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2022年9月13日火曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ⑤

  フランス軍は左翼(マップ下方)で攻撃を続ける。軽騎兵部隊(ピンク)と重装騎兵部隊(赤)の2部隊の攻撃で、スペイン軍軽騎兵部隊(赤)はほぼ壊滅したうえ、指揮官のペスカーラ侯フェルナンド・ダヴァロスも戦死していしまった。


 このペスカーラ侯、ラヴェンナの戦いの時にはまだ若く経験不足だったようで、他の部隊との連携もないまま騎兵で攻撃をしかけて捕虜になっている。だがその後、軍才を発揮するようになった。Aruquebusの資料として挙げられている本『The Art of War in Italy』では結構称賛されている人物である。

 1522年にはビコッカの戦いでフランスとヴェネツィアの連合軍を破ったのち、1525年のパヴィアの戦いでは神聖ローマ皇帝軍の実質的な総指揮官としてフランス軍に対して決定的な勝利をおさめ、仏王フランソワ一世を捕虜にしている。ちなみにこの2つの戦いはともにArquebusに収録されている。でもね、こんなところでペスカーラ候が戦死しちゃったらパヴィアの戦いはどうなんの?! 伊達男フランソワ一世を捕虜にできないじゃん。


 スペイン軍は砲撃でランツクネヒトをたたく。だが継続活性に失敗。敵の騎兵集団の攻撃で右翼(マップ下方)が危ういのに、この失敗は痛い。でもスペイン軍は自由活性のときしか砲撃ができないから、どうしても砲兵部隊の活性化を優先させてしまうんだよね。


 フランス軍は左翼の騎兵集団2部隊でさらにスペイン軍を追いつめる。長弓兵の射撃、そして騎兵の攻撃でスペイン軍は大きな損害を被った。さらにはスペイン軍の軍旗にも仏軽騎兵が迫る。

 この時点でスペイン軍の累積敗走ポイントは17,フランス軍は16と両軍ともまだ低いが、スペイン軍はマップ下方から回り込んだ騎兵集団によって包囲される危険が出てきた。さらにフランス軍は川の対岸からスペイン軍の軍旗近くのユニットに砲撃を加える。スペイン軍危うし。歴史は繰り返してしまうのか。




 スペイン軍は後方に回り込んできた敵騎兵集団に対し、歩兵で反撃を加える。火縄銃の斉射で、フランス軍の騎兵や長弓兵が次々と倒れていった。スペイン軍の歩兵ユニットはすべて、移動して射撃、さらに白兵戦が行えるのだ。

 またマップ下方の壕沿いでは混戦状態だったフランス軍SBを敗走させる。フランス軍は軍旗周囲がすでに自軍敗走ユニットによって埋め尽くされているためこれ以上の敗走はできず、壊滅となった。SBが除去されると敗走ポイントが5と高いため、かなり痛い。


 部隊が細分化されているフランス軍とは対照的に、スペイン軍の歩兵12ユニットはすべて1部隊にまとめられている。敵軍がこうして両翼から陣内に進入してきた場合、内線の利を生かして対応しやすくなるのだ。

一方で、スペイン軍歩兵は一人しかいない指揮官のペドロ・ナバロの士気範囲内にとどまっておく必要があるため、塁壁を越えて積極的に打って出るということが難しくなっている。このあたりも、防御に固執したというペドロ・ナバロの方針がうまく表現できているように思える。


 スペイン軍は歩兵部隊に続き、左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)で敵騎兵部隊に猛攻を加え、フランス軍の重装騎兵部隊(黒)を壊滅させた。




 両翼で逆にスペイン軍に押し返されているフランス軍は、中央の無傷のパイク兵部隊(黄土色)とその左横のSB部隊(青)で攻撃をかけようとする。

 SB部隊の正面の敵歩兵はほぼすべて混乱状態。こちらも消耗しているとはいえ、敵は兵力をフランス軍騎兵への対応に転用してこちらは手薄になっている。そしてSB部隊と同時に、パイク兵部隊で敵陣地の角にあたるところのスペイン軍歩兵に集中攻撃をかけ、損害を恐れずWagon Gunを攻撃していくのだ。中央方面で兵力にものを言わせて圧力をかけ、左翼の騎兵部隊で挟み撃ちにしてやる。


 だが、無情にも活性化チェックのサイの目は8で失敗。ぐはっ。ここでスペイン軍に自由活性が移ってしまうとは。部隊間の連携がフランス軍の勝因じゃなかったのかよ。


 スペイン軍は自軍の軍旗近くにまで突出してきていた敵軽騎兵を連続射撃で壊滅。さらに右翼(マップ左方)に攻撃を仕掛け、長弓兵や重装騎兵を壊滅させていく。フランス軍の累計敗走ポイントは39に上った。フランス軍の敗走レベルは45で、累計敗走ポイントとサイの目を出してこの数を超えると負けてしまう。これはまずい。


 フランス軍は軍旗を活性化させ、敗走状態の7ユニットを士気回復。一気に累計敗走ポイントが32に下がる。そして無傷のパイク兵部隊で今度こそ攻撃をかけるのだ。だが継続活性に失敗。ぐはっ。またかよ。1部隊だけでの継続活性の場合、60%で成功するはずなのに。総司令官のガストン・ド・フォアは将として優れているとはいえまだ20代の若者。部隊の統率にはもっと経験が必要だったということか。


 自由活性を得たスペイン軍は右翼(マップ左方)で畳みかける。計算どおりに部隊が動かず残念だったな、ガストン・ド・フォアくん。認めたくないかもしれないが、若さゆえの過ちというものだよ。

 フランス軍の軽騎兵部隊(ピンク)は全滅、重装騎兵部隊(赤)も残り1ユニットとなった。さらにスペイン軍は壕沿いで射撃を行い、SBを壊滅させる。フランス軍の累計FPは42に。スペイン軍はいまだに17だ。

 敗北がほぼ決定的なフランス軍は最後のあがきを見せ、SB部隊の残存兵力すべてを投入して攻撃をしかける。フランス軍の誇りを見せろ! そしてド・フォアも史実と同じく敵に突っ込んで華々しく散るがいい! …いや、ド・フォアが戦死したのは勝ち戦の最後だからね。そしてその後の敗北チェックで4を出し、負けとなった。


 あまり動きのない陣地戦かと思いきや、フランス軍はいつどこでいくつの部隊を動かすか考えないといけないし、陣地両端から騎兵の攻撃、対岸からの砲撃と、結構変化があって両プレイヤーとも楽しめました。後半、パイク兵部隊の活性化に成功し、ランツクネヒト部隊も投入できていたらスペイン軍はもっと苦しくなったはず。敵陣後方に回り込んだ騎兵集団に入れ込みすぎたかも。あと、スペイン軍プレイヤーとしてはペスカーラ侯の見せ場が欲しかったかな。でもペスカーラ侯が活躍するようになるのはラヴェンナの後ですから。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年9月9日金曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ④

  マップ下方のSB部隊(青)の奮戦で敵陣地の一角が空いた。そこにすかさずフランス軍はパイク兵部隊(黄土色)を前進させる。

このパイク兵はフランス北東部のピカルディ地方の兵ということになっており、射撃能力はなくパイク兵のみで構成されている。イタリア戦争中に歩兵に火縄銃兵を配備するという編成が普及していき、このラヴェンナの戦いでもドイツ傭兵のランツクネヒトやフランス軍のSB部隊を構成するイタリア兵には火縄銃兵が含まれている。またスペイン軍の歩兵はスペインのSBと教皇軍のパイク兵から成るが、すべて射撃能力がある。フランスはこういう戦術の進化にすこし遅れていたってことなんですかね。


 そして右翼(マップ上方)の砲兵部隊(緑)で砲撃。かなりラッキーなことに敵の砲兵1ユニットを壊滅させた。敵中央に少しずつほころびが出てきている。パイク兵部隊に続けてそろそろランツクネヒトを投入するタイミングか。


 スペイン軍は中央の砲兵でやり返す。身を隠すことができない場所にいる歩兵など砲撃のいい餌食である。クロスボウとランツクネヒト1ユニットを敗走させた。

 そして川の対岸から砲撃を受けるようになった左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)だが、このままでは一方的に損害が増えるだけだ。砲撃の有効射程外に退避させる。



 対岸からの砲撃で動揺した敵が動いた。今こそ好機! そう見て取ったフランス軍は、最右翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(黒)が塁壁と川の間隙から敵陣内に突入し、怒涛のチャージ。重装騎兵集団の突撃はすさまじく、スペイン軍の重装騎兵1ユニットが壊滅、さらに掩蔽状態だったSBが敗走した。

 フランス軍は同時に最左翼(マップ下方)の軽騎兵部隊(ピンク)も動かす。当初のプラン通り、左翼で攻勢をかけるのだ。この部隊には長弓兵(Longbow, LB)も含まれており、正面の敵軽騎兵部隊(赤)に射撃で大きな損害を与えた。



 この2部隊同時活性化による多方面での同時攻撃こそフランス軍の持ち味。「スペイン軍はこんな芸当できないでしょ、ぐはは。総指揮官の能力の違いがこういうところで出るのよ」とフランス軍プレイヤーは余裕しゃくしゃく。いや、当時の指揮官の能力の違いであって、プレイヤーの能力の違いじゃないからね、そこんとこ間違わないように。


 ちなみに当時、主要な射撃兵器はクロスボウから火縄銃に移っていっていたが、弓兵も依然として使われていた。日本の戦国時代でも、火縄銃が伝来した後も弓矢が使われていましたよね。フランスのフランク弓兵(Franc-archer)は1535年まで存続していたし、イングランドではラヴェンナの戦いの約80年後、16世紀末になって長弓の廃止が正式に決まっている。このラヴェンナの戦いでは弓兵やクロスボウ、火縄銃、それに砲兵と新旧様々な兵種が含まれているが、中世から近世の過渡期というイタリア戦争っぽい。


 左右両翼からの同時攻撃で大きな損害を受けたスペイン軍。さらに右翼(マップ下方)方面には敵重装騎兵部隊(赤)が後詰めとして続いている。このままでは右翼は粉砕され、史実通り後方に回り込まれてしまう。

 スペイン軍は砲撃でランツクネヒトを1ユニット敗走させたのち、歩兵部隊(茶色)を動かす。右翼に救援を差し向ける一方、左翼(マップ上方)に突撃してきた敵重装騎兵を攻撃、敵の衝力を奪った。


 これで一息、と思いきや、右翼の壕沿いの歩兵ユニットは混戦状態なので、自部隊が活性化したら攻撃せざるを得ない。攻撃側混乱など多くは不利な結果となったが、1ユニットが奮戦し敵のSBを壊滅させる。だが戦闘後前進の際の壕越え混乱チェックに失敗、混乱状態になった。スペイン軍側から壕・塁壁越しに攻撃する場合、混乱チェックはないのだが、戦闘後前進で壕を越える場合はチェックが課されるのだ。正面の敵を壊滅させ勢いに乗って壁や壕を越えたものの隊列が乱れてしまった、というイメージか。


 ここでフランス軍が自由活性を得たが、2部隊を活性化しようとして失敗。スペイン軍に自由活性が移る。フランス軍は敵に対応する余裕を与えずに攻撃を継続しようとしていたのに、これは痛い。

 スペイン軍は軍旗(Standard)を活性化させ敗走状態だった4ユニットを混乱状態に戻す。こうして自軍立て直しに努めたうえで、左翼(マップ上方)の重装騎兵が敵騎兵に反撃。指揮官の陣頭指揮で敵ユニットを壊滅させる。だが継続攻撃で敵指揮官直属の重装騎兵に側面から突っ込んだが、攻撃側混乱で混戦状態に。


 騎兵部隊に続けてスペイン軍は歩兵部隊の活性化に成功。左翼(マップ上方)の敵重装騎兵に追い打ちをかけ、右翼では陣地側面に進入してきた敵騎兵部隊を連続射撃で敗走させる。スペイン軍の歩兵にはすべて火縄銃兵が配備されているので射撃能力があるのだ。



 スペイン軍はひとまず両翼での火消しに成功したものの、マップ下方では敵の無傷の重装騎兵部隊(赤)が陣地と湿地の隙間から突入してくるだろう。さらに中央ではランツクネヒトとパイク兵の2部隊が健在のうえ、対岸からの砲撃も無視できない。

 逆にフランス軍は兵数の優位、それに部隊間の連携を生かしてスペイン軍に息をつかせないようにしたい。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年9月7日水曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ③

  着々とフランス軍が攻撃準備を整えていったが、やっとスペイン軍に自由活性が移る。歩兵部隊(茶色)を活性化させ、スペイン軍の弱点と思われる右翼(マップ下方)に一部ユニットをシフトさせるとともに、砲撃を受ける位置にいるユニットは掩蔽状態(Entrenched)にする。


 このシナリオの特別ルールでスペイン軍の歩兵は掩蔽状態になることができ、敵の砲撃をほぼ無力化できる。だが掩蔽状態では射撃はできないため、敵歩兵が前進して白兵戦を挑んできた場合、対応射撃ができない。掩蔽状態を解除するにも活性化時に何もしないことが条件となるため、敵の動きに対応するための移動などがすぐにはできない。さらに掩蔽状態のときに白兵戦で攻撃されると+1DRMと不利になる。


 続いてスペイン軍は左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)を前進、集結させる。これで敵正面の騎兵部隊(黒)も、壕の切れ目と河川の間の狭い隙間から突入してくるということはなかなかできないだろう。


 ここで自由活性を得たフランス軍は、2部隊を同時に活性化しようとしてチェックに失敗。自由活性化の際でも2部隊を活性化しようとすると、30%の確率で失敗となり敵に自由活性が移るのだ。


 スペイン軍は中央の砲兵で砲撃を開始。フランス軍中央、ランツクネヒト前面のクロスボウ部隊が砲火にさらされ次々と被害を受けた。ふん、そんなの計算のうちさ、と平静を装うフランス軍プレイヤー。実際は、クロスボウ部隊で弾除けをするのではなくランツクネヒト部隊を少し後退させておけばよかったと心の中で後悔していた。Arquebusでは砲兵はかなりの射程を持つが、5へクス以上離れるとほとんど効果がないからだ。

 だが、ランツクネヒトの移動力は3しかないため、砲兵から5へクス以上離れるように後退すると一回の移動で壕・塁壁に取り付けない。スペイン軍としては中央からの圧力が減るため他方面に対応しやすくなる。そのためフランス軍は今回のように後退せずに砲撃に耐え、戦機を逃さず前進、壕・塁壁に攻撃をかけるというのがいいのかもしれない。


 一方で、スペイン軍の砲兵部隊(緑)は指揮官がいないため自由活性のときにしか活性化できない。つまり砲撃のタイミングが制限されているわけで、スペイン軍の部隊間の連携の悪さがこういった形でも表されているように思える。そのためフランス軍は多方面でプレッシャーをかけ、自由活性を砲撃に使うべきかどうかスペイン軍が判断に迷うような状況を作り出すべきなのだろう。


 フランス軍は2部隊を同時活性化。右翼(マップ上方)の砲兵部隊(黒)から1ユニットを抽出し、史実同様に迂回渡河を始める。向こう岸から敵左翼(マップ上方)の重装騎兵に砲撃を加えるためだ。そして中央左翼寄り(マップ下方)の重装騎兵部隊(赤)を左にシフト。こうして両翼からの攻撃態勢を整えていく。




 このシナリオでは砲兵ユニットは両軍とも移動ができないのだが、特別ルールでフランス軍は右翼(マップ上方)の砲兵部隊から1ユニットだけ河の対岸に移動させることができる。史実でもこのような砲兵の移動があったようだけれども、当時すでに砲には野戦で戦術的な機動性があったんですね。なんか意外。砲のことはよく知らないけど。ここの砲兵部隊はフェラーラ公アルフォンソ・デステ指揮下のもので、フェラーラ公は砲の運用に長けていたらしい。


 その後は両軍の砲撃の報酬が続いたが、フランス軍はころはよし、と本格的な攻撃を開始する。自由活性で2部隊を同時活性化し、先ほど渡河を始めた砲兵ユニットを川の対岸に配置。敵重装騎兵に砲撃を加え混乱状態にした。

 そうしてマップ上方で圧力をかけつつ同時に、フランス軍左翼(マップ下方)のSword&Buckler(SB)部隊(青)が動く。スペイン軍歩兵が掩蔽状態になったため砲撃では効果がないが、白兵戦を仕掛けるには有利な状況だからだ。ちなみにSBのBucklerとは、以前チェリニョーラの戦いのAARでも説明したが小さめの丸い盾である。


 SB部隊は敵が掩蔽状態だったため対応射撃を受けることなく壕にとりつき、白兵戦(Shock)を開始。守るスペイン軍歩兵もSBである。壕を渡り塁壁を乗り越えようとするフランス軍に対し、剣で必死に防戦するスペイン軍。両軍が入り乱れての戦いとなり、多くの攻撃が混戦(Engaged)に終わった。


 白兵戦の戦闘結果の混戦は、Men of IronシリーズではBlood&Rosesまでは選択ルールだったがArquebusでは標準ルールとなっていて、防御ユニットが正常状態の場合は60%、混乱状態の場合は40%と結構な確率で出る。

 混戦状態になった場合、離脱(Disengage)しない限り自部隊の活性化時に白兵戦で攻撃をしないといけない。そのため混戦状態のユニットを含む部隊を活性化するのは悩ましい場合も生じる。スペイン軍は歩兵がすべて一つの部隊にまとまっているため、このように一部ユニットが混戦になると、別方面で歩兵を動かす場合でも混戦状態の歩兵ユニットはフランス軍への攻撃を強制される。

 自部隊の活性化の際に攻撃しないようにするためには離脱してそのヘクスから移動するしかないが、混乱状態になるうえ、予備ユニットが空になったヘクスを埋めない限り壕・塁壁の防御拠点を敵に明け渡すことになるのだ。


 ほとんどが混戦となったフランス軍SB部隊(青)の攻撃だが、部隊戦列右端の1ユニットが奮戦する。壕越しの攻撃で混乱状態になりながらも、先の砲撃で被害を受けていた敵Gun Wagonを壊滅させ継続攻撃(Continued Attack)を出す。Gun Wagonとスタックしていた砲兵は雲散霧消した。

 隊形を乱しながらも塁壁を乗り越えるフランス軍SB。混乱状態のユニットは戦闘後前進ができないのだが、継続攻撃の場合は別なのだ。うおおー!!と敵陣に乱入し、さらにGun Wagonと砲兵のスタックを壊滅させたものの、そこで待ち構えていたスペイン軍パイク兵(Pike, PK)に突っ込んでしまい、逆に撃退されてしまった。継続攻撃あるあるである。


つづく




(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年9月5日月曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ②

 ラヴェンナの戦いでは、野戦陣地にこもったスペイン軍に対してフランス軍が攻撃。まずは両軍の砲撃戦が繰り広げられた。スペイン軍の歩兵は低地に身を潜めており被害は少なかったものの、軽騎兵が砲撃に耐えられなくなり攻撃をしかける。一方フランス軍も、敵の砲撃範囲内に布陣してまったランツクネヒトが前進して攻撃を開始。血みどろの戦いが繰り広げられるが、スペイン軍の軽騎兵集団を撃退したフランス軍騎兵が敵陣地の側面から後方に回り込み勝負を決めた-というのがだいたいの流れのようだ。

 両軍とも被害は甚大で、多くの指揮官が死亡したり捕虜になったりしている。フランス軍の総指揮官のガストン・ド・フォアはまだ20代前半の若さながらその将才を認められていたが、この戦いで戦死した。でも、戦いの帰趨が決まった後で敵の残存歩兵に少数の騎兵で突っ込みそこで槍衾にやられてしまったそうで、若くて血気盛んなのはわかるけど総大将なんだから自重してください。


 この戦いでのフランス軍の勝因は、各部隊の連携にあるらしい。総指揮官ガストン・ド・フォアのもと、歩兵、砲兵、騎兵が連携して攻撃したが、スペイン軍にはそれが欠けていた。スペイン軍の陣地構築を指揮したペドロ・ナバロは防御に固執していたのに、砲撃を受けた軽騎兵部隊は攻撃をしかけてしまっている。 一方、フランス軍は各部隊が機を逃さず動いており、砲兵の一部は戦闘開始後に渡河して敵の側面から砲撃を浴びせかけ、スペイン軍の敗因の一つとなった。なお、ペドロ・ナバロはこのシナリオでスペイン軍歩兵部隊の指揮官になっている。


 フランス軍の部隊間での連携を反映してか、このシナリオのフランス軍は指揮については特別ルールがある。Men of Ironシリーズでは基本的に各部隊に指揮官がいて、指揮官の活性化値(Activation Rating)を使って部隊(Battle)ごとに活性化させる。だがこのシナリオではフランス軍は最大3部隊を同時に活性化できるのだ。フランス軍の活性化には指揮官の活性化値ではなく活性化表(French Activation Table)を使うのだが、同時に活性化する部隊が多いほど失敗する可能性は高くなっている。フランス軍は総兵力では勝っているものの9つの部隊に細分化されているため、慎重に1部隊ずつ動かすだけでは数の優位を生かせない。リスクを冒してでも一気に複数の部隊で攻撃にでるかどうか、フランス軍としては悩まやしい局面が多々生じるはず。


 攻めるフランス軍にとって厄介なことに、スペイン軍の前面には戦列に沿って壕(Trench)と土でできた塁壁(Rampart)が続いていて、防御に有利な態勢にある。壕・塁壁越しの攻撃はDRM-1と攻撃側に不利なうえ、フランス軍が壕越しに白兵戦(Shock)を仕掛ける場合、混乱チェックをしなければならない。そのため、フランス軍プレイヤーは左右両翼の壕の切れ目、特に左翼(マップ下方)に攻撃の主軸を置くことにする。この方面にはスペイン軍の軽騎兵部隊しかいないうえ、比較的スペースが広がっており、フランス軍の数の優位を生かせるからだ。ただそれだけだと攻撃が単調になり敵にとって対応が容易になるため、砲撃、そして騎兵部隊の攻撃と連動しての歩兵の攻撃が欠かせない。


 そのような方針のもと、フランス軍は左右両翼の砲兵二部隊で砲撃を開始し、スペイン軍に損害を与える。さらに右翼(マップ上方)のクロスボウ部隊(灰色)をランツクネヒト(茶色)の前に展開。ランツクネヒトの正面にはスペイン軍の砲兵(緑)が並んでいるため、敵砲兵の射線(LOS)をさえぎってランツクネヒトが砲撃を受けないようにするためだ。ユニットが壊滅すると課される敗走ポイント(Flight Point, FP)はユニットの種類によって違い、FPが大きいものほどいわば高価なのだけれども、ランツクネヒトは5もあるがクロスボウは2。クロスボウが犠牲になってもランツクネヒトを守る目論見である。



 ランツクネヒトは敵から砲撃を受ける前にさっさと前進して白兵戦をしかけるという選択肢もあるが、正面のスペイン軍は砲兵とスタックしてGun Wagonが並んでいる。ラヴェンナの戦いの百年近く前、15世紀前半のフス戦争で馬車や荷車に防御を施した木製の装甲車と言えるものが登場したが、このGun Wagonはその流れを汲んでいるらしい。イタリア戦争関連の本を読んでみると、当時使われていた車両は大鎌のような刃や槍のようなものが突き出ていて敵歩兵の突進を妨げ、木の板に守られた火縄銃兵が射撃をする、というものだったそうだ。

 

 フランス軍のランツクネヒトが攻撃する場合、前進して敵陣にとりついた時点でGun Wagonから対応射撃(Reaction Fire)を受け、60%の確率で混乱状態になる。その後にランツクネヒトも射撃(Active Fire)できるが、Gun Wagonへの射撃はその防御力を反映してかDRM-2と不利。さらに白兵戦攻撃でも壕・塁壁越しの攻撃なので混乱チェックがある。

 ランツクネヒトが混乱状態で正常の状態のGun Wagonを壕・塁壁越しに白兵戦で攻撃した場合、諸々の修正を合算するとDRM-1と不利になる。もし白兵戦での攻撃に成功してGun Wagonと砲兵を排除しても混乱状態だったら戦闘後前進はできないため、敵の歩兵がその穴を埋めてしまうだろう。そのためフランス軍は、ランツクネヒトの投入は時機を待って行うことにする。それまでクロスボウが犠牲になるがやむを得ない。

 「えー、クロスボウ部隊を弾除けにするなんてひでー」と非難するスペイン軍プレイヤーに対し、「勝たなきゃ意味ねえよ」と応えるフランス軍プレイヤー。

「一将功なりて万骨枯る、とか言われても意に介さず。というか、あんたもフランス軍だったら同じことするんじゃないの」

「……はい、します」


 フランス軍はさらに継続活性に成功。最右翼(マップ上方)の重装騎兵(Men-at-Arms, MM)に側面を固めさせる。フランス軍の右翼はMM以外は砲兵しかおらず防御力に乏しい一方で、正面に敵のMM部隊がいるため、敵が陣地から出てきて突撃をくらうと苦戦しかねないからだ。 


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年8月31日水曜日

(幕間)イタリア戦争関連の書籍

  ラヴェンナの戦いがあったイタリア戦争って全然知識がない、と思って本を探してみた。塩野七生の作品、例えば『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』『わが友マキアヴェッリ』とかこの時代を扱っているものはいくつかあるけど、イタリア戦争全体を通してのまとまった本が見つからない。ちなみにチェーザレと言えば『チェーザレ 破壊の創造者』っていう漫画もありますね。

 佐藤賢一の『ヴァロア朝』では数十ページにわたってフランス視点で書かれている。ほかにも『イタリア史10講』とか『戦闘技術の歴史3 近世編』とか、イタリア戦争に少し触れている本があることはある。

 アドテクノスのラヴェンナの戦いは昔知人が持っていたのを見せてもらったことがあって、ヒストリカルノートが充実していた記憶がある。気軽に買えないのが難かな。ヤフオクでも時々出品されているのを見るし、手に入れればいいのだろうけれど。そういえばタクテクス誌でもラヴェンナの戦いの記事があった記憶が。


 Arquebusのルールブックには資料としていくつか本が挙げられてあって、最後に「…笑わないでね、ウィキペディア…」と書いてある。いや、笑いませんよ。いつもウィキにはお世話になっているし。

 ウィキと言えば、創設者ジミー・ウェールズが10数年前に来日したとき、誰でも編集できるから内容の信ぴょう性に欠けるのではとの質問に対し、

「確かにその通りだ。でも何かを調べようと思った時に、出発点としては最適なのだ。自分の知らない事柄については何から調べていいかわからないが、まずはウィキペディアを読み、そこに書かれている情報について他のソースにあたっていくことができる」

という感じの返答をしていて、ほう、なるほどね、と思った記憶はある。ちなみにジミーは結構イケメンでした。それと確か同じ年にユーチューブの共同創設者二人も来日していたな。日本のテレビ局が新興のユーチューブを敵対視というか警戒視していた雰囲気が懐かしい。


 でもね、たしかにウェブ上でイタリア戦争についていろいろ読めるけど、一冊まとまったものを読まないとなんというか落ち着かないんですよね。で、日本語の本はあきらめて、アマゾンで『Italian Wars』という本を見つけて買ってみた。Hourly Historyというところから出ていて、忙しい人のために1時間でさっと読めるシリーズらしい。

 本自体は薄っぺらくて、アマゾンによると45ページしかない。アマゾンによるとというのは、この本にはページ番号、いわゆるノンブルがつけられてないのである。ノンブルがついてない本なんて初めて見た。しかも最後のページには「Printed in Japan 落丁、乱丁本のお問い合わせはAmazon.co.jpカスタマーサービスへ」と日本語で書かれている。もしかしてアマゾンジャパンが印刷してんの?

 といささか訝しく思いながら読んでみると、中身はまともそうで、わかりやすくまとまっていました。疑ってごめんなさい。イタリア戦争の流れをざっくりと知るには、自分が読んだ中ではこの本が一番いいかな。



戦争ものの定番、OspreyのMen-at-Armsシリーズには『Renaissance Armies in Italy 1450-1550』というのがある。年表には結構説明が書かれているので、イタリア戦争の流れを追っていくのに便利。それに各国の軍隊の特徴も解説してある。なによりページ数が少ないうえイラスト中心なので読むのが楽である。Ospreyといったら『Pavia 1525』とか『Fornovo 1495』など、Arquebusに収録されている戦いについての本も出ている。


 Arquebusのルールブックで資料として挙げられている本のなかには『The Art of War in Italy 1494-1529』というのがあって、騎兵の章とラヴェンナの戦いについての解説の部分の和訳が『私家版近世欧州軍事史備忘録(別冊2)イタリア戦争の戦争術1494-1529 第四章 騎兵』というタイトルで出ていて、小さなウォーゲーム屋でも手に入る。でもなんで全部訳さなかったのかな。百数十ページしかない短い本なのに。

 戦略、歩兵、騎兵、砲兵、戦術などの章に分かれていて、各章10数ページしかないので読む負担が少ない。けど、イタリア戦争全体の流れを知ってから読んだほうがいいかも。時代的には、書名にもあるようにイタリア戦争の前半を扱っている。


 ほかに、これもルールブックに資料として挙げられている『The Renaissance at War』という本は、前半がこの時代の戦術や武器、制度について書かれている。テルシオにつながる歩兵の部隊編成とか、兵に月いくら払っていたかとか。後半は歴史。対トルコ戦争、イタリア戦争、宗教戦争についての章からなる。ラヴェンナの戦いの戦況図も載っていてイメージがしやすくなった。


 あとCharles Oman著の『A History of the Art of War in the Sixteenth Century』という本のBook Ⅰ~Ⅲがイタリア戦争について書いている。枕にするのにちょうどいい感じの分厚い本なので全部読む気はしないけど、イタリア戦争関連の部分だけ拾い読みしてみた。古い本ですけどね。イタリア戦争当時の戦略と戦術の章、それにイタリア戦争後期における戦術の変化の章が面白かったな。


 それとこれは忘れちゃいけない、C3i誌31号にWeaponary in Arquebusというリチャード・バーグが書いた記事もありましたね。みなさんも他に手ごろな本を知っていたら、教えていただければうれしいです。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)


2022年8月25日木曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ①

  ラヴェンナの戦い、というと昔アドテクノスからゲームが出ていたのである程度知名度はあるのではないかと勝手に思っている。Men of IronシリーズのArquebusでもラヴェンナの戦いが収録されているのでやってみた。


 この戦いはイタリア戦争の最中に起こったのだけれど、イタリア戦争って全然知らない。ちょっと調べてみると、15世紀末から16世紀半ばまで約60年間の、断続的な戦争の総称のようだ。

 基本的にフランスがイタリアに攻め込み、それに対しスペイン、神聖ローマ帝国が対抗。その間ヴェネツィアやローマ教皇などイタリアの諸国が合従連衡を繰り広げて強くなった国をたたき、結局フランスはイタリアをあきらめ、イタリアの大部分がハプスブルク家の統治下となる、という流れらしい。というか、いろんな同盟が出てきてややこしいんだよね。


 しかもイタリアだけの話にとどまらず、ヨーロッパ全域の戦争と関連があるのが特徴らしい。イタリア戦争以前、15世紀には英仏百年戦争やフス戦争、フランスとブルゴーニュ公国の衝突やスイスとハプスブルク家との争い、それにオスマントルコによるハンガリーへの侵攻など様々な地域で戦争が起こったが、あくまでも地域内での戦いで、戦争間の関連性に乏しかった。イタリア半島でも諸国家間で傭兵を使って様々な戦いが行われていたが半島内での話。イベリアのアラゴン王アルフォンソがナポリ王国を占領したりしたけどこれは他の様々な地域と関連する国際的な戦争ではなくイタリアに限定したものだ。

 だがイタリア戦争の時期になると、スペイン、フランス、ドイツ、低地諸国、ハンガリー、オスマントルコなど多くの国が巻き込まれた大規模な戦争に次第に変化していく。


 ……というのはイタリア戦争関連の本からの受け売りである。正直自分はよく知らない。でも実際、イタリア戦争の時代にはスペイン王カール一世が神聖ローマ皇帝カール5世として即位することでスペインとドイツが一つになったり、オスマントルコによるウィーン包囲があったり、フランスとオスマントルコが同盟してハプスブルク家に対抗したり、イギリスのヘンリー8世がフランスに攻め込んだりとヨーロッパ全体が複雑に絡み合っていく。この辺の状況はGMTのHere I Standが好きな人だったらよくわかるんじゃないかと思います。


 で、ラヴェンナの戦いである。ラヴェンナは北イタリアの都市で、西ローマ帝国末期には宮廷が置かれていた。しかしホノリウス、なんでスティリコを処刑しちゃうかな…。おおっと、時代が違った。ラヴェンナの戦いは1512年で、日本だと戦国時代の初期にあたる。上杉謙信や武田信玄の生まれる10~20年ぐらい前のことである。

 イタリアに侵攻したフランスに対し、ローマ教皇がヴェネツィア、スペインなどと神聖同盟を結成。フランス軍は神聖同盟側の都市ラヴェンナを攻撃する。その救援にスペイン軍を中心とする神聖同盟の軍隊が派遣されて起こったのが、今回プレイするラヴェンナの戦いである。


 兵力に劣る神聖同盟軍はラヴェンナ近郊で野戦陣地を構築。フランス軍は補給線が後方でヴェネツィアによって妨害されていること、さらにはスイス軍が背後のロンバルディア平原に南下してくるという情報もあり、早期に敵の救援軍を排除する必要があった。また総兵力、とくに砲兵力で優越していたこともあって、攻撃を決意する。

  一説では、フランス軍に所属していたドイツ傭兵ランツクネヒト部隊が、まもなく神聖ローマ帝国はフランスと開戦するからすぐにフランス軍の陣を離れるようにとの密命を皇帝マクシミリアン一世から受け取ったことも、フランス軍が早期に攻撃をする一因となったらしい。ランツクネヒトを率いていたトマス・エンプサーは長年フランス王のもとで戦っており、戦いの直前になって軍を離脱するのに忍びなくフランス軍総指揮官ガストン・ド・フォアに皇帝からの命令の内容を告げたそうだ。確かに神聖ローマ帝国は神聖同盟に加わっているし、マクシミリアン一世はランツクネヒトの父と呼ばれているからこういうことはあり得ないわけではないけど、なんか出来すぎていて小説みたいな逸話だな。



 初期配置(写真上)を見ればわかるように、スペイン軍(Arquebusの表記に則って神聖同盟軍をスペイン軍と呼ぶことにする)の前面には壕(Trench)と塁壁(Rampert)が構築されており、左翼(マップ上方)は川、右翼は湿地で守られている。

 それに対してフランス軍は左右両翼に騎兵集団と砲兵部隊が配置され、多くの歩兵ユニットが中央を占めている。理想的な防御地形に布陣したスペイン軍に対し、フランス軍はどう攻めていくのかが考えどころである。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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