「Men of Iron Tri-pack」が再版されましたね。しかもシリーズ第6作の「Purgatorio」も出て、いやー、嬉しい。MoIシリーズは比較的シンプルなルールで多くのシナリオを楽しめるので、ハマる人がもっと出てくるといいなー。
というわけでMen of Ironシリーズの関連書籍をちらほら読んでいるんだけど、今回は第5作「Norman Conquests」関連。ノルマン・コンクエストって言ったら世界史で習うぐらいメジャーだし、ノルマン人の南イタリアとシチリアの征服も『ノルマン騎士の地中海興亡史』が去年復刊されてるんですけどね、収録シナリオの一つ、Tinchebrai 1106についてもっと知りたいな、と思いまして。1066年のノルマン・コンクエストから12世紀半ばのプランタジネット朝成立までの200年弱ってぼんやりとした印象しかないんですよね。
今回読んだのは『The White Ship』という本。The White Shipって言葉だけ見るとなんかいいイメージが湧いてしまいますが、イギリスの歴史においては悲劇の船らしいんですね。1120年、The White Shipはノルマンディーの港を出てすぐに沈没、乗っていたイングランド王の跡継ぎをはじめ王族、貴族が多数死亡してしまいます。この海難事故はイングランドとノルマンディーでthe Anarchy(無政府状態)と呼ばれる15年の内戦を後に引き起こすことになるんですが、ニューヨークタイムズのベストセラーにもなったDan Jonesの『The Plantagenets』もこのThe White Shipの難破から書き起こしていますね。『The White Ship』ではThe shipwreck impacted spectacularly on the next generation, resulting in the bloodiest anarchy that England has ever suffered. 'No Ship that ever sailed brought England such Disaster,'なんて書いています。
それだけインパクトのあったホワイトシップの難破ですが、この本『The White Ship』はそれを中心にノルマンコンクエストからプランタジネット朝の開始までを概説しています。冒頭に触れたTinchebraiは征服王ウィリアムの死後、兄弟間の争いで起こった戦いで、この経緯についても説明していて、あの戦いが自分の頭の中でその前後の歴史の流れとつながって助かりました。それに、この本、結構わかりやすい文章で書かれているんですよね。おかげでさくさく読めました。
しかしまあ、イングランドって結構内紛続きだったんだなっていう印象です。まあ征服王ウィリアム自身がノルマンディーにいた子供のころから結構大変な状況に置かれていて、William even awoke one morning to find his chamberlain in the bed next to him, his throat slashed open in silent assassination.なんてエピソードも載っていました。ウィリアムが存命のうちはその強権で国内はある程度安定してたようですが、As soon as the Conqueror died... his attendants fell upon his belongings in an orgy of self-enrichmentだそうです。そりゃごたごたが起こってもおかしくない。
でも1106年のTinchebraiの戦いでヘンリーⅠ世が兄弟喧嘩を制したあとは、His rigid control of the English aristocracy....had helped to lay down a third of a century of peace there.だそうです。そして跡継ぎもちゃんと育って安心……と思っていたら、ホワイトシップの悲劇が起こるわけですね。ヘンリーⅠ世の死後のthe Anarchyに関しては、The days of the Conqueror's strong rule - when, it had been claimed, a girl laden with gold could cross the land unmolested - were long gone.とか書かれちゃってます。ほかにもEngland had fallen spectacularly from the strictly administered harmony of Henry to the bloody purgatory of Stephen.ってあって、おお、Men of Ironの新作のタイトルとこんなところでつながるとは、と本筋と関係ないところで嬉しくなりました。
ヘンリーの死後の内戦はDan Jonesの『The Plantagenets』でちょっとは知識があって助かりました。『The White Ship』では一方の主役Matildaのことが結構書かれていて面白かったです。女性が支配者になることに強い抵抗のある時代だってことが繰り返し書かれているんですが、she retained a 'mind steeled and unbroken in adversity'.とか、Matildaが窮地を脱したときはIt was an escape so daring that it drew the admiration of Matilda's enemies.とか、もっとMatildaのことが知りたくなりましたよ。
もちろんタイトルとなっているthe White Shipについても、どういう状況だったのか説明されているんですけど、みんな酔っぱらってたようで、when monks appeared with holy water to bless the White Ship the more high spirited passengers chose to chase them away, shouting insults. This made the drunken spectators aboard howl with delight.とか、そりゃいかんだろ。
ところで筆者のCharles Spencerはオックスフォードで歴史を専攻したあと、テレビの歴史番組にかかわったりしていたそうです。でも、そういう経歴よりも目を引いたのがNinth Earl Spencerだってこと。しかもA godson of Her Majesty the Queenだそうで、エリザベス二世が名付け親ってこと? この本は畳の上で寝ころびながら読んでいたんですけど、筆者がこんな貴族さまだって知って、ちゃんと背筋伸ばして紅茶淹れなきゃって思いましたよ。









