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2022年9月13日火曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ⑤

  フランス軍は左翼(マップ下方)で攻撃を続ける。軽騎兵部隊(ピンク)と重装騎兵部隊(赤)の2部隊の攻撃で、スペイン軍軽騎兵部隊(赤)はほぼ壊滅したうえ、指揮官のペスカーラ侯フェルナンド・ダヴァロスも戦死していしまった。


 このペスカーラ侯、ラヴェンナの戦いの時にはまだ若く経験不足だったようで、他の部隊との連携もないまま騎兵で攻撃をしかけて捕虜になっている。だがその後、軍才を発揮するようになった。Aruquebusの資料として挙げられている本『The Art of War in Italy』では結構称賛されている人物である。

 1522年にはビコッカの戦いでフランスとヴェネツィアの連合軍を破ったのち、1525年のパヴィアの戦いでは神聖ローマ皇帝軍の実質的な総指揮官としてフランス軍に対して決定的な勝利をおさめ、仏王フランソワ一世を捕虜にしている。ちなみにこの2つの戦いはともにArquebusに収録されている。でもね、こんなところでペスカーラ候が戦死しちゃったらパヴィアの戦いはどうなんの?! 伊達男フランソワ一世を捕虜にできないじゃん。


 スペイン軍は砲撃でランツクネヒトをたたく。だが継続活性に失敗。敵の騎兵集団の攻撃で右翼(マップ下方)が危ういのに、この失敗は痛い。でもスペイン軍は自由活性のときしか砲撃ができないから、どうしても砲兵部隊の活性化を優先させてしまうんだよね。


 フランス軍は左翼の騎兵集団2部隊でさらにスペイン軍を追いつめる。長弓兵の射撃、そして騎兵の攻撃でスペイン軍は大きな損害を被った。さらにはスペイン軍の軍旗にも仏軽騎兵が迫る。

 この時点でスペイン軍の累積敗走ポイントは17,フランス軍は16と両軍ともまだ低いが、スペイン軍はマップ下方から回り込んだ騎兵集団によって包囲される危険が出てきた。さらにフランス軍は川の対岸からスペイン軍の軍旗近くのユニットに砲撃を加える。スペイン軍危うし。歴史は繰り返してしまうのか。




 スペイン軍は後方に回り込んできた敵騎兵集団に対し、歩兵で反撃を加える。火縄銃の斉射で、フランス軍の騎兵や長弓兵が次々と倒れていった。スペイン軍の歩兵ユニットはすべて、移動して射撃、さらに白兵戦が行えるのだ。

 またマップ下方の壕沿いでは混戦状態だったフランス軍SBを敗走させる。フランス軍は軍旗周囲がすでに自軍敗走ユニットによって埋め尽くされているためこれ以上の敗走はできず、壊滅となった。SBが除去されると敗走ポイントが5と高いため、かなり痛い。


 部隊が細分化されているフランス軍とは対照的に、スペイン軍の歩兵12ユニットはすべて1部隊にまとめられている。敵軍がこうして両翼から陣内に進入してきた場合、内線の利を生かして対応しやすくなるのだ。

一方で、スペイン軍歩兵は一人しかいない指揮官のペドロ・ナバロの士気範囲内にとどまっておく必要があるため、塁壁を越えて積極的に打って出るということが難しくなっている。このあたりも、防御に固執したというペドロ・ナバロの方針がうまく表現できているように思える。


 スペイン軍は歩兵部隊に続き、左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)で敵騎兵部隊に猛攻を加え、フランス軍の重装騎兵部隊(黒)を壊滅させた。




 両翼で逆にスペイン軍に押し返されているフランス軍は、中央の無傷のパイク兵部隊(黄土色)とその左横のSB部隊(青)で攻撃をかけようとする。

 SB部隊の正面の敵歩兵はほぼすべて混乱状態。こちらも消耗しているとはいえ、敵は兵力をフランス軍騎兵への対応に転用してこちらは手薄になっている。そしてSB部隊と同時に、パイク兵部隊で敵陣地の角にあたるところのスペイン軍歩兵に集中攻撃をかけ、損害を恐れずWagon Gunを攻撃していくのだ。中央方面で兵力にものを言わせて圧力をかけ、左翼の騎兵部隊で挟み撃ちにしてやる。


 だが、無情にも活性化チェックのサイの目は8で失敗。ぐはっ。ここでスペイン軍に自由活性が移ってしまうとは。部隊間の連携がフランス軍の勝因じゃなかったのかよ。


 スペイン軍は自軍の軍旗近くにまで突出してきていた敵軽騎兵を連続射撃で壊滅。さらに右翼(マップ左方)に攻撃を仕掛け、長弓兵や重装騎兵を壊滅させていく。フランス軍の累計敗走ポイントは39に上った。フランス軍の敗走レベルは45で、累計敗走ポイントとサイの目を出してこの数を超えると負けてしまう。これはまずい。


 フランス軍は軍旗を活性化させ、敗走状態の7ユニットを士気回復。一気に累計敗走ポイントが32に下がる。そして無傷のパイク兵部隊で今度こそ攻撃をかけるのだ。だが継続活性に失敗。ぐはっ。またかよ。1部隊だけでの継続活性の場合、60%で成功するはずなのに。総司令官のガストン・ド・フォアは将として優れているとはいえまだ20代の若者。部隊の統率にはもっと経験が必要だったということか。


 自由活性を得たスペイン軍は右翼(マップ左方)で畳みかける。計算どおりに部隊が動かず残念だったな、ガストン・ド・フォアくん。認めたくないかもしれないが、若さゆえの過ちというものだよ。

 フランス軍の軽騎兵部隊(ピンク)は全滅、重装騎兵部隊(赤)も残り1ユニットとなった。さらにスペイン軍は壕沿いで射撃を行い、SBを壊滅させる。フランス軍の累計FPは42に。スペイン軍はいまだに17だ。

 敗北がほぼ決定的なフランス軍は最後のあがきを見せ、SB部隊の残存兵力すべてを投入して攻撃をしかける。フランス軍の誇りを見せろ! そしてド・フォアも史実と同じく敵に突っ込んで華々しく散るがいい! …いや、ド・フォアが戦死したのは勝ち戦の最後だからね。そしてその後の敗北チェックで4を出し、負けとなった。


 あまり動きのない陣地戦かと思いきや、フランス軍はいつどこでいくつの部隊を動かすか考えないといけないし、陣地両端から騎兵の攻撃、対岸からの砲撃と、結構変化があって両プレイヤーとも楽しめました。後半、パイク兵部隊の活性化に成功し、ランツクネヒト部隊も投入できていたらスペイン軍はもっと苦しくなったはず。敵陣後方に回り込んだ騎兵集団に入れ込みすぎたかも。あと、スペイン軍プレイヤーとしてはペスカーラ侯の見せ場が欲しかったかな。でもペスカーラ侯が活躍するようになるのはラヴェンナの後ですから。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年9月7日水曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ③

  着々とフランス軍が攻撃準備を整えていったが、やっとスペイン軍に自由活性が移る。歩兵部隊(茶色)を活性化させ、スペイン軍の弱点と思われる右翼(マップ下方)に一部ユニットをシフトさせるとともに、砲撃を受ける位置にいるユニットは掩蔽状態(Entrenched)にする。


 このシナリオの特別ルールでスペイン軍の歩兵は掩蔽状態になることができ、敵の砲撃をほぼ無力化できる。だが掩蔽状態では射撃はできないため、敵歩兵が前進して白兵戦を挑んできた場合、対応射撃ができない。掩蔽状態を解除するにも活性化時に何もしないことが条件となるため、敵の動きに対応するための移動などがすぐにはできない。さらに掩蔽状態のときに白兵戦で攻撃されると+1DRMと不利になる。


 続いてスペイン軍は左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)を前進、集結させる。これで敵正面の騎兵部隊(黒)も、壕の切れ目と河川の間の狭い隙間から突入してくるということはなかなかできないだろう。


 ここで自由活性を得たフランス軍は、2部隊を同時に活性化しようとしてチェックに失敗。自由活性化の際でも2部隊を活性化しようとすると、30%の確率で失敗となり敵に自由活性が移るのだ。


 スペイン軍は中央の砲兵で砲撃を開始。フランス軍中央、ランツクネヒト前面のクロスボウ部隊が砲火にさらされ次々と被害を受けた。ふん、そんなの計算のうちさ、と平静を装うフランス軍プレイヤー。実際は、クロスボウ部隊で弾除けをするのではなくランツクネヒト部隊を少し後退させておけばよかったと心の中で後悔していた。Arquebusでは砲兵はかなりの射程を持つが、5へクス以上離れるとほとんど効果がないからだ。

 だが、ランツクネヒトの移動力は3しかないため、砲兵から5へクス以上離れるように後退すると一回の移動で壕・塁壁に取り付けない。スペイン軍としては中央からの圧力が減るため他方面に対応しやすくなる。そのためフランス軍は今回のように後退せずに砲撃に耐え、戦機を逃さず前進、壕・塁壁に攻撃をかけるというのがいいのかもしれない。


 一方で、スペイン軍の砲兵部隊(緑)は指揮官がいないため自由活性のときにしか活性化できない。つまり砲撃のタイミングが制限されているわけで、スペイン軍の部隊間の連携の悪さがこういった形でも表されているように思える。そのためフランス軍は多方面でプレッシャーをかけ、自由活性を砲撃に使うべきかどうかスペイン軍が判断に迷うような状況を作り出すべきなのだろう。


 フランス軍は2部隊を同時活性化。右翼(マップ上方)の砲兵部隊(黒)から1ユニットを抽出し、史実同様に迂回渡河を始める。向こう岸から敵左翼(マップ上方)の重装騎兵に砲撃を加えるためだ。そして中央左翼寄り(マップ下方)の重装騎兵部隊(赤)を左にシフト。こうして両翼からの攻撃態勢を整えていく。




 このシナリオでは砲兵ユニットは両軍とも移動ができないのだが、特別ルールでフランス軍は右翼(マップ上方)の砲兵部隊から1ユニットだけ河の対岸に移動させることができる。史実でもこのような砲兵の移動があったようだけれども、当時すでに砲には野戦で戦術的な機動性があったんですね。なんか意外。砲のことはよく知らないけど。ここの砲兵部隊はフェラーラ公アルフォンソ・デステ指揮下のもので、フェラーラ公は砲の運用に長けていたらしい。


 その後は両軍の砲撃の報酬が続いたが、フランス軍はころはよし、と本格的な攻撃を開始する。自由活性で2部隊を同時活性化し、先ほど渡河を始めた砲兵ユニットを川の対岸に配置。敵重装騎兵に砲撃を加え混乱状態にした。

 そうしてマップ上方で圧力をかけつつ同時に、フランス軍左翼(マップ下方)のSword&Buckler(SB)部隊(青)が動く。スペイン軍歩兵が掩蔽状態になったため砲撃では効果がないが、白兵戦を仕掛けるには有利な状況だからだ。ちなみにSBのBucklerとは、以前チェリニョーラの戦いのAARでも説明したが小さめの丸い盾である。


 SB部隊は敵が掩蔽状態だったため対応射撃を受けることなく壕にとりつき、白兵戦(Shock)を開始。守るスペイン軍歩兵もSBである。壕を渡り塁壁を乗り越えようとするフランス軍に対し、剣で必死に防戦するスペイン軍。両軍が入り乱れての戦いとなり、多くの攻撃が混戦(Engaged)に終わった。


 白兵戦の戦闘結果の混戦は、Men of IronシリーズではBlood&Rosesまでは選択ルールだったがArquebusでは標準ルールとなっていて、防御ユニットが正常状態の場合は60%、混乱状態の場合は40%と結構な確率で出る。

 混戦状態になった場合、離脱(Disengage)しない限り自部隊の活性化時に白兵戦で攻撃をしないといけない。そのため混戦状態のユニットを含む部隊を活性化するのは悩ましい場合も生じる。スペイン軍は歩兵がすべて一つの部隊にまとまっているため、このように一部ユニットが混戦になると、別方面で歩兵を動かす場合でも混戦状態の歩兵ユニットはフランス軍への攻撃を強制される。

 自部隊の活性化の際に攻撃しないようにするためには離脱してそのヘクスから移動するしかないが、混乱状態になるうえ、予備ユニットが空になったヘクスを埋めない限り壕・塁壁の防御拠点を敵に明け渡すことになるのだ。


 ほとんどが混戦となったフランス軍SB部隊(青)の攻撃だが、部隊戦列右端の1ユニットが奮戦する。壕越しの攻撃で混乱状態になりながらも、先の砲撃で被害を受けていた敵Gun Wagonを壊滅させ継続攻撃(Continued Attack)を出す。Gun Wagonとスタックしていた砲兵は雲散霧消した。

 隊形を乱しながらも塁壁を乗り越えるフランス軍SB。混乱状態のユニットは戦闘後前進ができないのだが、継続攻撃の場合は別なのだ。うおおー!!と敵陣に乱入し、さらにGun Wagonと砲兵のスタックを壊滅させたものの、そこで待ち構えていたスペイン軍パイク兵(Pike, PK)に突っ込んでしまい、逆に撃退されてしまった。継続攻撃あるあるである。


つづく




(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年9月5日月曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ②

 ラヴェンナの戦いでは、野戦陣地にこもったスペイン軍に対してフランス軍が攻撃。まずは両軍の砲撃戦が繰り広げられた。スペイン軍の歩兵は低地に身を潜めており被害は少なかったものの、軽騎兵が砲撃に耐えられなくなり攻撃をしかける。一方フランス軍も、敵の砲撃範囲内に布陣してまったランツクネヒトが前進して攻撃を開始。血みどろの戦いが繰り広げられるが、スペイン軍の軽騎兵集団を撃退したフランス軍騎兵が敵陣地の側面から後方に回り込み勝負を決めた-というのがだいたいの流れのようだ。

 両軍とも被害は甚大で、多くの指揮官が死亡したり捕虜になったりしている。フランス軍の総指揮官のガストン・ド・フォアはまだ20代前半の若さながらその将才を認められていたが、この戦いで戦死した。でも、戦いの帰趨が決まった後で敵の残存歩兵に少数の騎兵で突っ込みそこで槍衾にやられてしまったそうで、若くて血気盛んなのはわかるけど総大将なんだから自重してください。


 この戦いでのフランス軍の勝因は、各部隊の連携にあるらしい。総指揮官ガストン・ド・フォアのもと、歩兵、砲兵、騎兵が連携して攻撃したが、スペイン軍にはそれが欠けていた。スペイン軍の陣地構築を指揮したペドロ・ナバロは防御に固執していたのに、砲撃を受けた軽騎兵部隊は攻撃をしかけてしまっている。 一方、フランス軍は各部隊が機を逃さず動いており、砲兵の一部は戦闘開始後に渡河して敵の側面から砲撃を浴びせかけ、スペイン軍の敗因の一つとなった。なお、ペドロ・ナバロはこのシナリオでスペイン軍歩兵部隊の指揮官になっている。


 フランス軍の部隊間での連携を反映してか、このシナリオのフランス軍は指揮については特別ルールがある。Men of Ironシリーズでは基本的に各部隊に指揮官がいて、指揮官の活性化値(Activation Rating)を使って部隊(Battle)ごとに活性化させる。だがこのシナリオではフランス軍は最大3部隊を同時に活性化できるのだ。フランス軍の活性化には指揮官の活性化値ではなく活性化表(French Activation Table)を使うのだが、同時に活性化する部隊が多いほど失敗する可能性は高くなっている。フランス軍は総兵力では勝っているものの9つの部隊に細分化されているため、慎重に1部隊ずつ動かすだけでは数の優位を生かせない。リスクを冒してでも一気に複数の部隊で攻撃にでるかどうか、フランス軍としては悩まやしい局面が多々生じるはず。


 攻めるフランス軍にとって厄介なことに、スペイン軍の前面には戦列に沿って壕(Trench)と土でできた塁壁(Rampart)が続いていて、防御に有利な態勢にある。壕・塁壁越しの攻撃はDRM-1と攻撃側に不利なうえ、フランス軍が壕越しに白兵戦(Shock)を仕掛ける場合、混乱チェックをしなければならない。そのため、フランス軍プレイヤーは左右両翼の壕の切れ目、特に左翼(マップ下方)に攻撃の主軸を置くことにする。この方面にはスペイン軍の軽騎兵部隊しかいないうえ、比較的スペースが広がっており、フランス軍の数の優位を生かせるからだ。ただそれだけだと攻撃が単調になり敵にとって対応が容易になるため、砲撃、そして騎兵部隊の攻撃と連動しての歩兵の攻撃が欠かせない。


 そのような方針のもと、フランス軍は左右両翼の砲兵二部隊で砲撃を開始し、スペイン軍に損害を与える。さらに右翼(マップ上方)のクロスボウ部隊(灰色)をランツクネヒト(茶色)の前に展開。ランツクネヒトの正面にはスペイン軍の砲兵(緑)が並んでいるため、敵砲兵の射線(LOS)をさえぎってランツクネヒトが砲撃を受けないようにするためだ。ユニットが壊滅すると課される敗走ポイント(Flight Point, FP)はユニットの種類によって違い、FPが大きいものほどいわば高価なのだけれども、ランツクネヒトは5もあるがクロスボウは2。クロスボウが犠牲になってもランツクネヒトを守る目論見である。



 ランツクネヒトは敵から砲撃を受ける前にさっさと前進して白兵戦をしかけるという選択肢もあるが、正面のスペイン軍は砲兵とスタックしてGun Wagonが並んでいる。ラヴェンナの戦いの百年近く前、15世紀前半のフス戦争で馬車や荷車に防御を施した木製の装甲車と言えるものが登場したが、このGun Wagonはその流れを汲んでいるらしい。イタリア戦争関連の本を読んでみると、当時使われていた車両は大鎌のような刃や槍のようなものが突き出ていて敵歩兵の突進を妨げ、木の板に守られた火縄銃兵が射撃をする、というものだったそうだ。

 

 フランス軍のランツクネヒトが攻撃する場合、前進して敵陣にとりついた時点でGun Wagonから対応射撃(Reaction Fire)を受け、60%の確率で混乱状態になる。その後にランツクネヒトも射撃(Active Fire)できるが、Gun Wagonへの射撃はその防御力を反映してかDRM-2と不利。さらに白兵戦攻撃でも壕・塁壁越しの攻撃なので混乱チェックがある。

 ランツクネヒトが混乱状態で正常の状態のGun Wagonを壕・塁壁越しに白兵戦で攻撃した場合、諸々の修正を合算するとDRM-1と不利になる。もし白兵戦での攻撃に成功してGun Wagonと砲兵を排除しても混乱状態だったら戦闘後前進はできないため、敵の歩兵がその穴を埋めてしまうだろう。そのためフランス軍は、ランツクネヒトの投入は時機を待って行うことにする。それまでクロスボウが犠牲になるがやむを得ない。

 「えー、クロスボウ部隊を弾除けにするなんてひでー」と非難するスペイン軍プレイヤーに対し、「勝たなきゃ意味ねえよ」と応えるフランス軍プレイヤー。

「一将功なりて万骨枯る、とか言われても意に介さず。というか、あんたもフランス軍だったら同じことするんじゃないの」

「……はい、します」


 フランス軍はさらに継続活性に成功。最右翼(マップ上方)の重装騎兵(Men-at-Arms, MM)に側面を固めさせる。フランス軍の右翼はMM以外は砲兵しかおらず防御力に乏しい一方で、正面に敵のMM部隊がいるため、敵が陣地から出てきて突撃をくらうと苦戦しかねないからだ。 


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年8月25日木曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ①

  ラヴェンナの戦い、というと昔アドテクノスからゲームが出ていたのである程度知名度はあるのではないかと勝手に思っている。Men of IronシリーズのArquebusでもラヴェンナの戦いが収録されているのでやってみた。


 この戦いはイタリア戦争の最中に起こったのだけれど、イタリア戦争って全然知らない。ちょっと調べてみると、15世紀末から16世紀半ばまで約60年間の、断続的な戦争の総称のようだ。

 基本的にフランスがイタリアに攻め込み、それに対しスペイン、神聖ローマ帝国が対抗。その間ヴェネツィアやローマ教皇などイタリアの諸国が合従連衡を繰り広げて強くなった国をたたき、結局フランスはイタリアをあきらめ、イタリアの大部分がハプスブルク家の統治下となる、という流れらしい。というか、いろんな同盟が出てきてややこしいんだよね。


 しかもイタリアだけの話にとどまらず、ヨーロッパ全域の戦争と関連があるのが特徴らしい。イタリア戦争以前、15世紀には英仏百年戦争やフス戦争、フランスとブルゴーニュ公国の衝突やスイスとハプスブルク家との争い、それにオスマントルコによるハンガリーへの侵攻など様々な地域で戦争が起こったが、あくまでも地域内での戦いで、戦争間の関連性に乏しかった。イタリア半島でも諸国家間で傭兵を使って様々な戦いが行われていたが半島内での話。イベリアのアラゴン王アルフォンソがナポリ王国を占領したりしたけどこれは他の様々な地域と関連する国際的な戦争ではなくイタリアに限定したものだ。

 だがイタリア戦争の時期になると、スペイン、フランス、ドイツ、低地諸国、ハンガリー、オスマントルコなど多くの国が巻き込まれた大規模な戦争に次第に変化していく。


 ……というのはイタリア戦争関連の本からの受け売りである。正直自分はよく知らない。でも実際、イタリア戦争の時代にはスペイン王カール一世が神聖ローマ皇帝カール5世として即位することでスペインとドイツが一つになったり、オスマントルコによるウィーン包囲があったり、フランスとオスマントルコが同盟してハプスブルク家に対抗したり、イギリスのヘンリー8世がフランスに攻め込んだりとヨーロッパ全体が複雑に絡み合っていく。この辺の状況はGMTのHere I Standが好きな人だったらよくわかるんじゃないかと思います。


 で、ラヴェンナの戦いである。ラヴェンナは北イタリアの都市で、西ローマ帝国末期には宮廷が置かれていた。しかしホノリウス、なんでスティリコを処刑しちゃうかな…。おおっと、時代が違った。ラヴェンナの戦いは1512年で、日本だと戦国時代の初期にあたる。上杉謙信や武田信玄の生まれる10~20年ぐらい前のことである。

 イタリアに侵攻したフランスに対し、ローマ教皇がヴェネツィア、スペインなどと神聖同盟を結成。フランス軍は神聖同盟側の都市ラヴェンナを攻撃する。その救援にスペイン軍を中心とする神聖同盟の軍隊が派遣されて起こったのが、今回プレイするラヴェンナの戦いである。


 兵力に劣る神聖同盟軍はラヴェンナ近郊で野戦陣地を構築。フランス軍は補給線が後方でヴェネツィアによって妨害されていること、さらにはスイス軍が背後のロンバルディア平原に南下してくるという情報もあり、早期に敵の救援軍を排除する必要があった。また総兵力、とくに砲兵力で優越していたこともあって、攻撃を決意する。

  一説では、フランス軍に所属していたドイツ傭兵ランツクネヒト部隊が、まもなく神聖ローマ帝国はフランスと開戦するからすぐにフランス軍の陣を離れるようにとの密命を皇帝マクシミリアン一世から受け取ったことも、フランス軍が早期に攻撃をする一因となったらしい。ランツクネヒトを率いていたトマス・エンプサーは長年フランス王のもとで戦っており、戦いの直前になって軍を離脱するのに忍びなくフランス軍総指揮官ガストン・ド・フォアに皇帝からの命令の内容を告げたそうだ。確かに神聖ローマ帝国は神聖同盟に加わっているし、マクシミリアン一世はランツクネヒトの父と呼ばれているからこういうことはあり得ないわけではないけど、なんか出来すぎていて小説みたいな逸話だな。



 初期配置(写真上)を見ればわかるように、スペイン軍(Arquebusの表記に則って神聖同盟軍をスペイン軍と呼ぶことにする)の前面には壕(Trench)と塁壁(Rampert)が構築されており、左翼(マップ上方)は川、右翼は湿地で守られている。

 それに対してフランス軍は左右両翼に騎兵集団と砲兵部隊が配置され、多くの歩兵ユニットが中央を占めている。理想的な防御地形に布陣したスペイン軍に対し、フランス軍はどう攻めていくのかが考えどころである。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年5月31日火曜日

火器が勝敗を決した初の戦い Cerignola 1503 - Arquebus (GMT) AAR ④

  マップ上端でなんとか壕を突破したフランス軍だが、スペイン軍の猛火にさらされる。スイス傭兵がバタバタと倒れ、2ユニットが壊滅。Men of Ironシリーズでは歩兵のFP(敗走ポイント。ユニットが壊滅するとこのポイントがたまっていき負けてしまう)が2~3なのに、Arquebusではなんと5である。最高指揮官(Overall Commander)と同じFPなのだ。貴重なスイス傭兵、前回攻撃しないんだったら敵から離しておけばよかった…。ウィリアム・テルさん、ごめんなさい。


 その後フランス軍は混乱状態や敗走状態のユニットの回復に努め、再び左翼(マップ上方)から攻撃をかける。スペイン軍の対応射撃に多くの損害が出るが、塁壁の右端への攻撃に戦力を集中し、3ユニット連続射撃の末に防御ユニットを敗走させる。おおお、塁壁が空いた!


 塁壁があるから余裕で守れる、と思っていたスペイン軍は慌てる。兵力を右翼(マップ上方)にシフトさせ、射撃戦で敵を敗走させたうえで、壕のこちら側に単独で進出しているフランス軍SBに白兵戦を仕掛け退却させる。

 フランス軍はめげずに再び塁壁右端(マップ上方)に攻撃を集中。防御しているパイク兵を射撃で敗走させ、空いたへクスにSBが侵入。ついに塁壁を突破‼ フランス軍プレイヤーは雄たけびをあげ、スペイン軍プレイヤーは動揺を必死に隠そうとする。ソロプレイだけど。


 だが侵入してきたフランス軍SBにスペイン軍が即座に反撃。射撃で壊滅させ、フランス軍FPは23になった。FPにサイの目を足して敗走レベルを超えるかどうかの敗北チェック(Loss Check)では、1の目を出して乗り切る。これはまだあきらめるなという神の啓示に違いない。スイス傭兵のパイクユニットが塁壁内に侵入。戦闘忌避チェックも乗り越えてスペイン軍SBに白兵戦を仕掛け、混乱させる。まだまだ俺たちは戦える! だがこの後の敗北チェックでフランス軍はサイの目4を出し、敗走レベル25を超えたので負けとなった。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年5月27日金曜日

火器が勝敗を決した初の戦い Cerignola 1503 - Arquebus (GMT) AAR ③

  スペイン軍の陣地にずらっととりついたフランス軍に対し、スペイン軍歩兵が一斉射撃。初めて火器が勝敗を決した戦いとして、チェリニューラの名を歴史に刻んでやるのだ。次々と銃火に倒れていくフランス兵。ある部隊は混乱、退却し、ある部隊は自軍の旗が立っているところまで敗走(Retired)、そしてパイク兵1ユニットが壊滅した。フランス軍の歩兵戦列はぼろぼろである。



 余裕のスペイン軍、と言いたいところだが、恐怖の暴発ルールがある。実際の戦闘でもスペイン軍の火薬が爆発したそうで、この戦いではスペイン軍は歩兵部隊を活性化する度に暴発チェックをしないといけない。サイコロを振って40%の確率で暴発が起こり、ランダムにユニットが選ばれてそのユニットから2へクス以内のスペイン軍はすべて混乱してしまうのである。あー恐ろし。今回は幸い火薬に火はつかなかったけど。

 

 多くの部隊が損害を被ったフランス軍だが、左翼(マップ上方)は無傷である。まずはSBによる連続射撃で重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)を敗走させ、壕を挟んで白兵戦を行う。防御ラインを崩すことに成功、壕の向こう側にSBが進出した。




 左翼は果敢に攻撃したが、壕にとりついているほかのフランス軍部隊は敵けん制のため現状維持。なぜ攻撃させないかというと、攻撃成功の確率が低いこともあるが、何より彼らがスイス傭兵だからである。1315年モルガルテンの戦いでハプスブルグ家の軍隊を破り、1386年ゼンパッハの戦いで再びハプスブルグ軍に完勝したスイス歩兵の精強さは、ヨーロッパ中に知られるところとなった(ちなみに両戦闘ともVae Victis誌でゲーム化されている)。スイス傭兵はフランスをはじめとしてヨーロッパの諸勢力で雇われたが、金には貪欲で「金のないところスイス兵なし」と言われたそうだ。金が払われていないと戦うのを拒否したりしたらしい。ハイジはそんな守銭奴みたいな子じゃなかったのに。

 このゲームでもスイス傭兵が金にシビアなことを表すルールがあって、スイス傭兵が白兵戦を試みるたびに、実際に戦うかどうかチェックしないといけない。チェックに失敗すると攻撃を拒否するか、最悪の場合、戦線離脱をしてしまう。なのでスイス傭兵は壕にとりついて敵の戦力を引き付けておくことに使う。

 なおスペイン側にはドイツの傭兵であるランツクネヒトがいるが、彼らはスイス傭兵ほど金にうるさくなかったそうで、こういうチェックはない。まあランツクネヒトはランツクネヒトで、サッコ・ディ・ローマとかやっていますからね。

 

 このスイス傭兵の戦闘忌避チェックに関しては、ルールブックにSwiss Shock Reluctanceとあって、その下に(The Harry Lime/Jerry Maguire Rule)と書いてある。Harry LimeとJerry Maguireって誰?と思って調べてみたら、後者は映画「ザ・エージェント」の主人公。金だけを追い求める会社の方針に反対したらしい。要は、戦闘忌避チェックに成功して、金が支払われなくてもちゃんと戦うってことか。さfらにルールブックの説明では、チェックに成功した場合「ウィリアム・テルの子孫はパイクを構えて仕事に取り掛かる。ロッシーニをかけろ」なんて書いてある。そういえばウィリアム・テルの舞台はスイスだったな。ロッシーニって、オペラ「ウィリアム・テル」を作曲していたらしい。はー、勉強になるわ。

 もう一人のHarry Limeは映画「第三の男」の悪役。スイスとどういう関係があんの?と思っていたら、戦闘忌避チェックでサイの目が10以上の場合、「そのユニットは戦わないと決めただけでなく、国に帰って鳩時計を発明することを決意する(我々がハリー・ライムから得た情報だ)」なんて書いてある。

映画「第三の男」では

「イタリアではボルジア家支配の30年間は戦争、恐怖、流血に満ちていたが、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチ、そしてルネサンスが生まれた。片やスイスは、500年にわたる民主主義と平和で何を産んだと思う? 鳩時計さ。」

っていう感じのハリーのセリフがあって、それを指しているんでしょうな。ボルジア家の支配って、Arquebusのイタリア戦争の時だし。いやーしかし、このゲームのルールって結構ノリノリで書いたのかな。ルールブックでニヤニヤしてしまうって、自分が読んだ中ではなかなか無いなー。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年5月25日水曜日

火器が勝敗を決した初の戦い Cerignola 1503 - Arquebus (GMT) AAR ②

  フランス軍が前進を開始。まずは騎兵で敵左翼(マップ下方)をけん制した後、歩兵が一斉にスペイン軍の防衛ラインにとりつく。

 塁壁の向こうにずらっと並んでいるスペイン軍歩兵は、パイク兵(Pike, PK)と、SBという兵種。パイクは長い槍。SBはSword & Bucklerという兵種で、bucklerは鍋の蓋ぐらいの小さな丸い盾のこと。ビジュアルで見たほうが分かりやすいよね。

buckler - Google 検索

 パイク兵と戦うときは、この小さな盾でパイクを払いあげ、敵に接近する。パイク兵は至近距離での戦いではパイクを使うことができないため剣にやられてしまうわけだ。このゲームでも対騎兵ではパイクのほうがSBより優位だが、パイク対SBではSBのほうが強いレーティングになっている。


 でもこの戦い、火器が戦場を制したんでしょ。パイク兵とかSBって射撃できなくて白兵戦をするんでしょ? とMen of Ironシリーズをやっていると思ってしまうんだけど、スペイン軍のパイクやSBユニットが射撃もできることがこの戦いの特徴、というかAruquebusの特徴になっている。

 この時代、火縄銃が発達して多くの軍隊で使用されるようになっていった。弓やクロスボウを扱う兵士の訓練には数年を要するが、火縄銃だと数か月で済んだそうだ。さらにこの時代の特徴として、パイク兵部隊の両翼にクロスボウや火縄銃の兵を加えるようになったという変化がある。クロスボウや火縄銃兵はまず敵を射撃し、接近戦になったらパイク兵の後ろに退避するという戦い方になっていった。パイク兵の部隊に火縄銃兵を加えるという編成を発案したと言われるのが、チェリニョーラの戦いで大勝利を収めたスペイン軍の指揮官ゴンサロ・デ・コルドバ(Gonzalo de Cordoba)だそうである。このような編成がのちにテルシオに発展していくわけですな。全部ヒストリカルノートの受け売りだけど。ちなみにゴンサロ・デ・コルドバは生涯に一度しか負けていないらしい。すげー。


 Men of Ironシリーズでは弓兵など射撃ができるユニットと槍兵など白兵戦向きのユニットが分かれているが、Arquebusでは上記のような変化を反映して、パイク兵やSBでも多くは射撃できるようになっている。つまり、敵が近づいてきたら対応射撃をして、しかもそのあと白兵戦を仕掛けられてもちゃんと戦えるのだ。Men of Ironシリーズのほかのゲームだと、弓兵やクロスボウは敵が隣接してきたら対応射撃ができるけど、そのあとの白兵戦には弱い。アジンコートの戦いのように杭でしっかり守られているんだったら別だけど。


 ふーん、同じシリーズでも違うのね、ルールはちゃんと確認しなきゃ、と読んでいると、Seizure(活性継続の奪取)の説明のところで、「…もしくは、白兵戦の際にゼロの目を7回連続で出したプレイヤーに起こること」なんて付け加えてある。え、どういうこと? 7回連続ゼロの目だと奪取できるの? これまでのシリーズにそんなのなかったぞ。でも7回連続でゼロなんてほぼあり得ないのに何で? と困惑していたんだけど、seizureっていう単語には発作や脳卒中という意味がある。白兵戦でサイの目ゼロって最低の目で、10面体サイコロを振って最悪のゼロが7回連続で出たら何かの発作に襲われてもおかしくないですわな……って、ジョークかい! ふう、真面目にルール読んで損したぜ。

 気を取り直して読み続けると、次の項目Shock(白兵戦)の説明で、「…もしくは、相手プレイヤーが7回連続して9の目を出した時に起こること」って加えてある。そりゃ、相手の攻撃で最高の9の目が7回連続で出たらショックですよ。しかしこういう混乱するようなことをルールブックに書かれると困る。嫌いじゃないけど。

(後でよく読んだらMen of Iron Tri-packのルールブックにも同じことが書いてありました。このジョーク、気に入っているのかな…)


 スペイン軍の歩兵はパイク兵もSBもすべて火縄銃兵が配備されていて、射撃ができるようになっている。つまりフランス軍がスペイン軍の陣地に押し寄せていくと、塁壁の向こうから火縄銃の砲弾を浴びせかけられるのだ。今回も一斉にフランス軍が塁壁にとりついたけど、あー、見てられない。待ち構えていたスペイン軍の火縄銃が火を噴き、数ユニットが混乱状態に。

 フランス軍の歩兵のうちSBはクロスボウが配備されていて射撃能力があるため、対応射撃を受けた後に射撃ができる。クロスボウの威力はこのゲームでは火縄銃と同等だ。だが塁壁の向こう側に身を隠しているスペイン軍を撃つも、被害は皆無。



 通常であればこの後フランス軍は白兵戦が行えるのだけれど、壕にとりついたのと同じ活性化中に白兵戦をしかけることができず、攻撃できるのは次の活性化になる。塁壁を一度でも突破するとこの制限はなくなるが、今は次の活性化まで待ちだ。それまでスペイン軍が壁の向こうでのんびりしているはずもなく…。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年5月23日月曜日

火器が勝敗を決した初の戦い Cerignola 1503 - Arquebus (GMT) AAR ①

  Cerignolaと書いて「チェリニョーラ」と読むらしい。南イタリアにある町である。南伊ナポリ王国をめぐってスペインとフランスの衝突が続ていたイタリア戦争中の1503年、スペイン軍の軽騎兵の妨害に悩まされながら、フランス軍は斥候も出さずにチェリニューラの町に向かって進んでいた。陽も傾くころになってようやく町近くについたとき、スペイン軍を見つける。フランス軍を率いていたヌムール公は翌朝を待って攻撃しようと考えていた。そうすれば後続の砲兵部隊も追いつくうえ、長い行軍と暑さで疲弊している歩兵部隊も休養が取れる。だが配下の諸将は攻撃を主張した。これまでどおり、強力な一撃で敵を破ればいい。そのあとでぐっすり眠れる。だが、スペイン軍の前に掘られた深い堀に誰も気がついていなかった。攻撃を告げるラッパの音が鳴り、フランス軍が突撃を開始する…。


 このチェリニョーラの戦い当時のイタリアはルネサンス華やかなりしころで、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチなどが活躍している。一方、ミラノ公国やヴェネツィア共和国、ローマ教皇領など政治的には分裂状態にあった。この戦いの約30年後にはマキャヴェリが「君主論」でイタリア統一への願いを述べていたりする。

 チェリニューラの戦いは初めて火器が勝敗を決した戦闘と呼ばれているそうで、スペイン軍が火器に加えて野戦築城を効果的に利用し、精強を誇ったフランス軍とスイス傭兵を打ち破った。長篠の戦いの約70年前のことである。


 ゲームはMen of Ironシリーズの4作目となるArquebus。年代的には同シリーズのInfidelが11~12世紀で、Arquebusは15世紀末から16世紀半ばと400年ほどの違いがある。どれだけ雰囲気が違ってくるのかと思い、InfidelのあとにArquebusで遊んでみることにした。

 Arquebusに入っている8つの戦いのうちチェリニョーラを選んだのは、もちろん火器が初めて勝負を決した歴史的な戦闘だから、ではなく、単にマップが小さくユニット数も少ないため楽そうだからである。まずはゲームに慣れないとね。


 マップを見るとditch(壕)とrampartがスペイン軍(白っぽい黄色のユニット)の戦列に沿って地図をほぼ縦断している。



rampartって何?と思って調べたら「塁壁」という意味だそうで、塁壁って何?と思って調べたら「砦の壁」だそうだけど、とにかく壕と壁でスペイン軍は守られている。

 これがまた強力で、接敵してもすぐには攻撃できず、白兵戦をしかけるためには次の活性化まで待たないといけない。だがその前に防御側の射撃で損害を受けている可能性大。しかも白兵戦を仕掛けるときも混乱チェックがあって、基本的に50%の確率で攻撃側は混乱してしまう。さらに地形効果でサイの目マイナス2。もしかなりの幸運に恵まれて、自軍は損害を受けずに防御ユニットを退却させたとしても、戦闘後前進の際にまた混乱チェックがある。

……と、ルールを読んでいるだけで攻撃をするが失せてくる。よくまあフランス軍はこんな強固に守っている敵に攻撃を仕掛けたもんだ。その日は埃っぽくて、実際に近づくまでは壕や塁壁がよく見えなかったらしいけど。


 ただよく見ると、スペイン軍の左右両翼の守りが比較的弱い。壕だけで塁壁はないし、守っている部隊も白兵戦に弱い投槍騎兵(Genitor、GE)とかだ。両翼から攻撃し、スペイン軍が中央から歩兵を引き抜かざるを得ないようにして、守りが手薄になったところを突破する。おし、これでいこう。余裕で守れると思っているスペイン軍プレイヤーの鼻をあかすのだ。ソロプレイだけど。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part5

 ●第5ターン  残り2ターンである。このゲーム、序盤は共和国軍が圧倒的に優勢であるものの、反乱軍には続々と増援が登場する。下の写真はこのショートシナリオが扱う第1~6ターンの両軍の増援で、一目瞭然、共和国軍には微々たる数しか現れないのに対し、反乱軍は大量の援軍を受け取る。ヒスト...