ラヴェンナの戦い、というと昔アドテクノスからゲームが出ていたのである程度知名度はあるのではないかと勝手に思っている。Men of IronシリーズのArquebusでもラヴェンナの戦いが収録されているのでやってみた。
この戦いはイタリア戦争の最中に起こったのだけれど、イタリア戦争って全然知らない。ちょっと調べてみると、15世紀末から16世紀半ばまで約60年間の、断続的な戦争の総称のようだ。
基本的にフランスがイタリアに攻め込み、それに対しスペイン、神聖ローマ帝国が対抗。その間ヴェネツィアやローマ教皇などイタリアの諸国が合従連衡を繰り広げて強くなった国をたたき、結局フランスはイタリアをあきらめ、イタリアの大部分がハプスブルク家の統治下となる、という流れらしい。というか、いろんな同盟が出てきてややこしいんだよね。
しかもイタリアだけの話にとどまらず、ヨーロッパ全域の戦争と関連があるのが特徴らしい。イタリア戦争以前、15世紀には英仏百年戦争やフス戦争、フランスとブルゴーニュ公国の衝突やスイスとハプスブルク家との争い、それにオスマントルコによるハンガリーへの侵攻など様々な地域で戦争が起こったが、あくまでも地域内での戦いで、戦争間の関連性に乏しかった。イタリア半島でも諸国家間で傭兵を使って様々な戦いが行われていたが半島内での話。イベリアのアラゴン王アルフォンソがナポリ王国を占領したりしたけどこれは他の様々な地域と関連する国際的な戦争ではなくイタリアに限定したものだ。
だがイタリア戦争の時期になると、スペイン、フランス、ドイツ、低地諸国、ハンガリー、オスマントルコなど多くの国が巻き込まれた大規模な戦争に次第に変化していく。
……というのはイタリア戦争関連の本からの受け売りである。正直自分はよく知らない。でも実際、イタリア戦争の時代にはスペイン王カール一世が神聖ローマ皇帝カール5世として即位することでスペインとドイツが一つになったり、オスマントルコによるウィーン包囲があったり、フランスとオスマントルコが同盟してハプスブルク家に対抗したり、イギリスのヘンリー8世がフランスに攻め込んだりとヨーロッパ全体が複雑に絡み合っていく。この辺の状況はGMTのHere I Standが好きな人だったらよくわかるんじゃないかと思います。
で、ラヴェンナの戦いである。ラヴェンナは北イタリアの都市で、西ローマ帝国末期には宮廷が置かれていた。しかしホノリウス、なんでスティリコを処刑しちゃうかな…。おおっと、時代が違った。ラヴェンナの戦いは1512年で、日本だと戦国時代の初期にあたる。上杉謙信や武田信玄の生まれる10~20年ぐらい前のことである。
イタリアに侵攻したフランスに対し、ローマ教皇がヴェネツィア、スペインなどと神聖同盟を結成。フランス軍は神聖同盟側の都市ラヴェンナを攻撃する。その救援にスペイン軍を中心とする神聖同盟の軍隊が派遣されて起こったのが、今回プレイするラヴェンナの戦いである。
兵力に劣る神聖同盟軍はラヴェンナ近郊で野戦陣地を構築。フランス軍は補給線が後方でヴェネツィアによって妨害されていること、さらにはスイス軍が背後のロンバルディア平原に南下してくるという情報もあり、早期に敵の救援軍を排除する必要があった。また総兵力、とくに砲兵力で優越していたこともあって、攻撃を決意する。
一説では、フランス軍に所属していたドイツ傭兵ランツクネヒト部隊が、まもなく神聖ローマ帝国はフランスと開戦するからすぐにフランス軍の陣を離れるようにとの密命を皇帝マクシミリアン一世から受け取ったことも、フランス軍が早期に攻撃をする一因となったらしい。ランツクネヒトを率いていたトマス・エンプサーは長年フランス王のもとで戦っており、戦いの直前になって軍を離脱するのに忍びなくフランス軍総指揮官ガストン・ド・フォアに皇帝からの命令の内容を告げたそうだ。確かに神聖ローマ帝国は神聖同盟に加わっているし、マクシミリアン一世はランツクネヒトの父と呼ばれているからこういうことはあり得ないわけではないけど、なんか出来すぎていて小説みたいな逸話だな。
初期配置(写真上)を見ればわかるように、スペイン軍(Arquebusの表記に則って神聖同盟軍をスペイン軍と呼ぶことにする)の前面には壕(Trench)と塁壁(Rampert)が構築されており、左翼(マップ上方)は川、右翼は湿地で守られている。
それに対してフランス軍は左右両翼に騎兵集団と砲兵部隊が配置され、多くの歩兵ユニットが中央を占めている。理想的な防御地形に布陣したスペイン軍に対し、フランス軍はどう攻めていくのかが考えどころである。
つづく
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