2026年5月18日月曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part7

 ●第7ターン (15:00)

 最終ターンである。実はもう勝利得点はフランス軍のプラス2となっていて、連合軍の守りは固いものの積極的に反撃して仏軍に損害を与えられる可能性は低く、ましてや堡塁を奪還することはほぼ不可能なので、仏軍の勝ちはすでに決まっている。でも一応最後までやってみることにした。ソロプレイだからね。


 このターンも士気喪失は起こらず。連合軍は砲撃と射撃を行うものの、仏軍の一部が混乱状態になるだけである。仏軍はLeclaireが包囲中の敵騎兵を砲撃で混乱させ、そこに指揮官自ら突進し壊滅させた。結果、この戦いは仏軍が4点で共和国側の勝利となった。


 今回のプレイ、後半は仏軍の一方的な展開となったが、第4ターンの堡塁への攻撃は6分の5に近い確率で連合軍が持ちこたえていたはずなので、あそこで連合軍に粘られたらその後の展開がどうなっていたかわからない。それと、連合軍両翼は毎ターン後退することになり砲兵の牽引状態が続いたが、左翼(マップ下方)のHammersteinは第1ターンに命令を移動に変更して大きく後退しておけば、もっと効果的な防御態勢を築けたかもしれない。実際、史実では仏軍Jourdanの最初の攻撃は撃退され、連合軍のCochenhausenは堡塁から反撃に打って出ている。でも砲撃で両足を負傷して退却したそうだけど。

 あと、戦闘ボーナスを持つ連合軍中央の指揮官Cochenhausenは堡塁で守っていなかったけれども、これは両翼の支援に回した騎兵を指揮範囲に収めるため。このシリーズでは部隊指揮官から4へクス以内にいないと非指揮下(non-commandée)となり、士気が1低下して移動力が半減するのだ。Cochenhausenは堡塁に入れて、その指揮範囲内で騎兵を展開することを計算に入れて両翼の部隊が動けば、連合軍はもっと効果的に守れたんじゃないかと思う。つまりプレイヤーの用兵が拙かったということですな。

 それと、仏掲示板ではデザイナーさんが、砲兵の射程はこのゲームでは2ではなく3ヘクス、って書きこんでいたんだけど、待ち構える連合軍としては接近中の敵を砲撃できるチャンスが増えるわけで、もっと連合軍側が守りやすくなると思う。実際ヒストリカルノートに、Jourdanは堡塁への攻撃を撃退された後、再び攻撃を命じられるまで敵の砲火を浴びていたって書いてあるし。


 ヒストリカルノートと言えば、この戦いについてあまりにも知らなすぎてこのAARの一回目で紹介した「祖国は危機にあり(La partie en danger)関連ブログ」を読み返したんだけど、そこで何度も引用されている『La défense nationale dans le Nord en 1793 (Hondschoote)』を読んでみたら、仏総指揮官のHouchardが二人の派遣議員に部隊の指揮を執るよう要請したシーンが出てきて、議員たちはこの危険な任務を引き受け賞賛に値するような献身でもって実行した、なんて書かれているんだけど、

 Le brilliant courage de ces députés, la vue des panaches et des écharpes tricolors qui flottaient à leurs chapeaux, produisirent, comme toujours, un effet électrique.

 Bientôt les soldats s'animèrent les uns les autres par les cris mille fois répétés de Vive la nation! Vive la République! De la gauche à la droite, ils s'excitaient mutuellement et chantaient a tue-tête la Marseillaise et la Carmagnole.

と、議員たちの勇気と三色の飾りを見て兵たちが、グワッと士気が上がって「共和国万歳!」と叫びラ・マルセイエーズを大声で歌う、なんて言うシーンが出てきて、おお、なんか革命期のフランスって感じがしました。la Carmagnoleってなんじゃらほいと思って調べてみたら、革命歌のようですね。

 あと、この戦いの後のフランス軍は追撃が不十分だったってことには触れたけど、ちゃんと追撃されていたら連合軍は危うかったってシャルンホルスト関係の本に書かれていて、die Franzosen waren mehr die Freunde als die Feinde der Verbündeten. (フランス軍は連合軍の敵というよりは友だった)なんてハノーファーの老将軍(たぶん、この戦いの指揮を執ったWallmoden)の言葉をシャルンホルストはのちに嬉しそうに引用したとのこと。自分のへっぽこ用兵だったら敵からそんなふうに言われちゃうだろうなって思ってしまいましたよ。まあ今度は同じシリーズの『Tigre&Lions』をやってみよう。

2026年5月16日土曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part6

 ●第4ターン (12:00) つづき

 堡塁を奪取された連合軍は、敵に対して突出した形で残されたもう一つの堡塁にCochenhausenが入る。この指揮官は戦闘ボーナスがあるため、堡塁が袋叩きにあっても何とか抵抗できるだろう。そしてHondschooteの村に逃げ込んだ敗走歩兵は建物の中に入って少しは気が静まったのか、混乱状態レベル2に回復した。そこに総指揮官Wallmodenが急行、敗残兵の士気回復に努める。


●第5ターン (13:00)

 前ターンの堡塁をめぐる攻防で砲兵が1ユニット壊滅した連合軍Cochenhausenは士気喪失状態(État démoralisation)になるかどうかチェックしないといけない。Les soldats de la Républiqueシリーズでは、ステップロスを被ったり敗走状態のユニットがいる部隊は、各ターンの冒頭の命令変更を行うフェイズでそのようなチェックが課される。2D6を振って4以下だと士気喪失となるのだが、損害数や敗走状態のユニット数の分、不利な修正が付く(逆に部隊指揮官の指揮値は有利なDRMとなり、また防御命令下だと1有利になる)。つまり損害が蓄積していると士気を喪失してしまうのである。この辺は戦いが進むにつれて部隊全体が機能低下していく様子を簡単なルールで表しているのではないかと思う。士気喪失状態になった場合、各ユニットの士気が1低下し、敵ZOCにいるユニットはそこから離脱しなければならない。連合軍中央Cochenhausen部隊は今回のチェックに耐えたが、この後フランス軍の攻撃が激しさを増すと士気喪失に陥る可能性は高くなる。


 前ターンに堡塁を奪取した仏軍中央のJourdanが敵にたたみかける。堡塁を突破した結果、その右方の連合軍Hammersteinの砲兵と歩兵のスタックが側面をさらけ出す形になっていた。そこを攻撃、と思いきや、対応移動(mouvement de réaction)で正面を向かれてしまった。接敵されたユニットは、対応射撃ではなく対応移動としてユニットの向きをヘクスの1辺分、動かすことができるのだ。だがこの連合軍スタックの歩兵は戦力が1しかない。Jourdanはここでも銃剣突撃を命じる。結果は両者ステップロスで、連合軍歩兵は壊滅した。砲兵だけが残されたHammersteinは、急いで後退を命じ歩兵とスタックさせる。砲兵は単独でいるときに近接攻撃を受けると無条件で壊滅してしまうのだ。

 仏軍は左翼(マップ上方)でも猛攻。これまで連合軍右翼端を守り仏軍の攻撃をしのいできたDiepenbroikの騎兵を包囲、壊滅させた。さらに、繰り返し敗走しながらも指揮官の鼓舞によって踏みとどまってきた敵歩兵を、Leclaireが+8という圧倒的なDRMで攻撃、壊滅させる。仏軍3部隊のうち一番兵力の少ない右翼(マップ下方)のColaudも下方から敵にプレッシャーをかけた。連合軍は必死になって混乱状態のユニットの回復に努めると同時に、後退してHondschoote村を中心とした円陣を形成、守りを固めた。



●第6ターン (14:00)

 損害が増えていっている連合軍だが、このターンも士気喪失は起こらず。仏軍は混乱状態のユニットが次々と回復する。マップ上方のLeclaireが敵を押し込んでいくものの、連合軍側の射撃によってJourdanとColaudの部隊が混乱していき、特にColaudは歩兵と騎兵すべてが混乱状態に。この仏軍中央と右翼(マップ下方)の2部隊は守りを固めた敵に有効な攻撃が行えない。連合軍側は防御態勢が固まり砲兵が移動しなくなったことで、牽引状態になることなく至近距離から砲撃できるのが助かる。砲兵は2へクスの射程を持つが、隣接へクスへの砲撃はDRM+2となるのである。


(つづく)

2026年5月12日火曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part5

 ●第4ターン (12:00)

 仏軍は左翼(マップ上方)で敵を弱体化させ、右翼も攻撃態勢となった。敵は中央から騎兵を抽出し両翼の支援に回している。今こそ中央で攻撃に出る好機。これまで待機していた仏軍中央のJourdanも攻撃命令に変更した。

 仏軍は全軍で攻撃である。まずは左翼。このターンもほとんどのユニットが混乱状態から回復、指揮官Leclaireの陣頭指揮のもと、前ターンに敗走させて混乱状態レベル2で踏みとどまっている敵指揮官Diepenbroikの歩兵を攻撃する。DRM+3にしかならないところ、ここで一気に押し切ろうと仏軍は銃剣突撃(charger à la baïonnette)を宣言する。Les soldats de la Républiqueシリーズでは騎兵だけでなく歩兵も突撃ができる。突撃を行うと戦闘解決後に混乱状態となるのだが、銃剣突撃をするユニットごとに仏軍は+2DRMを得られるのでかなり強力な武器となる。なお連合軍の銃剣突撃はユニットごとに+1DRMにしかならない。ヒストリカルノートでは、この戦いで仏軍の兵士たちはVive la Nation!やVive la République!って叫びながら突進したそうだ。

 仏軍の銃剣突撃を受けた連合軍ユニットはステップロスを被ったうえに敗走した。Leclaireの猛攻を何とか持ちこたえようとする連合軍右翼のDiepenbroikは、敗走した兵の回復にまたも成功する。だがこれまで混乱状態になりながらも左翼端を守ってきた騎兵は戦闘前退却の士気チェックに失敗して混乱状態レベル2になっている。次ターンには包囲され壊滅してしまうだろう。

 仏軍右翼(マップ下方)のColaudも敵にとりつく。連合軍の対応射撃で士気チェックを課されたが、高い士気に支えられて損害なし。連合軍の歩兵の士気は7だが、仏軍は8と高いのである。そして攻撃。DRM-1だが、左翼のLeclaireが敵に大きな損害を与えている今、こちらの方面でも敵を追い込むのだ。仏軍2ユニットが銃剣突撃を宣言しDRM+3に。連合軍はその勢いに押されて後退、戦闘後前進によって騎兵が包囲された。

 Colaud正面の連合軍右翼Hammersteinは必死に反撃。先ほどの銃剣突撃で混乱状態になっている仏歩兵に砲撃を加え、混乱状態レベル2に。そして包囲された騎兵は混乱状態になりながらも包囲網を抜け出した。Les soldats de la Républiqueシリーズでは敵ZoCから敵ZoCへの直接移動は基本的にできないのだが、包囲されている場合は混乱状態にはなるが移動ができるのだ。

 そしてこれまでずっと待機していた仏軍中央、Jourdanの部隊がついに動く。正面にある二つの堡塁のうち、下方に戦力を集中攻撃。堡塁を守る連合軍の砲兵と歩兵が対応射撃を浴びせるも、1ユニットが混乱状態になるにとどまった。そして3方向から堡塁に向かって仏兵が殺到する。DRMは+2にしかならないが、Jourdanは銃剣突撃を命じた。Vive la République!と仏兵たちが喊声を上げる。2Dを振って目は10、+4で14となり、攻撃側は士気チェック、防御側は砲兵壊滅プラス3DR。仏軍は指揮官Jourdanに鼓舞されて士気チェックに成功、一方の連合軍は、3Dなので正常状態から3段階状態が悪化し、敗走となった。堡塁で守っている場合、R(退却)の結果が出ても士気チェックに成功すればその場に踏みとどまれるため、この攻撃でも連合軍が守り切った可能性は高かったのだが、3Dを食らって敗走となってしまったのだ。ちなみに、既述のように混乱からの回復チェックの際に敵ZoC内にいると不利な修正が付くのだが、堡塁内にいるとそのような効果は無効となる。そのため、混乱状態になっても堡塁に踏みとどまっていれば回復できる可能性が結構ある。さらには連合軍は自部隊活性化の際に、堡塁にとりついている仏軍に至近距離から射撃を浴びせられるのだ。今回は仏軍がサイの目に恵まれて一撃で陥落させたが、堡塁をめぐっては連合軍が頑強に抵抗し仏軍が消耗していく、というケースも珍しくない。だってハノーファー軍の砲兵部隊にはあのシャルンホルストもいたからね。

(つづく)


2026年5月5日火曜日

(幕間)『ナポレオン戦争の背景 - 18世紀フランスにおける戦術理論』

 Hondschooteの戦いのあったフランス革命戦争期での戦い方についてもうちょっと知りたいな、と思っていたんですが、つーか「祖国は危機にあり(La partie en danger)関連ブログ」で紹介されていたCamille Baruch Léviの『La défense nationale dans le Nord en 1793 (Hondschoote)』とか読んでもね、いろんな部隊の動きはわかるんですけど戦術的なところは自分にはわからんわけですよ。でも以前ブログで紹介した『La révolution militaire napoléonienne』の第二巻の第一章がDe la bataille linéaire à la bataille séquentielleってタイトルでプレ・ナポレオン戦争期の戦術と言いますか戦い方を数十ページ使って解説していて、17世紀から18世紀にかけての変遷が分かりやすくて助かりました。Hondschooteやほかの革命戦争期の戦いについても触れられていて面白かったです。でもbataille linéaireとbataille séquentielleってなんて訳せばいいですかね。

 もうちょっと知りたいなと思って、DSSSMさんが以前紹介されていた『Napoleonic Wars: The Essential Bibliography Series』で探してみたら、『The Background of Napoleonic Warfare: The Theory of Military Tactics in Eighteenth-Century France』がおすすめされていたので読んでみました。この本は、formed the cornerstone of traditional examinations of pre-revolutionary theories and their influence on French tactical reforms during the Revolutionだそうです。ほうほう。なんといってもInternet Archiveで公開されているのがありがたいです。小さなウォーゲーム屋さんで扱っている「ナポレオン戦争の背景」がこの本の和訳になるのかな。


 副題どおり18世紀フランスにおける戦術理論の変遷を扱っているんですけどね、革命戦争期どころかナポレオン戦争の戦術についての知識もおぼつかない自分、18世紀なんて知るはずもなく…。cadenceって言葉が出てきても、 あー、ケイデンスね、『弱虫ペダル』の。でも、あれ? 18世紀に自転車ってあったの? って感じでした。しかもcompanyやplatoonをどう配置して機動させるか、みたいな隊形的な話が多く、こういうのが好きな人にはたまらんのでしょうけどね。まあでもunitaryって言葉が何回か使われていましたが、プレ・ナポレオニックでの軍隊の機動って大変だったんだなってことはなんだか伝わってきました。

 しかもこの本、副題どおり理論的な話がほとんどで、七年戦争とか18世紀の実際の戦いを参照しながら読めばよかったのかな。ゲームだったらBattles from the Age of Reasonシリーズをやりながらとか。やったことないけど。まあでも、ordre profondとordre minceとか、1778年のThe Camp of Vaussieuxでの機動の検証とか、『La révolution militaire napoléonienne』で簡単に触れられていたので助かりました。

 でもTactics at the End of the Eighteenth Century and during the Great Warsっていう最後の章は特に面白く読めました。自分みたいに初心者だけどナポレオニックに興味がある人は、この章だけでも読むといいんじゃないかなって思います。ゲームだったらバタイユシリーズやっている人にも参考になるのかな。やったことないけど。フエンテス・デ・オニョーロの戦いの後の、「If Boney had been here, we should have been beaten.」っていうウェリントンの言葉が引用されていましたけど、結構ナポレオンを擁護するというかナポレオンのこと好きなんでしょ?って印象でした。

 あと、この章ではオマーンへの批判を結構書いていて、たぶん有名なcolumnとlineについての話とか、What is the misconception here? It is that the Revolutionary armies of 1793 and 1794 habitually fought in column, and that the column remained the fighting formation right through the Empire.って感じで、わりと字数を割いています。オマーンのNapoleon was essentially a strategist rather than a tacticianって言葉についても、the facts support Colin's judgment of Napoleon as a tactician rather than Oman's.って反論していていて、読んでいて楽しめましたよ。


2026年5月2日土曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part4

 ●第2ターン (10:00) つづき

 仏軍左翼(マップ上方)のLeclaire隊が防御射撃を受けながらも敵戦列に押し寄せ、戦闘セグメント(segment de combat)となる。戦闘セグメントでは各ユニット、射撃(tir)か近接攻撃(assault)が行える。仏軍は左翼端で敵騎兵に対し騎兵2,歩兵1ユニットが近接攻撃をしかけた。圧倒的不利と見た連合軍騎兵は、戦闘前退却(retraite de cavalerie)を選択。だが士気チェックに失敗し、攻撃を避け後退したものの混乱状態となった。

 Leclaire隊主力は射撃で連合軍の歩兵1ユニットを混乱状態にし、そこに指揮官Leclaire自ら陣頭に立って歩兵2ユニットで攻撃。Les soldats de la Républiqueシリーズの近接攻撃では、戦力比、士気差、地形効果などからDRMを算出し、2D6で結果を出すのだが、DRM+3以上でないと不利な攻撃という印象だ。そしてこのLeclaireの攻撃は、戦力比でDRM+4,士気差で+1、さらに指揮官の戦闘ボーナス(Bonus tactique)で+1の計+7。守る連合軍は防御命令下なのでDRM-2、さらに攻撃ユニットは、3つある自分の前面へクスに攻撃していない敵ユニットがいると-2が課される。結果、DRMは+3となり、戦闘結果は両者1ユニットずつが混乱状態に。防御側の連合軍ユニットは先ほどの射撃で混乱状態だったため、混乱状態のレベル2となった。


 このシリーズではユニットの状態は正常状態(en bon ordre)、混乱状態レベル1(désorganisée de niveau 1)、混乱状態レベル2、敗走状態(en déroute)の4つの段階がある。混乱状態レベル1は士気が正常状態よりも低下するもののそれ以外には特に不利なことはない(レベル2になると攻防ともに不利なDRMがつく)。さらに活性化時に移動の前に回復を試みることができ、敵ZoCにいても不利なDRMはつくものの回復チェックは可能だ。戦闘結果によってはステップロスもありうるが、高DRMでの攻撃でないとそのような損害を与えることはできない。なので簡単には敵ユニットの壊滅には至らず、混乱状態になった自軍ユニットをうまく回復させつつ、敵には回復の余裕を与えないことが重要になってくる。


 仏軍中央は堡塁前面で待機、攻撃命令への変更に失敗して接敵できない右翼(マップ下方)Colaudはさらにマップ右方に展開し、敵の背後に回り込む動きを見せる。中央Jourdanとの間隙が空いてしまうが、兵力の限られている連合軍は打って出てはこないだろう。一方の連合軍は、中央のCochenhousen部隊から騎兵2ユニットを左右両翼の支援に派遣。仏軍の攻撃を受けた右翼(マップ上方)のDiepenbroikはジワリと下がりつつも戦線を維持、右翼(マップ下方)のHammersteinは敵に回り込まれないよう後退した。



●第3ターン (11:00)

 フランス軍右翼(マップ下方)Colaudは、このターンも総指揮官の指揮値を使ってやっと攻撃に命令変更が成功した。これでやっと接敵ができる。全力で前進するものの、ボカージュに阻まれて思うように進めず、騎兵だけがやっと敵にとりついた。対する連合軍左翼のHammersteinは砲撃を行うものの、効果なし。防御命令だと射撃・砲撃の際に+1DRMがつくが、砲兵は移動をすると牽引状態(artillerie attelée)となり、-2DRMとなる。牽引状態の解消には1ターン動かないでいることが必要で、前ターンに移動したHammersteinの砲兵はこの状態のままだったのである。

 フランス軍左翼のLeclaireは、前ターンの敵の射撃や戦闘によって3ユニットが混乱状態になっていたが、すべて正常状態に回復、全ユニットが突進する。連合軍の対応射撃で歩兵2ユニットが混乱状態になったが、そんなことでひるんでられるか。敵指揮官Diepenbroikとスタックしている歩兵に対し、3ユニットで攻撃する。押し寄せる敵の攻撃を支えることができずに連合軍は敗走してしまった。そしてマップ上端、連合軍の最右翼を守る騎兵を仏軍は攻撃したが、またも連合軍騎兵は戦闘前退却。だが士気チェックに失敗して混乱状態レベル2となった。

 連合軍右翼の指揮官Diepenbroikは声を張り上げ、我先に逃げる兵たちを押しとどめる。Les soldats de la Républiqueシリーズでは回復(ralliement)の際、指揮官とスタックしているとその士気ボーナスが有利なDRMになる。先ほどの攻撃で敗走状態になった歩兵は指揮官のおかげで回復に成功したのだ。もし失敗していたら自軍マップ端に向かって3ヘクスの敗走移動をしなければならず、そうなっていたらこの方面に大きな穴が開いていたところだったので、連合軍としては助かった。だが混乱状態レベル2の騎兵と歩兵でなんとか突破を防いでいる状態である。



(つづく)

2026年4月28日火曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part3

 ●第2ターン (10:00)

 仏軍は右翼(マップ下方)のColaudの命令を移動から攻撃に変更しようとするも、総指揮官のボーナスもむなしく失敗。6分の5の確率で成功のはずだったのだが。このターンも右翼は攻撃ができないことになる。


 仏軍の総指揮官となっているHouchardは指揮値は1、士気ボーナス(Bonus de moral)はゼロとかなり能力が低い。Houchardは七年戦争からの長い軍歴があり、Hondschooteの戦いの前には仏軍のモーゼル方面軍の、この戦いのときには北方軍の司令官となっていたが、ヒストリカルノートにはLes historiens militaires s'accordent à reconnaître qu'il n'avait cependant pas les capacités pour exercer de telles fonctions.(しかしながら、軍事史家たちは彼がこのような任務に必要な能力を有していなかったということで意見が一致している)なんて書かれている。実際、例えばジョミニはフランス革命戦争について書いた『Histoire critique et militaire des guerres de la Révolution』の中で、Faux movement de Houchard(Houchardの誤った動き)なんて見出しを立ててたりする。Hondschooteでは勝利したものの敵を十分追撃しなかったことなどから、戦いの2か月後には革命裁判所で裁かれ断頭台送りとなっている。戦いに勝ってダンケルク解囲にも成功したのに処刑されるなんて、恐怖政治こえーよ。


 このゲームのフランス軍には総指揮官のHouchardのほかに派遣議員Levasseurも登場し、総指揮官とスタックしていると指揮値に+1が得られるので、無能なHouchardを補填するような存在になっている。派遣議員というのはフランス革命戦争中、国民公会がかなりの権限を持たせて軍隊などに派遣していたそうで、いろいろ作戦に口を出したり戦いに実際に加わったりしていたらしい。Levasseurもこの戦いの最中、仏軍の攻撃に参加して乗馬を撃ち殺されている。このゲームでは士気ボーナスは2で、Houchardよりも頼りになる感じである。


 前ターンに攻撃命令下になった仏軍左翼(マップ上方)のLeclaireの部隊が一斉に敵にとりつく。攻撃命令だと、敵に向かって全力で移動し、できる限り接敵しないといけないのだ(ただし部隊ごとに予備として指定できるユニット数が与えられており、予備は接敵義務が課されない)。だが守る連合軍の射撃を受け、一部が混乱状態(désorganisée)となった。


 Les soldats de la Républiqueシリーズでは敵が隣接へクスに移動してきた場合、歩兵や砲兵は対応射撃(tir de reaction)を行える(ただしすでに敵ZOCにいるユニットは対応射撃が行えない)。しかも射撃を行うユニットの部隊が防御命令下の場合、+1の有利なDRMがつく。待ち構えている敵に対して突進していくのはリスクがあるわけである。ただし砲兵と歩兵は別々に射撃をすることになるため、兵力が限られているこのゲームでは射撃の効果も低くせいぜい混乱状態になるぐらい。敵に向かって突進したはいいが強力な射撃を浴びて撃退された、という事態にはならない。射撃の結果、士気チェックとなっても仏軍歩兵の士気は8と高く、指揮官とスタックしていたらその士気ボーナスも得られるので士気チェックに耐えられる可能性は高い。先述のように敵ZoCにいるユニットは対応射撃ができないので、指揮官が先頭に立ってまず突っ込んで敵の射撃に耐えると、それに続く友軍は対応射撃を浴びなくていい場合も生じるのだ。革命精神に燃える仏軍兵士はガンガン突っ込んでいくべし、である。

 

(つづく)


2026年4月22日水曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part2

  このゲーム、連合軍が勝利得点3を持っている状態でスタートする。仏軍が中央の堡塁やHondschooteの村を占領するごとに仏軍が勝利得点を獲得(連合軍の点が減少)する。また両軍とも敵に与えた損害1ステップごとに1点得られる(敵の得点が減る)。最終的にプラスになっている側が勝利だ。つまり、仏軍は積極的に攻撃して堡塁やHondschooteの奪取を目指すとともに、敵に自軍以上の損害を与えないといけない。


●第1ターン (9:00)

 フランス軍は左翼(マップ上方)Leclaireの部隊の命令を、攻撃(offensifs)に変更する。Les soldats de la République(共和国の兵士たち)シリーズでは、各部隊は与えられた命令(ordre)によってできることが変わってくる。命令には攻撃(Ordre offensive)、移動(Ordre de manœuvre)、防御(Ordre défensive)の三つがあり、各ターンの最初のほうで命令の変更を試みることができる。またこの3つの命令の他に、損害が蓄積したり敗走中のユニットが多いと部隊は士気喪失状態(État démoralisation)になる可能性があり、行動がかなり制限される。

 フランス軍は初期配置の状態では3部隊とも命令は移動、連合軍はすべて防御だ。移動命令だと移動力が+1となるが接敵ができないため、命令を攻撃に変更する必要がある。この命令変更は2D6で8以上を出せば成功なのだが、攻撃命令への変更は-1の不利な修正が付く。だが各部隊の指揮官の指揮値(valeur de commandement)の分、有利な修正が付き、さらに各ターンに一回だけ、総指揮官(général en chef)の指揮値も使うことができる。積極的に攻撃したいフランス軍は、最大兵力を擁する左翼(マップ上方)のLeclaireの命令を、総指揮官の指揮値も使って攻撃に変更した。だが右翼のColaudは攻撃への変更に失敗。このターンは接敵できないことになる。

 残る中央のJourdanは様子見だ。左右両翼で回り込みつつ攻撃して敵兵力を誘引、中央の防御が手薄になってから攻撃を開始する予定である。というか、Jourdanの部隊は兵力が豊富にあるわけではなく、敵がしっかり守っているところに正面攻撃をかけても損害を被るだけの可能性が高いのだ。


 Les soldats de la Républiqueシリーズでは各ターンの最初に両プレイヤーが2D6を振り、総指揮官の指揮値を加えた値を比べる。値が大きいほうがイニシアティブを得て、先に部隊を活性化するかどうか選べる。部隊の活性化は両軍が交替で行っていくのだが、パスはできない。このターン、イニシアティブを得ていた連合軍が先に動き、最右翼(マップ上方)に騎兵を展開、仏軍に回り込まれないようにする。その正面の仏軍左翼Leclaireが全力で前進するも、ボカージュに阻まれて騎兵以外は接敵できない。連合軍は左翼(マップ下方)が後退、Hondschooteの村と堡塁を中心に守りを固めていった。

 命令の変更に失敗した仏右翼(マップ下方)のColaudは接敵できないため、敵の背後に回り込むように移動する。そして仏軍中央のJourdanの部隊はじわりと前進。正面では堡塁(Redoute)に連合軍が砲兵と歩兵がスタックして守っており、うかつに攻撃できない。また、仏総指揮官Houchardは右翼Colaudに近づいておく。次ターンにはColaudの命令を攻撃に変更して攻撃をしかけたいのだが、部隊の指揮官が総指揮官から6へクス以内にいないと、命令変更の際に不利なサイの目修正を受けるのだ。離れたところにいる指揮官は総指揮官の指令がなかなか届かないってことですかね。


(つづく)


共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part7

 ●第7ターン (15:00)  最終ターンである。実はもう勝利得点はフランス軍のプラス2となっていて、連合軍の守りは固いものの積極的に反撃して仏軍に損害を与えられる可能性は低く、ましてや堡塁を奪還することはほぼ不可能なので、仏軍の勝ちはすでに決まっている。でも一応最後までやって...