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2022年5月31日火曜日

火器が勝敗を決した初の戦い Cerignola 1503 - Arquebus (GMT) AAR ④

  マップ上端でなんとか壕を突破したフランス軍だが、スペイン軍の猛火にさらされる。スイス傭兵がバタバタと倒れ、2ユニットが壊滅。Men of Ironシリーズでは歩兵のFP(敗走ポイント。ユニットが壊滅するとこのポイントがたまっていき負けてしまう)が2~3なのに、Arquebusではなんと5である。最高指揮官(Overall Commander)と同じFPなのだ。貴重なスイス傭兵、前回攻撃しないんだったら敵から離しておけばよかった…。ウィリアム・テルさん、ごめんなさい。


 その後フランス軍は混乱状態や敗走状態のユニットの回復に努め、再び左翼(マップ上方)から攻撃をかける。スペイン軍の対応射撃に多くの損害が出るが、塁壁の右端への攻撃に戦力を集中し、3ユニット連続射撃の末に防御ユニットを敗走させる。おおお、塁壁が空いた!


 塁壁があるから余裕で守れる、と思っていたスペイン軍は慌てる。兵力を右翼(マップ上方)にシフトさせ、射撃戦で敵を敗走させたうえで、壕のこちら側に単独で進出しているフランス軍SBに白兵戦を仕掛け退却させる。

 フランス軍はめげずに再び塁壁右端(マップ上方)に攻撃を集中。防御しているパイク兵を射撃で敗走させ、空いたへクスにSBが侵入。ついに塁壁を突破‼ フランス軍プレイヤーは雄たけびをあげ、スペイン軍プレイヤーは動揺を必死に隠そうとする。ソロプレイだけど。


 だが侵入してきたフランス軍SBにスペイン軍が即座に反撃。射撃で壊滅させ、フランス軍FPは23になった。FPにサイの目を足して敗走レベルを超えるかどうかの敗北チェック(Loss Check)では、1の目を出して乗り切る。これはまだあきらめるなという神の啓示に違いない。スイス傭兵のパイクユニットが塁壁内に侵入。戦闘忌避チェックも乗り越えてスペイン軍SBに白兵戦を仕掛け、混乱させる。まだまだ俺たちは戦える! だがこの後の敗北チェックでフランス軍はサイの目4を出し、敗走レベル25を超えたので負けとなった。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年5月27日金曜日

火器が勝敗を決した初の戦い Cerignola 1503 - Arquebus (GMT) AAR ③

  スペイン軍の陣地にずらっととりついたフランス軍に対し、スペイン軍歩兵が一斉射撃。初めて火器が勝敗を決した戦いとして、チェリニューラの名を歴史に刻んでやるのだ。次々と銃火に倒れていくフランス兵。ある部隊は混乱、退却し、ある部隊は自軍の旗が立っているところまで敗走(Retired)、そしてパイク兵1ユニットが壊滅した。フランス軍の歩兵戦列はぼろぼろである。



 余裕のスペイン軍、と言いたいところだが、恐怖の暴発ルールがある。実際の戦闘でもスペイン軍の火薬が爆発したそうで、この戦いではスペイン軍は歩兵部隊を活性化する度に暴発チェックをしないといけない。サイコロを振って40%の確率で暴発が起こり、ランダムにユニットが選ばれてそのユニットから2へクス以内のスペイン軍はすべて混乱してしまうのである。あー恐ろし。今回は幸い火薬に火はつかなかったけど。

 

 多くの部隊が損害を被ったフランス軍だが、左翼(マップ上方)は無傷である。まずはSBによる連続射撃で重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)を敗走させ、壕を挟んで白兵戦を行う。防御ラインを崩すことに成功、壕の向こう側にSBが進出した。




 左翼は果敢に攻撃したが、壕にとりついているほかのフランス軍部隊は敵けん制のため現状維持。なぜ攻撃させないかというと、攻撃成功の確率が低いこともあるが、何より彼らがスイス傭兵だからである。1315年モルガルテンの戦いでハプスブルグ家の軍隊を破り、1386年ゼンパッハの戦いで再びハプスブルグ軍に完勝したスイス歩兵の精強さは、ヨーロッパ中に知られるところとなった(ちなみに両戦闘ともVae Victis誌でゲーム化されている)。スイス傭兵はフランスをはじめとしてヨーロッパの諸勢力で雇われたが、金には貪欲で「金のないところスイス兵なし」と言われたそうだ。金が払われていないと戦うのを拒否したりしたらしい。ハイジはそんな守銭奴みたいな子じゃなかったのに。

 このゲームでもスイス傭兵が金にシビアなことを表すルールがあって、スイス傭兵が白兵戦を試みるたびに、実際に戦うかどうかチェックしないといけない。チェックに失敗すると攻撃を拒否するか、最悪の場合、戦線離脱をしてしまう。なのでスイス傭兵は壕にとりついて敵の戦力を引き付けておくことに使う。

 なおスペイン側にはドイツの傭兵であるランツクネヒトがいるが、彼らはスイス傭兵ほど金にうるさくなかったそうで、こういうチェックはない。まあランツクネヒトはランツクネヒトで、サッコ・ディ・ローマとかやっていますからね。

 

 このスイス傭兵の戦闘忌避チェックに関しては、ルールブックにSwiss Shock Reluctanceとあって、その下に(The Harry Lime/Jerry Maguire Rule)と書いてある。Harry LimeとJerry Maguireって誰?と思って調べてみたら、後者は映画「ザ・エージェント」の主人公。金だけを追い求める会社の方針に反対したらしい。要は、戦闘忌避チェックに成功して、金が支払われなくてもちゃんと戦うってことか。さfらにルールブックの説明では、チェックに成功した場合「ウィリアム・テルの子孫はパイクを構えて仕事に取り掛かる。ロッシーニをかけろ」なんて書いてある。そういえばウィリアム・テルの舞台はスイスだったな。ロッシーニって、オペラ「ウィリアム・テル」を作曲していたらしい。はー、勉強になるわ。

 もう一人のHarry Limeは映画「第三の男」の悪役。スイスとどういう関係があんの?と思っていたら、戦闘忌避チェックでサイの目が10以上の場合、「そのユニットは戦わないと決めただけでなく、国に帰って鳩時計を発明することを決意する(我々がハリー・ライムから得た情報だ)」なんて書いてある。

映画「第三の男」では

「イタリアではボルジア家支配の30年間は戦争、恐怖、流血に満ちていたが、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチ、そしてルネサンスが生まれた。片やスイスは、500年にわたる民主主義と平和で何を産んだと思う? 鳩時計さ。」

っていう感じのハリーのセリフがあって、それを指しているんでしょうな。ボルジア家の支配って、Arquebusのイタリア戦争の時だし。いやーしかし、このゲームのルールって結構ノリノリで書いたのかな。ルールブックでニヤニヤしてしまうって、自分が読んだ中ではなかなか無いなー。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年5月25日水曜日

火器が勝敗を決した初の戦い Cerignola 1503 - Arquebus (GMT) AAR ②

  フランス軍が前進を開始。まずは騎兵で敵左翼(マップ下方)をけん制した後、歩兵が一斉にスペイン軍の防衛ラインにとりつく。

 塁壁の向こうにずらっと並んでいるスペイン軍歩兵は、パイク兵(Pike, PK)と、SBという兵種。パイクは長い槍。SBはSword & Bucklerという兵種で、bucklerは鍋の蓋ぐらいの小さな丸い盾のこと。ビジュアルで見たほうが分かりやすいよね。

buckler - Google 検索

 パイク兵と戦うときは、この小さな盾でパイクを払いあげ、敵に接近する。パイク兵は至近距離での戦いではパイクを使うことができないため剣にやられてしまうわけだ。このゲームでも対騎兵ではパイクのほうがSBより優位だが、パイク対SBではSBのほうが強いレーティングになっている。


 でもこの戦い、火器が戦場を制したんでしょ。パイク兵とかSBって射撃できなくて白兵戦をするんでしょ? とMen of Ironシリーズをやっていると思ってしまうんだけど、スペイン軍のパイクやSBユニットが射撃もできることがこの戦いの特徴、というかAruquebusの特徴になっている。

 この時代、火縄銃が発達して多くの軍隊で使用されるようになっていった。弓やクロスボウを扱う兵士の訓練には数年を要するが、火縄銃だと数か月で済んだそうだ。さらにこの時代の特徴として、パイク兵部隊の両翼にクロスボウや火縄銃の兵を加えるようになったという変化がある。クロスボウや火縄銃兵はまず敵を射撃し、接近戦になったらパイク兵の後ろに退避するという戦い方になっていった。パイク兵の部隊に火縄銃兵を加えるという編成を発案したと言われるのが、チェリニョーラの戦いで大勝利を収めたスペイン軍の指揮官ゴンサロ・デ・コルドバ(Gonzalo de Cordoba)だそうである。このような編成がのちにテルシオに発展していくわけですな。全部ヒストリカルノートの受け売りだけど。ちなみにゴンサロ・デ・コルドバは生涯に一度しか負けていないらしい。すげー。


 Men of Ironシリーズでは弓兵など射撃ができるユニットと槍兵など白兵戦向きのユニットが分かれているが、Arquebusでは上記のような変化を反映して、パイク兵やSBでも多くは射撃できるようになっている。つまり、敵が近づいてきたら対応射撃をして、しかもそのあと白兵戦を仕掛けられてもちゃんと戦えるのだ。Men of Ironシリーズのほかのゲームだと、弓兵やクロスボウは敵が隣接してきたら対応射撃ができるけど、そのあとの白兵戦には弱い。アジンコートの戦いのように杭でしっかり守られているんだったら別だけど。


 ふーん、同じシリーズでも違うのね、ルールはちゃんと確認しなきゃ、と読んでいると、Seizure(活性継続の奪取)の説明のところで、「…もしくは、白兵戦の際にゼロの目を7回連続で出したプレイヤーに起こること」なんて付け加えてある。え、どういうこと? 7回連続ゼロの目だと奪取できるの? これまでのシリーズにそんなのなかったぞ。でも7回連続でゼロなんてほぼあり得ないのに何で? と困惑していたんだけど、seizureっていう単語には発作や脳卒中という意味がある。白兵戦でサイの目ゼロって最低の目で、10面体サイコロを振って最悪のゼロが7回連続で出たら何かの発作に襲われてもおかしくないですわな……って、ジョークかい! ふう、真面目にルール読んで損したぜ。

 気を取り直して読み続けると、次の項目Shock(白兵戦)の説明で、「…もしくは、相手プレイヤーが7回連続して9の目を出した時に起こること」って加えてある。そりゃ、相手の攻撃で最高の9の目が7回連続で出たらショックですよ。しかしこういう混乱するようなことをルールブックに書かれると困る。嫌いじゃないけど。

(後でよく読んだらMen of Iron Tri-packのルールブックにも同じことが書いてありました。このジョーク、気に入っているのかな…)


 スペイン軍の歩兵はパイク兵もSBもすべて火縄銃兵が配備されていて、射撃ができるようになっている。つまりフランス軍がスペイン軍の陣地に押し寄せていくと、塁壁の向こうから火縄銃の砲弾を浴びせかけられるのだ。今回も一斉にフランス軍が塁壁にとりついたけど、あー、見てられない。待ち構えていたスペイン軍の火縄銃が火を噴き、数ユニットが混乱状態に。

 フランス軍の歩兵のうちSBはクロスボウが配備されていて射撃能力があるため、対応射撃を受けた後に射撃ができる。クロスボウの威力はこのゲームでは火縄銃と同等だ。だが塁壁の向こう側に身を隠しているスペイン軍を撃つも、被害は皆無。



 通常であればこの後フランス軍は白兵戦が行えるのだけれど、壕にとりついたのと同じ活性化中に白兵戦をしかけることができず、攻撃できるのは次の活性化になる。塁壁を一度でも突破するとこの制限はなくなるが、今は次の活性化まで待ちだ。それまでスペイン軍が壁の向こうでのんびりしているはずもなく…。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年5月23日月曜日

火器が勝敗を決した初の戦い Cerignola 1503 - Arquebus (GMT) AAR ①

  Cerignolaと書いて「チェリニョーラ」と読むらしい。南イタリアにある町である。南伊ナポリ王国をめぐってスペインとフランスの衝突が続ていたイタリア戦争中の1503年、スペイン軍の軽騎兵の妨害に悩まされながら、フランス軍は斥候も出さずにチェリニューラの町に向かって進んでいた。陽も傾くころになってようやく町近くについたとき、スペイン軍を見つける。フランス軍を率いていたヌムール公は翌朝を待って攻撃しようと考えていた。そうすれば後続の砲兵部隊も追いつくうえ、長い行軍と暑さで疲弊している歩兵部隊も休養が取れる。だが配下の諸将は攻撃を主張した。これまでどおり、強力な一撃で敵を破ればいい。そのあとでぐっすり眠れる。だが、スペイン軍の前に掘られた深い堀に誰も気がついていなかった。攻撃を告げるラッパの音が鳴り、フランス軍が突撃を開始する…。


 このチェリニョーラの戦い当時のイタリアはルネサンス華やかなりしころで、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチなどが活躍している。一方、ミラノ公国やヴェネツィア共和国、ローマ教皇領など政治的には分裂状態にあった。この戦いの約30年後にはマキャヴェリが「君主論」でイタリア統一への願いを述べていたりする。

 チェリニューラの戦いは初めて火器が勝敗を決した戦闘と呼ばれているそうで、スペイン軍が火器に加えて野戦築城を効果的に利用し、精強を誇ったフランス軍とスイス傭兵を打ち破った。長篠の戦いの約70年前のことである。


 ゲームはMen of Ironシリーズの4作目となるArquebus。年代的には同シリーズのInfidelが11~12世紀で、Arquebusは15世紀末から16世紀半ばと400年ほどの違いがある。どれだけ雰囲気が違ってくるのかと思い、InfidelのあとにArquebusで遊んでみることにした。

 Arquebusに入っている8つの戦いのうちチェリニョーラを選んだのは、もちろん火器が初めて勝負を決した歴史的な戦闘だから、ではなく、単にマップが小さくユニット数も少ないため楽そうだからである。まずはゲームに慣れないとね。


 マップを見るとditch(壕)とrampartがスペイン軍(白っぽい黄色のユニット)の戦列に沿って地図をほぼ縦断している。



rampartって何?と思って調べたら「塁壁」という意味だそうで、塁壁って何?と思って調べたら「砦の壁」だそうだけど、とにかく壕と壁でスペイン軍は守られている。

 これがまた強力で、接敵してもすぐには攻撃できず、白兵戦をしかけるためには次の活性化まで待たないといけない。だがその前に防御側の射撃で損害を受けている可能性大。しかも白兵戦を仕掛けるときも混乱チェックがあって、基本的に50%の確率で攻撃側は混乱してしまう。さらに地形効果でサイの目マイナス2。もしかなりの幸運に恵まれて、自軍は損害を受けずに防御ユニットを退却させたとしても、戦闘後前進の際にまた混乱チェックがある。

……と、ルールを読んでいるだけで攻撃をするが失せてくる。よくまあフランス軍はこんな強固に守っている敵に攻撃を仕掛けたもんだ。その日は埃っぽくて、実際に近づくまでは壕や塁壁がよく見えなかったらしいけど。


 ただよく見ると、スペイン軍の左右両翼の守りが比較的弱い。壕だけで塁壁はないし、守っている部隊も白兵戦に弱い投槍騎兵(Genitor、GE)とかだ。両翼から攻撃し、スペイン軍が中央から歩兵を引き抜かざるを得ないようにして、守りが手薄になったところを突破する。おし、これでいこう。余裕で守れると思っているスペイン軍プレイヤーの鼻をあかすのだ。ソロプレイだけど。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part4

 ●第4ターン  全6ターンのうち、残るは半分の3ターンである。共和国軍は広がった戦線維持に兵力を割かれる一方、反乱軍には続々と増援が到着しているという状況で攻勢を続けないといけない。  前ターンに攻略に失敗したマップ右方中央のMosquito山は敵が新手を投入したため、再度の強...