森があって、事前にヨーク軍のエドワード四世は200騎の騎兵を潜ませていた。実際の戦いではサマセット公の側面攻撃でエドワードは苦境に陥ったが、この伏兵がサマセット公の部隊を背後から奇襲、さらにリチャードの部隊も加わってサマセットを敗走させたらしい。

 このゲームでも騎兵の待ち伏せルール(Ambush)があり、ヨーク軍は自由活性化を使って騎兵(Cavalry, Cav)1ユニットをマップ下端から登場させられる。騎兵は登場時のみ移動力が2倍となり、最初の移動終了時に接敵している敵ユニットは混乱状態(Disorderd)になり、すでに混乱状態だと敗走(Retire)する、という奇襲効果がある。


 敵のサマセット隊がリチャードの側面から後方に回りこみそうになったのを見て、ヨーク軍は騎兵を投入。思いもよらない伏兵の出現にサマセット隊は混乱に陥る。いや、そりゃ騎兵が出てくることぐらいランカスター軍プレイヤーも知っていたけど、そのリスクを冒してでも攻勢に出たほうがいいと判断したわけです。

 続けてリチャードがサマセット隊に反撃。後方に回り込んだ長弓兵への攻撃ではサイの目1が出て退却させるだけに終わったが、サマセット隊本体には損害を与える。さらにヨーク軍はエドワード隊も活性化。突出している敵左翼(マップ上方)のデヴォン隊に射撃を加え兵力を削っていく。


 騎兵の奇襲にリチャード・エドワード兄弟のワンツーパンチと殴られっぱなしのランカスター軍だったが、やっと自由活性を得た。中央の王太子エドワード隊が前進、サマセット隊の支援に回る。なお、王太子エドワードは戦場経験の少なさから部隊の指揮は実質的にウェンロック卿がとっていた。そのためここでもウェンロック隊と呼ぶことにする。

 ウェンロック隊が援護している間に、騎兵の奇襲とリチャードの攻撃で多くが混乱状態となったサマセット隊は自隊の立て直しを図る。包囲されている歩兵(Infantry, Inf)は救出できないが仕方ない。一方、単独でリチャード隊の後方に回り込んでいた長弓兵は、リチャードとスタックしている重装備の歩兵Dismounted Men-at-Arms(DM)を射撃で混乱させた。


 ここでさらにウェンロックが動いてくれれば、サマセット隊は窮地を脱し逆にヨーク軍に対して優位に立てるかもしれない。実際の戦いでは、エドワードの側面に攻撃をかけたサマセットの後にウェンロックは続くことなく傍観していた。サマセット公はこれに激怒、戦いの帰趨が決まって敗走しているときにウェンロックの頭を戦斧で叩き割ったと言われている。

 そもそもこのウェンロックは味方として信用できない人物で、薔薇戦争最初の戦い第一次セント・オールバーンズの戦いではランカスター側だったが、その後ウォリックと親しくなってヨーク派に寝がえり1461年のタウトンの戦いでもヨーク側で戦っている。そのくせウォリックがランカスター側に移った時はヨーク派にとどまってウォリックを妨害。だがさらにその後ランカスター側に寝返った。状況次第でころころと立場を変える、太平記に出てきてもおかしくない感じの人物である。ウェンロックに限らず薔薇戦争では寝返りは結構あったらしいけど。


 「ウェンロックが友軍の窮地を救いに来るわけないじゃない。日和見しておいてヨーク軍が勝ちそうになったら寝返るつもりだよ。ほら、裏切りチェックしてヨーク軍のウェンロックユニットと取り換える?」 とヨーク軍プレイヤーは挑発。

(Blood & Rosesに入っているタウトンの戦いではウェンロックはヨーク側で戦っているので、ヨーク軍にもウェンロックのユニットがある。でもウェンロックの裏切りチェックなんてルールはありません)

それにランカスターの継続活性が続いていたため活性化チェックのサイの目が1不利になるのだ。


 だが、ウェンロックは活性化に成功。ランカスター家の大義のためにサマセット公をお助け申すと、リチャード隊の右翼に攻撃をしかけたのだった。ランカスター軍最大兵力を擁するウェンロック隊はヨーク軍の薄い防御を蹴散らし生垣地帯に突入した。




つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月27日月曜日

血まみれの野に散ったランカスター Tewkesbury 1471 - Blood & Roses (GMT) AAR ②

  Men of Ironシリーズでは基本的に部隊(Battle)ごとに活性化するのだけれど、Blood & Rosesでは全軍活性化(Army Activation)といって自軍のユニットをほぼすべて同時に活性化することができる。

 敵ユニットから4へクス以内には近づけず攻撃もできないという制約はあるのだが、先手であるヨーク軍は全軍活性化で一斉に前進。さらに指揮官の高い活性化値を活用して継続活性でマップ中央の生垣地帯を抑えた。


 ランカスター軍は左翼(マップ上方)のデヴォン伯ジョン・コートニー(John Courtenay, 15th Earl of Devon)の部隊が前進、射撃戦を開始する。だが、後が続かない。ヨーク軍はデヴォン隊に相対しているヘイスティングス男爵ウィリアム・ヘイスティングス(William Hastings, 1st Baron Hastings)、そして中央のエドワード四世の部隊が射撃戦に応じ、両軍ともじわじわと損害が出る。




 Men of Ironシリーズでは弓兵などの射程はMen of Ironでは3へクス、Infidelでは2へクスなのに対し、Blood & Rosesでは6へクスもある。これは1へクスがそれぞれ110ヤード、250ヤード、50ヤードとマップスケールが違うためのようだけれども、Blood & Rosesではさらに砲兵(Artillery, Art)も登場し最大射程が10へクスもある。そのため両軍が離れた位置での射撃戦が起こりやすくなっている。

 ただしこのゲームでの砲兵は威力が弱いうえ、一度射撃をすると移動できなくなって、かなり使い勝手が悪いように感じる。砲自体はヨーロッパでは14世紀から登場しているし、百年戦争やフス戦争でも使用された。テュークスベリーの戦いの約20年前にはウルバンの巨砲がコンスタンティノープル攻略に一役買っている。だが薔薇戦争の時点ではまだまだ信頼性や輸送手段など様々な面で問題があって、15世紀末から始まるイタリア戦争で急速に発展を遂げるそうだ。

 

 生垣地帯をヨーク軍に抑えられたランカスター軍。今のところ射撃戦では互角の戦いを演じているが、敵の長弓兵が防御に適した地形(サイの目-1)に位置しているのに比べ、こちらは身を隠す場所のない平地だ。このままではじわじわと損害に差がついていくだろう。そう判断したランカスター軍は接近戦に持ち込むことに決める。

 ランカスター軍で一番活性化値の高い右翼(マップ下方)のサマセット公エドムンド・ボーフォート(Edmund Beaufort, 4th Duke of Somerset)の率いる部隊がヨーク軍の左翼のリチャード隊に襲い掛かる。Men of Ironシリーズでは基本的に同じ隊が続けて活性化はできないのだけれど、この戦いの特別ルールとしてサマセット公の側面攻撃(Flank Attack)というものがあり、ゲーム中に一回だけサマセット隊は連続して活性化を試みることができるのだ。実際の戦いではサマセットはヨーク軍中央のエドワード四世の部隊の側面に攻撃をかけたそうで、それを再現するものらしい。


 サマセット隊は射撃でリチャード隊前衛の長弓兵を混乱させたのち、白兵戦で壊滅させる。サマセット公の活性化値は4で継続活性の確率は50%だが、サイの目に嫌われることなく側面攻撃ルールでの継続活性に成功。リチャード隊をさらに攻撃し、長弓兵1ユニットが後方に回り込んだ。




 サマセット公エドムンドのボーフォート家はランカスター家の分家で、薔薇戦争ではランカスター派に属していたがヨーク派によって滅ぼされた。エドムンドはテュークスベリーの敗戦で処刑されるが、いとこマーガレットがエドムンド・テューダーと結婚してヘンリー・テューダー、のちのヘンリ-7世が生まれる。

 サマセット公がこの戦いのあとに斧で斬首されるシーンの絵が、Blood & RosesのシナリオブックにあたるBattle Bookにも載っている。この絵↓ですね。

The historical reputation of Edward IV, 1461-1725 - Medievalists.net

 ちなみに左側で王冠をかぶっているのがエドワード四世。なんか漫画っぽくて威厳や強さを感じないな。

 エドワードが持っている盾に描かれているのはイングランド王の紋章で、赤地に三頭の金色のライオンがイングランドの王、青地に金の模様はフランス王を表しているらしい。なんでイングランド王の紋章にフランスのが入ってんのかというと、百年戦争の際にエドワード三世がフランスの王位継承を主張してフランスに喧嘩をふっかけて以降、建前上はイングランド王はフランス王も兼ねている、ということになっていたからだそうだ。あー、ややこしい。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月23日木曜日

血まみれの野に散ったランカスター Tewkesbury 1471 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

  SNSの知り合いnyaoさんがMen of Iron Tri-Packを買われて、薔薇戦争のものをプレイしたいとのことだったんだけれど、もしかして「薔薇王の葬列」の影響でWars of the Rosesが世の中的に今は旬? そうだ、そうに違いない......のか? (nyaoさんがあの作品を見られたのかどうかは知らなくて、自分が勝手に薔薇王で盛り上がっているだけです。)

 あの作品の独特の世界観を考えると一般の人がアニメや漫画を見てウォーゲームに流れてくることはまずないだろうけど、ウォーゲーマーの間では薔薇戦争に関する興味がほんのわずかでも高まっていると思いたい。


 ということでMen of Iron Tri-Pack所収の、薔薇戦争のゲームBlood & Rosesのなかからテュークスベリーの戦いをやってみることにした。B&Rに関してはSNSで知り合ったこーちゃさんがルールだけでなくシナリオブックにあたるBattle Bookも訳されていて、計40ページの力作には頭が下がります。

 

 この戦いは約30年続いた薔薇戦争のちょうど真ん中あたりで起こったもので、約三週間前にあったバーネットの戦いに続けてヨーク派が勝ちランカスター派はほとんど壊滅。敗走するランカスター軍が虐殺された野原は「血まみれの牧草地」(Bloody Meadow)と呼ばれる。この勝利でエドワード四世の政権が安定することになったらしい。


 らしい、というのは自分も薔薇戦争のことを最近かじったばかりで、こーちゃさんにお勧めの本を紹介してもらっているのだけれどすみません、まだあんまり読めていません。

 でもほとんど知識がない者としては「薔薇戦争 イングランド絶対王政を生んだ骨肉の内乱」で大要をつかんで、「薔薇戦争新史」でもう少し細かいところが分かるようになった(実際に読んだのは"Lancaster Against York"のほう)。困るのは人名で、爵位と名前が全然一致しない。例えばテュークスベリーの戦いに出てくるサマセット公はエドムンド・ボーフォートだ、なんて言われてもピンとこないというか混乱しまくる。その点、「薔薇戦争新史」は巻末に主要登場人物の一覧があってそこで爵位と名前を確認できるのがありがたい。でも主要登場人物とか言いながらそのリストが20ページにわたっていて、どんだけ多いんだ。加えてこの本には詳細な索引があるので、この人どこで出てきたっけな、と思った時にすぐに見つけられるので重宝する。(ただし自分は和訳のほうは読んでいないので、和訳本で人物リストや索引がどうなっているかは未確認です。すみません)


 で、テュークスベリーである。初期配置では、赤いユニットのランカスター軍と白いユニットのヨーク軍が相対している。兵力的にはややランカスター軍が優勢だが、両軍それぞれ3人いる指揮官の活性化値はマップ上方からランカスター軍が2,3,4でヨーク軍が3,4,4と、ヨーク軍が優位だ。



 このときはまだグロスター公だったリチャードも、兄エドワード四世に従って弱冠18歳ながら左翼の部隊を率いている。

 ところで弱冠って本来は数え歳で二十歳を意味するそうですね。でもリチャードの生年月日から計算してみたら、この戦いのときは数え歳で二十歳じゃないですか。セーフ。でも、じゃあ「弱冠18歳」という表現は間違いになるのかな。


 話がいつもながらズレたが、両軍の間にはマップ中央を縦断するように生垣/灌木(Hedgerow/Brush)が続いている。この生垣/灌木はノルマンディーのボカージュの親戚みたいなものらしくて、防御に適した地形だ。生垣地帯を確保できた側が有利になることは目に見えているが、ゲーム開始時に先に活性化できるヨーク軍が先取する可能性が高い。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月7日火曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ③

  一人突出していたリチャードに対し、ヘンリー隊のMM3ユニットが突撃する。結果は防御側混乱で継続攻撃。よし、今度こそシェイクスピアの名場面を再現するのだ。だがリチャードが奮戦し、結果はNo Result。リチャード強え。 

 オックスフォード隊よ続け、とヘンリーが命ずるも、リチャード側がSeizureカウンターで継続奪取。リチャードを大急ぎで後退させ、支援のユニットを前進させる。危ういところで窮地を脱したリチャードである。


 だが今度はヘンリーがSeizureカウンターで継続奪取。ヘンリーが陣頭指揮をとった突撃は敵歩兵を壊滅させる。リチャードばかり活躍させてたまるか。これまでだてに苦労してきたわけじゃないんだ。薔薇戦争が始まって2年後に生まれたヘンリーは、生まれたときにはすでに父親はこの世にいなかった。さらには幼くして母親と別れることを余儀なくされる。ランカスター朝のヘンリー6世と王太子エドワードが殺された後は、ランカスター家の血を引く唯一の男子としてヨーク派に命を狙われ、14歳にしてフランスのブルターニュ公国に逃げる。そして14年間の亡命生活ののち、イングランドに捲土重来。重耳みたいなもんなんだぞ。あんなに歳とってないけど。


 ランカスター軍のオックスフォードが部隊を後退させ戦列を整理するも、再びリチャードが猛攻。ヘンリー・チューダーが王位継承権を持っているなんてちゃんちゃらおかしい。百年戦争を始めた王エドワード3世の、王子の一人が生んだ私生児のひ孫ってだけじゃないか。こんな僭称者、王の威厳にかけて叩き潰してくれる。

 気がついたらランカスター軍のFPは14になっていた。敗走レベルは18なのでかなりやばい。だが敗北チェックのサイの目は3でヘンリーは耐える。


 ヨーク軍は継続活性に失敗し、今度はヘンリーが反撃。MM2ユニットによるMMへの攻撃はなんとサイの目ゼロで効果なし。だがヘンリー自ら突撃し、リチャード隊に損害を与える。そして敗北チェックも再び耐えた。苦労人ヘンリーの本領発揮である。オックスフォード隊が混乱状態のユニットの回復に努め、再びヘンリー隊が活性化。リチャード隊のMMと歩兵を壊滅させる。

 だがヘンリーの奮闘もここまでだった。ヨーク側に自由活性が移り、リチャード隊の攻撃ののち、敗北チェックでサイの目は5。敗走レベルを超えてしまい、ランカスター軍の敗北となった。


 リチャードは王位にとどまってヨーク朝が続き、シェイクスピアの書く「リチャード3世」は真逆の内容となったことだろう。いや、「冬の王」に描かれているようにボズワースの戦いの後もイギリスは不穏な状態が続き、ヨーク朝が転覆させられたかも。それよりなにより、1ミリも動かかなかった後衛のノーサンバランド伯、それに裏切らなかったにせよリチャードを助けることもなかったスタンリー兄弟の戦後の処遇はどうなるんでしょうね。ロンドン塔送り? それとも、beheaded?



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月5日日曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ②

  ヨーク軍は射撃戦でオックスフォード隊(黄)の前衛に損害を与えたのち、ノーフォーク隊(緑)の歩兵と騎兵が攻撃に移る。オックスフォードは即座に対応。ノーフォーク隊の戦列の両端のユニットを混乱状態にさせる。


 そこにリチャード本隊が騎兵の機動力を生かしてノーフォークの左翼に突撃する。陣頭に立つリチャード。シェイクスピアがなんぼのもんじゃい。馬を失うことを恐れて突撃ができるか。

 このゲームの指揮官にはカリスマ(Charisma)という数値があり、スタックしているユニットが攻撃する際にサイの目修正ができるのだが、リチャードのカリスマは+2だ。強烈な突撃で敵歩兵を敗走させる。


 だがランカスター側のオックスフォード隊がすかさず反撃。長弓兵の射撃でリチャード指揮下のMMが強制下馬(Unhorsed)。馬を失った騎兵など物の数ではないわ、と歩兵(Infantry, Inf)2ユニットが攻撃。シェイクスピア「リチャード3世」の再現だ、と思いきや、防御側混乱で終わった。ふう、やばいやばい。歴史は繰り返すって言うからね。


 リチャード直属部隊の攻撃を受けているオックスフォード左翼の支援のため、ヘンリーは自分の直属部隊を派遣。だがスタンリーを裏切らせようとマップ右側に寄って行っていたため、すぐには間に合わない。

 トマス・スタンリーはこの戦いの13年前にヘンリーの母親と再婚しており、ヘンリーは継子になる。そのためリチャードはスタンリーが裏切らないように息子を人質に取っていた。このゲームでは自由活性化を使ってスタンリーの裏切りチェックを試みられるのだが、リチャード軍の猛攻でランカスター側は自由活性化をそんなことに使う余裕がなくなってきた。ヘンリーの母親と再婚してるんでしょ、早くこっちについて参戦してよー。


 リチャードとスタックしているユニットが混乱状態のうちに討ち取ってしまいたいランカスター軍。ヘンリー隊が間に合わないため、頼むぞオックスフォード。オックスフォードの活性化値は4で、ヘンリーの士気範囲にいるとサイの目が1有利になる。だが継続活性に失敗してしまう。リチャードは窮地を脱し、再び怒涛の攻撃。オックスフォード隊の左翼に大きな損害を与える。


 続いてヨーク軍のノーフォーク隊が活性化。長弓兵の射撃でオックスフォード隊に損害を与えるが、混乱状態の歩兵に対する攻撃はなんとサイの目0が出て攻撃側の混乱に終わった。10面体ダイスを振るのでこういうこと時々あります。


 ヨーク軍の連続攻撃に対して態勢を立て直したいランカスター軍。Seizureカウンターを使っての継続奪取を試みようか迷ったのだが、継続奪取成功の可能性は60%。リチャードの継続活性は60%の確率で失敗するはずなのでSeizureカウンター使用を見送る。だがヨーク側はリチャード隊の継続活性に成功。これは痛い。

 先ほどの攻撃で損害を受けていたオックスフォード隊に、リチャード隊が再び猛攻をかける。リチャードが陣頭に立ち、オックスフォードの軍旗(Standard)に迫った。敗走状態のユニットは軍旗まで逃げていたのだが、リチャードは2回連続の継続攻撃で3ユニットを壊滅させる。おそるべし、リチャード三世。


 リチャード三世は悪人というイメージがイギリスでは定着しているそうなんだけど、これはシェイクスピアの書いた「リチャード三世」の影響が大きいらしい。シェイクスピアが活躍したのはイングランドの黄金時代を築いたチューダー朝エリザベス1世の治世で、エリザベス1世はヘンリー7世の孫である。長きにわたった内乱に終止符を打った名君でチューダー朝の開祖、ヘンリー7世をシェイクスピアが悪く書くはずがなく、ヘンリー7世が打ち破ったリチャード三世は極悪人に描かれているのだ。

 だがそういったリチャード像は正確ではないようで、例えば「物語 イギリスの歴史(上)」という本なんかでは、リチャードは

「兄王エドワード4世からも絶大な信頼を寄せられ、劇中に見られるような兄クラレンス侯爵、妻アン、二人の甥(エドワード5世と弟リチャード)を次々と殺害したという証拠はいっさいない。むしろ勤勉で公正な支配を進めたと言われている」

とまで書かれている。このゲームのデザイナーもリチャードを正当に評価しようとする立場だって言っているしね。名前が一緒だからってわけでもなさそうだし。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月3日金曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

  1455年から30年間続いたイギリスの内戦が薔薇戦争。ランカスター家とヨーク家が王位をめぐって争ったらしいが、GJ65号のリプレイマンガが自分の基本知識である。この戦争を締めくくったのが今回プレイしたボスワースの戦いで、ヨーク朝のリチャード3世をヘンリー・チューダー、のちのヘンリー7世が打ち破った戦いである。SNSで知り合ったこーちゃさんに教えていただいた、ヘンリー7世を描いた「冬の王」という本が面白かったので(実際に読んだのは"Winter King"のほうですが)ヘンリーの見せ場であるこの戦いをやってみた。アニメ「薔薇王の葬列」放送に便乗して、というわけではない、けど、ほんと日本の漫画・アニメっていろんなジャンルの作品があるよね。なおゲームは今回もMen of Ironシリーズで、使用したのはTri-pack版である。



 初期配置は上の写真のとおり。ヨーク側、リチャード軍の最後尾にはノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーの部隊(青)がいる。パーシー家は代々北イングランドの要職を歴任していたが、リチャード三世が甥にイングランド北部を任せるようになって、ノーサンバランド伯パーシーはリチャードの元での出世に見切りをつけたそうだ。そのためこの戦いの最中はリチャードの命令に反して動かなかったらしく、活性化値はなんと1である。しかも通常は活性化チェックが不要の自由活性化でも、ノーサンバーランドはチェックが必要となる。

 ヨーク軍の前衛、ノーフォーク公ジョン・ハワードの部隊(緑)は長弓兵中心で打撃力にはやや欠ける。主力はリチャードの直接指揮下の部隊(黄)となるだろう。

 一方のランカスター側は、オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアーの部隊(黄)の後ろにヘンリー直属部隊(黒)。ユニット数は5と少ないが、そのほとんどが重装騎兵であるMM(Mounted Men-at-Arms)である。

 マップ右下にはスタンリー兄弟の2部隊がいる。こいつらは一応リチャードの配下で、ヘンリーの右翼を攻撃してくれたらいいのだが、実際の戦闘ではずっと日和見で最終的にリチャードを裏切った。大まかに言って関ヶ原の小早川秀秋という感じか。このゲームでもランカスター側がスタンリーを裏切らせるルールがある。


 ゲームはヨーク軍の活性化から始まる。ノーフォーク隊(緑)は長弓兵が6ユニット、かたやオックスフォードの長弓兵は3ユニットに射程と威力に劣る弓兵が2と、ノーフォークのほうに分があるため、まずは射撃戦を仕掛ける。その間、リチャード隊は地形的に障害が少ないマップ左方に展開を目指す。

 これに対してヘンリーはスタンリーに近寄り、裏切りを促す。ヘンリーが近くにいればスタンリーの裏切りチェックでサイの目が有利になるのだ。またマップ右側にシフトすることで、騎兵にとって不利な地形である沼地にリチャード軍を誘導し、身動きが取れなくなったリチャードを討ち取れれば理想的である。シェイクスピアの史劇「リチャード三世」では、戦いの最後にリチャードが突撃。馬を失い、「A horse! A horse! My kingdom for a horse!(馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!)」と叫んで討ち取られる、というクライマックスがある。あのシーンを再現してやるのだ。




つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part5

 ●第5ターン  残り2ターンである。このゲーム、序盤は共和国軍が圧倒的に優勢であるものの、反乱軍には続々と増援が登場する。下の写真はこのショートシナリオが扱う第1~6ターンの両軍の増援で、一目瞭然、共和国軍には微々たる数しか現れないのに対し、反乱軍は大量の援軍を受け取る。ヒスト...