2026年8月30日日曜日

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part1

  今年はスペイン内戦ぼっ発から90年。「ランド・アンド・フリーダム」の日本語版も出ることだし、スペイン内戦のゲームが盛り上がってくれるといいな、と思ってるんですけどね。スペイン内戦の共和国軍の攻勢と反乱軍の反攻を扱ったALEA最新号の「Brunete 1937」という作戦級ゲームがあって、先日、某ゲーム会での対戦相手を募ったんだけど、反応がゼロ。やっぱり日本ではスペイン内戦はマイナーなのかな…と意気消沈していたんですが、つい最近Xでこんなポストを見まして。

 そうだよね、面白いよねって以前から思っていたんだけど、そんなこと作戦級が不得意な自分が言っても説得力ないなあと気が引けてました…。でもこのポストに勇気づけられて、AARを書いてみることにしましたよ。発売後すぐにプレイして一応AAR用に記録とっていたんだけど、Bruneteのあった7月にブログを、と思っていたら猛暑でモラルチェックに失敗し続けてたんだよね…。

 「Brunete 1937」はいわゆるIGOUGOシステムで、戦闘は戦力比。そこに砲兵の支援やらが加わるという、いたってスタンダードな作戦級という感じ。デザイナーは日本語版も出た『九州侵攻: オリンピック作戦』のアントニオ・ロドリゲス氏と言えば、ああ、あのゲームだったらプレイしたことあるっていう人も多いんじゃないかな。1へクスは約1km、1ターンは1日。全14ターンだが、今回は6ターンの共和国軍の攻勢シナリオをやってみた。

 

 初期配置は写真のとおり。なおBruneteに配置されている共和国軍6ユニットは夜間に浸透してきた部隊で、第1ターンは特殊な移動となる(後述)。

 共和国軍は紫で囲まれた4つのヘクスを占領したうえで、もう一つ、黄色のヘクスを占領しないといけないのだが、どれが目標になるかは紫の4へクスを占領した後にランダムに決まる。なお、黄色の目標へクスを占領できなくても、紫の4つを維持したうえで、黄色の点線で囲まれた3つの頂点へクスを保持していれば引き分けとなる。パッと見てわかるように、南方(マップ下方)と東方(マップ右方)の端のほうに黄色の目標へクスがあり、引き分けの条件となる黄色の山頂へクスも2つはマップ東方にあるので、共和国軍は右と下にむかってがんがん攻勢をかけていかないといけない。


●第1ターン

 まずは第1ターンの特別ルールによる、共和国軍第11師団6ユニットのブルネテへの夜間浸透移動。敵に発見されるかどうかで結構その後の展開が変わるんだけど、無事浸透成功。サイコロを2個振って出た目の合計分を、6ユニットに振り分けて移動させる。なおこれらのユニットは第1ターンの移動はこれ以上できない。

 共和国軍は主力が紫のヘクスの一つであるマップ左方のQuijornaを強襲。ここを占領しないと、夜間浸透したBrunete周辺の6ユニットに補給が通じないのだ。戦車、それに砲兵の支援を受けて猛攻、守備隊を追いやる。またその情報、黄色の山頂へクスの1つLos Llanosも包囲攻撃であっさり陥落。、またマップ上方の紫へクスVillanueva del Pardilloでは反乱軍はなけなしの砲兵支援も投入したものの、戦力比は4:1に。だが結果は両軍1ステップロス、さらに共和国軍の戦車は除去され3ターン後に復帰という結果になった。もう一つの紫へクスである中央のVillanueva de la Canadaは包囲にとどめる。補給切れになれば戦力が半減するため、次ターンに屠ればいい。

 反乱軍には増援が計5ユニット登場するものの、平地が広がる戦場に薄い戦線を張るのがやっとである。戦力比を有利にする航空・砲兵の支援マーカーも共和国軍は計6個あるのに対し、反乱軍はたったの1。ゲーム初期はどうしても劣勢にならざるを得ない。

つづく

2026年8月28日金曜日

薔薇戦争のキープレイヤーを追う - "The Wars and Roses: The Key Players in the Struggle for Supremacy"

  薔薇戦争って言ったら日本語だとあんまり本が出ていないですけど、英語だとかなりあってどれを読めばいいか迷うんですよね。そりゃね、イギリスの内戦ですしね、それにシェイクスピアも何作かで題材にしているし。大量に書籍が出ていてもおかしくない。

 以前、「Plantagenet」(GMT)のデザイナーFrancisco Gradaille氏が『Battle Royal』と『Blood Royal』という本をTwitterでおススメしてくれて、この二冊は面白かったです。やっぱりウォーゲーマーが勧める本がいいよな、と思っていたんですけど、先日、「Plantagenet」のBackground Bookを見させてもらえる機会がありまして。そこでいくつか挙げられていたもののなかからそのまんまずばりのタイトル『The Wars of the Roses』というのを選んで読んでみました。



 この本、副題的にThe key players in the Struggle for Supremacyってついているんですけど、「Plantagenet」のBackground BookによるとThe lives of the main actors in the war, and with them we understand how their personality shaped the conflict.だとのこと。ほうほう。『Battle Royal』『Blood Royal』は結構軍事面にフォーカスしていたけど、こっちは個人なのね。まあでも主要登場人物一人一人を章立てて描写しているのではなく、薔薇戦争の流れを個人にフォーカスして述べていくって感じでした。ヨーク公リチャードや王妃マーガレット・オブ・アンジュー、キングメーカーのウォリックなどは当然なんですけど、ちょっとヨーク派寄りの印象。もちろんあくまで残っている資料に基づいてヨーク公とかを擁護しているんですけどね。例えば第一次セント・オールバンズの戦いに関して、If Richard, Duke of York, wanted the throne, he had only to finish the work an arrow had begun by widening the wound at the king's neck within the silent, unseeing walls of a tanner's house in St Albans. In fact, it was during the following Parliament under York's auspices that Henry's son, Edward, was created Prince of Wales, a move that effectively ended debate about York's own pretentions to be heir apparent.って感じで、最初っから王位を狙っていたのならこうしたはずだけど実際はこう行動した、みたいな叙述が結構目に入ったかな。

 あと、イギリスってマティルダとか結構女性君主が活躍するというか辣腕を振るうイメージがあったんですけど、Margaret had underestimated just how much her gender undermined her position.っていう指摘が意外でした。それとヘンリー六世に関しては結構批判的でした。King Henry must shoulder a large portion of the blame for the nation's dissent into anarchy.とか。そりゃそうか。

 薔薇戦争の主要人物って言ったら自分的にはなんつってもリチャード三世。「Men of Iron」の「Blood&Roses」で一番好きなのはボズワースで、AAR2回も書いちゃったし。

即ち聴かん: 「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

即ち聴かん: 失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

 この本では父親同様、リチャード三世をかなり擁護する感じで書いていました。ボズワースでも、シェイクスピアのあの有名なセリフ"A horse! A horse! My kingdom for a horse!"のシーンを引用して、

Richard asks for a horse not to make his escape, as Catesby believes, but to return to the battle. He is determined to kill Richmond (Henry Tudor), having killed five men already that he believed to be the earl. Even Shakespeare did not deny Richard his valiant end, though the passage has been misquoted to paint Richard as a coward.

って指摘していて、そうだよな、自ら突撃して戦死するような勇敢な王だったんだよなって胸アツになりましたよ。うーん、また「Blood&Roses」のボズワースやってみるかな。

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part5

 ●第5ターン  残り2ターンである。このゲーム、序盤は共和国軍が圧倒的に優勢であるものの、反乱軍には続々と増援が登場する。下の写真はこのショートシナリオが扱う第1~6ターンの両軍の増援で、一目瞭然、共和国軍には微々たる数しか現れないのに対し、反乱軍は大量の援軍を受け取る。ヒスト...