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2025年10月19日日曜日

吹雪のアイラウで包囲された親衛騎兵が叫ぶ 「突撃! 突撃! 突破するのだ!」 La Garde veille! (VV178) AAR part5

 ●第3ターン

 前ターン、包囲網を突破したフランス軍の攻撃で大きな損害を受けたロシア軍だが、敵は攻撃・追撃をして分散し、しかも1スタックは混乱状態となっているのだ。今反撃しなくてどうする。ロシア軍はSomovのイニシアティブ値を使って、今ターンも命令下にできるかどうか賭けに出る。気合を入れて振ったサイコロ(Vassalなんで、気合を入れてサイコロボタンをクリックだけど)の目は3でチェックに成功。おっしゃ、仏騎兵を袋叩きだ。

 ロシア軍はフランス軍右翼(マップ下方)の混乱状態のスタックを歩兵2ユニットで包囲。混乱状態になっても仏親衛擲弾騎兵は士気6と強力なのだが、戦闘力は両ユニットともわずかに1。敵歩兵の集中攻撃を防ぎきれず敗走を余儀なくされるものの、包囲されていたため壊滅した。

 このシナリオでの勝利得点は敵ユニットを壊滅させると通常2点を得られるのだが、親衛擲弾騎兵はなんと5点なのである。今回のスタックの壊滅で仏軍は一気に7点を敵に献上してしまい、ロシア軍の累計勝利得点は9に上った。仏軍の得点は13なので、また仏騎兵スタックが包囲、壊滅すると逆転となる。


 ロシア軍によって各スタックが分断、包囲されてしまったフランス軍だが、中央では前面にいる混乱状態のSomov騎兵を攻撃、壊滅させる。そして下方では、Sackenの砲兵の横をすり抜け、混乱状態の歩兵を攻撃、敗走させた。Jours de Gloireシリーズでは砲兵はZoCを持たないため、歩兵とスタックしていないとこういうことが起きてしまうのだ。


 仏軍の攻撃でボロボロのSacken隊は敵騎兵に接敵して機動を阻害するぐらいしかできない。混乱状態のユニットも、士気が低いためなかなか回復しないのである。

 そんなロシア軍をしり目に、仏軍は敵に襲い掛かる。そしてマップ上方で混乱状態だったスタックは、ロシア軍騎兵によって回復を妨害されていたが、やっと2ユニットとも正常状態に戻った。

 ターン最後の敗走移動フェイズではロシア軍歩兵2ユニットが盤外に。これでフランス軍の勝利得点は20となった。



●第4ターン

 かなり兵力が減少しているロシア軍だが、マップ右下端の仏スタックを歩兵と砲兵のスタックで封じ込めた。


 このシナリオはかなり短く、今回が最終ターンである。敵より7点以上得点が上だと勝利で、勝利得点でフランス軍はロシア軍を大きく上回っている。マップ下方で動きを封じられた自軍スタックは集中攻撃を受けると後退できないので危ないが、それでも時間を稼げば勝ちである。

 だが、親衛騎兵がそんなセコい勝ち方できるか!  敵はもう崩壊寸前だ、突撃!  突撃!  とマップ上方の2スタックがSomov隊に襲い掛かる。ロシア軍騎兵は仏親衛騎兵の敵ではなく、次々と敗走していった。


 ロシア軍は最後のあがきで使える戦力をかき集めて攻撃する。騎兵1ユニットが移動力8を活かして後方に回り込み、歩兵2ユニットともに仏軍1スタックを包囲。DRM+3となり、仏親衛騎兵は後退できずに壊滅してしまった。そのうち1ユニットは親衛擲弾騎兵なので、計7点をロシア軍は獲得。やっぱりフランス軍は変にこだわらずに後退したほうがよかったか。 

 とはいうものの大勢は覆らず。ターン最後には敗走移動でロシア軍騎兵2ユニットが盤外に消えていった。結果、フランス軍の損害は親衛擲弾騎兵2ユニットを含め5ユニットの壊滅でロシア軍は計16点。ロシア軍の損害は壊滅12ユニット、計26点で、仏軍の圧勝となった。これでLepicも無事généralに昇進することだろう。


 この「親衛擲弾騎兵の突撃」シナリオ、ターン数は短くユニット数も少ないのでサクッとプレイできる。VaeVictis178号付録の「La Garde veille!」収録の二つのシナリオのうち一つだから、ミニミニゲームなのは当たり前なんだけどね。フランス軍親衛騎兵を思う存分暴れさせたい、という人向けかな。でもちょっと判断を誤ったり運が悪かったりすると、ロシア軍が数の暴力で袋叩きにしてくるので気が抜けない。それと、Jours de Gloireシリーズは多く出ているので、その導入といういうか練習シナリオとしても適しているんじゃないかな。


 ところでアイラウ戦での仏騎兵の突撃だけれども、仏中央のオージュローの軍団が敗走し、ナポレオンが危機に陥ったとき親衛隊が反撃、そしてミュラが騎兵を率いて突撃した、と言われている。このミュラの突撃は結構有名なようで、ヒストリカルノートではune des plus formidables charges de l'histoire(歴史上もっとも凄まじい騎兵の突撃の一つ)なんて書かれている。でも実際どうだったのか、ナポレオニック関連ではいつも勉強させてもらっているサイト「祖国は危機にあり!」「祖国は危機にあり!(La partie en danger)関連blog」では様々な資料に当たって考察されているので、ご興味ある方はどうぞ。

1807年2月8日 アイラウ

吹雪の騎兵突撃

アイラウ 3









2025年10月14日火曜日

吹雪のアイラウで包囲された親衛騎兵が叫ぶ「突撃! 突撃! 突破するのだ!」 La Garde veille! (VV178) AAR part4

 ●第2ターン(続き)

 ロシア軍に囲まれてしまったフランス軍親衛騎兵。包囲されていない唯一のスタックは混乱状態である。フランス軍危うし、と言いたいところだが、包囲下の仏軍主力の正面にいるSackenの歩兵は3ユニットとも混乱状態なのである。そのうち2ユニットは砲兵とスタックしているが、そんなもの、Lepicにとっては<< Haut les têtes, la mitraille, c'est pas de la merde! >>である。……と気合で突っ込む前に、確率を一応計算してみると砲撃力3のSackenの砲兵が士気7の仏擲弾騎兵を防御射撃で混乱させる確率は8%に過ぎない。そりゃ砲弾なんか意に介さず突っ込むよね。「突撃! 突撃!」である。フランス軍騎兵の猛攻を支えられるはずもなく、Sackenの兵は散り散りになって敗走していった。

 ちなみに「頭を上げろ、これは砲弾だ、ク〇じゃないぞ!」っていう叱咤で知られるLepicだが、敵の包囲を突破したものの負傷し、しばらくの間自分だけでは騎乗することはできなくなったそうだ。ヒストリカルノートによると、Lepicの部隊は全滅したとナポレオンは思っていたが、親衛騎兵の帰還を見て喜び、Lepicをgénéralに昇進させた。ナポレオンは« Je vous croyais pris général, et j'en avais une peine très vive. »(もうすでにgénéralに昇進させていたと思っていた。本当にすまない)って言ったそうだけど、これってナポレオン流の人心掌握術なのかな。そう言われてLepicは« Sire, vous n'apprendrez jamais que ma mort! »って応えたらしい。これ、意訳すると「陛下、自分は戦場で死ぬ覚悟です!」って感じになるかと思う。ナポレオン時代のフランス軍の階級ってよく知らないんだけど、généralの中でも一番下のGénéral de brigade(准将)になったってことかな。Lepicはその後スペインのFuentes de Oñoroの戦いやロシア遠征、1813年のドイツ戦役やその翌年の国内戦役を戦い抜き、ワーテルローにも参加したそうだ。

 

 ボロボロになったSacken隊だが、ここでやっと砲兵が気を吐き、至近距離からの砲撃で士気6の仏騎兵1ユニットを混乱状態にした。自隊砲兵の奮戦を見て気を取り直したか、先ほどの仏騎兵の攻撃で敗走状態となっていた歩兵2ユニットが奇跡的に回復した。敗走状態のままだとターン最後の敗走移動フェイズに盤外に逃げ去ってしまい壊滅扱いとなるので、ロシア軍としてはかなりありがたい。


 再び仏軍の活性化。敵に囲まれてほぼ身動きできない状態は変わらない。攻撃あるのみ。混乱状態の砲兵と歩兵のスタックを蹴散らし、敗走させる。Somovの騎兵は敗走する自軍に巻き込まれて混乱状態となってしまった。そして仏軍は敵の至近距離からの砲撃をものともせず、砲兵を蹂躙する。さすが親衛擲弾騎兵。だが、先ほどのSackenの砲撃で1ユニットが混乱状態となっていた仏軍下端のスタックのうち、残る1ユニットがSackenのスタックを攻撃するものの、砲兵の返り討ちにあい混乱状態となった。これで仏軍下端のスタックは2ユニットとも混乱状態である。

 ターン最後の敗走移動で露軍歩兵2ユニットが盤外に消えた。ロシア軍はこのターンの仏軍の攻撃で大きな損害を受け、累積損害が歩兵3,擲弾マーク付きの歩兵1、砲兵2ユニットで、仏軍の勝利得点は計13。ロシア軍の歩兵は一部に擲弾マークがついていて、普通の歩兵は壊滅すると2点のところ、擲弾付きだと3点なのである。一方、仏軍の壊滅は1ユニットにとどまっており、露軍は2勝利得点のみだ。だが、仏軍は半数が混乱状態となっており、精鋭ぞろいの親衛騎兵といえども衝力はかなり落ちている。


(つづく)


2025年10月10日金曜日

吹雪のアイラウで包囲された親衛騎兵が叫ぶ「突撃! 突撃! 突破するのだ!」 La Garde veille! (VV178) AAR part3

 ●第1ターン(続き)

 仏軍の2回の攻撃を受けたロシア軍に、Somov隊の活性化が回ってくる。

 この「La charge des grenadiers á cheval」シナリオでロシア軍の悩みどころなのが、Somov隊を制限なしに行動できるようにするかどうか、という点である。というのも、Somov隊は非命令下(Sans Ordres)なのだ。Jours de Gloire(JdG)シリーズでは命令下(Ordres Reçus)の部隊は通常通り行動できる一方、非命令下だと移動力半減で攻撃を行おうとする際にもチェックが必要になる。ロシア軍の半数以上を占めるSomov隊がこんな感じで行動に足かせがあるんじゃかなり不利、となるところだが、JdGシリーズでは非命令下の部隊は、1d10を振って活性化チット(MA)のイニシアティブ値(valeur d'initiative)以下を出すと、命令下と同じ状態になる。ただし失敗すると移動も攻撃もできなくなるため、オールオアナッシングに近いギャンブルである。Somov隊のイニシアティブ値は5なので、成功の確率は60%。うーん、悩ましい。

 ただMen of Ironシリーズやっていると、動いてほしい部隊が動かなかったなんてことは日常茶飯事だし(それがまた歯がゆくもあり面白いところだと思うんだけど)、安全策をとるよりもギャンブルに出たほうが面白いと自分は思うほうなので、Somov隊はチェックを行うことにした。チェックに成功すると制限なしに行動できるだけでなく、このシナリオでは既述のとおり仏軍と露軍が交互に活性化していくのだが、Somov隊が命令下で活性化した次のターンは、露軍からになる。今はもう第1ターンの最後で、次のターンも露軍からということは、今回チェックに成功すれば2回続けてSomov隊を動かせるのだ。これぞギャンブルの醍醐味。


 ということで露軍はSomovのイニシアティブ値を使ってチェックを行い、成功。Somov隊の砲兵はSackenより強力で砲撃力5なので、砲撃で敵を混乱させたところに側面から回り込んで攻撃、と思いきや、士気の高い仏騎兵は露軍の砲撃に動揺せず。やっぱLepicの親衛騎兵だからね、砲弾なんかにひるむわけないよね。

 だが露軍はスペースが開いているマップ左方に回り込み、仏軍右翼を守っていた騎兵1ユニットを3ユニットで攻撃。DRM+4の攻撃にたまらず仏騎兵は退却するものの、士気チェックには耐えた。

 


●第2ターン

 先述のように、Somovがチェックに成功し命令下となって活性化したため、このターンは露軍からとなる。当然、前ターンの最後に引き続いてまたもSomov隊が動く。このターンもイニシアティブ値を使って命令下にできるチェックを試みるのだが、Somov隊は前ターンの攻撃でマップ左方に展開したため、左翼と右翼の戦術グループ(groupe tactique)に分かれている。チェックは戦術グループごとに行わなければならず、左翼(マップ左方)のグループは成功し命令下になったものの、右翼は失敗し何もできなくなってしまう。

 Somov隊左翼は騎兵1ユニットが移動力8の快速を生かして仏軍後方に回り込む。そして前ターン攻撃した仏騎兵1ユニットを再びDRM+4で攻撃。たまらず仏騎兵は混乱状態になって後退、そこに露軍が追撃をかける。仏軍は敗走状態となって再び後退を余儀なくされるも、さきほど回り込んできていた露騎兵が後方にいたため退却できず壊滅。この結果、仏軍の主力である3スタックが包囲されてしまった。 

 これってまさに、このAARの一回目で紹介したLepicのエピソードと同じ状況である。対人プレイをしていたら、ロシア軍プレイヤーは降伏勧告をするんだろうなあ。仏プレイヤーは、「わが騎兵が降伏するように見えるか!」って言い返すんだろうなあ。で、待ってましたとばかり

「ラ・シャルジュ! ラ・シャルジュ! エ・ヌ・パスロン!」

って言うんだろうなあ。

でもロシア軍は「¡No Pasarán!」って返して、

「いや、それフランス語じゃないし、ロシア語でもないし。というかナポレオニックじゃなくてスペイン内戦だし」

って突っ込まれるんだろうなあ。仏語と西語って似た単語多いよね。


……というやり取りを想像してしまいました。一人寂しいぼっちプレイ。


(つづく)


2025年10月5日日曜日

吹雪のアイラウで包囲された親衛騎兵が叫ぶ 「突撃! 突撃! 突破するのだ!」 La Garde veille! (VV178) AAR part2

  露軍は2部隊(formation)構成で第一線がSacken、その後ろにSomovの部隊が控えており、歩・騎・砲のバランスもとれている。一方、仏軍はすべて騎兵で一つの部隊としてまとまっている。

 兵数は、仏軍は9ユニット、これに対し露軍は17ユニットと倍近くある。しかも仏軍の約半数の5ユニットは戦闘力(Points de force)が1、残り4ユニットも2しかない。露軍の戦闘力は2~4だ。

 こんな敵にLepicは少数の騎兵を引き連れて突っ込んでいかないといけないのか、と思いきや、仏騎兵の士気(Cohésion)は6~7と高い一方、露軍の11ユニットの士気は3,残るユニットも砲兵を除けば士気は4しかない。しかも仏軍はLepicの部隊の活性化チット(Marqueur d’Activation, MA)が2枚あって1ターンに2回活性化できるのに対し、ロシア軍はSacken,Somov両部隊ともMAは1、つまり1ターンに一回しか動けない。まあ簡単に言って質対量の戦いである。

(なお「La Garde veille!」はJours de Gloire(JdG)シリーズで、ルールに関しては以前、「La Garde avance!」のAARを書いたときに結構触れたのでそっちを見てみてください。それと用語の訳については、これも「La Garde avance!」のAAR同様に自分の好きな言葉を当てています)

 

●第1ターン

 活性化はフランス軍から。JdGシリーズはチットプルで毎回スリリングな感じになるのだが、このシナリオでは両軍が互いに1MAずつ活性化するというように変更されている。

 仏軍の初期配置では中央2スタックが突撃(charge)を行える位置にある。仏軍騎兵はすべて重騎兵なので突撃を行うと+3のDRMが付き、正面のSackenの歩兵の士気の低さも考えると簡単に蹴散らすことができるだろう。だが敗走する敵を追撃して敵陣深くに切り込むことになり、待ち構えている露軍Somovの部隊から袋叩きにされるのは目に見えている。仏軍の危機を救うために親衛騎兵が敵中央に突撃したなんてシチュエーション、それにLa charge des grenadiers à cheval(親衛擲弾騎兵の突撃)なんてシナリオタイトルからして、フランス軍は突撃したくなるだろう。でもこれはおそらく孔明、じゃなかったデザイナーの罠だ。

 

 というわけでフランス軍は突撃を控え、4スタックで敵Sacken隊の右翼(マップ上方)から中央にかけて攻撃を行う。JdGでは騎兵は突撃を行うとプラスのDRMを得られるが、逆に通常の攻撃(choc)では-2の不利な修正がつく。全ユニットが騎兵のフランス軍にとってこれは痛い、と思いきや、-2の修正を補って余りあるほど仏軍騎兵は士気が高いのである。Lepicの「ク〇じゃないぞ!」っていう叱咤のおかげかな。結果、ロシア軍は2ユニットが敗走してしまった。

 露軍Sacken隊中央の砲兵は目の前まで迫ってきた仏騎兵に慌てて砲撃を加えるものの、効果なし。Sackenの砲兵は砲撃力(capacité de tir)が3と低いうえに、「アイラウの墓地」シナリオ同様、アイラウでの悪天候を反映して砲撃時には-1の不利なDRMつくので、隣接へクスかつスタックへの砲撃であっても、仏騎兵に損害を与えるのは難しくなっている。Sacken隊は後退、戦列を整えた。


 仏軍はSakcen隊に猛攻を続ける。敵砲兵の防御射撃(tir de réaction)をものともせず突っ込んでいき、ロシア軍歩兵は次々と混乱状態になって後退していった。だがマップ上方での攻撃は、Somov最右翼の騎兵を混乱状態で退却させ突破(choc de rupture)、露軍騎兵にたたみかけようとするも、+3の攻撃でまさかのサイの目ゼロ。仏騎兵スタックの攻撃は撃退され、混乱状態になって退却する羽目に。混乱状態だと攻撃ができないので、ユニット数が少ない仏軍にとってはかなり痛い。


(つづく)



2025年10月1日水曜日

吹雪のアイラウで包囲された親衛騎兵が叫ぶ 「突撃! 突撃! 突破するのだ!」 La Garde veille! (VV178) AAR part1

  先日、9月20日はナポレオン時代の仏親衛擲弾騎兵の指揮官Louis Lepicの誕生日だったっていうツィートを見まして。Lepicって言ったらアイラウ戦で仏軍が苦戦に陥る中、露軍の激しい砲撃にさらされた親衛騎兵に対して« Haut les têtes, la mitraille, c'est pas de la merde! » (頭を上げろ、これは砲弾だ、ク〇じゃないぞ!)って鼓舞したエピソードで知られているんじゃないかと思います。でも自分はmerdeよりも砲弾のほうが怖いですけどね。だって当たったら大けがしたり命を落とす可能性だってあるじゃないですか。

 つい最近たまたま『Biographie des célébrités militaires des armées de terre et de mer de 1789 à 1850』っていう、18世紀末から19世紀半ばにかけての仏軍人の辞典みたいなものがあるのを知ったので、Lepicは載ってるかなって見てみました。アイラウでは仏軍中央でオージュローの軍団が敗走しナポレオンのもとに露軍が迫るんですけど、仏軍は親衛隊を投入して反撃、さらに騎兵の突撃も行うんですね。で、Twitterでもつぶやいたんですけど、上記の資料にはこんなエピソードがありました。 


 …Lepicは突撃ののち、激しい降雪で方向を失いロシア軍に囲まれてしまった。降伏を促されたが、配下の擲弾騎兵たちを指して言った。

« Regardez ces figures, et dites-moi si elles ont l'air de vouloir se rendre. » 

(この兵たちを見よ、そして彼らが降伏しようとしているように見えるか言ってみよ)


 だがLepicは危機的状況を分かっており、擲弾騎兵たちに呼びかけた。

« Amis, il faut vaincre ou mourir aujourd'hui, nous avons trois lignes d'infanterie à renverser. Beaucoup d'entre nous y resteront sans doute; mais dût-il n'en retourner qu'un seul pour porter la nouvelle, l'honneur du corps et celui de notre étendard seront sauvés.»

(戦友たちよ、今や、勝利か死かだ。我々の前には敵の歩兵三列が立ちふさがっている。間違いなく、我々の多くはここから脱することはできないだろう。だが一人でも帰還して(我々が奮戦したという)知らせをもたらせば、わが軍団と軍旗の名誉は救われるのだ)


 この言葉に奮い立った擲弾騎兵たちは叫んだ。

« La charge ! la charge! et nous passerons! »

(突撃! 突撃! 突破するのだ!)


 ぐは~、しびれる~。「ク〇じゃないぞ!」よりも「突撃! 突撃!」のほうがいいわ~。Lepicの言葉じゃないけど。

 こりゃいい話を見つけられてラッキー、と思っていたらこれ、Wikiにも書いてあるんですよね。しかもアイラウ戦をあつかったVaeVictis178号のヒストリカルノートにも載っていたという…。ゲームをプレイしてAARも書いたぐらいだからヒストリカルノートは絶対読んだはずなのに、すっかり頭から抜けてましたわ。

 でもこのエピソード、他の資料では見つけられないんですよね。まあ、ちゃんと探していないんですが。なので本当にこう言ったのかどうか、誰かが盛っちゃってそれが後世に伝わったんじゃないかっていう疑念がぬぐえないんですが、いいんですよ。しびれるエピソードはいくらあっても。


 そんなLepicですが、この突撃をシミュレートしたゲームがあるんですよ。先述のVaeVictis178号の、「La Garde veille!」。前回AARを書いたのは「アイラウの墓地」シナリオですが、それとは別に「親衛擲弾騎兵の突撃」というシナリオもあるんですよね。こりゃプレイするしかないでしょ。って意気込んだんですけど、VaeVictis178号、実家に置いてきて手元にないわ、ダメじゃん俺…。と意気消沈していたんですけど、スキャンデータをとっていたことを思い出しました。ナイス俺。で、Vassalモジュール的なものを作ってソロプレイしてみましたよ。

(つづく)


2025年3月27日木曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part6

 ●第5ターン

 最終ターンである。先に動いたのはロシア軍だった。前ターン最後に墓地の攻撃に成功した左翼(マップ下方)のDokhtourovが、今度は教会を守るBruyèresの騎兵を側面から攻撃。仏軍を撃退し、教会の占領に成功する。これでさらにプラス4勝利得点である。さらに露軍右翼のEssenがアイラウ村の奪還を目指したものの、Dorsenneの砲兵が奮戦、至近距離からの砲撃によってロシア軍歩兵の攻撃は退けられた。

 ここで引かれた活性化チットは、親衛擲弾兵第I連隊第I大隊を擁する仏軍Dorsenne。

「来た! 射撃をやめよ、擲弾兵たちよ。親衛隊は銃剣だけで戦うのだ!!」


 以前のブログにも書いたけど、このアイラウの戦いで親衛隊が反撃をするとき、Dorsenneが<<Halte au feu grenadiers, et l'arme au bras, la Vieille Garde ne se bat qu'à la baïonnette!>>(射撃をやめよ、擲弾兵たちよ、そして武器を構えよ。老親衛隊は銃剣だけで戦うのだ!)と言ったそうである。親衛隊で攻撃するときはこのセリフ、言いたくなるよね。


 Dorsenneの言葉に親衛隊は奮起。先ほど教会を占領した露歩兵を蹴散らした。

 さらにDorsenneの活性化チットが引かれ、親衛隊は敵2ユニットを攻撃する。ロシア軍は親衛隊の銃剣突撃を支えきれず、両ユニットとも混乱状態になって後退。親衛隊は戦闘後前進で墓地も奪還する。親衛隊、つえええ。親衛隊に負けじと、アイラウ村の仏砲兵は先ほど混乱状態にしたEssenの歩兵にさらに砲撃を加え、敗走させた。


「ふん、親衛隊が調子に乗っていると防御が手薄になるのを忘れたようだな」

とロシア軍のEssenが空になっている教会を再度占領しようとする。だが非命令下の同部隊はイニシアティブチェックに失敗。激戦で疲弊したか、この好機に動くことができない。ならば左翼(マップ下方)のDokhtourovだ。この部隊も損害が激しいが、最後の力を振り絞って墓地の仏騎兵を攻撃。DRM+1で50%の確率で成功である。だが、これまであまりいいところのなかったBruyèresがここで意地を見せ、ロシア軍の攻撃を撃退した。

 力尽きたロシア軍に仏親衛騎兵が襲いかかる。敗走している歩兵が騎兵の餌食となって次々と壊滅していった。


 こうしてゲーム終了。両軍の勝利得点を比較し、敵よりも7点以上多い側が勝利である。ロシア軍は仏軍4ユニットを壊滅、さらにLarreyを捕虜にして、合計10点。フランス軍はロシア軍の歩兵2ユニット壊滅、擲弾(Grenade)マークがついているユニットを3ユニット壊滅で、計13点。戦いは引き分けとなった。


 いやー、面白かった。戦いは教会と墓地の周辺に限定されてしまったけど、取ったり取られたりで両プレイヤーとも楽しめました。両軍もかなり対照的だし。ロシア軍は数は多いが脆いユニットも多く、一方でフランス軍は騎兵と砲兵も擁しているけれど、使える歩兵は実質的に親衛隊1ユニットのみ。騎兵は士気は高いものの戦闘力が低く、突撃ではなく通常の攻撃では-2DRMとなるため狭い戦場で接敵されると反撃しづらい。さらには脆弱な負傷兵、それに移動不可で敵に取られたら勝利得点を献上してしまうLarreyマーカーなど、ちょっとした味付けが楽しい。

 それに、ナポレオンが皇帝となってから初めて親衛隊の歩兵部隊が投入された戦いだしね。あと、なんと言ってもナポレオンの危機を親衛隊が反撃して救う、というシチュエーションに燃えます。Jours de Gloireシリーズをプレイしたことがある人だったらすぐにできるはず。そもそもJdGシリーズのルールは比較的簡単なので、誰かプレイしませんかね。ミニミニゲームだし。感想を聞いてみたいなあ。

2025年3月22日土曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part5

 ●第3ターン(つづき)

 ロシア軍左翼(マップ下方)のDokhtourovがぐずぐずしている間に、仏Dorsenneの親衛隊がアイラウ村のロシア軍を攻撃。なんなく村を奪還し、露近衛兵は敗走した。やっぱり親衛隊つええ。

 ロシア軍は先ほどの反撃でやや突出した形になっている親衛騎兵のスタックをEssenの3ユニットで攻撃する。親衛騎兵は士気が6と高いものの、2ユニットスでタックしても戦闘力は3しかないのでロシア軍が戦力を集中すると戦力比で不利になる。さらには正面と側面から同時に攻撃を受けたため、さすがの親衛騎兵も後退、うち1ユニットは混乱状態となった。

 このターンの最後、敗走移動で露Dokhtourovの敗走状態の歩兵が盤外に。盤外に出てしまったユニットは壊滅とみなされる。ロシア軍ユニットの半数は士気が3しかなく、混乱からの回復は30%、敗走からは20%の確率でしか成功しない。ロシア軍は損害を受けると結構もろいのである。一方、仏Bruyèresの騎兵の士気は5、親衛騎兵は6と高く、損害を受けてもすぐに立ち直るため粘り強い抵抗をすることができるのだ。


●第4ターン

 戦略イニシアティブを握ったのはフランス軍。Dahlmannを活性化させ、前ターン最後のロシア軍の攻撃で損害を受けた親衛騎兵1ユニットを後方に逃がし、回復を図る。先述のように親衛騎兵は士気が高いため、混乱からの回復も早い。だが壊滅すると5点と通常ユニットの2.5倍だ。またこのゲームでは終了時に敗走状態だと敵の勝利得点となるが、通常のユニットは1点なのに親衛騎兵は4点なのである。戦闘力4,士気8のDorsenneの親衛擲弾兵と違い、親衛騎兵の戦闘力は1や2と低いためロシア軍の反撃の的になりやすく、運用には慎重にならざるを得ないのである。

 親衛騎兵のもう1ユニットは機動力を生かしてマップ上方に回り込み、Essenの右翼を脅かした。さらに続けてDahlmannの活性化チットが引かれる。マップ上方に迂回していた親衛騎兵が、混乱状態のロシア軍近衛兵に突撃! 敗走する露近衛兵を追撃して壊滅させた。一方、先ほど後方に退避させていた混乱状態の親衛騎兵が回復。親衛騎兵の活躍に刺激されたか、仏Soulèsが砲撃でEssenの歩兵を混乱させた。

 ロシア軍Essenも反撃をする。Soulèsの砲兵が単独でいるところに近衛兵が斜面を駆け上がって突進。至近距離からの砲撃にも屈せず、仏砲兵を蹂躙した。仏軍は前線を縮小したものの、親衛擲弾兵がアイラウ村奪還にむかい、親衛騎兵が回復のために後方に下がったり敵陣深く突撃したりしていると、どうしても防御に手薄なところが出てきてしまうのである。

 だがまたも親衛隊がその凶悪さを発揮する。Soulèsの砲兵を壊滅させた露近衛兵に対し斜面下から攻撃。近衛兵は敗走していった。

「やっぱり親衛隊は頼りになるなー。ロシア軍は反撃もできないだろ」

と調子にのる仏軍プレイヤー。だがここでロシア軍左翼(マップ下方)のDokhtourovが活性化、イニシアティブチェックに成功し、墓地を守るBruyèresの騎兵に一気に迫った。

「親衛隊にかなわないんだったら、親衛隊のいないところを突けばいいのさ」

「強力な仏軍のいないところを攻撃、前進するって、ライヘンバッハ・プラン?」

ロシア軍の攻撃を支えきれず、Bruyèresの騎兵は後退。Dokhtourovの歩兵が墓地1へクスを占領した。


 激戦が続き、両軍ともに消耗が激しい。残るはあと1ターン。墓地を占領したロシア軍は、このままゲーム終了まで保持していれば4勝利得点が得られる。仏軍の反撃に耐えることができるか。


つづく

2025年3月14日金曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part4

 ●第2ターン(つづき)

 ロシア軍Essenの攻撃によって窮地に陥ったナポレオン。

「頼む、親衛騎兵、動いてくれ! 皇帝を守るのが親衛隊だろ!!」

 そんな仏軍プレイヤーの願いもむなしく、引かれた活性化チットはロシア軍のEssen。当然、ナポレオンを守る負傷兵に追い打ちをかける。なすすべもなく負傷兵は壊滅、ナポレオンは混乱状態の砲兵とともに退却する。さらにロシア軍は、Dorsenneの砲兵が守るアイラウ村へクスを2ユニットで攻撃。仏軍の砲撃をかいくぐって露近衛兵が村に突入、占領した。アイラウ村は各ヘクス1勝利得点となるため、教会ともどもこのままゲーム終了時まで保持すればロシア軍はかなり有利となる。

 仏親衛騎兵のDahlmannの活性化チットがまだ引かれずに残っているが、Jours de Gloireシリーズでは最後に残った活性化チットはプレイされず、ターン終了となる。

「おいおい、親衛騎兵が動かなかったじゃん。どうなってんだ?!」


●第3ターン

 ナポレオンが危うい状態が続いており、戦略イニシアティブを決めるサイコロに両プレイヤーとも気合が入る。

「本当に頼む、親衛隊、動いてくれ!」

 皇帝の危機に兵たちが奮い立ったか、イニシアティブを得たのは仏軍となった。

「おっしゃ、ラ・ギャルド・ア・ドネ!!」

 Dorsenneの部隊が活性化し、親衛隊が動く。ちなみにLa Garde a donné!(親衛隊が動いた!)というのは以前のブログに書いたけど、Bulletin de la Grande Armée(大陸軍広報)の決まり文句La Garde n'a pas donné.(親衛隊は投入されなかった)を踏まえているようで、ヒストリカルノートの見出しになっていたもの。仏軍プレイヤーはこの言葉を言いたくてうずうずしていたらしい。

 このDorsenneの親衛擲弾兵第I連隊第I大隊、兵質(Valeur d'engagement)は7、士気(Cohésion)は8という化け物である。非命令下でも攻撃時の兵質チェックは80%の確率で成功するし、露近衛兵に対する攻撃時には士気差で+4のDRMが付く。逆に露軍が攻撃しようとすると最低でも3ユニットはかき集めてこないといけないが、たとえ戦闘結果で士気チェックが出ても親衛隊は90%で無傷なのである。

 親衛隊は教会を守る露近衛兵を攻撃、突破(Choc de rupture)となって追撃、追い打ちをかける。近衛兵はたまらず敗走していった。

 そしてDahlmannの親衛騎兵が続く。前ターンのアイラウ村攻撃のために側面をさらけ出す形になっていた露軍歩兵を攻撃、敵を退却させた。

「がははは、見たか! やっぱり皇帝が危機のときに頼りになるのは親衛隊だな」

「前のターンで頼む、動いてくれ、とか言っていたのに動かなかったのを忘れた?」


 さらに仏軍はSoulèsが砲撃でEssenの近衛兵を混乱状態に。親衛隊の擲弾兵と騎兵の攻撃に加えて砲撃と、ロシア軍は殴られっぱなしだったがやっとEssenの活性化が回ってくる。敵の反撃に怯んでられるかと、単独でいたDorsenneの砲兵の側面に回り込んで攻撃、壊滅させた。やはり仏軍はユニット数が少ないため、親衛擲弾兵を反撃に使い、2ユニットいる親衛騎兵も反撃のためにスタックさせるとどうしても防御が手薄なところが出てしまうのである。

 教会と墓地ががら空きになっている仏軍は、右翼(マップ下方)のBruyèresをその防御に回す。露左翼(マップ下方)のDokhtourovは仏騎兵を追って墓地を目指すものの、非命令下なので進軍が遅い。接敵できるマップ下方の仏騎兵を歩兵2ユニットで攻撃。この騎兵は何度も回復に失敗して混乱状態のままなのだ。だが露歩兵の両ユニットとも兵質チェックに失敗、攻撃ができない。再び活性化したDokhtourovはもう一度2ユニットで混乱状態の騎兵を攻撃しようとするも、またも兵質チェックに失敗。ゲーム開始時の素早い行動とは対照的に、動きが鈍くなってきたDokhtourovである。


つづく

2025年3月11日火曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part3

 ●第2ターン(つづき)

 敵の攻撃で損害を被った仏軍右翼(マップ下方)のBruyères騎兵部隊。やられっぱなしになってたまるか。自軍Dorsenneの砲撃で混乱状態となり回復のため後退していた露軍歩兵にむかって、Bruyèresの騎兵1ユニットが突撃。当然敗走させたものの、追撃(Pousuite)は露Essenの部隊によって押しとどめられたうえに、突撃後の士気チェックに失敗して混乱状態になってしまった。

「げ、もしかしてエッセン、このターンはまだ動いていない?」

 そして待ち受けていたかのようにこのタイミングで露軍Essenの活性化が回ってくる。先ほどの突撃で突出した仏騎兵を集中攻撃で敗走させた。そして近衛兵1ユニットがアイラウ村の教会にとりつく。

 この教会は先述のとおりロシア軍が占領・保持していると4勝利得点を得られる。それだけでなく、ここには初期配置で軍医のLarreyマーカーと負傷兵(Blessés)ユニットが配置されている。デザイナーズノートによると、このマーカーは軍医のLarreyと重傷で動けない兵たちを表しており、移動不可でロシア軍が捕虜にすると2勝利得点となるため、ロシア軍としてはねらい目なのである。


 この軍医Dominique-Jean Larreyは近代的な軍医のさきがけとも言われるそうで、ナポレオンの戦役にずっと従軍し、敵味方関係なく戦場で負傷した兵の治療に当たった。救急車やトリアージなど近代的な医療システムの構築を行い、負傷兵を素早く救護するため救急車として馬に牽かせた荷車を導入したのだが、これは馬に牽かれた砲がartillerie volante(直訳すると「空飛ぶ砲」)と呼ばれていたことからambulances volantes(空飛ぶ救急車)と言われるようになったらしい。

 

 教会とLarreyを守っている仏負傷兵ユニットは攻撃不可で戦闘力1、士気も2とかなり脆弱なうえ、敗走すると壊滅となる。さらにこのユニットを通過した友軍ユニットは混乱状態になってしまううえ、移動はターン最後の敗走フェイズ(Phase de déroute et de démoralisation)にしか行えないため、結構邪魔と言えば邪魔である。第1ターンの最後に後方に下げておいて第2ターンの初めに他のユニットを教会の守備に入れればよかったのだが、

「やっぱ負傷兵は軍医を守るべきでしょう。だからそのままにしておいたんだよ」

と強がる仏軍プレイヤー。実際、仏軍にはDorsenneの強力な親衛隊がいるものの1ユニットだけだ。他は騎兵が8ユニットと負傷兵、あとは砲兵である。砲兵は単独でいるとZOCがないだけでなく、攻撃を受けた際に対応射撃(Tir de réaction)で敵を撃退できたらいいものの失敗すれば即壊滅で、悪天候で砲撃に-1の不利なサイの目修正が付くことを考えると砲兵は他のユニットとスタックしていないと心もとない。一方で露軍は歩兵12ユニットを擁しているため、仏軍は負傷兵を後方に下げる余裕はあまりなく、砲兵と一緒に教会を守らせておいたほうがいいのかもしれない。

 

 露近衛兵が、負傷兵が守っている教会を攻撃する。Soulèsの砲兵が必死に砲撃を加えるものの、近衛兵は意に介さず教会に突入。負傷兵と砲兵は混乱状態になって隣のナポレオンのもとに逃げ込んだ。露軍は教会を占領、Larreyは捕虜となった。

「おいおい、近代的軍医の祖がつかまっちゃったじゃん! 一緒にいた動けない重傷の兵たちは、ロシア軍からどんな目にあわされるのか……」

「いやいや、それよりナポレオンのことを心配しろよ。皇帝を守っているのは混乱状態の負傷兵って、かなりヤバくないか?」

 このターン、まだ引かれていない活性化チットはロシア軍のEssenと、仏親衛騎兵のDahlmann。次に動くのはどっちだ? そして、皇帝は助かるのか?


つづく



2025年3月6日木曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part2

 ●第2ターン

 このターン、戦略イニシアティブ(initiative stratégique)を握ったのはロシア軍だった。Jours de Gloireシリーズでは戦略イニシアティブを得たプレイヤーは最初に活性化する部隊を選ぶことができる。ロシア軍は左翼(マップ下方)のDokhtourovを活性化。非命令下だったが指揮官のイニシアティブチェックに成功して前進、仏Bruyèresの騎兵部隊にとりつき、一部の兵は敵騎兵の側面に回り込んだ。

「なんで騎兵が歩兵に回り込まれるんだ?!」

とぼやく仏軍プレイヤー。

「吹雪で仏軍は行動に支障が生じるだろうけど、ロシア軍は普通に動けるってことなんじゃないの。まあイニシアティブチェックに失敗したら何もできなかったわけだから、こっちもリスクをとってるんだよ」

 ちなみに今回もプレイヤーは「La Garde avance!」のときと同じメンツで、いつもは中世の会戦級ばかりやっているのでナポレオニックの用兵はほとんどわかっていない。

 ロシア軍はまずは2ユニットで敵騎兵防御ライン中央付近を攻撃。Bruyèresの仏騎兵はすべて士気(Cohésion)は5と高いものの、戦闘力(Points de force)はほとんどのユニットが1と低いためまともに戦うと不利と判断、機動力を生かして戦闘回避。JdGでは騎兵が歩兵の攻撃を受けた場合、戦闘回避(Refus de choc)を行うことができるのだ。だがその結果、仏騎兵部隊の右端のユニットが包囲されてしまう。ここでも攻撃を受けた仏騎兵は戦闘回避を行うものの、包囲されていため混乱状態に。さらに戦闘回避後の士気チェック(test de cohésion, TdC)にも失敗して敗走(Déroute)してしまった。

 仏軍はSoulèsが砲兵2ユニットで砲撃を行うが、効果なし。このゲームでは悪天候を反映して、砲撃には-1の不利な修正が課せられるのだ。そしてSoulèsが連続して活性化するものの、これまた砲撃は効果なし。

「もう砲兵はいいから、親衛隊を使わせてよ!」

 Soulèsの部隊には砲兵のほかに親衛隊4ユニットが所属しているのだが、先述のように投入すると勝利得点がかなりマイナスとなってしまうのである。

 露軍歩兵の果敢な機動で損害を被った仏右翼(マップ下方)のBruyèresに活性化が回ってくる。ほとんどのユニットは接敵されており突撃が行えない状態だが、先ほど戦闘回避で後退していた騎兵がDokhtourovの歩兵に突撃。

「おいおい、ドクトゥーロフの部隊は無傷だぜ。そんなところに1ユニットで正面から突っ込んでいいの?」

「騎兵が防御に徹するなんてやってられないだろ。殴られたら殴り返せ!……と言いたいところだけど、ドクトゥーロフの部隊は非命令下で活性化も一回終わっているでしょ。突っ込んでいっても反撃にあう可能性は高くない…はず」

 騎兵は通常の攻撃(Choc)だと-2の不利なDRMが付くため、突撃できるときは突撃しておいた方がいいとも仏軍プレイヤーは思ったらしい。

 突撃を受けた露軍歩兵は混乱状態になって後退。だが突撃終了時に課される士気チェックに失敗し、仏騎兵も混乱状態になってしまった。

 続いてDorsenneの部隊が連続して活性化。Soulès同様に執拗な砲撃を行い、やっと敵1ユニットを混乱状態にする。アイラウの吹雪はそれほど激しいのか。

 仏軍が効果のない砲撃を続けている隙に、再び露軍左翼(マップ下方)のDokhtourovが動く。突撃して混乱状態になった仏騎兵を包囲し、2ユニットで集中攻撃。Dokhtourovは非命令下なので各攻撃ユニットは兵質チェック(test d’engagement)を行って実際に攻撃できるかどうか判定しないといけない。1ユニットが失敗したものの、もう1ユニットの攻撃で仏騎兵を壊滅させた。


つづく

2025年3月1日土曜日

親衛隊は、銃剣だけで戦うのだ! La Garde veille! (VV178) AAR part1

  以前ブログに書いたけど、VaeVictis誌最新号はアイラウの親衛隊を描いた「La Garde veille!」。アイラウて言ったら吹雪の中、仏軍が苦戦したことで有名のようだけど、いつものようによく知らないのでヒストリカルノートを読み返してみた。

 ロシア軍に押され気味になった仏軍は中央でオージュローの第VII軍団を投入。だが猛吹雪のために誤って敵の真正面に出てしまった仏第VII軍団はロシア軍の猛攻をくらって敗走、仏軍中央に大きな穴が生じた。これぞ好機と、ロシア軍はナポレオンとその幕僚たちがいるアイラウ村に向かって総攻撃をしかける。ナポレオンは退却するか親衛隊を投入するかの選択を迫られた…

 というのが今回プレイする「La Garde veille!」のアイラウ墓地シナリオ。危機に陥ったナポレオンを救うため、親衛隊がロシア軍に反撃するという燃えるシチュエーションである。ゲームは以前AARを書いた「La Garde avance!」と同じくJours de Gloire(JdG)シリーズ。1へクス100m、1ターン15分と「La Garde avance!」とほぼ同じスケールである。

 仏軍は騎兵、砲兵、歩兵と一見兵種のバランスが取れているように見えるうえ、後方に超強力な親衛隊5ユニットが控えている。だが、実際のアイラウ戦ではこれらの部隊は戦闘に参加しなかったようで、このゲームでは投入できるようになっているものの、勝利得点でかなりのペナルティが課されるため仏軍は安易に使えない。そのため、仏軍が実質的に使える歩兵はDorsenneの部隊の親衛擲弾兵第I連隊第I大隊の1ユニットだけだ。 

 一方、ロシア軍は2部隊からなりすべて歩兵で構成されている。両部隊とも6ユニットあるが、右翼(マップ上方)のEssenの部隊ほうがやや質が高い。デザイナーズノートによると、アイラウ戦のロシア軍部隊についてははっきりわかっていないのだが、テストプレイチームの一員がロシア語の資料にあたったおかげでこのゲームの2つのシナリオに登場するロシア軍の戦闘序列に根拠を持てたそうだ。

 マップ中央やや左寄り、上端から中央にかけてがアイラウ村である。村を守っていた第IV軍団の部隊は、このシナリオでシミュレートする戦いには直接は加わっていなかった。だが仏軍の反撃の左翼をカバーする働きがあったそうで、これを表すために(先日のブログでも書いたけど)ユニット化されずにマップ上で赤いシルエットで表され、村へクス固有の防御値になっている。

 ナポレオンのいるマップ中央部には教会と墓地2へクスがあり、ロシア軍はゲーム終了時に占領しているとヘクスごとに4勝利得点を得られる。また教会に置かれている移動不可の軍医Larreyマーカーもロシア軍の得点源なので、マップ中央部目指してロシア軍は攻撃を仕掛けることになる。


●第1ターン

 ロシア軍が前進を開始する。フランス軍はSoulèsの砲兵でナポレオン前面の防御態勢を強化。そしてBruyèresの騎兵部隊で右翼(マップ下方)をカバー。ロシア軍右翼(マップ上方)のEssenは非命令下(Sans Ordres)だったが指揮官のイニシアティブ値(Valeur d'initiative)を使ったチェックに成功、命令下の左翼Dokhtourovにさほど遅れることなく前進した。

 このシナリオでのロシア軍総指揮官(général en chef)Dokhtourovの命令値(Potentiel d’ordre)は1なので、ロシア軍は2つの部隊のうちどちらかしか命令下(Ordres Reçus)にできない。非命令下だと移動力が半減など行動に制限が出てしまうので、どちらの部隊を命令下にするかロシア軍は悩みどころである。ただし露軍の両部隊とも2枚の活性化チット(Marqueur d’Activation, MA)うち1枚はイニシアティブ値4で、総指揮官の指揮範囲にいるとDokhtourovのダイス修正値(Modificateur au dé, MD)1が加わって、非命令下の部隊でも60%の確率で命令下にすることができる。一方のナポレオンの命令値は2であるうえダイス修正値も2なので、部隊運用の柔軟性はフランス軍のほうがかなり上である。

(なおJdGのルールに関しては以前、「La Garde avance!」のAARを書いたときに結構触れたのでそっちを見てみてください。それと用語の訳については、これも「La Garde avance!」のAAR同様に自分の好きな言葉を当てています。

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ①)


つづく





2025年1月31日金曜日

VV最新号は「アイラウの親衛隊」、なんですが…

  あと一週間ほどでアイラウの戦いがあった日ですが、VaeVictis誌最新号のゲームはアイラウの親衛隊を扱った「La Garde Veille ! - La Garde à Eylau, 1807」。タイトルそのまんまで、アイラウでの親衛隊の戦いです。Jours de Gloire(JdG)シリーズで、シナリオは2つでそれぞれ別のマップが用意されていて、親衛隊の反撃、それに親衛隊騎兵の突撃を扱っています。

 JdGシリーズで親衛隊と言ったら、VV161号の「La Garde Avance!」が面白かったので今回のも楽しみ。というか以前、「La Garde Avance!」についてのユーチューブ動画で、過去のJdGシリーズのゲームを再版しないのかって質問が出たときに、デザイナーさんが主要な戦闘の親衛隊がかかわった部分だけ切り取ったゲームをVaeVictisから出すだろう、おそらくアイラウって感じのことを言っていたんですよね。

(19:56から21:30あたり)

早く出ないかなーと思っていたら、アイラウ戦のタイミングでの出版となったようです。

(画像はVaeVictis公式サイトから)

 VaeVictis誌のサイトにあがっている画像を見ると、仏軍はCohésion値が7や8という化け物ぞろいです。さすが親衛隊。JdGシリーズのゲームはこれまでBANZAIで和栗南華氏が記事を書いているから、このゲームも同誌でレビューされるかもしれませんね。


 ということで早くプレイしたいんですけど、このVV178号、発売が大幅に遅れたんですよね。どうやらカウンターの輸送会社の手違いがあったそうです。フランスの掲示板では、まだ来ないよーという書き込みが結構あって、「輸送会社がアイラウの雪でまよっちゃったんだよ」とか、「次の号と一緒に出るんじゃないの?」なんてのもありました。

 やきもきしていると、先週の金曜日になってやっと手に入れたって書き込みがあり、その後も各地での入手報告が続いて一安心。VaeVictisはボードウォーク岡山のiOGMさんが扱っていますが、日本にはいつ届くのかなー。もしかしてアイラウ戦の日とか?


2023年6月19日月曜日

ワーテルローの日に、デザイナーが語る「親衛隊、前進!」

  昨日、6月18日はヨーロッパの歴史に残るあの日ですよね。6月22日じゃないですよ。6月6日でもないですからね。あれですよ、あれ。ワーテルローの戦いがあった日ですよ。

……って、知ったかぶりをしてしまいましたが、すみません、自分は知らなかったです。そういやボンサイゲームズのブログで「ナポレオン1815」の3人対戦のAARが16日から連日公開されていたのに…。ワーテルロー戦のあった日にあわせていたなんて、全然気が付きませんでした。すみません。

 で、何の気なしに前日の17日にツィッターを眺めていたら、「La Garde Avance!」をデザイナーとプレイするよ、ユーチューブでストリーミングするからね、みたいなツイッターを見かけました。おお、LGAと言ったら、自分はナポレオニック全然知らないのに無謀にもAARを書いたゲームじゃないですか。

 しかも、そのデザイナーは中世の会戦級のAu Fil de l'EpéeシリーズをデザインしたFrédéric Bey氏。こりゃ話を聞かなくては、と思ったんですけど、生配信のある昨日は仕事の関係で早く寝ないといけなかったんですよね。

 時差的にライブで見れないのは残念、とツィッターでつぶやいたら、この配信をしているFrédéric Servalという方が、「Beyさんに質問があったら聞いておくよ」と言ってくれました。ラッキー。で、Au Fil de l'Epéeシリーズの新作を出す予定があるかどうか知りたいです、と応えておいたんですけどね。おいおい、ワーテルロー戦の記念日に老親衛隊の戦いのゲームについての生配信だぜ。中世のゲームについて聞くかよ…と自分でツッコミを入れてしまったんですが、聞いておくよ!と返事をくれたんですよ。Servalさん、いい人だわー。

 で、ちょっとワクワクしながら今日ユーチューブで見てみたら、本当に聞いてくれていました。うほー、嬉しいー。まあ、Bey先生の返事は、その、やっぱり中世のゲームは売上的に厳しいという現実をわからせるようなものでしたけどね。とほほ。でも「Men of Iron」が再版されるしね、あきらめないでおくことにします。それはさておき、デザイナーさん本人の言葉で回答をもらえるのはうれしいですよね。


 で、メインの「La Garde Avance!」についてなんですが、Vassalを使って「La Garde Avance!」について説明しながらプレイの例を見せてくれました。約2時間の動画で結構長かったんですけど、Jours de Gloireシリーズの過去のゲームをまとめて出版する予定は、という質問には、来年の前半に出す予定だって言っていましたね。それに、親衛隊が出る新しいゲームも出すつもりとか。これは楽しみ。Jours de Gloireは息の長いシリーズだから、プレイしたことある、とか、聞いたことある、という人もいるんじゃないでしょうかね。


というわけで、Frédéric Bey先生の動画、よければ見てみてください。



 BANZAIマガジン第14号「続・八甲田山」のデザイナー和栗南華氏もJours de Gloireシリーズはお好きなようで、BANZAI15号では「La Garde Avance!」のレビューも書いているぐらいだから、Frédéric Bey先生がLGAについて語る、なんてのはツボなんじゃないかなー、と思うのですが。

 しかしiOGMさんを除いてみたら、LGAが付いているVae Victis 161号はまだ在庫があるじゃないですか。BANZAIマガジン15号のレビューを読まれた方は買いですよ~。


2022年11月25日金曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ⑩

 ●第5ターン(続き)

 ロゲの部隊(赤)の二度目の活性化が回ってきた。老親衛隊最後の攻撃である。砲身も焼けよとばかりに熾烈な砲撃を加え、老親衛隊が突進する。鬼神のごとく暴れまわるVieille Gardeを前にして、隊列の乱れていた英連合軍が持ちこたえられるはずもなく多くのユニットが潰走する。さらには命からがら逃げようとする自軍の兵たちに巻き込まれて潰走するユニットも出てきた。

 JdGでは自軍ユニットを通過して潰走することができるが、通過されたユニットは士気チェックを行い失敗すると潰走してしまうのである。中世の会戦ゲームだとよくあるやつですね。

「ちょ、この老親衛隊の強さ、おかしくない? ワーテルローって最後は『La Garde recule!(親衛隊が後退している!)』ってなるんじゃないの?」

「勘違いしちゃいけない。このゲームは『La Garde avance!』なんだよ」


 ちなみに、ワーテルローのことを全然知らないのはまずいと思ってこのAARを書き進めながらOspreyシリーズの『Waterloo 1815』を読んでみました。イラスト豊富でページが少なくサクッと読了できるのでOsprey好き。で、親衛隊が敗退するシーンが結構よかったので引用しておきます。

The entire attack had been repelled. The perfect formations of just a few minutes before were now a single confused blue mass, highlighted with the glint of slashing steel as Vivian's and Vandeleur's light cavalry hacked within its midst. The impossible had happened. The invincible had been vanquished. A great, incredible sob spread along the French lines - 'La Garde recule! Sauve qui peut!'

("Waterloo 1815", p81)

(拙訳: すべての攻撃が撃退されていた。ほんの数分前には完璧な隊形を組んでいた諸隊が、今や混乱した青い一つの塊となっており、VivianとVandeleurの軽騎兵がその中を切り裂いていくと鋼鉄の刃のきらめきが見る者の目を奪った。あり得ないことが起こったのだ。常勝の兵が打ち負かされたのだ。フランス軍の戦列に沿って、大きく、信じ難いどよめきが広がっていった―「親衛隊が退却! みな我が身を守れ!」)

 なんかこの辺り、筆者も思わず力が入ったんじゃないですかねっていう印象。ワーテルローのクライマックスですからね。ナポレオンやフランス兵たちの愕然とした気持ちが伝わってきます。そういえば「La Garde Recule!」っていうゲームもありますよね。


 それはさておき。フランス軍はロゲの部隊(赤)以外はボロボロであるものの、老親衛隊に続けとばかりに最後の気力を振り絞って奮戦する。ネイの部隊(青)の生き残りの砲兵が、至近距離からの砲撃で敵騎兵を混乱状態に。そして左翼ではバシュリュの潰走ユニットがまさかの回復。さらに右翼のドンズロの部隊(緑)が続く。砲撃で敵騎兵を混乱状態にし、そこに騎兵がシャルジュ! 潰走していく敵騎兵を追撃して壊滅させた。

 ここでやっと英連合軍の中央部隊(青)の活性化。英連合軍で最大兵力を擁していた中央部隊だが、もう反撃するための歩兵が残っていない。残存砲兵で砲撃をするものの老親衛隊は耐えた。英連合軍の指揮官たちは敗走する歩兵たちを押しとどめようと声を張り上げる。そんななか、騎兵が奮戦し老親衛隊を1ユニット潰走させた。

 そしてターン最後の潰走移動。英連合軍予備部隊(緑)の2ユニットがマップ外に消えていった。


 こうしてナポレオン最後の賭け、親衛隊の攻撃は幕を閉じた。最終結果は、英連合軍15点、フランス軍21点。その差6点で惜しくも引き分けとなった。


 今回の対戦はJours de Gloireシリーズどころかナポレオニック初心者同士のプレイだったけど、両者とも楽しめました。なんといってもフランス軍は老親衛隊を指揮する高揚感を得られますからね。悲壮感もたっぷりだけど。英連合軍も簡単ではなく、どこまで守っていつ反撃するかの判断を迫られます。チットプルによる先の読めなさ、それに非命令下で攻撃に出るかどうかという迷いが、ずっと緊張感を与えてくれますね。

 それに何といっても秀逸なのが、マップをワーテルローの戦場の中央に限定して親衛隊の攻撃にフォーカスを当てたこと。ウーグモンとラ・エイ・サントは進入不可でZOCを持つヘクスというバッサリとした処理によって、プレイが中央の高地をめぐる戦いに集中されます。ワーテルローの他のゲームはほとんど知りませんが(BANZAI 15号はクロノさんから購入済みだけど、事情があって手にするのはかなり先の予定)、「La Garde Avance!」はワーテルロー戦の中でも独特の雰囲気になっているんじゃないかなと思います。


 あとでネットを見ていたら、デザイナーのFrédéric Beyが英連合軍の戦い方として、初期配置では複数の戦術グループに分割されている騎兵部隊と予備部隊を反撃のためにそれぞれ一つにまとめるようアドバイスしていました。今度試してみようかな。それよりもフランス軍の戦い方のヒントを教えてほしいんだけど、それを考えるものこの「La Garde Avance!」の楽しみなんでしょう。


2022年11月20日日曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ⑨

 ●第5ターン

 最終ターンである。このゲームでは、壊滅させたり潰走状態で残っている敵ユニットの数に応じて勝利得点が得られ、相手より7点以上多いほうが勝利する。ただしフランス軍にだけ重要ポイントの占領による得点があり、マップ上部の左のほうにある白線の街道(route)とオレンジ線の小道(chemin)が交差するヘクスをゲーム終了時に占領していれば7点得られる。

 ちなみにこの街道とマップ右端を走る街道がモン・サン・ジャンという町というか集落で交わってブリュッセルまで続いているようなので、この街道までフランス軍が進出するというのは英連合軍にとっては結構やばいってことなんでしょう。

 今のことろ損害数ではフランス軍が2ユニット多いが、老親衛隊の攻撃で英連合軍は混乱状態のユニットが多い。ゲーム前半とは逆に、ウェリントンにとっては精神的に厳しい状況になってきた。


 ターン最初の戦略イニシアティブ(initiative stratégique)を決めるサイコロに、両プレイヤーとも力が入る。イニシアティブをとったほうが最初に活性化する部隊を選べるのだ。フランス軍としては敵に態勢を立て直す余裕を与えることなく老親衛隊で攻撃を続行したいし、英連合軍は残存兵力で防御ラインを引くとともになるべく多くのユニットを回復する必要がある。

  両プレイヤーがふったサイの目は、仏軍4、英連合軍3でフランス軍がイニシアティブをとった。Vive l'Empereur!! 当然、ロゲ(赤)率いる老親衛隊が動く。

 このままの勢いで邁進して7点のボーナスポイントを得られる交差点ヘクスを狙うか。だがそうすると、ユニット数に劣る老親衛隊は回復してきた敵の包囲攻撃を受けるかもしれない。それよりは弱体化している英連合軍に老親衛隊をぶつけて敵戦力の撃滅を図ったほうが確実だ。

「え、このゲームってワーテルロー最後に親衛隊を投入してのナポレオンの賭けなんでしょ。ここは男らしく突破を狙わないの?」

「うるさい。老親衛隊は割高なんだよ」

 通常のユニットは壊滅すると2点だが、老親衛隊と親衛隊騎兵(Cavalerie de la Garde)は3点なので、無理に突進したはいいものの包囲攻撃を受けて退却できずに壊滅、という事態は極力避けたいところである。しかしプロイセン軍が右翼から攻撃しているというギリギリの状況で安パイを狙っていいのか、ナポレオン。


 そんな批判をよそに、ロゲ率いる老親衛隊が猛威を振るう。士気の高い精鋭部隊の攻撃をうけた英連合軍は、あるいは混乱して退却、あるいは潰走、壊滅していく。見る見るうちに高地中央部の自軍ユニットが掃討されていくのをみて顔が引きつる英連合軍プレイヤー。

「ふん、これぐらいで動揺してたらウェリントンたる資格はないわ!」

と強がりを言うものの、前ターンの後半でせっかく多くのユニットが回復したのに元の木阿弥どころか状況は悪化している。


 英連合軍はほとんどの歩兵が混乱状態になった今、ここは騎兵を使うしかない。ロゲ部隊(赤)の壮年親衛隊に向かって、戦力9,士気5の精鋭騎兵がチャージ! 

 この壮年親衛隊は砲撃で混乱した後に回復していたため、方陣は解かれていた。「La Garde Avance!」では特別ルールで親衛隊は自発的に方陣を解くことが禁じられていると先述したが、混乱状態になると方陣でなくなるのである。方陣を解いた歩兵は騎兵の突撃に対して不利となるが、さすがは親衛隊、敵騎兵が迫ってきたのを見るや、即座に方陣を組む。

 JdGでは、突撃された歩兵は正常状態であれば方陣を組むことができる。1d10で士気以下が出れば成功なのだが、失敗すると混乱状態になる。突撃してくる騎兵を前にして方陣を組もうとして失敗し、逆に隊列が乱れた、という感じか。

 方陣に対する突撃は、突撃のDRMボーナスが無くなるどころか-2の不利な修正となる。ファランクスやシルトロン、Gewalthaufenなど、がっちり守る歩兵への突撃が自殺行為なのは古来変わらずですな。

 だがJdGでは、突撃の標的ユニットが方陣を組んだ場合、突撃の中止(rappel de la cavalerie)ができる。兵質チェック(test d’engagement)を行い、成功した場合は1へクス後退、失敗した場合はそのまま突っ込むことになる。

 突撃してきた英連合軍の騎兵は兵質(Valeur d'engagement)が5と高く、親衛隊が方陣を組んだのを見るや突進を止めて後退した。いやー、こういう攻守の駆け引きも結構好きです。ちなみに突撃しようとした騎兵はVivianの部隊で、史実のワーテルローの戦いでは後退する親衛隊に突撃してとどめをくらわしたらしい。

 

 続けて英連合軍は予備部隊(緑)で反撃。敵右翼(マップ右方)で弱体化しているドンズロの部隊に追い打ちをかけ潰走させた。それに先ほどの攻撃で、後退する敵を追って高地から駆け下りてきた老親衛隊の第二猟兵連隊第二大隊が側面をさらけ出している。好機、いつまでも老親衛隊の好きにさせてたまるか!と攻撃すると、さすがの老親衛隊も後退。

 その後退した先は英連合軍ユニットの前面ZOCで、混乱状態になってしまう。さらに戦闘結果で士気チェックが課せられていたため失敗すると潰走になるところだったが、混乱状態でも5という高い士気を維持する老親衛隊は踏みとどまった。


 英連合軍は多くの歩兵が混乱状態であるものの、フランス軍も両翼がほぼ崩壊しさすがの老親衛隊にも損害がでている。両者ともにフラフラになりながらの最後の殴り合いである。


つづく

2022年11月16日水曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ⑧

 ●第4ターン(続き)

 老親衛隊の攻撃であれよあれよという間に多くの歩兵が損害を受け、さらには反撃も失敗に終わった英連合軍だが、砲撃で敵を牽制しつつ中央に歩兵をかき集める一方、混乱状態のユニットの回復に努める。だがもともと歩兵の数に余裕があったわけではないため苦しい状況で、騎兵までもが防御に駆り出される。


 実は両プレイヤー共、いつも中世の会戦級ばかりプレイしていてこの時代の騎兵の運用についてはほとんど無知である。

「いつもみたいに、歩兵なんぞ相手になるか! みたいな感じで暴れさせちゃ、いけないんだよね?」

「うーん、数百年違うからね。というかみんな槍や剣じゃなくて銃持っているし、ちゃんと組織だった行動するよう訓練受けた軍隊だからね、やっぱまずいんじゃないの」

と妙に慎重になってしまう。実際、JdGでは騎兵が突撃をせずにショック攻撃を行う場合、-2の不利なDRMが課される。

 だが今、英連合軍最左翼(マップ右端)の騎兵の前には混乱状態となったドンズロ隊の歩兵がいる。ここで突撃しないんだったら馬に乗る資格なし、というシチュエーションだ。当然、突撃である。


 JdGの騎兵の突撃(charge-仏軍がやるときは「シャルジュ」と言ってあげてください)は強力で、重騎兵は+3のDRM、通常の騎兵は+1を得られるうえ、このDRMボーナスを維持しながら行われる追撃(poursuite)の回数に制限がない。混乱状態や潰走している敵集団に突撃すると、ガンガン追撃が続くのでやられる側は泣きそうになる。

 ちなみに重騎兵ユニットにはLと書かれているのだが、lightの意味にとってしまって思わず軽騎兵扱いしてしまいそうになる。lourd(重)のLですからね。でもフランス語では軽はlégèrで、こっちも頭文字がLだからややこしい。あ、cavalerie(騎兵)は女性名詞なんでlourdeとlégèreか。こういう細かい文法、マジ苦手。



 混乱状態で騎兵の突撃を受けたドンズロ隊の歩兵は恐慌状態に陥り潰走していった。だが英連合軍騎兵が調子に乗って追撃した先には砲兵と騎兵のスタックが待ち構えており、逆に混乱状態になって撃退された。


 そしてロゲの部隊の活性化が回ってくる。砲撃で敵に損害を与えたのち、高地中央部で不用意に突出していた英連合軍騎兵を包囲攻撃して壊滅させる。さらには老親衛隊が暴れまわり英連合軍の歩兵2ユニットが混乱状態に。ウェリントンは使える歩兵がいよいよ枯渇してきた。


 だがこの後は英連合軍の活性化が続いた。まずボロボロになっている中央部隊(青)で4ユニットが回復。そして予備部隊(緑)の歩兵が老親衛隊を攻撃。必死の反撃に老親衛隊も後退を余儀なくされる。だが後退した先は英連合軍ユニットの前面へクス。JdGでは敵の前面へクスに退却ができるものの、混乱の結果を被ってしまうのだ。そのため老親衛隊も混乱。ショック戦闘で老親衛隊初の損害である。そして反撃が成功したのを見て兵たちが奮い立ったか、予備部隊(緑)でも混乱ユニットが回復していった。

 そして、まだまだ終わりじゃないぜと言わんばかりに英連合軍の騎兵部隊(灰色)の活性化が回ってくる。歩兵の反撃で老親衛隊に損害を与え、さらには続々と兵たちが回復してきていて英連合軍が盛り上がっているとき。そのタイミングで、さっき一回突撃しただけでこれまで見せ場がほとんどなかった騎兵部隊にやっと活躍のチャンスが回ってきたのだ。老親衛隊は確かに強力だが、その両隣の弱小部隊を蹴散らしてやる。英連合軍の左右両翼にいる騎兵計3ユニットがチャージ! 

 だが騎兵部隊は非命令下で、兵質チェック(test d’engagement)に成功しないと突撃ができず、1ユニットのみチェックに成功。おい~、いいところなのに~。なんとか突撃した騎兵は、これまでの砲撃で混乱状態になっていたバシュリュの歩兵と砲兵のスタックを壊滅させた。



 ここで第4ターンが終了。残るは1ターンのみ。老親衛隊は敵陣を突破して皇帝陛下に栄光をもたらすことができるのか。それとも歴史は繰り返されるのか。


つづく

2022年11月10日木曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ⑦

 ●第3ターン(続き)

 反撃を受けたもののまったく意に介することなく、老親衛隊が攻撃を続ける。砲撃で敵を混乱させたのち、3ユニットが攻撃。親衛隊の士気の高さにものを言わせ、敵を混乱、潰走させる。


 ここでやっと第3ターンが終了。JdGでは各ターンの最後に、潰走状態のユニットは自軍マップ端(英連合軍はマップ上端、仏軍は下端)に向けて全移動力で潰走移動(mouvement de déroute)し、マップ外に出たユニットは壊滅とみなされる。

 マップを見れば一目瞭然だが、主戦場である高地からマップ下端までは距離があるのに対し、上端まではすぐであり、特に右方は余裕がない。つまり仏軍は潰走しても何度か回復する機会があるが、英連合軍は潰走するとあっという間にマップ外に出て壊滅してしまう。

 実際、英連合軍の潰走ユニットがすでにマップ端に達しているのに対し、第1ターンの英連合軍の反撃で潰走した壮年親衛隊はまだマップ上にとどまっている。フランス軍には復活の希望を、英連合軍には後ろがない緊張感を与える優れたデザインではないだろうか。-というのは何回かプレイして感じたことです。フランス軍は精神的に厳しいけど、こういうところでバランスをとっているのかな。



●第4ターン

 このターン、戦略イニシアティブ(initiative stratégique)はフランス軍がとった。神のご加護は皇帝にあり! 当然、老親衛隊のロゲ部隊(赤)を活性化させる。

 前ターン最後に続く老親衛隊の連続活性化である。英連合軍の砲兵から防御射撃(tir de réaction)を受けても微動だにしない老親衛隊は2ユニットで攻撃。防御スタックを蹴散らし、さらにその隣接スタックも混乱状態にして高地から追い落とした。士気が高い老親衛隊が戦力を集中させるとDRMがかなり有利になり、戦闘結果で突破(choc de rupture)が出てさらに攻撃が行えるのだ。

 また戦列中央では、士気8とこのゲーム最強を誇る親衛隊第一猟兵連隊第2大隊がついに攻撃を開始。ウェリントンとスタックしている歩兵を苦も無く蹴散らした。


「やばい! まともな歩兵が残っていないじゃん!」

 老親衛隊の猛攻にさらされ、中央部が危うくなってきている英連合軍。もともとこのゲームでは英連合軍の歩兵は潤沢にあるわけではないのだ。

 だが幸い、前ターンに敵右翼(マップ右方)ドンズロ部隊への反撃が成功していたため、この方面はしばらくは打ち捨てられる。英連合軍は正常状態で残っているわずかな歩兵から2ユニットを抽出し、老親衛隊の第二猟兵連隊第2大隊に反撃を試みる。親衛隊がなんぼのもんじゃい! DRM+3の攻撃をくらえ! だが、サイの目は無情にも1。攻撃側は混乱し、士気チェックにも失敗して2ユニットとも後退。マジかよ。



 JdGのショック戦闘は戦力比などをDRMとして1d10を振る、というのは先述したが、4以下の場合、攻撃側が混乱状態となり、さらに士気チェックに失敗すると1へクス後退となる。つまりDRM+3の攻撃だと攻撃側混乱となるのは20%の確率なのだが、英連合軍は渾身の反撃でそのような結果が出てしまったのである。

 不運の続く英連合軍だが、マップ上端まで潰走していた歩兵が回復。このままだとターンの終わりにマップ外に出て壊滅だったので助かった。


 ちなみに反撃に失敗した英連合軍の2ユニットだが、Kruse、Brunswickと書かれていて、このゲームの英連合軍のユニットの中では例外的に紋章がユニット左に小さくついている。

 Kruseのほうには青地に金色の獅子らしきものが描かれていて、どうやらこのユニットはAugust von Kruseの率いるナッサウ公の部隊で紋章はナッサウ家のものらしい。もう一方はブラウンシュヴァイクの部隊で、描かれている紋章は赤字に白い馬でブランシュヴァイクを含むニーダー・ザクセン地方のもののようだ。つまり両ユニットともドイツの兵ということか。ただ自分はワーテルローも紋章も詳しくないので、知っている方いらっしゃったら教えていただけると嬉しいです。

 また、「La Garde Avance!」の英連合軍ユニットは士気値の色で国籍が識別されている。ちなみにルールでこれを説明している部分は、Vae Victisのホームページに載っている英文ルールではカットされている。プレイ上は国籍関係ないけど、ちゃんと訳そうよ~。あと、この時代に国籍って言葉でいいのかな。ルールにはnationalitéって書いてあるけど。

 英連合軍の多くは英軍だが、ナッサウ、ブランシュバイクの他、オランダ、ハノーファーのユニットも含まれている。オランダはナショナルカラーのオレンジ、というのはわかるけど、ハノーファーは黄色と白になっていて、なんでそうなっているのかわからず自分の無知を痛感します。知識があるとそういう細部も楽しめるんだろうなあ。


つづく


2022年11月7日月曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ⑥

 ●第3ターン

 Jours de Gloire(JdG)シリーズでは毎ターン冒頭、活性化チットを引く前に戦略イニシアティブ(initiative stratégique)フェイズがあり、両軍1d10を振って自軍総指揮官のダイス修正値(Modificateur au dé, MD)を足し、大きい数のほうのプレイヤーは一番最初に活性化する部隊を選べる。ナポレオンとウェリントンのダイス修正値は同じなので、単純にサイの目勝負となる。


 このターンのイニシアティブは英連合軍が得た。当然、最大兵力を擁する中央部隊(青)を活性化し、老親衛隊を砲撃する。だが老親衛隊は7や8という高い士気を誇るのだ。士気チェックの結果が出ても、80-90%の確率で無傷なのである。

 中央部隊の砲撃に微動だにしない老親衛隊。その右翼に位置するドンズロの部隊(緑)は、ナポレオンの命令を受けていなかったが親衛隊の姿を見て意気があがったか、歩兵が高地に向かって攻撃、奮戦のうえ敵を後退させた。



 JdGでは各ターン最初に命令フェイズ(Phase d’ordres)があり、各プレイヤーはどの部隊を命令下(Ordres Reçus)にするか相手にわからないように決める。命令下にできるのは総指揮官の命令値(Potentiel d’ordre)の数まで。ナポレオンとウェリントンの命令値は2である。それ以外の部隊は非命令下(Sans Ordres)となり、行動が制限される(命令下にできる部隊数についてはもう少し規定があるのだが、後述する)。なお、命令下、非命令下のマーカーはターンの最初に相手プレイヤーにどの部隊が命令下かわからないように裏返しにしてユニットの上に置くのだが、このAARでは見た目重視でユニットの下に置いています。

 このターンのドンズロの部隊は非命令下だったため、歩兵がショック攻撃を行う際に兵質チェック(test d’engagement)を行い、1d10を振ってそのユニットの兵質(Valeur d'engagement)以下を出さないと攻撃できない。ドンズロの歩兵の兵質は4で成功の確率は50%だったが、皇帝陛下の親衛隊を支援するという使命感に燃えたのか命令なしに攻撃できたのである。



 砲撃で必死に防戦する英連合軍は、ロゲの部隊に1ユニットだけ含まれている壮年親衛隊の第三擲弾兵連隊第二大隊を何とか混乱させ、仏軍左翼のバシュリュの歩兵にも損害を与えた。だがついに老親衛隊が英連合軍の戦列にとりつき、その破壊力を発揮する。


 JdGのショック攻撃では、戦力比、士気差、地形などをDRMとして1d10を振って大きな数が出るほど攻撃側に有利な結果となる。同じデザイナーのAu fil de l'épéeシリーズの白兵戦と似たようなシステムである。老親衛隊は戦闘力が3や4と低いため、戦力比から不利なDRMとなることが多い。例えば攻撃:防御が1:2の場合、DRMは-2。だが士気差がそのままDRMとなるため、士気7の親衛隊が4の歩兵を攻撃した場合DRM+3となって、2倍の兵力の敵を攻撃する不利を簡単にひっくり返してしまうのだ。


 老親衛隊の第二猟兵連隊第二大隊と第二擲弾兵連隊第二大隊の2ユニットが、右翼の丘に布陣する予備部隊歩兵を攻撃。斜面を登る攻撃でありながらも、老親衛隊の高い士気と正面と横からの連携攻撃のおかげでDRMは+5となり、戦闘結果は突破(choc de rupture)となった。JdGのショック戦闘では、DRMを適用したサイの目が10以上だと攻撃側は突破となり、戦闘後前進をしてさらに攻撃ができる。さらに、このゲームの特別ルールで親衛隊は自分から方陣を解くことができないのだが、例外的に突破を行うと方陣を解除できる。混乱状態となって後退する敵歩兵を目にして、老親衛隊は方陣から脱して猛追、潰走させた。



 左翼(マップ右方)が予想以上の損害を受けた英連合軍。予備部隊(緑)が活性化となったため、中央部にいる予備部隊を投入して反撃しようとするが問題があった。命令は部隊ごとに割り当てると上述したが、もし部隊が拡散している場合、戦術グループ(groupe tactique)に分けられ、戦術グループ単位で命令下、非命令下となる。具体的には、自部隊の他のユニットから3へクス以上離れているユニットは別の戦術グループになる。このターン、英連合軍はマップ右方の予備部隊の戦術グループを命令下としており、中央の戦術グループは非命令下だったのだ。


 非命令下だとショック攻撃の際に兵質チェックが必要など行動が制限される。だが戦術グループごとに1d10を振って活性化チット(Marqueur d’Activation, MA)のイニシアティブ値(valeur d’initiative)以下を出すと、その戦術グループのすべてのユニットが命令下と同じ状態になる。ただ失敗すると回復以外何もできなくなるため、ある意味ギャンブルである。イニシアティブ値はその部隊の指揮官がどれだけイニシアティブをとるかを表しているようだが、英連合軍の多くは4であるのに対し、ワーテルローの激戦で消耗しているドンズロは3,バシュリュは2とかなり低い。


 中央部にいる予備部隊(緑)の戦術グループはイニシアティブのチェックに無事成功、老親衛隊に反撃する。だがさすがは老親衛隊、ショック攻撃を受けて士気チェックの結果が出ても、7という高い士気のおかげで整然と1へクス後退するのみに終わった。一方、マップ右端のドンズロの部隊への反撃は成功。ドンズロ部隊が持つ歩兵は2ユニットとも混乱状態となった。



 

つづく

2022年11月4日金曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ⑤

 ●第2ターン


 第1ターンの英連合軍の反撃によって高地上に残っている壮年親衛隊は第三猟兵連隊第一大隊のみとなっていた。ところでChasseurって、猟兵でOK? まあとにかく、1ユニットしか残っていない親衛隊を英連合軍は袋叩きにして壊滅させる。さらに前ターンの親衛隊の砲撃と攻撃で多くのユニットが混乱状態になっていた英連合軍の中央部隊だが、順調に回復していった。


 JdGでは各部隊の活性化は、砲撃、移動、攻撃、回復という手順になっている。活性化中に何も行動をせず敵に隣接していないユニットは回復(ralliement)を試みることができ、1d10を振って士気以下が出れば混乱ユニットは回復する(潰走ユニットの場合はサイの目が1不利になる)。

 つまり士気の高いユニットほど回復しやすい。当然親衛隊はすぐに回復する、と思いきや、壮年親衛隊ユニットは混乱状態だと士気がガクンと落ちるのである。通常のユニットは混乱状態だと士気が1下がるだけだが、壮年親衛隊は3も低くなる。高い士気を誇る精鋭だが、いったん混乱状態になると脆弱で回復もしにくくなるのだ。有能だけど怒られるとすぐに気弱になっちゃう子、という感じか。デザイナーズノートによると、この局面での壮年親衛隊の士気は明らかに揺らいでいて、それを反映しているそうだ。



 ここでロゲの老親衛隊(赤)の活性化が回ってくる。ネイの部隊の攻撃によって一時は危うくなった英連合軍はほぼ回復し、壮年親衛隊の攻撃なんかあったっけ、と思わせるような強固な防御ラインが高地上に再び構築されている。こんな相手に攻撃を仕掛け突破しないといけないのか。心折れそう。気持ちが沈む仏軍プレイヤーに対し、

「あきらめたら、そこで試合終了ですよ…?」

と、そっとささやく英連合軍プレイヤー。そのセリフ、こういう状況で敵から言われるとマジむかつく―‼ だが前進するしかない。じりじりと進む老親衛隊。ネイの部隊の砲兵がそれを援護する。敵中央部隊の歩兵を集中砲撃によって潰走させた。


 中央部隊(青)の活性化となった英連合軍。歩兵の援護なしに中央高地上で孤立している敵砲兵を屠るか。だがその後、まず確実に老親衛隊が襲ってくる。ここは守備を固めるべき。そう考えた英連合軍プレイヤーは突出している歩兵を後退させ、混乱しているユニットの回復に努めた。


 ネイの壮年親衛隊が事実上壊滅した以上、老親衛隊の他に仏軍が使えるのは右翼のドンズロの部隊(緑)と左翼のバシュリュの部隊(黄色)。どちらの歩兵も戦闘力は8や9と高いものの、ユニット数が少ないうえ、バシュリュの歩兵は士気が3と低いため粘り強く戦うことは期待できない。もう夕方の7時ですからね、予備としてとっておかれていた親衛隊とは違って、そりゃ疲れていますよ。さらに左翼は平地が広がっており、敵の砲撃で混乱したところに騎兵の突撃をくらったら確実にアウトである。

 だが右翼は激戦の末に占領したラ・エイ・サントがある。このヘクスは両軍とも進入不可で、英連合軍に対しては周囲にZOCも及ぼす。右翼でドンズロの部隊が不利な状態になってもすぐには総崩れにならないだろう。しかも砲撃の応酬で敵最左翼(マップ右方)の砲兵が混乱状態となっている。好機と見た仏軍は、老親衛隊を支援するためにドンズロの歩兵を前進させ、敵の最左翼スタックに攻撃をしかける。攻撃を受けた英連合軍は歩兵が混乱状態になって後退、砲兵は潰走した。

 いいぞ、ドンズロ。ラ・エイ・サントの攻防戦で兵たちはすでに疲れ切っているはずなのによくやった。こうやって右翼でプレッシャーをかけている間に、老親衛隊はさらに前進。次ターンには敵戦列にとりついてその真価を発揮することだろう。





つづく

2022年11月1日火曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ④

 ●第1ターン(続き)


 JdGの砲撃では、砲兵ユニットの砲撃力(capacité de tir)や地形効果がDRMとなって1d10を振って解決する。砲撃力は砲門数を反映しているそうだが、このゲームでの英連合軍砲兵の砲撃力はほとんどが3で、方陣を組んでいる親衛隊が砲撃された場合10%の確率で混乱(désordre)し、40%の確率で士気チェック(test de cohésion, TdC)となる。士気チェックでは1d10を振ってそのユニットの士気(Cohésion)以下だと損害無し、そうでなければ混乱となるが、壮年親衛隊の士気は6あるため混乱する確率は30%。つまりなんやかんや合計すると22%の確率で砲撃を受けた親衛隊は混乱することになる(計算あってる?)。

 なので一回の砲撃で損害を受ける可能性自体はそれほど高くはないのだが、英連合軍の砲撃のサイの目や活性化チットの引かれた順番によっては、壮年親衛隊が砲撃で次々と損害を受け、それでも残存部隊が悲壮なまでの攻撃を行う(でも反撃でボロボロにされて仏軍プレイヤーのモラル崩壊)、というケースも珍しくない。


 ただ、ワーテルローのこの最終局面では英連合軍の砲撃の威力はかなり落ちていたのでは、と書いているAARもあった。弾薬が不足していたうえ、数と長距離射撃力で上回る仏軍砲兵からの砲撃で消耗していたし、仏軍騎兵の突撃で砲撃手が退却して多くは戻っていなかったことを考えると、もっと英連合軍の砲撃力を制限したほうがいいのでは、と提案している。自分はワーテルローのことは全然知らないんですけど、多くの資料ではそう書いてあるんですかね。



 第1ターンの仏軍だが、壮年親衛隊は無理に突っ込まずに後方の老親衛隊を待てばいいのでは、と思えるかもしれない。だが特別ルールで、壮年親衛隊がショック戦闘を行った次のターンからロゲ率いる老親衛隊の活性化が可能になるのだ。老親衛隊も壮年親衛隊同様に方陣を組んでいるので前線にたどり着くまでに時間がかかる。5ターンしかないこのゲームでは1ターンでも惜しく、第2ターンから老親衛隊を活性化させたい。そのため、ネイの部隊は敵戦列に全力で(とはいえ方陣だからゆっくりとだけど)向かっていったのだ。まあ、たまたま今回はかなり運に恵まれて壮年親衛隊が悲惨な状況にならずにすんだけど。



 余裕で守れると思っていたらいきなりピンチとなった英連合軍。ひるむな、反撃するのだ! 予備部隊(緑)が動く。戦列中央部で砲兵の援護を受けつつ歩兵が攻撃をしかけると、さしもの壮年親衛隊も耐え切れずに後退する。続けて中央部隊(青)の砲門が火を噴く。至近距離から砲弾を浴びて次々と混乱していく親衛隊。そこに英連合軍が歩兵をかき集めて包囲、攻撃すると親衛隊は後退できずに2ユニットが壊滅。さらには2ユニットが潰走(déroute)した。




「い、いいのさ。老親衛隊の封印を解くために壮年親衛隊は犠牲になる運命なんだから」

と平静を装う仏軍プレイヤー。やっぱりこのゲーム、フランス軍をやるには強靭な精神力が必要である。


 先述のように親衛隊はすべて方陣を組んでいるが、方陣だとZOCを持たないため、するすると敵軍が親衛隊ユニットの間隙を縫って来たり背後に回ってきたりするのだ。さらに移動力が低いうえ砲撃やショック攻撃を受けるとサイの目が1不利になるため、方陣を解かせてよ!と思いたくなる場面は多い。

 だが一応、方陣にもメリットがある。JdGにはユニットの向きがあって周囲6へクスのうち前面(front)2へクス以外は背面(arrière)となり、背面から攻撃を受けると不利になるのだが、方陣を組んでいるとこのルールの適用は受けなくなる。さらにショック攻撃は前面へクスに対してのみ行えるのだが、方陣だと周囲すべてが前面へクスとみなされるため攻撃方向に制限がない。乱戦上等、どっからでもかかってきやがれ!という感じである。


つづく


共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part5

 ●第5ターン  残り2ターンである。このゲーム、序盤は共和国軍が圧倒的に優勢であるものの、反乱軍には続々と増援が登場する。下の写真はこのショートシナリオが扱う第1~6ターンの両軍の増援で、一目瞭然、共和国軍には微々たる数しか現れないのに対し、反乱軍は大量の援軍を受け取る。ヒスト...