1066年、征服王ウィリアム一世がノルマンディーからイングランドを征服するが、その死後、息子たちの間で遺領が分割される。ノルマンディーは長子のロベールが得たが、イングランド王位は弟のウィリアムを経てもう一人の弟ヘンリーが受け継いだ。もともと仲がいいとは言えなかったこの兄弟、ノルマンディーとイングランドをめぐって骨肉の争いが始まる。この抗争に終止符を打ったのが、今回プレイする1106年のタンシュブレーの戦いである。この戦いで敗れたノルマンディー公ロベールは弟のイングランド王ヘンリーI世によって捕えられ、死ぬまで28年もの間、幽閉されるのだ。
…と知ったかぶりして書いたけど、この戦いについては先日紹介した『The Norman Commanders』で読んで初めて興味を持った。というか、1066年のノルマンコンクエスト以降のイングランドや北フランスの歴史は、百年戦争までほとんど知識がなくてぼんやりとしかわかっていませんでした。マグナ・カルタとか習った気がするんだけどね。
タンシュブレーの戦いのあった場所はノルマンディー。エポック/サンセットゲームズの「史上最大の作戦」のマップだと、下端近く、中央やや左よりのあたりになるはず。ゲーム終盤に薄い独軍の防衛線をアメリカ軍が突破するかも、というところかな。「史上最大の作戦」はゲーム置き場になっている押入れの奥深くに眠っているのでサルベージしないと確認できないんだけど。
このシナリオではノルマンディー軍、イングランド軍ともにまっすぐ戦列を引いて相対している状況で始まる。正直、ノルマンディー軍が不利である。まず数で敵に劣る。これで兵の質が優勢だったらいいのだがそんなこともない。そして敗走レベル(Flight Level)はノルマンディー軍が18、イングランド軍が21。敗走レベルとはMen of Ironシリーズで勝敗を決める値なのだが、損害が蓄積していってこの値を越えた側が敗北となる。つまり敗走レベルの数値が低いほうが負けやすいのだが、この点でもノルマンデー軍は不利。さらに、イングランド軍には増援があり、重装騎兵3ユニットがマップ右端から現れてノルマンディー軍の側面を襲うことになる。そのためノルマンディー軍は増援が現れる前に勝負を決めなくてはならず、焦って攻撃をしなくてはならない状況に置かれている。
ノルマンディー軍はゲーム最初の活性化を与えられているため、プレイ開始から全力で攻撃するしかない。幸い、イングランド軍の主力である槍兵の防御力は低い。先手必勝で敵に打撃を与え自分たちのペースに持ち込むのだ。
ところで登場する指揮官の名前なのだが、1066年のノルマンコンクエスト以降、イングランドの貴族はフランス語を話していた。タンシュブレーの戦いから三百年ほどたって、百年戦争が始まる14世紀にはやっと英語が主要言語になっていったようだけど。ということでこのAARでは指揮官の名前はフランス読みにすることにする。ただイングランド王Henryは「アンリ」って呼ぶと個人的に違和感があるし、たいてい日本語の書籍では「ヘンリー」ってなっていると思うのでそれに合わせている。
ノルマンディー軍右翼(マップ左方)のモルタン伯ギョーム(William, Count of Mortain)の部隊が攻撃を開始する。弓兵の射撃で敵の槍兵を混乱させ、そこに指揮官が陣頭に立って重装騎兵の突撃。モルタン伯に続け、と槍兵が一斉に敵に襲いかかる。攻撃は一部で撃退されたもののイングランド軍左翼の歩兵に大きな被害を与え、敵の戦列に食い込んだ。
よし、第一撃は成功だ。ここで追い打ちをかけたいところだったが、中央のノルマンディー公ロベール二世が継続活性に失敗する。ノルマン軍の指揮官は3人とも活性化値が3と凡庸で、連携攻撃をあまり期待できないのだ。
つづく
0 件のコメント:
コメントを投稿