2023年10月17日火曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

  映画「ロスト・キング 500年越しの運命」を見たら、当然ボズワースでリチャード三世の無念を晴らさなくては、ということでMen of Ironシリーズ「Blood & Roses」のボズワースのシナリオをやってみることにした。

 ボズワースの戦いと言ったら30年続いたイギリスの血みどろの内戦・薔薇戦争を終結させたと言われる戦いで、リッチモンド伯ヘンリー・テューダーがリチャード三世を打ち破った。シェイクスピアの戯曲「リチャード三世」でのリチャードの最後のセリフ、「馬の代わりに我が王国をくれてやる!(My kingdom for a horse!)」が有名である。

 というかね、「リチャード三世」で悪人に描かれて過ぎていて、その反動からかリチャードを擁護するRicardianなんて人たちが出てきているんですよね。リチャード三世協会なんてのもあるんだけど、映画「ロスト・キング」では学者からファンクラブと馬鹿にされていましたね。でもそんなRicardianが、川に投げ捨てられたという伝承が残るリチャードの遺体を、2012年に発見するんですよ。いやー、すごいなあ。


 で、ボズワースである。リチャード率いるヨーク軍は前衛をノーフォク公ジョン・ハワード、中央がリチャード、後衛をノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーが指揮しているが、以前のAARにも書いたようにノーサンバランドが動くことはほとんど期待できない。一方、ヘンリー・テューダーのランカスター軍は、前衛がオックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアーの部隊、その後ろにヘンリー直属部隊が布陣している。



 射撃力でヨーク軍は優位に立っている。百年戦争から薔薇戦争にかけて猛威を振るった長弓兵のユニット数はヨーク軍6,ランカスター軍3だ。またランカスターのオックスフォード隊は兵力が多いように見えるが、そのうち6ユニットは徴集兵(Levy)。徴集兵は他の兵種と共同でないと白兵戦がしかけられないので、あくまで補助的な戦力である。


 ちなみに、「Blood&Roses」のシナリオ集「Battle Book」にもちらっと書いてあるけど、この戦いのランカスター軍の多くはフランスやウェールズの兵で、ユニットにもウェールズやフランス、ノルマンディ、ブルターニュの紋章がついていたりする。ヘンリー・テューダーは亡命して長い間ブルターニュ公の庇護下にあった。そして今回はフランス王シャルル八世の支援を得て、ノルマンディーのアルフール港からウェールズにもどってきている。

 テューダー家はもともとウェールズの貴族で、薔薇戦争中はペンブローグ城を拠点にしてヨーク家に対し抵抗を続けた。ウェールズと言えば紋章は赤い竜で、ヘンリー・テューダーは1485年にリチャードを倒すためウェールズに上陸した際、赤竜の軍旗を掲げてウェールズ人の支持を得たらしい。ウェールズの吟遊詩人たちはヘンリーのことをアーサー王の再来と称え、その帰還を待ち焦がれていたそうだ。…というのは『物語 ウェールズ抗戦史』という本の受け売りで、この本の帯には「そのとき赤竜の軍旗を掲げアーサー王は蘇った。」なんて惹句が付いている。まあ、実際ヘンリーはアーサー王伝説をうまく利用したようで、息子にもアーサーと名付けている。


 おおっと、話がそれた。ということでランカスター軍はやや不利で、指揮官の活性化値ではランカスター軍のほうが優っているものの、マップ右下にいるスタンリー兄弟が史実のようにリチャードを裏切って味方に付いてくれないと苦戦することだろう。


つづく



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