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2026年5月18日月曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part7

 ●第7ターン (15:00)

 最終ターンである。実はもう勝利得点はフランス軍のプラス2となっていて、連合軍の守りは固いものの積極的に反撃して仏軍に損害を与えられる可能性は低く、ましてや堡塁を奪還することはほぼ不可能なので、仏軍の勝ちはすでに決まっている。でも一応最後までやってみることにした。ソロプレイだからね。


 このターンも士気喪失は起こらず。連合軍は砲撃と射撃を行うものの、仏軍の一部が混乱状態になるだけである。仏軍はLeclaireが包囲中の敵騎兵を砲撃で混乱させ、そこに指揮官自ら突進し壊滅させた。結果、この戦いは仏軍が4点で共和国側の勝利となった。


 今回のプレイ、後半は仏軍の一方的な展開となったが、第4ターンの堡塁への攻撃は6分の5に近い確率で連合軍が持ちこたえていたはずなので、あそこで連合軍に粘られたらその後の展開がどうなっていたかわからない。それと、連合軍両翼は毎ターン後退することになり砲兵の牽引状態が続いたが、左翼(マップ下方)のHammersteinは第1ターンに命令を移動に変更して大きく後退しておけば、もっと効果的な防御態勢を築けたかもしれない。実際、史実では仏軍Jourdanの最初の攻撃は撃退され、連合軍のCochenhausenは堡塁から反撃に打って出ている。でも砲撃で両足を負傷して退却したそうだけど。

 あと、戦闘ボーナスを持つ連合軍中央の指揮官Cochenhausenは堡塁で守っていなかったけれども、これは両翼の支援に回した騎兵を指揮範囲に収めるため。このシリーズでは部隊指揮官から4へクス以内にいないと非指揮下(non-commandée)となり、士気が1低下して移動力が半減するのだ。Cochenhausenは堡塁に入れて、その指揮範囲内で騎兵を展開することを計算に入れて両翼の部隊が動けば、連合軍はもっと効果的に守れたんじゃないかと思う。つまりプレイヤーの用兵が拙かったということですな。

 それと、仏掲示板ではデザイナーさんが、砲兵の射程はこのゲームでは2ではなく3ヘクス、って書きこんでいたんだけど、待ち構える連合軍としては接近中の敵を砲撃できるチャンスが増えるわけで、もっと連合軍側が守りやすくなると思う。実際ヒストリカルノートに、Jourdanは堡塁への攻撃を撃退された後、再び攻撃を命じられるまで敵の砲火を浴びていたって書いてあるし。


 ヒストリカルノートと言えば、この戦いについてあまりにも知らなすぎてこのAARの一回目で紹介した「祖国は危機にあり(La partie en danger)関連ブログ」を読み返したんだけど、そこで何度も引用されている『La défense nationale dans le Nord en 1793 (Hondschoote)』を読んでみたら、仏総指揮官のHouchardが二人の派遣議員に部隊の指揮を執るよう要請したシーンが出てきて、議員たちはこの危険な任務を引き受け賞賛に値するような献身でもって実行した、なんて書かれているんだけど、

 Le brilliant courage de ces députés, la vue des panaches et des écharpes tricolors qui flottaient à leurs chapeaux, produisirent, comme toujours, un effet électrique.

 Bientôt les soldats s'animèrent les uns les autres par les cris mille fois répétés de Vive la nation! Vive la République! De la gauche à la droite, ils s'excitaient mutuellement et chantaient a tue-tête la Marseillaise et la Carmagnole.

と、議員たちの勇気と三色の飾りを見て兵たちが、グワッと士気が上がって「共和国万歳!」と叫びラ・マルセイエーズを大声で歌う、なんて言うシーンが出てきて、おお、なんか革命期のフランスって感じがしました。la Carmagnoleってなんじゃらほいと思って調べてみたら、革命歌のようですね。

 あと、この戦いの後のフランス軍は追撃が不十分だったってことには触れたけど、ちゃんと追撃されていたら連合軍は危うかったってシャルンホルスト関係の本に書かれていて、die Franzosen waren mehr die Freunde als die Feinde der Verbündeten. (フランス軍は連合軍の敵というよりは友だった)なんてハノーファーの老将軍(たぶん、この戦いの指揮を執ったWallmoden)の言葉をシャルンホルストはのちに嬉しそうに引用したとのこと。自分のへっぽこ用兵だったら敵からそんなふうに言われちゃうだろうなって思ってしまいましたよ。まあ今度は同じシリーズの『Tigre&Lions』をやってみよう。

2026年5月16日土曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part6

 ●第4ターン (12:00) つづき

 堡塁を奪取された連合軍は、敵に対して突出した形で残されたもう一つの堡塁にCochenhausenが入る。この指揮官は戦闘ボーナスがあるため、堡塁が袋叩きにあっても何とか抵抗できるだろう。そしてHondschooteの村に逃げ込んだ敗走歩兵は建物の中に入って少しは気が静まったのか、混乱状態レベル2に回復した。そこに総指揮官Wallmodenが急行、敗残兵の士気回復に努める。


●第5ターン (13:00)

 前ターンの堡塁をめぐる攻防で砲兵が1ユニット壊滅した連合軍Cochenhausenは士気喪失状態(État démoralisation)になるかどうかチェックしないといけない。Les soldats de la Républiqueシリーズでは、ステップロスを被ったり敗走状態のユニットがいる部隊は、各ターンの冒頭の命令変更を行うフェイズでそのようなチェックが課される。2D6を振って4以下だと士気喪失となるのだが、損害数や敗走状態のユニット数の分、不利な修正が付く(逆に部隊指揮官の指揮値は有利なDRMとなり、また防御命令下だと1有利になる)。つまり損害が蓄積していると士気を喪失してしまうのである。この辺は戦いが進むにつれて部隊全体が機能低下していく様子を簡単なルールで表しているのではないかと思う。士気喪失状態になった場合、各ユニットの士気が1低下し、敵ZOCにいるユニットはそこから離脱しなければならない。連合軍中央Cochenhausen部隊は今回のチェックに耐えたが、この後フランス軍の攻撃が激しさを増すと士気喪失に陥る可能性は高くなる。


 前ターンに堡塁を奪取した仏軍中央のJourdanが敵にたたみかける。堡塁を突破した結果、その右方の連合軍Hammersteinの砲兵と歩兵のスタックが側面をさらけ出す形になっていた。そこを攻撃、と思いきや、対応移動(mouvement de réaction)で正面を向かれてしまった。接敵されたユニットは、対応射撃ではなく対応移動としてユニットの向きをヘクスの1辺分、動かすことができるのだ。だがこの連合軍スタックの歩兵は戦力が1しかない。Jourdanはここでも銃剣突撃を命じる。結果は両者ステップロスで、連合軍歩兵は壊滅した。砲兵だけが残されたHammersteinは、急いで後退を命じ歩兵とスタックさせる。砲兵は単独でいるときに近接攻撃を受けると無条件で壊滅してしまうのだ。

 仏軍は左翼(マップ上方)でも猛攻。これまで連合軍右翼端を守り仏軍の攻撃をしのいできたDiepenbroikの騎兵を包囲、壊滅させた。さらに、繰り返し敗走しながらも指揮官の鼓舞によって踏みとどまってきた敵歩兵を、Leclaireが+8という圧倒的なDRMで攻撃、壊滅させる。仏軍3部隊のうち一番兵力の少ない右翼(マップ下方)のColaudも下方から敵にプレッシャーをかけた。連合軍は必死になって混乱状態のユニットの回復に努めると同時に、後退してHondschoote村を中心とした円陣を形成、守りを固めた。



●第6ターン (14:00)

 損害が増えていっている連合軍だが、このターンも士気喪失は起こらず。仏軍は混乱状態のユニットが次々と回復する。マップ上方のLeclaireが敵を押し込んでいくものの、連合軍側の射撃によってJourdanとColaudの部隊が混乱していき、特にColaudは歩兵と騎兵すべてが混乱状態に。この仏軍中央と右翼(マップ下方)の2部隊は守りを固めた敵に有効な攻撃が行えない。連合軍側は防御態勢が固まり砲兵が移動しなくなったことで、牽引状態になることなく至近距離から砲撃できるのが助かる。砲兵は2へクスの射程を持つが、隣接へクスへの砲撃はDRM+2となるのである。


(つづく)

2026年5月12日火曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part5

 ●第4ターン (12:00)

 仏軍は左翼(マップ上方)で敵を弱体化させ、右翼も攻撃態勢となった。敵は中央から騎兵を抽出し両翼の支援に回している。今こそ中央で攻撃に出る好機。これまで待機していた仏軍中央のJourdanも攻撃命令に変更した。

 仏軍は全軍で攻撃である。まずは左翼。このターンもほとんどのユニットが混乱状態から回復、指揮官Leclaireの陣頭指揮のもと、前ターンに敗走させて混乱状態レベル2で踏みとどまっている敵指揮官Diepenbroikの歩兵を攻撃する。DRM+3にしかならないところ、ここで一気に押し切ろうと仏軍は銃剣突撃(charger à la baïonnette)を宣言する。Les soldats de la Républiqueシリーズでは騎兵だけでなく歩兵も突撃ができる。突撃を行うと戦闘解決後に混乱状態となるのだが、銃剣突撃をするユニットごとに仏軍は+2DRMを得られるのでかなり強力な武器となる。なお連合軍の銃剣突撃はユニットごとに+1DRMにしかならない。ヒストリカルノートでは、この戦いで仏軍の兵士たちはVive la Nation!やVive la République!って叫びながら突進したそうだ。

 仏軍の銃剣突撃を受けた連合軍ユニットはステップロスを被ったうえに敗走した。Leclaireの猛攻を何とか持ちこたえようとする連合軍右翼のDiepenbroikは、敗走した兵の回復にまたも成功する。だがこれまで混乱状態になりながらも左翼端を守ってきた騎兵は戦闘前退却の士気チェックに失敗して混乱状態レベル2になっている。次ターンには包囲され壊滅してしまうだろう。

 仏軍右翼(マップ下方)のColaudも敵にとりつく。連合軍の対応射撃で士気チェックを課されたが、高い士気に支えられて損害なし。連合軍の歩兵の士気は7だが、仏軍は8と高いのである。そして攻撃。DRM-1だが、左翼のLeclaireが敵に大きな損害を与えている今、こちらの方面でも敵を追い込むのだ。仏軍2ユニットが銃剣突撃を宣言しDRM+3に。連合軍はその勢いに押されて後退、戦闘後前進によって騎兵が包囲された。

 Colaud正面の連合軍右翼Hammersteinは必死に反撃。先ほどの銃剣突撃で混乱状態になっている仏歩兵に砲撃を加え、混乱状態レベル2に。そして包囲された騎兵は混乱状態になりながらも包囲網を抜け出した。Les soldats de la Républiqueシリーズでは敵ZoCから敵ZoCへの直接移動は基本的にできないのだが、包囲されている場合は混乱状態にはなるが移動ができるのだ。

 そしてこれまでずっと待機していた仏軍中央、Jourdanの部隊がついに動く。正面にある二つの堡塁のうち、下方に戦力を集中攻撃。堡塁を守る連合軍の砲兵と歩兵が対応射撃を浴びせるも、1ユニットが混乱状態になるにとどまった。そして3方向から堡塁に向かって仏兵が殺到する。DRMは+2にしかならないが、Jourdanは銃剣突撃を命じた。Vive la République!と仏兵たちが喊声を上げる。2Dを振って目は10、+4で14となり、攻撃側は士気チェック、防御側は砲兵壊滅プラス3DR。仏軍は指揮官Jourdanに鼓舞されて士気チェックに成功、一方の連合軍は、3Dなので正常状態から3段階状態が悪化し、敗走となった。堡塁で守っている場合、R(退却)の結果が出ても士気チェックに成功すればその場に踏みとどまれるため、この攻撃でも連合軍が守り切った可能性は高かったのだが、3Dを食らって敗走となってしまったのだ。ちなみに、既述のように混乱からの回復チェックの際に敵ZoC内にいると不利な修正が付くのだが、堡塁内にいるとそのような効果は無効となる。そのため、混乱状態になっても堡塁に踏みとどまっていれば回復できる可能性が結構ある。さらには連合軍は自部隊活性化の際に、堡塁にとりついている仏軍に至近距離から射撃を浴びせられるのだ。今回は仏軍がサイの目に恵まれて一撃で陥落させたが、堡塁をめぐっては連合軍が頑強に抵抗し仏軍が消耗していく、というケースも珍しくない。だってハノーファー軍の砲兵部隊にはあのシャルンホルストもいたからね。

(つづく)


2026年5月2日土曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part4

 ●第2ターン (10:00) つづき

 仏軍左翼(マップ上方)のLeclaire隊が防御射撃を受けながらも敵戦列に押し寄せ、戦闘セグメント(segment de combat)となる。戦闘セグメントでは各ユニット、射撃(tir)か近接攻撃(assault)が行える。仏軍は左翼端で敵騎兵に対し騎兵2,歩兵1ユニットが近接攻撃をしかけた。圧倒的不利と見た連合軍騎兵は、戦闘前退却(retraite de cavalerie)を選択。だが士気チェックに失敗し、攻撃を避け後退したものの混乱状態となった。

 Leclaire隊主力は射撃で連合軍の歩兵1ユニットを混乱状態にし、そこに指揮官Leclaire自ら陣頭に立って歩兵2ユニットで攻撃。Les soldats de la Républiqueシリーズの近接攻撃では、戦力比、士気差、地形効果などからDRMを算出し、2D6で結果を出すのだが、DRM+3以上でないと不利な攻撃という印象だ。そしてこのLeclaireの攻撃は、戦力比でDRM+4,士気差で+1、さらに指揮官の戦闘ボーナス(Bonus tactique)で+1の計+7。守る連合軍は防御命令下なのでDRM-2、さらに攻撃ユニットは、3つある自分の前面へクスに攻撃していない敵ユニットがいると-2が課される。結果、DRMは+3となり、戦闘結果は両者1ユニットずつが混乱状態に。防御側の連合軍ユニットは先ほどの射撃で混乱状態だったため、混乱状態のレベル2となった。


 このシリーズではユニットの状態は正常状態(en bon ordre)、混乱状態レベル1(désorganisée de niveau 1)、混乱状態レベル2、敗走状態(en déroute)の4つの段階がある。混乱状態レベル1は士気が正常状態よりも低下するもののそれ以外には特に不利なことはない(レベル2になると攻防ともに不利なDRMがつく)。さらに活性化時に移動の前に回復を試みることができ、敵ZoCにいても不利なDRMはつくものの回復チェックは可能だ。戦闘結果によってはステップロスもありうるが、高DRMでの攻撃でないとそのような損害を与えることはできない。なので簡単には敵ユニットの壊滅には至らず、混乱状態になった自軍ユニットをうまく回復させつつ、敵には回復の余裕を与えないことが重要になってくる。


 仏軍中央は堡塁前面で待機、攻撃命令への変更に失敗して接敵できない右翼(マップ下方)Colaudはさらにマップ右方に展開し、敵の背後に回り込む動きを見せる。中央Jourdanとの間隙が空いてしまうが、兵力の限られている連合軍は打って出てはこないだろう。一方の連合軍は、中央のCochenhousen部隊から騎兵2ユニットを左右両翼の支援に派遣。仏軍の攻撃を受けた右翼(マップ上方)のDiepenbroikはジワリと下がりつつも戦線を維持、左翼(マップ下方)のHammersteinは敵に回り込まれないよう後退した。



●第3ターン (11:00)

 フランス軍右翼(マップ下方)Colaudは、このターンも総指揮官の指揮値を使い、攻撃への命令変更が成功した。これでやっと接敵ができる。全力で前進するものの、ボカージュに阻まれて思うように進めず、騎兵だけがなんとか敵にとりついた。対する連合軍左翼のHammersteinは砲撃を行うものの、効果なし。防御命令だと射撃・砲撃の際に+1DRMがつくが、砲兵は移動をすると牽引状態(artillerie attelée)となり、-2DRMとなる。牽引状態の解消には1ターン動かないでいることが必要で、前ターンに移動したHammersteinの砲兵はこの状態のままだったのである。

 フランス軍左翼のLeclaireは、前ターンの敵の射撃や戦闘によって3ユニットが混乱状態になっていたが、すべて正常状態に回復、全ユニットが突進する。連合軍の対応射撃で歩兵2ユニットが混乱状態になったが、そんなことでひるんでられるか。敵指揮官Diepenbroikとスタックしている歩兵に対し、3ユニットで攻撃する。押し寄せる敵の攻撃を支えることができずに連合軍は敗走してしまった。そしてマップ上端、連合軍の最右翼を守る騎兵を仏軍は攻撃したが、またも連合軍騎兵は戦闘前退却。だが士気チェックに失敗して混乱状態レベル2となった。

 連合軍右翼の指揮官Diepenbroikは声を張り上げ、我先に逃げる兵たちを押しとどめる。Les soldats de la Républiqueシリーズでは回復(ralliement)の際、指揮官とスタックしているとその士気ボーナスが有利なDRMになる。先ほどの攻撃で敗走状態になった歩兵は指揮官のおかげで回復に成功したのだ。もし失敗していたら自軍マップ端に向かって3ヘクスの敗走移動をしなければならず、そうなっていたらこの方面に大きな穴が開いていたところだったので、連合軍としては助かった。だが混乱状態レベル2の騎兵と歩兵でなんとか突破を防いでいる状態である。



(つづく)

2026年4月28日火曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part3

 ●第2ターン (10:00)

 仏軍は右翼(マップ下方)のColaudの命令を移動から攻撃に変更しようとするも、総指揮官のボーナスもむなしく失敗。6分の5の確率で成功のはずだったのだが。このターンも右翼は攻撃ができないことになる。


 仏軍の総指揮官となっているHouchardは指揮値は1、士気ボーナス(Bonus de moral)はゼロとかなり能力が低い。Houchardは七年戦争からの長い軍歴があり、Hondschooteの戦いの前には仏軍のモーゼル方面軍の、この戦いのときには北方軍の司令官となっていたが、ヒストリカルノートにはLes historiens militaires s'accordent à reconnaître qu'il n'avait cependant pas les capacités pour exercer de telles fonctions.(しかしながら、軍事史家たちは彼がこのような任務に必要な能力を有していなかったということで意見が一致している)なんて書かれている。実際、例えばジョミニはフランス革命戦争について書いた『Histoire critique et militaire des guerres de la Révolution』の中で、Faux movement de Houchard(Houchardの誤った動き)なんて見出しを立ててたりする。Hondschooteでは勝利したものの敵を十分追撃しなかったことなどから、戦いの2か月後には革命裁判所で裁かれ断頭台送りとなっている。戦いに勝ってダンケルク解囲にも成功したのに処刑されるなんて、恐怖政治こえーよ。


 このゲームのフランス軍には総指揮官のHouchardのほかに派遣議員Levasseurも登場し、総指揮官とスタックしていると指揮値に+1が得られるので、無能なHouchardを補填するような存在になっている。派遣議員というのはフランス革命戦争中、国民公会がかなりの権限を持たせて軍隊などに派遣していたそうで、いろいろ作戦に口を出したり戦いに実際に加わったりしていたらしい。Levasseurもこの戦いの最中、仏軍の攻撃に参加して乗馬を撃ち殺されている。このゲームでは士気ボーナスは2で、Houchardよりも頼りになる感じである。


 前ターンに攻撃命令下になった仏軍左翼(マップ上方)のLeclaireの部隊が一斉に敵にとりつく。攻撃命令だと、敵に向かって全力で移動し、できる限り接敵しないといけないのだ(ただし部隊ごとに予備として指定できるユニット数が与えられており、予備は接敵義務が課されない)。だが守る連合軍の射撃を受け、一部が混乱状態(désorganisée)となった。


 Les soldats de la Républiqueシリーズでは敵が隣接へクスに移動してきた場合、歩兵や砲兵は対応射撃(tir de reaction)を行える(ただしすでに敵ZOCにいるユニットは対応射撃が行えない)。しかも射撃を行うユニットの部隊が防御命令下の場合、+1の有利なDRMがつく。待ち構えている敵に対して突進していくのはリスクがあるわけである。ただし砲兵と歩兵は別々に射撃をすることになるため、兵力が限られているこのゲームでは射撃の効果も低くせいぜい混乱状態になるぐらい。敵に向かって突進したはいいが強力な射撃を浴びて撃退された、という事態にはならない。射撃の結果、士気チェックとなっても仏軍歩兵の士気は8と高く、指揮官とスタックしていたらその士気ボーナスも得られるので士気チェックに耐えられる可能性は高い。先述のように敵ZoCにいるユニットは対応射撃ができないので、指揮官が先頭に立ってまず突っ込んで敵の射撃に耐えると、それに続く友軍は対応射撃を浴びなくていい場合も生じるのだ。革命精神に燃える仏軍兵士はガンガン突っ込んでいくべし、である。

 

(つづく)


2026年4月22日水曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part2

  このゲーム、連合軍が勝利得点3を持っている状態でスタートする。仏軍が中央の堡塁やHondschooteの村を占領するごとに仏軍が勝利得点を獲得(連合軍の点が減少)する。また両軍とも敵に与えた損害1ステップごとに1点得られる(敵の得点が減る)。最終的にプラスになっている側が勝利だ。つまり、仏軍は積極的に攻撃して堡塁やHondschooteの奪取を目指すとともに、敵に自軍以上の損害を与えないといけない。


●第1ターン (9:00)

 フランス軍は左翼(マップ上方)Leclaireの部隊の命令を、攻撃(offensifs)に変更する。Les soldats de la République(共和国の兵士たち)シリーズでは、各部隊は与えられた命令(ordre)によってできることが変わってくる。命令には攻撃(Ordre offensive)、移動(Ordre de manœuvre)、防御(Ordre défensive)の三つがあり、各ターンの最初のほうで命令の変更を試みることができる。またこの3つの命令の他に、損害が蓄積したり敗走中のユニットが多いと部隊は士気喪失状態(État démoralisation)になる可能性があり、行動がかなり制限される。

 フランス軍は初期配置の状態では3部隊とも命令は移動、連合軍はすべて防御だ。移動命令だと移動力が+1となるが接敵ができないため、命令を攻撃に変更する必要がある。この命令変更は2D6で8以上を出せば成功なのだが、攻撃命令への変更は-1の不利な修正が付く。だが各部隊の指揮官の指揮値(valeur de commandement)の分、有利な修正が付き、さらに各ターンに一回だけ、総指揮官(général en chef)の指揮値も使うことができる。積極的に攻撃したいフランス軍は、最大兵力を擁する左翼(マップ上方)のLeclaireの命令を、総指揮官の指揮値も使って攻撃に変更した。だが右翼のColaudは攻撃への変更に失敗。このターンは接敵できないことになる。

 残る中央のJourdanは様子見だ。左右両翼で回り込みつつ攻撃して敵兵力を誘引、中央の防御が手薄になってから攻撃を開始する予定である。というか、Jourdanの部隊は兵力が豊富にあるわけではなく、敵がしっかり守っているところに正面攻撃をかけても損害を被るだけの可能性が高いのだ。


 Les soldats de la Républiqueシリーズでは各ターンの最初に両プレイヤーが2D6を振り、総指揮官の指揮値を加えた値を比べる。値が大きいほうがイニシアティブを得て、先に部隊を活性化するかどうか選べる。部隊の活性化は両軍が交替で行っていくのだが、パスはできない。このターン、イニシアティブを得ていた連合軍が先に動き、最右翼(マップ上方)に騎兵を展開、仏軍に回り込まれないようにする。その正面の仏軍左翼Leclaireが全力で前進するも、ボカージュに阻まれて騎兵以外は接敵できない。連合軍は左翼(マップ下方)が後退、Hondschooteの村と堡塁を中心に守りを固めていった。

 命令の変更に失敗した仏右翼(マップ下方)のColaudは接敵できないため、敵の背後に回り込むように移動する。そして仏軍中央のJourdanの部隊はじわりと前進。正面では堡塁(Redoute)に連合軍が砲兵と歩兵がスタックして守っており、うかつに攻撃できない。また、仏総指揮官Houchardは右翼Colaudに近づいておく。次ターンにはColaudの命令を攻撃に変更して攻撃をしかけたいのだが、部隊の指揮官が総指揮官から6へクス以内にいないと、命令変更の際に不利なサイの目修正を受けるのだ。離れたところにいる指揮官は総指揮官の指令がなかなか届かないってことですかね。


(つづく)


2026年4月17日金曜日

共和国万歳! ダンケルクを救え Hondschoote 1793 (VV146) AAR Part1

 

 もう今年の1月のことになるけど、VaeVictisから「Tigres & Lions」が出て、そういや同じLes soldats de la République(共和国の兵士たち)シリーズのVaeVictis146号「Hondschoote 1793」が手つかずだったな、と思い出して、ソロプレイしてみた。

 Les soldats de la Républiqueシリーズはその名のとおり、フランス革命戦争でナポレオンが活躍するちょい前、第一次対仏大同盟のころの戦いを扱っている。部隊ごとに活性化し移動・戦闘を行っていくという比較的シンプルなルールである。

 って言っても、フランス革命戦争って全然知らなくて、まあフランス革命戦争どころかナポレオン戦争の知識すらおぼつかないから当然なんだけど。そもそもHondshooteの戦いって読み方すらわからない。でもこんなときにも安心なのが、「祖国は危機にあり(La partie en danger)関連ブログ」。いやー、いつもありがたく参照させていただいています。Hondschooteについても詳細な記述があって助かりました。ほんと、日本語での資料って全然見つからないんだよね…。

 VaeVictisのヒストリカルノートも読んだんだけど、1793年のフランスは第一次対仏大同盟でヨーロッパのほとんどを敵に回しているうえ、ヴァンデ―の反乱が起こって踏んだり蹴ったりの状態。8月にはイギリスとハノーファーの連合軍を率いた英ヨーク公によってダンケルクが攻囲される。その救援に向かったフランス軍が、ダンケルク南東約20キロのところにある村Hondschooteで連合軍を攻撃した…というのがまあだいたいの状況らしい。両軍とも兵を分散していて、特に仏軍なんかはいろんなところに兵を派遣しなかったらHondshooteでもっと数的優勢となったのに、と指摘されている。Hondschoote周辺の戦いは9月6日から8日にかけて行われたが、このゲームは最後の8日、Hondschooteそのものをめぐっての戦闘を扱っている。時期的には、ナポレオンがトゥーロン攻囲戦で名をあげるちょっと前ですな。

 ちなみにこのHondschooteのハノーファー軍には若き日のシャルンホルストがいた。この戦いで連合軍が敗れ退却しなければならなくなった時に奮戦したそうで、ハノーファー軍の将軍はder Hauptmann Scharnhorst sei, ohne commandirt zu sei, aus eigenem Antriebe bei Hondschotten zurückgeblieben und dadurch dem ganzen Rückzuge nützlich geworden.(シャルンホルスト大尉は命令を受けることなく自らの判断でHondschooteにとどまり、全軍の退却を援護した)って報告しているそうだ。 

 初期配置は写真のとおり。両軍とも3つの部隊(formation)からなり、兵力的にはやや仏軍が優勢だ。マップ中央にHondschooteの村と2へクスの堡塁(redoute)があり、連合軍の防御拠点、それに仏軍にとっての勝利得点源となっている。またマップには森か林のように見える地形が中央左上から右下にかけて広がっているが、これはボカージュである。ボカージュって言ったらウォーゲーマー的にはノルマンディでD-Dayだけれども、デザイナーによるとこの地方のボカージュはノルマンディほど密ではなかったそうで、ゲームでは砲撃の際に視界をさえぎらないし、射撃に対する防御効果も低い。assaultとゲームでは呼ばれる接近戦では防御効果なしだ。これは、フランス軍は敵の防御射撃による損害のリスクを抑えつつ接近して攻撃できるから、というのがデザイナーの説明だ。ふーん。

 ちなみにles soldats de la Républiqueシリーズって言ったけど、このゲームが付いているVaeVictis146号にはこのシリーズの標準ルールではなく簡易ルールが載っている。でもVaeVictisのサイトのほうに標準ルールが公表されているので今回は標準ルールでやってみた。簡易ルールはシンプルすぎるし、標準ルールは「Tigers & Lions」とかシリーズの他のゲームともつながるからね。


(つづく)


2026年4月5日日曜日

モスクワは燃えているか?- クリミア・ハン国のロシア侵攻 Molodi 1572 (VV184) AAR Part4

 ●第4ターン(1571年6月)

 前ターンに要塞を陥落させたタタール軍主力が、マップ中央のツーラを強襲。消耗で軽騎兵2ユニットが消えたが、守備隊が銃兵1ユニットしかいないツーラをあっさりと陥落させた。これでタタール軍の勝利得点は8に。かたやロシア軍はいまだゼロだ。


 ロシア軍はこのターンもモスクワに増援が4ユニット登場。全兵力でもってツーラの敵主力と勝負と思いきや、増援の指揮官は移動力3で、河川と森林に阻まれツーラに届かない。ツーラを攻撃できる位置にいる2個軍は計9ユニット。この兵力でツーラのタタール軍12ユニットに会戦を挑むのは無謀だ。前ターンのタタール軍の要塞攻撃で5ユニットが失われたところに、同盟勢力の離脱が生じたのが痛い。ロシア軍は今ターンの増援を含め、ツーラ前面に全兵力を集結させた。

「あれ、ツーラの右隣りにいるDvelerを攻撃しないの? 5ユニットしかいないよ。勝てるでしょ」

「ふん、そんな口車には乗りませんよ。餌につられて攻撃してきたうちの軍勢を、次のターンに主力で襲いかかろうってつもりでしょ?」



●第5ターン(1571年7月)

 最終ターンである。全軍集結したロシア軍の攻撃を受けたつか、と思いきや、タタール軍主力は右方に転進して防備が手薄なリャザンを屠った。

「大会戦をやってみたほうが面白いってのはわかるけどさ、こっちは無理に戦う必要ないんだよね。やっぱり遊牧民ってさ、正面からのガチンコのぶつかり合いは避けて、敵の弱いところを突くもんだろ」

「いやいや、わかってたけどさ。最後に一勝負してくれてもよかったんじゃない?」

 このゲーム、両プレイヤーともに最終的に獲得した勝利得点によって勝利レベルが決まり、レベルが高いほうが勝ちとなる。勝利得点が11~14、15~19、20以上とレベル分けされていて、タタール軍はすでに8点を得ている。それだけでなく、ゲーム終了時に同盟勢力を自陣営に保っていると、主要、中小それぞれの同盟勢力につき4得点を得られる。ロシア軍も保持しているレベル3の要塞ごとに1点得られるが、勝利レベルでタタール軍が上になるのは明らかなのである。でも最後に会戦ぐらいやってもよかったんじゃないかなあ。

(ガチンコでぶつかれば、こんな感じ↑の会戦が行われたかもしれない)


 決戦だと勢い込んでいたものの軽くいなされたモスクワ大公国軍は、ツーラを奪還し敵の同盟勢力を動揺させた。だがタタール軍の同盟勢力は陣営離脱には至らず、ここでゲームが終了、タタール軍の勝利となった。




 モスクワ大公国は、初っ端に要塞を落とされ同盟勢力が動揺したことにプレイヤー自身が動揺してしまい、終始タタール軍に主導権を握られたのが痛かった。デザイナーズノートには、ロシア軍は兵力を集結させないといけないと書いてあるのにね。ただ第3ターンにタタール軍が二つ目の要塞を落としてロシア軍の同盟勢力を中立化させたが、ラウンド数が少なかったり砲撃のサイの目にツキが無かったりすると、時間切れとなって攻略に失敗していた可能性が高い。そうなっていたらロシア軍はもっと余裕をもって対応できたはず。それに安易に要塞に兵を籠らせて機動的な対応ができなくなるよりは、要塞を落とされるリスクを冒してでも軍を自由に動かせる状態にしておいたほうがよかったのかもしれない。

 ただ史実でもタタール軍はモスクワまで攻め込んで街を焼き払っているため、この1571年シナリオでモスクワ大公国が不利になるのは仕方がないのだろう。1572年シナリオは増援が多いうえ、第1ターンにタタール軍はChambouliしか登場しない。そのためロシア軍アh余裕をもって敵に対応することができる。また焦土(Brûler la steppe)によってタタール軍に消耗を強いることもできるので、もっといい勝負になるんじゃないかと思う。デザイナーズノートでは両シナリオをプレイして勝利得点は2つのシナリオ終了時に集計することを勧めているし。

 1571-1572年のクリミア・ハン国の侵攻を扱ったゲームって多分ほかにないと思うので、そういう意味でもこのあたりの歴史に興味がある人だったらプレイしてみてもいいんじゃないかな。

2026年4月2日木曜日

モスクワは燃えているか?- クリミア・ハン国のロシア侵攻 Molodi 1572 (VV184) AAR Part3

●第3ターン(1571年5月)つづき

 タタール軍は砲兵を含め計14ユニットの大兵力でOdoev要塞を強襲。L'or et l'acierシリーズでは移動の後に消耗チェックがあり、兵力が大きかったり森林や山地を移動すると不利な修正を受ける。このTereberdeyの大部隊も消耗で1ユニットが溶けていったが、この大兵力にはかすり傷である。一方のモスクワ大公国軍の守備隊は5ユニット。これだけの兵力があれば敵が大軍であったとしても数ラウンドは耐えられる、と考えていたのだが、タタール軍の砲兵が気を吐き、要塞レベルをすぐにゼロにしてしまった。毎ラウンド2分の1の確率で要塞レベルを1下げられるのだが、続けざまに成功したわけである。砲撃によって城壁が崩され、タタール兵が城内になだれ込む。こうなっては大兵力にかなうわけもなく、ロシア軍守備隊は全滅してしまった。結果、ロシア軍の同盟勢力が第1ターンに続き動揺する。

「げ、同盟勢力が中立になっちゃった?!」

 モスクワ大公国の主要同盟勢力であるコサックは兵力の半数が、中小同盟勢力のカザン・ハーン軍は全兵力がこのターンの終了時に戦場を去っていった。次ターンにはコサックの残りの兵も消えてしまう。

 だがこのターン、ロシア軍にはBelsky率いる5ユニットの増援がモスクワに登場する。マップ右方のリャザン、それに中央のツーラで守備隊となっている部隊とあわせて、圧倒的兵力でもってマップ右方で孤立している敵Devler一世の5ユニットを集中攻撃だ。

 L'or et l'acierシリーズの戦闘では、両軍どちらかが10ステップ未満の場合は小戦闘(bataille mineure)となり、戦力比を決めて1D6振るだけなのだが、両軍ともに10ステップ以上の場合は会戦(bataille majeure)となる。会戦になると作戦マップ(carte tactique)上で中央、両翼などに兵を展開して戦闘を解決していく。L'or et l'acierシリーズの特徴の一つで結構盛り上がるだけでなく、このゲームでは会戦に負けると自軍同盟勢力が動揺してしまうのだ。

「Devlerを三方から囲んで袋叩きだ!  ねえねえ、なんか名将の采配って感じ? トラップにはまっちゃった気分はどう?」

と調子に乗るロシア軍プレイヤーだが、

「いや、守備隊になっている2部隊両方ともDevlerのところまでたどり着けないだろ」


 L'or et l'acierシリーズでは守備隊(garnison)が移動できるように軍(armée)になる際、2移動力を消費する。そして森林エリアへの侵入には2移動力が必要だ。マップ右方の少し離れたリャザンにいるTcherkasskyは移動力4,Devlerの左隣のエリアにいるYakovlevは移動力3なので、両部隊ともDevlerのいる森林エリアに侵入するには移動力が足りない。ちなみにこのシナリオに登場するタタール軍指揮官はすべて移動力4である。

「マジかよ~。こんなことになるんだったら守備隊にして要塞に籠らせるんじゃなかったよ…」


 モスクワに登場した増援の5ユニットだけではDevlerに会戦を挑むのはリスクが高い。ロシア軍は残存兵力の集結を目指すことにした。もうこうなったら一か八か会戦を挑むしかないだろう。勝てば敵の同盟勢力が動揺する。そしてその余勢を駆って要塞を奪還するのだ。中央のツーラの防備が手薄になるが仕方がない。肉を切らせて骨を断つ、だ。

(つづく)

2026年3月27日金曜日

モスクワは燃えているか?- クリミア・ハン国のロシア侵攻 Molodi 1572 (VV184) AAR Part2

 ●第1ターン(1571年3月)つづき

 タタール軍によっていきなり要塞を落とされたロシア軍。要塞陥落による同盟勢力の離反を防ぐために、マップ右方のリャザンにTcherkasskyの部隊を派遣。ロシア軍のほとんどの要塞はタタール軍の通過を防ぐ防衛線の北にあるが、リャザンは南に位置するため、次ターンの敵増援に強襲される可能性があるのだ。またマップ左方ではTroubetzkoyの部隊が、渡渉点を探していたChambouliを追い払った。



●第2ターン(1571年4月)

 タタール軍にはDevler一世が率いる5ユニットが増援としてマップ南端に登場。リャザンを守っているTcherkasskyに会戦を仕掛けることも考えたが、互角の兵力で会戦を挑むのはリスクが大きすぎる。先述のように負けてしまった場合、同盟勢力が動揺してしまうのだ。同盟勢力の信頼を戻すことはルール上できないようになっているため、慎重にならざるを得ない。それよりも、このターンの移動フェイズの終了時に2か所でオレンジの防衛線の渡渉点が発見できることになる。南端から登場したDevler一世は自軍の攻勢方向を敵に絞らせないよう、2か所の渡渉点の間に移動した。


 一方のロシア軍だが、次ターンにはタタール軍が防御線を越えてくるうえ、さらに敵には4ユニットの増援が登場する。まだタタール軍は砲兵を登場させていないが、大兵力と砲兵のコンボで攻撃されればレベル3の要塞でも危うい。要塞の陥落による同盟勢力の離脱を防ぐため、モスクワ大公国はマップ右方のリャザン、中央のツーラ、それに左方のOdoevをそれぞれ4~5ユニットで防御することにした。敵に会戦を強いられることのないよう、これらの部隊は守備隊に変更。L'or et l'acierシリーズではユニットは指揮官に率いられた軍(Armée)と、要塞に籠っている守備隊(Garnison)に分けられる。軍の状態でいるときに敵に攻め込まれると戦闘が発生するが、守備隊の場合は攻囲戦(Siège)となり、要塞のレベルに応じた防御効果が得られるのだ。



●第3ターン(1571年5月)

 ロシア軍防衛線で渡渉点が発見された。タタール軍はマップ右方のDevler一世が防衛線を越え、レベル1で守備隊のいない要塞を鎧袖一触で陥落させる。そして主力のTereberdeyは砲兵を動員、増援と合流して大兵力でマップ左方、レベル2の要塞Odoevを強襲した。

 

 L'or et l'acierシリーズの要塞攻囲戦は、砲撃の後、攻防の戦力比で損害結果判定、というラウンドを繰り返し、守備隊が壊滅して要塞レベルもゼロになれば陥落だ。ラウンド数は攻囲戦開始時にサイの目で決まるため、攻撃側が優勢な兵力であったとしても時間切れで陥落まで至らず、というケースも起りうる。ただし攻撃側の兵力が多いとラウンド数も多くなる。

 戦力比の決定では3対1以上は同じ戦闘比列となるため、攻撃側が圧倒的な兵力であってもその優位を生かしにくい。さらに、戦闘結果表で戦力比の列を決定した後に要塞レベルがそのまま左コラムシフト数となるため、レベル3の要塞は大兵力相手にかなり頑強に抵抗できる。

 ただし砲撃によって要塞レベルを減少させることが攻撃側は可能で、実際このシリーズの前作、オスマン帝国のハンガリー征服を扱った「La conquête de la Hongrie 1526」ではオスマン側の優勢な砲兵によってあっという間に強力な要塞が陥落したりする。ちなみに「La conquête de la Hongrie 1526」をプレイするときは『夢の雫、黄金の鳥籠』は必読だよね。スレイマンもイブラヒムもユニット化されているから。まあそれはさておき、この「Molodi 1572」ではタタール、モスクワ両軍とも砲兵が1ユニットしかないため、砲兵がどこに投入されるかで敵の主攻勢軸が絞れたりする。


(つづく)


2026年3月21日土曜日

モスクワは燃えているか?- クリミア・ハン国のロシア侵攻 Molodi 1572 (VV184) AAR Part1

  先日ブログで紹介したVaeVictis184号の「Molodi 1572」をプレイしてみた。といってもゲームタイトルになっている1572年のほうではなく、その前年の1571年シナリオ。1572年のMolodiの戦いではモスクワ大公国がクリミア・ハン国に対して決定的な勝利を収めているんだけど、1571年にはモスクワまで攻め込まれて街が焼き払われている。イヴァン雷帝は涙目だったでしょうなあ。最近ナポレオンのモスクワ侵攻の本を読んで、そういやその約250年前にもモスクワ大火ってあったよね、とプレイしてみたわけである。ところで1571年と言えば信長による比叡山延暦寺焼き討ちがあった年。洋の東西でそんなに燃さんでも…。

 ゲームはL'or et l'acier(黄金と鉄)シリーズ。このシリーズではつい最近小さなウォーゲーム屋さんから「Bicocca (1522) / Pavia (1525)」が発売になったけど、VaeVictisのほうでもオスマン帝国のハンガリー征服とか、フランスのブルターニュ征服とか、結構コンスタントにこのシリーズのゲームが出ている。

 マップには上端にモスクワがあり、クリミア・ハンの軍勢が南から攻め込んでくる。ところでクリミア・ハンってなんか長いので、このAARではタタールって表記することにする。VVのヒストリカルノートでもTatarって繰り返し使っているし。一方のモスクワ大公国のほうだけど、なんか調べてみたらイヴァン4世は1547年にツァーリとして戴冠してロシア・ツァーリ国を自称するものの、他からはそのままモスクワ大公国って呼ばれていたらしい。ヒストリカルノートでもla Moscovieって呼んでいる。ルールでは一ヵ所だけ、Tsar de toutes les Russiesって書いてたりするけど。まあとにかくモスクワ大公国ってのも長いので、基本的にロシアってこのAARでは呼ぶことにする。

 マップ上で青やオレンジ、赤のマーク(VFと数字がついているもの)は要塞で、ぱっと見てわかるようにロシア軍は要塞戦を築いている。それだけでなく、赤とオレンジの点線はオカ川とその支流を利用したロシア軍の防衛線(lignes fortifiées ou barrières)を示していて、タタール軍がこのラインを越えるためには渡渉点(gué)を見つけないといけないのだが、それには2ターンかかるので、機動力のあるタタール軍と言えども簡単にはロシア深奥に攻め込めない。


●第1ターン(1571年3月)

 南から現れたタタール軍の軽騎兵のChambouliが快速を活かして浸透、渡渉点を探す。渡渉点は次ターンの移動フェイズ終了時に発見となるため、第3ターンになってからタタール軍はこの防衛線を越えられることになる。なお、Chambouliは渡渉点が見つかっていなくてもロシアの防衛線を越えて移動ができる。

 ところでこのChambouli、渡渉点を探すだけでなく捕虜(captifs)をとって勝利得点を稼いだり、略奪(fourrager)をやって補充ポイント(Point de Recrutement, PR)を得たりすることができる。軽騎兵が敵の住民をかっさらったり食料を略奪したりするのって、なんだか遊牧系の騎馬民族っぽいんだけど、Chambouliって何?と思って調べてみたら、たぶんこれのことのようだ。

Чамбул

タタールの騎兵の、機動力のある分遣隊で、ステップを越えて移動し住民を襲うらしい。ルールかヒストリカルノートで解説しておいてよ。

 

 軽騎兵を前方に放つ一方、Terberdey率いる5ユニットがロシア要塞群南西端のOrelを強襲、1ステップロスのみの損害で陥落させた。この要塞はレベル2なのでタタール軍は勝利得点2を獲得。それだけでなく、モスクワ大公国の同盟勢力が動揺してしまう。


 このゲームではタタール、ロシア両軍ともに同盟勢力を持つ。タタールの主要同盟勢力(Allié majeur)はノガイ・ハン国、中小同盟勢力(Allié majeur)は北コーカカス・ハン国(Khan du Nord Caucase)だ。ロシア側にはコサックとカザン・ハン国がついている。これらの同盟勢力は、自陣営のレベル2以上の要塞を落とされたり、会戦で敗北したりすると動揺する。そういったことが2回起こると中立状態になり、同盟勢力に属するユニットはゲームから取り除かれてしまうのだ。

「え、あと一つ要塞をとられたらコサックとかが離れていっちゃうの? 要塞を奪還したら同盟勢力の忠誠心がまた戻ったりしないの?」

「残念ながらそういうルールはないんだよ。一度失った信頼は取り戻せないってことかな。人生だよな」

「マジか~」

いきなりのピンチに動揺するロシア軍プレイヤーである。

(つづく)


2026年1月29日木曜日

VaeVictis184号はイヴァン雷帝、Molodi 1572

  VaeVictis誌の最新号はMolodi1572……って言ってもどんな戦いなのかさっぱり。モスクワ大公国がクリミア・ハン国を破ったそうだけど、16世紀のロシアって言ったらイヴァン4世、いわゆるイヴァン雷帝の時代じゃないですか。とはいえイヴァン雷帝について詳しく知っているわけでもなくて、確かアンリ・トロワイヤの本やらエイゼンシュテインの映画を見たなあ、ぐらい。そういえばグロズヌイっていう駆逐艦だか巡洋艦だかもあったよね。

 ということでヒストリカルノートを読んだんですけど、いつもながら知らないことばかりで勉強になりました。Molodiの戦いの前年、1571年にはクリミア・ハン国に攻め込まれてモスクワを焼き払われたとか、イヴァン雷帝、ダメじゃん。まあMolodiの戦いで決定的な勝利を収めることで、クリミア・ハン国からの大規模な侵攻はその後なくなったそうだけど。でもモスクワ大公国の封建的な軍事体制の欠点も描写されていて、

Les campagnes militaires successives ont épuisé ce système. Les pertes humaines empêchent le renouvellement des troupes. L'épuisement économique est patent. Faute de bras, l'agriculture s'effondre. On ne peut plus équiper hommes et chevaux. ... 'armée russe ne pourra plus rien face aux hussards polonais et aux mercenaires hongrois de Stéphane Bathory lors des campagnes en Livonie, entre 1575-1580.

だそうだけど、おいおい、大丈夫ですかって突っ込みたくなりました。


 付録ゲームはL'or et l'acier(黄金と鉄)シリーズで、1ターンは一ヵ月、1571年と1572年の二つのシナリオが収録されている。このシリーズ、ついこないだもVV180号で1526年のオスマン帝国のハンガリー侵攻を扱ったりしていて、ある程度の数が出ているので一度ルールを覚えればいろんなゲームやれるはずなんだけどね。あんまりプレイしたって話を聞かないなあ。テーマ的には5-16世紀で自分的にはばっちりなんだけど、ウォーゲーム界ではマイナーですかね…。ちなみにこのシリーズはこれまでこれだけ出ています→https://boardgamegeek.com/boardgamefamily/38723/series-gold-and-steel-philippe-hardy/linkeditems/boardgamefamily

 L'or et l'acierシリーズは基本的に戦略マップ上でプレイするんだけど、大兵力同士がぶつかる会戦は戦闘マップ上で中央、両翼などにユニットを展開する。その際、戦術チット(marqueur tactique)が使用できるんだけど、Avalanche(雪崩)なんてチットがあって、あー、ロシアって大雪降るもんね。でも、ん? 戦いの最中に雪崩? と思ってルールを読んでみたら、このチットの注釈にtactique de cavalerie employée par les deux armées visant à envelopper une des ailes adversesって書いてある。ヒストリカルノートのほうにはLes cavaliers russes utilisent des tactiques qui se rapprochent de celles des cavaleries occidentales mais en combinant le choc et le tir, << l'avalanche >>.とも書いてあって、要は騎兵の波状攻撃のことですかね。

 他にはGulylai Gorodってチットがあって、火縄銃兵が防御時に使用できるんだけど、ルールの注釈によるとlors des batailles, à l'instar des armées hussites et ottomanes, les unités russes étaient protégées par un mur mobile (<< ville mobile >>). Streltsy et artilleurs pouvaient tirer sous cette protection.だそうで、ヒストリカルノートにはL'infanterie est protégée derrière une fortification de campagne, la << ville mouvante >> (<< gulyay gorod >>), des parapets mobiles en bois, avec un fossé face à l'ennemi.って書かれている。どうやらこれのことのようですね→https://en.wikipedia.org/wiki/Gulyay-gorod このMolodiの戦いがあったのは日本だと戦国時代に当たるけど、日本でも確か竹の束で鉄砲の弾除けをしたってどこかで読んだことがあるけど、おんなじようなもんだったんですかね。

 戦術チット以外にも、モスクワ大公国はBrûler la steppe(焦土)を使えてタタール軍(クリミア・ハン国)の消耗が大きくなったり、タタール軍はcaptifs(捕虜)をとってVP源にできるけど、捕虜を連れていると移動力が減少する、なんてルールもあって、マップやユニット構成だけでなくこういった特別ルールがなんか雰囲気を出してくれている気がする。あ、イヴァン雷帝はゲームには登場しません。でも早くプレイしてみたいなあ。


2025年11月14日金曜日

1813年、ライプツィヒ。ナポレオン最後のチャンス Wachau1813 (VV182) AAR part6

 ●第7ターン (15:00)

―フランス軍ターン

 主導権の交代があったので仏軍からである。

「マジ? なんの対応もできないの?!」

 と焦る連合軍プレイヤー。前ターンのフランス軍の猛攻で士気が1まで低下したため、あと一つ重要地点を占領されれば負けである。

 仏軍は前ターンに続き、親衛隊が中央右下のGroßpösna村を攻撃する。先ほどの攻撃で消耗しきっている連合軍ユニットは戦闘力2、しかも兵質Cなので、村の防御効果と隣接友軍の防御支援を受けてもDRM+3となってしまった。結果、連合軍の防御ユニットは壊滅。既述のとおり村への戦闘後前進はかなり制限されているのだが、親衛隊なので敵を駆逐した村へクスに突入。重要地点を占領されて連合軍の士気はついにゼロとなった。勝利判定はターンの最後に行うものの、連合軍が士気を上げられる可能性がないので、これで投了となった。


 両プレイヤーともナポレオニックの知識もプレイ経験も少ないんだけど楽しめました。フランス軍は負けないために攻撃し続けないといけないし。歩兵は移動力2、かつ敵ZoCにいるユニットは同じ移動フェイズには別の敵ZoCには侵入不可なので、機動的な展開ができず結構地味かと思いきや、マップ左方での両軍の激突、そして親衛隊が投入されるとともに連合軍も後方の部隊が戦闘に参加、さらにはマクドナルドの登場と変化に富んでいる。ターンが進むにつれて両軍ともに士気がじわじわと低下していくのもスリリング。主導権の入れ替わりによる、一方の軍の連続してのターンも期待やら焦りやらを増してくれる。


 このゲームは作戦チットが総計28枚あって、各チットの効果や背景がルールで説明されていて読んでいるとワクワクするんだけど、アイデアを盛り込みすぎなんじゃないかな、っていう印象。史実ではミュラが突撃、露皇帝に迫るが湿地のため勢いがなくなり、さらに露近衛兵の反撃によって撃退されたっていうシーンがあってこの戦いのクライマックスぽいんだけど、仏軍にはミュラの突撃(Murat et la grande charge)チット、連合軍には湿地(Attention Marais!)とツァーリの護衛(Escorte du Tsar)なんていうチットが用意されている。これらを使えたら盛り上がるんだけど、使える場面が限定されているうえにチットは1ターン1枚しか得られないので、実際の使用はあんまり期待できないんじゃないかなあ。いろんなイベントをシミュレートしている各チットの効果の規定もちょっと緩いため、両プレイヤーで確認が必要なものもあると思う。

 なお、このゲームのルールの英訳がVaeVictisの公式サイトからダウンロードできるんだけど、異なる部隊の共同攻撃に関して、各部隊の指揮官が攻撃に参加していないと共同で攻撃できないとなっている。

- Combined units from different groups/wings may not attack together, unless both commanders of these groups/wings are involved in the combat

 でも原文は以下で、この規定は連合軍のみに適用される。

- Les unité coalisées de différentes groups/ailes ne peuvent pas attaquer ensemble, sauf si les deux chefs de ces groups/ailes sont impliqués dans le combat.

 このルールの違いは大きくて、英文ルールを適用すると仏軍の攻撃に柔軟性がなくなり、特に今回のAARのように親衛隊が他の部隊と共同で攻撃、というのができなくなる。というのも、親衛隊(濃い青帯のユニット)には指揮官ユニットが用意されていないからだ。このAARでは英文ルールを適用、ただし親衛隊は他の部隊と共同攻撃可、ということでプレイした。親衛隊が単独で攻撃しないといけなかった場合、勝負を決めたGroßpösna村の周辺の攻防もどうなっていたかわからない。


 とはいえWachauの戦いにフォーカスしたゲームはあんまりないみたいだし、結構手軽にプレイできる。しかもナポレオンの没落を決定づけた戦いの一つであるライプツィヒで、もしかしたら戦況を変えられたかもしれないというシチュエーションが燃えるんじゃないかな。


2025年11月12日水曜日

1813年、ライプツィヒ。ナポレオン最後のチャンス Wachau1813 (VV182) AAR part5

 ●第5ターン (13:00)

―フランス軍ターン

 前ターンに連合軍の攻撃でAuenhain村の右方に空いた穴をふさがなくては。マップ中央部を南下していた若年親衛隊Oudinotの2ユニットを、作戦移動で移動力2倍にして急遽防御に回す。そうはさせるか、と連合軍はコサックで妨害しようとしたのだが、コサックチットは親衛隊には無効なのである。親衛隊が駆け付けたものの、Auenchain村はこのままだと包囲されるのでポニャトフスキーは村を明け渡して後退した。 

 右翼(マップ左方)で押されているフランス軍だが、中央部では攻撃を続ける。ヴィクトールが前ターンに戦闘後前進してきたConstantinに反撃。このゲームでは戦闘後前進は1ユニットのみなのでConstantinが少数の兵力で突出してきた形になっている。しかも指揮官の能力的にはヴィクトールのほうが上だ。双方損害を出しつつ、ヴィクトールはロシア軍の精鋭歩兵を撃退した。その隣り、マップ中央部ではついに親衛隊が攻撃を開始する。連合軍は戦闘力6という強力なユニットが森で防御していたのだが、オージュローの支援を受けた親衛隊の攻撃はすさまじく、ステップロスして2へクス後退となった。

 そしてフランス軍にはやっとマクドナルドが登場する。全力で南下、と言いたいところだが、連合軍の騎兵スクリーンのためそれが妨げられる。だが右端の騎兵は作戦移動を使用し移動力倍で前進、敵の最右翼を脅かす。

 一連の戦闘で両軍とも士気が低下。フランス軍は5,連合軍は4となった。


―連合軍ターン

 マップ左方、ポニャトフスキーが撤退したAuenhain村をオイゲンが奪還する。さらに戦闘力4のユニットをオイゲンのもとに送り、この村の防御を強化。これで仏軍もこの村への強襲が難しくなった。

 親衛隊の攻撃を受けている中央部ではKlenauが小川の右に撤退。こちら側にあるGroßpösna村は3へクスとも重要地点だ。小川があり周囲は森なので防御に適しており、親衛隊の攻撃を受けても守り切りたいところである。また中央でヴィクトールの攻撃を受け続け消耗しているGortchakovには増援を送り、重要地点であるGüldengossa村を中心に防御を固めた。

 Auenhain村の奪還によって士気は仏軍4,連合軍5と逆転し、主導権が連合軍に移る。だがマップ右方ではマクドナルドの部隊が南下しており、こちら方面の連合軍は兵力がかなり劣勢だ。重要地点もGroßpösna村のほかに少数とはいえ存在するため、なんとか守り切りたい。


●第6ターン (14:00)

―連合軍ターン

 主導権を得たため、連続してのターンとなったのを利用して防御態勢を固める。中央右のGroßpösna村は兵力は少ないものの兵質Aの歩兵を2へクスに配置、お互いに防御支援が与えらえる態勢をとる。マップ右方では騎兵でスクリーンを維持する。このゲームでは指揮官の3へクス以内にいないユニットは指揮範囲外となり敵ZoCに侵入できなくなるため、Klenau自部隊の騎兵を指揮範囲に収めようとGroßpösna村から右方に転進した。Klenauは戦闘修正値がゼロだから村の防御に貢献しないので村で籠っていても意味が無いのである。そして中央左ではGortchakovにRaiewskiの露近衛騎兵を派遣、防御をさらに強化した。


―フランス軍ターン

 マクドナルドの騎兵が重要地点であるマップ中央右上のKolmberg高地を占領。仏軍の士気は5に上昇、逆に連合軍は4となりまたも主導権が入れ替わった。これで次ターンに続けてフランス軍は行動できることになる。

 中央左下ではヴィクトールが親衛騎兵とともに、Gortchakovのハイスタックを2:1で攻撃する。ここでフランス軍はNapoléon Vive l'Empereur!(皇帝万歳!)のチットを使用。士気の上がった仏軍はDRM+2を得る。露軍は2砲兵チットを投入して必死に防戦し、両軍に損害がでる激戦となったがGortchakovは後退。この損害によって連合軍は士気が1おちて3に。

「げげげ! もしかして、士気3以下だから戦闘で不利なDRM?」

「まさにVive l'Empereur! だろ」

 このフランス軍の皇帝万歳チット、戦闘時のDRMのほかに、損害ユニットを回復させたり、敵ZoCにない自軍4ユニットを5へクス移動させたりと、様々な効果を選ぶことができるすぐれもの。連合軍にもBarclay de Tollyチットがあり同様のことができるのだが、効果はやはりナポレオンに劣る。

 ちなみにこの時期のフランス軍の士気は高かったようで、ライプツィヒに集結するフランス軍はしばしば降雨の中での行軍を強いられ砲が泥濘にはまったりしたが、皇帝の前を通るときは全員が歓声を上げたっていうエピソードがヒストリカルノートで紹介されている。


 フランス軍の勢いは止まらない。中央右下で親衛隊がGroßpösna村を強襲。村と小川に加え、隣接友軍ユニットの防御支援も得ていた連合軍だが、すでに全軍の士気が低下している。そこにフランス軍は2砲兵チットに加えてDrouotを叩き込む。仏軍の全砲兵チットを集中した攻撃はDRM+4となり、連合軍は2ステップロスに加えて2へクス後退の結果を被ってしまった。だがロシア軍歩兵は追加損害を被ることと引き換えに退却へクスを減らすことができる。背に腹は代えられない連合軍は1ステップさらにロスしてGroßpösna村の中にとどまった。親衛隊は戦闘後前進で村1へクスを占領、仏の士気は4,連合軍は損害と村喪失で一気に1に。あと一歩で連合軍は士気崩壊である。


(つづく)


2025年11月9日日曜日

1813年、ライプツィヒ。ナポレオン最後のチャンス Wachau1813 (VV182) AAR part4

 ●第3ターン (11:00) つづき

―連合軍ターン

 オイゲンもクライストも2へクス退却の影響で移動ができない。後方から前進してきた隊で何とか防御ラインを構築する。反撃に移れないのは痛いが、やっと前線に到達したこれらのユニットは兵質がAのものが多く、フランス軍も一方的に攻撃はできないだろう。

 オイゲンやクライストが移動できず、後方からの部隊も1へクスしか移動できないため連合軍はずらっとユニットを並べる形になった。1へクス置きにハイスタックで守るのに比べると不利、と思いきや、このゲームでは攻撃を受けたユニットに隣接する友軍ユニットは、攻撃されていなければ防御支援として-1DRMを与えることができる。つまり攻撃側としては不利な修正を受けつつ攻撃を集中するか、それとも並んでいる敵をすべて攻撃するか選ばないといけなくなるのだ。


●第4ターン (12:00)

―フランス軍ターン

 このターンからOudinotとMortierの若年親衛隊、それにNansoutyの親衛騎兵の行動制限が解除される。左翼(マップ右方)は次のターンに増援のマクドナルドが登場するので捨て置いて、親衛隊は中央部をひたすら前進した。

 敵もこのターンからマップ左方の部隊の行動制限が解除される。フランス軍としてはこのターンにできるだけ叩いておきたい。中央のLauristonのスタックは、連合軍を猛追しているヴィクトールに追いつき敵Gortchakovにとどめを刺そうとするも、そうはさせるかと連合軍が作戦チットのコサック(Cossaques)を使用して移動を妨害する。コサックを使用された仏軍ユニットは、移動が1へクスに制限されるか、敵ZoCへの侵入が不可となる。1812年のロシア遠征でフランス軍は多くの馬匹を失い、1813年戦役ではロシア軍の軽騎兵やコサックがかなり優勢になり仏軍の移動や連絡を妨害したってどこかで読んだ記憶があるけれども、このゲームでもコサックチットは仏軍にとってかなり鬱陶しい存在である。

 コサックの妨害を受けたLauristonは右翼(マップ左方)に転進、この方面の防御ラインを形成する。入れ替わりでヴィクトールが中央部に進み連合軍を圧迫する。そしてやっと前線にたどり着いた仏軍中央のオージュローが小川越しにKlenauを攻撃。親衛隊と砲兵の支援を受け、敵を2へクス後退させる。これで次の連合軍ターンにKlenauは動けなくなった。


―連合軍ターン

 士気があと一つ下がると3になって攻防ともに不利なDRMが課されてしまう連合軍。

「ふふん、連合軍が崩壊寸前だと思ったか? ライプツィヒの戦いはここWachauだけでやっているわけではないのだよ」

と出したチットは、Blücher attaque!(ブルッヒャーの攻撃!)。これは前進元帥ブリュッヒャー率いるシュレージエン軍がライプツィヒの戦域に到着したことを表しており、12:00のターン以降に使用可能となる。このチットの効果で連合軍の士気は2上昇。友軍の攻撃ってみんな鼓舞されるよね。さらに、このゲームでは仏軍の作戦チット次第ではSouham率いる2ユニットがフランス軍に増援として現れるのだが、それも阻止されることになった。

 連合軍はマップ左方のAuenchain村の奪還を目指す。村はポニャトフスキーが防御を固めているが、その右方はLatour-Maubourgが率いる騎兵1ユニットのみ。今ターンから自由に行動できるようになったGolitzinが兵質Aの露近衛騎兵2ユニットとともにその仏軍防御ラインの弱点を強襲する。たまらず仏騎兵は壊滅、フランス軍の戦線に穴が開いてしまった。

「ふふん、連合軍の反撃はこれだけだと思ったか? 連合軍にはロシア軍近衛兵の豊富な予備があるのだよ」

「その言い方、むかつく」

 同じく行動制限解除となったConstantinが、露近衛兵を含む兵質Aの精鋭歩兵3ユニットでLauristonの歩兵1ユニットを攻撃する。仏歩兵はあえなく壊滅。フランス軍は相次ぐ損害で士気が6まで低下した。連合軍の士気は5なので両軍同レベルといっていい状況である。

 マップ左方で強烈な攻撃を仕掛ける一方、連合軍はマップ右方に騎兵スクリーンを張る。次ターン、マップ右上から敵にマクドナルドの増援が登場するのだ。このゲームでは増援は登場ターンは移動力が2倍となる。ただしその場合、敵ユニットから3へクス以内には入れないため、連合軍は騎兵2ユニットを使って極力マクドナルドの前進の妨害を図ったのだ。


(つづく)

2025年11月5日水曜日

1813年、ライプツィヒ。ナポレオン最後のチャンス Wachau1813 (VV182) AAR part3

 ●第2ターン (10:00)

―連合軍ターン

 Wachau村が左右から包囲されそうな状況を見て、無理をせずあっさり後退する。後方からクライストや露近衛兵など、行動制限がかかっている部隊がじわじわと前進してきているため、後退して防御したほうが有利との判断である。

 フランス軍が突出した形になっているマップ中央部は連合軍の兵力が薄いが、小川や森など防御に有利な地形となっているため何とか持ちこたえられるだろう。

 

―フランス軍ターン

 連合軍が放棄したWachau村2へクスを再占領。これで士気が一気に4回復、逆に連合軍は士気が4落ちる。そして右翼(マップ左方)のケラーマンとポニャトフスキーが連合軍のオイゲンに襲いかかる。ケラーマンの騎兵の突撃、それにポニャトフスキーの戦闘修正値が合わさって、DRM+4。オイゲンは2へクスの後退を余儀なくされた。その隣ではLatour-Maubourgとヴィクトールがまたも共同攻撃、連合軍のGortchakovはたまらず後退する。さらにマップ中央部ではLauristonの歩兵2ユニットが小川越しに攻撃を敢行。兵質も不利でありながら賽の目に助けられ、ここでも敵を2へクス後退させた。

「え、なに、連合軍、もしかして弱いの? ライプツィヒの戦いってナポレオンの決定的な敗北なんじゃないの?」

「だからこのゲームはライプツィヒの本戦じゃなくてWachauなんだって」


 このゲームの戦闘結果表は攻守ともに損害が出やすいのだが、連合軍は一連の戦闘にって損害が蓄積、士気が7まで低下してフランス軍を下回ってしまった。これで主導権はフランス軍に移り、次ターンはフランス軍の行動からとなる。さらに、このゲームでは2へクス後退したユニットは次の自軍ターンは移動も攻撃もできなくなる。ルールには注があり、2へクスの後退という戦闘結果は急いで後退した状態を表しており、部隊は混乱しているため回復に時間がかかるからだそうだ、仏軍の猛烈な攻撃で相次いで部隊が後退、混乱した連合軍は柔軟な対応が難しくなった。そこに連続しての仏軍ターン。これは痛い。


●第3ターン (11:00)

―フランス軍ターン

 前ターンに続きフランス軍が猛攻。マップ中央左寄りでは、ヴィクトールがGortchakovを追撃する。Gortchakovの2ユニットはステップロスして兵質がCに低下しており、ヴィクトールの攻撃を防ぎきれるはずもなくまたも損害を被って2へクス退却。その右隣りではLauristonの部隊が敵を退却させた。

 そしてフランス軍はマップ左方、クライストが守るAuenhain村を攻撃。村は防御効果で-2DRMを得られるうえ、2d6で(DRMを加えて)12以上にならない限り防御側が退却しても攻撃側は戦闘後前進ができないのだ(なお親衛隊は少し低い目であっても村に戦闘後前進ができる。さすが親衛隊)。つまり村は直接攻撃して奪取するにはかなりハードルが高い。ナポレオニックでの村をめぐる戦いって、そんな感じだったのかな。さらにこの村はクライストがハイスタックで防御している。

「マジでこの村を攻撃すんの? 占領できないっしょ。ヴェルダンみたいに消耗戦略?」

と余裕をかます連合軍プレイヤーの前に仏軍が出したのは、2つの砲兵チットに加えて、Drouot砲兵チット。既述のようにこのゲームでは毎ターン、各プレイヤーは作戦チットを1枚得られるのだが、フランス軍はこのDrouotチットをゲットしていたのだ。Drouotは仏軍の優秀な砲兵指揮官だったそうでWachauの戦いでも活躍している。このDrouotチットは通常の砲兵チットの2倍のDRMを得らえるという、かなり強力なもの。焦った連合軍も唯一の砲兵チットを投入して必死に防戦するも、仏軍の全砲兵を叩き込んだDRM+4の攻撃には耐えられず大きな損害を被って退却した。 


 このAuenhain村は重要地点(Objectif géographique)なので、占領によってフランス軍の士気は8に上昇。一方、連合軍は4にまで低下。あと1低下して3になると、攻防ともに不利なDRMが課されてしまうので連合軍としてはかなりまずい。


(つづく)


2025年10月29日水曜日

1813年、ライプツィヒ。ナポレオン最後のチャンス Wachau1813 (VV182) AAR part2

  このゲーム、開始時に各プレイヤーは作戦チットを消費することで士気を上げることができ、その結果仏軍の士気が連合軍以上になると、主導権は仏軍に移る。しかも1ターン早めて9:00ではなく8:00からゲームを開始できるため、時間との戦いでもある仏軍にとっては魅力的で、実際デザイナーズノートでも仏軍がゲーム開始時に主導権をとることを勧めるような書き方をしている。

 だがいつも中世の会戦ばっかりやっている両プレイヤーはナポレオニックに苦手意識があるため、

「うーん、そんな選択肢を与えてもらってもねえ…。使いこなせるか自信がないんだよね…」

「ナポレオニック初心者なんだから、無理せず連合軍の攻撃から始めようぜ」

と、史実どおりの開始にすることにした。

 

●第1ターン (9:00)

―連合軍ターン

  左翼(マップ左方)のオイゲンが重要地点であるWachauにむかって前進。第1ターンの主導権プレイヤーに与えらえられる砲撃(Bombardement)3を使ってWachau村隣接の仏軍を後退させ、村2へクスを占領する。このゲームでは作戦チットとして得られる砲兵(Artillerie)チットは戦闘支援に使えるだけでなく、移動フェイズに隣接敵ユニットに対して砲撃を行い、退却させることができるのだ。

 そして中央部では騎兵が快速を活かしてLieberwolkwitz村を1へクス占領。Wachau村2へクスと合わせて、フランス軍の士気は一気に3まで下がってしまった。一方連合軍の士気は最高の15に上昇。

「あれ、フランス軍、士気ゼロになったら負けなんじゃなかったっけ? あと何ターンもつのかな~」

と挑発する連合軍プレイヤーである。

 またこのゲームでは各軍、ゲーム中1回だけ作戦移動(Mouvement tactique)を行え、3ユニットの移動力を倍にすることができる。連合軍は作戦移動を利用してマップ右方の歩兵を中央部に向けて転進させた。


―フランス軍ターン

 先手を取られた形のフランス軍だが、すぐに攻勢に移る。まず中央Lieberwolkwitz村の連合軍騎兵をLauristonが3ユニットで集中攻撃。この騎兵ユニットは兵質がCと低いうえ、騎兵は村で単独で守っていると地形効果を得られないのだ。圧倒的に不利な状況を見て、連合軍騎兵は退却して戦闘を回避する。このゲームでは騎兵は歩兵ユニットのみから攻撃された場合、戦闘全後退が可能だ。仏軍は重要拠点Lieberwolkwitz村をあっさり奪還、士気が5まで回復した。


 右翼(マップ左方)ではポニャトフスキーとケラーマンがWachauの左側を守るクライストを攻撃する。両軍ともに砲兵の支援を投入、結果、双方に損害が生じたがクライストは後退。そしてWachauの右側ではヴィクトールが連合軍騎兵1ユニットを高地上から攻撃する。ここでは敵騎兵に戦闘前後退をさせないよう、Latour-Maubourgの騎兵がヴィクトールを支援。DRM+4の攻撃となり連合軍騎兵は壊滅した。

 各指揮官ユニットは戦闘修正値(Modificateur au combat)をもち、戦闘時のDRMとなるのだが、仏軍右翼のポニャトフスキーとケラーマンは2と優秀である。一方連合軍のクライストは1で、指揮官の質ではマップ左方は仏軍が優位に立っている。ちなみにクライストの横、Wachauを守っているオイゲンだが、最近読んだ"Russia Against Napoleon"で結構高く評価されていて個人的には推しているんだけど、戦闘修正値は1である。オイゲンの部隊はこのWachauの前にKulmの戦いで活躍しているんだけど、そこで消耗した状態だったのにWachauではフランス軍の攻勢をまともに受けたそうだ。 


(つづく)


2025年10月25日土曜日

1813年、ライプツィヒ。ナポレオン最後のチャンス Wachau1813 (VV182) AAR part1

  ライプツィヒの戦いって言ったらナポレオニックに詳しくない自分でも知っているぐらいメジャーな会戦で、たしか1813年のドイツ戦役でのナポレオンの敗北を決定づけたんじゃなかったかな。以前も紹介したけどVaeVictis182号の「Wachau 1813」はこの会戦の初日を扱ったもので、ライプツィヒ南東のナポレオンの攻勢にフォーカスしたもの。Wachauなんて全然知らなかったけど、デザイナーズノートには

Wachau était la dernière occasion de vaincre des coalisés encore partiellement séparés...Et il n'est pas passé très loin de réussir...

(Wachauはまだ集結しきっていない連合軍を撃破する最後のチャンスだった…しかも、勝利にあと一歩のところまでいったのだ…) 

なんて書いてある。ここんとこナポレオン関連の本を読んだり、仕事から逃げるためにDSSSMさんが作ってくれた「著作権切れナポレオン戦争関連洋書Wiki」にちょこちょこ書き入れたりしていてナポレオニック熱がちょっと上がってきたので、Wachau1813もやってみた。

 初期配置は写真のとおり。ヴィクトール、ケラーマンといった、ナポレオニックに詳しくなくても聞いたことあるような指揮官がユニット化されているのがうれしい。個人的にはポニャトフスキー、それに最近知ったオイゲン・フォン・ヴュルテンベルクが登場しているのがツボかな。ただね、名前の表記がフランス語になっていて、WurtembergとかRaïevskiになっている。自分の限られた知識だと、カタカナにするときも表記が割れているケースがちらほらあるみたいなので、このAARではつづりもカタカナも自分の好きなものを採用することにする。あと、フランス軍には親衛隊もいて、もちろん兵質は最高のAである。気持ちが上がるよね。連合軍側にはロシア軍近衛兵もいる。

 なおフランス軍の親衛隊、それにマップ左下、連合軍の近衛兵を含む部隊には行動制限がかかっており、ゲーム前半は移動は1へクスのみ、かつ攻撃もできない。また仏軍には第5ターンにマップ右上からマクドナルド率いる増援が登場する。そのほか両軍ともに、登場する可能性のある増援がある。

 1ターンは1時間、各プレイヤーが移動・攻撃を繰り返すという比較的簡単なゲーム。デザイナーズノートでも、短時間でプレイできるって書いている。戦闘は戦力比、地形効果、指揮官の能力、兵質などをDRMにするという、Jours de Gloireシリーズなんかと似ているのだが、2d6なので極端な目が出る可能性がある。

 このゲームで重要なのが軍の士気。敵軍の士気をゼロにすると勝利なのだが、連合軍は仏軍の士気を崩壊させなくてもゲーム終了時まで自軍の士気がゼロにならなければ作戦的勝利を得られるので、フランス軍としては攻撃に攻撃を重ねて敵の士気を崩壊させないといけない。しかも一応、第10ターン(18:00)まであるものの、第8ターン(16:00)からターン開始時に2d6を振って2~5だとゲーム終了となっているので、フランス軍としてはいつまで時間があるかわからず一層焦って攻撃せざるを得なくなっている。

 士気はゲーム開始時、連合軍は10、フランス軍は9。マップ上の重要地点(Objectif géographique)を占領すると士気が上がり、取られた側は士気が下がる。また戦闘結果表が攻防ともに出血しやすいものとなっているため、戦闘が続くとじわじわと両軍ともに士気が下がるようになっている。なお士気が3以下になった軍は攻防ともに不利なDRMが課されてしまう。

 士気が敵より高い軍が主導権を獲得し、各ターン主導権側からプレイする。どういうことかというと、非主導権プレイヤーは相手に損害を与えたり重要地点を占領たりして敵の士気を低下させ、自軍の士気が敵を上回ると、主導権が回ってきて次のターンも続けて先にプレイできるのである。戦況の逆転が表現されやすいのかな。

 士気に影響する重要地点はマップ左半分に多くあり、両軍主力もこちらに配置されているため、この方面が主な戦場になる。だが仏軍の増援であるマクドナルドの部隊がマップ右上から登場すると、正面からのぶつかり合いという状況に変化が出ることだろう。

 また、Marqueurというチットがあって、各プレイヤーは毎ターン1枚獲得できる。このMarqueur、砲兵の支援やコサック、それに増援の登場などかなり雑多で、まあよく言えば変化に富んでいてプレイに高揚感や緊張感を与えていると思うんだけど、Marqueurって「マーカー」って訳すとなんか味気ないので、このAARでは作戦チットと呼ぶことにする。


(つづく)


2025年10月19日日曜日

吹雪のアイラウで包囲された親衛騎兵が叫ぶ 「突撃! 突撃! 突破するのだ!」 La Garde veille! (VV178) AAR part5

 ●第3ターン

 前ターン、包囲網を突破したフランス軍の攻撃で大きな損害を受けたロシア軍だが、敵は攻撃・追撃をして分散し、しかも1スタックは混乱状態となっているのだ。今反撃しなくてどうする。ロシア軍はSomovのイニシアティブ値を使って、今ターンも命令下にできるかどうか賭けに出る。気合を入れて振ったサイコロ(Vassalなんで、気合を入れてサイコロボタンをクリックだけど)の目は3でチェックに成功。おっしゃ、仏騎兵を袋叩きだ。

 ロシア軍はフランス軍右翼(マップ下方)の混乱状態のスタックを歩兵2ユニットで包囲。混乱状態になっても仏親衛擲弾騎兵は士気6と強力なのだが、戦闘力は両ユニットともわずかに1。敵歩兵の集中攻撃を防ぎきれず敗走を余儀なくされるものの、包囲されていたため壊滅した。

 このシナリオでの勝利得点は敵ユニットを壊滅させると通常2点を得られるのだが、親衛擲弾騎兵はなんと5点なのである。今回のスタックの壊滅で仏軍は一気に7点を敵に献上してしまい、ロシア軍の累計勝利得点は9に上った。仏軍の得点は13なので、また仏騎兵スタックが包囲、壊滅すると逆転となる。


 ロシア軍によって各スタックが分断、包囲されてしまったフランス軍だが、中央では前面にいる混乱状態のSomov騎兵を攻撃、壊滅させる。そして下方では、Sackenの砲兵の横をすり抜け、混乱状態の歩兵を攻撃、敗走させた。Jours de Gloireシリーズでは砲兵はZoCを持たないため、歩兵とスタックしていないとこういうことが起きてしまうのだ。


 仏軍の攻撃でボロボロのSacken隊は敵騎兵に接敵して機動を阻害するぐらいしかできない。混乱状態のユニットも、士気が低いためなかなか回復しないのである。

 そんなロシア軍をしり目に、仏軍は敵に襲い掛かる。そしてマップ上方で混乱状態だったスタックは、ロシア軍騎兵によって回復を妨害されていたが、やっと2ユニットとも正常状態に戻った。

 ターン最後の敗走移動フェイズではロシア軍歩兵2ユニットが盤外に。これでフランス軍の勝利得点は20となった。



●第4ターン

 かなり兵力が減少しているロシア軍だが、マップ右下端の仏スタックを歩兵と砲兵のスタックで封じ込めた。


 このシナリオはかなり短く、今回が最終ターンである。敵より7点以上得点が上だと勝利で、勝利得点でフランス軍はロシア軍を大きく上回っている。マップ下方で動きを封じられた自軍スタックは集中攻撃を受けると後退できないので危ないが、それでも時間を稼げば勝ちである。

 だが、親衛騎兵がそんなセコい勝ち方できるか!  敵はもう崩壊寸前だ、突撃!  突撃!  とマップ上方の2スタックがSomov隊に襲い掛かる。ロシア軍騎兵は仏親衛騎兵の敵ではなく、次々と敗走していった。


 ロシア軍は最後のあがきで使える戦力をかき集めて攻撃する。騎兵1ユニットが移動力8を活かして後方に回り込み、歩兵2ユニットともに仏軍1スタックを包囲。DRM+3となり、仏親衛騎兵は後退できずに壊滅してしまった。そのうち1ユニットは親衛擲弾騎兵なので、計7点をロシア軍は獲得。やっぱりフランス軍は変にこだわらずに後退したほうがよかったか。 

 とはいうものの大勢は覆らず。ターン最後には敗走移動でロシア軍騎兵2ユニットが盤外に消えていった。結果、フランス軍の損害は親衛擲弾騎兵2ユニットを含め5ユニットの壊滅でロシア軍は計16点。ロシア軍の損害は壊滅12ユニット、計26点で、仏軍の圧勝となった。これでLepicも無事généralに昇進することだろう。


 この「親衛擲弾騎兵の突撃」シナリオ、ターン数は短くユニット数も少ないのでサクッとプレイできる。VaeVictis178号付録の「La Garde veille!」収録の二つのシナリオのうち一つだから、ミニミニゲームなのは当たり前なんだけどね。フランス軍親衛騎兵を思う存分暴れさせたい、という人向けかな。でもちょっと判断を誤ったり運が悪かったりすると、ロシア軍が数の暴力で袋叩きにしてくるので気が抜けない。それと、Jours de Gloireシリーズは多く出ているので、その導入といういうか練習シナリオとしても適しているんじゃないかな。


 ところでアイラウ戦での仏騎兵の突撃だけれども、仏中央のオージュローの軍団が敗走し、ナポレオンが危機に陥ったとき親衛隊が反撃、そしてミュラが騎兵を率いて突撃した、と言われている。このミュラの突撃は結構有名なようで、ヒストリカルノートではune des plus formidables charges de l'histoire(歴史上もっとも凄まじい騎兵の突撃の一つ)なんて書かれている。でも実際どうだったのか、ナポレオニック関連ではいつも勉強させてもらっているサイト「祖国は危機にあり!」「祖国は危機にあり!(La partie en danger)関連blog」では様々な資料に当たって考察されているので、ご興味ある方はどうぞ。

1807年2月8日 アイラウ

吹雪の騎兵突撃

アイラウ 3









2025年10月14日火曜日

吹雪のアイラウで包囲された親衛騎兵が叫ぶ「突撃! 突撃! 突破するのだ!」 La Garde veille! (VV178) AAR part4

 ●第2ターン(続き)

 ロシア軍に囲まれてしまったフランス軍親衛騎兵。包囲されていない唯一のスタックは混乱状態である。フランス軍危うし、と言いたいところだが、包囲下の仏軍主力の正面にいるSackenの歩兵は3ユニットとも混乱状態なのである。そのうち2ユニットは砲兵とスタックしているが、そんなもの、Lepicにとっては<< Haut les têtes, la mitraille, c'est pas de la merde! >>である。……と気合で突っ込む前に、確率を一応計算してみると砲撃力3のSackenの砲兵が士気7の仏擲弾騎兵を防御射撃で混乱させる確率は8%に過ぎない。そりゃ砲弾なんか意に介さず突っ込むよね。「突撃! 突撃!」である。フランス軍騎兵の猛攻を支えられるはずもなく、Sackenの兵は散り散りになって敗走していった。

 ちなみに「頭を上げろ、これは砲弾だ、ク〇じゃないぞ!」っていう叱咤で知られるLepicだが、敵の包囲を突破したものの負傷し、しばらくの間自分だけでは騎乗することはできなくなったそうだ。ヒストリカルノートによると、Lepicの部隊は全滅したとナポレオンは思っていたが、親衛騎兵の帰還を見て喜び、Lepicをgénéralに昇進させた。ナポレオンは« Je vous croyais pris général, et j'en avais une peine très vive. »(もうすでにgénéralに昇進させていたと思っていた。本当にすまない)って言ったそうだけど、これってナポレオン流の人心掌握術なのかな。そう言われてLepicは« Sire, vous n'apprendrez jamais que ma mort! »って応えたらしい。これ、意訳すると「陛下、自分は戦場で死ぬ覚悟です!」って感じになるかと思う。ナポレオン時代のフランス軍の階級ってよく知らないんだけど、généralの中でも一番下のGénéral de brigade(准将)になったってことかな。Lepicはその後スペインのFuentes de Oñoroの戦いやロシア遠征、1813年のドイツ戦役やその翌年の国内戦役を戦い抜き、ワーテルローにも参加したそうだ。

 

 ボロボロになったSacken隊だが、ここでやっと砲兵が気を吐き、至近距離からの砲撃で士気6の仏騎兵1ユニットを混乱状態にした。自隊砲兵の奮戦を見て気を取り直したか、先ほどの仏騎兵の攻撃で敗走状態となっていた歩兵2ユニットが奇跡的に回復した。敗走状態のままだとターン最後の敗走移動フェイズに盤外に逃げ去ってしまい壊滅扱いとなるので、ロシア軍としてはかなりありがたい。


 再び仏軍の活性化。敵に囲まれてほぼ身動きできない状態は変わらない。攻撃あるのみ。混乱状態の砲兵と歩兵のスタックを蹴散らし、敗走させる。Somovの騎兵は敗走する自軍に巻き込まれて混乱状態となってしまった。そして仏軍は敵の至近距離からの砲撃をものともせず、砲兵を蹂躙する。さすが親衛擲弾騎兵。だが、先ほどのSackenの砲撃で1ユニットが混乱状態となっていた仏軍下端のスタックのうち、残る1ユニットがSackenのスタックを攻撃するものの、砲兵の返り討ちにあい混乱状態となった。これで仏軍下端のスタックは2ユニットとも混乱状態である。

 ターン最後の敗走移動で露軍歩兵2ユニットが盤外に消えた。ロシア軍はこのターンの仏軍の攻撃で大きな損害を受け、累積損害が歩兵3,擲弾マーク付きの歩兵1、砲兵2ユニットで、仏軍の勝利得点は計13。ロシア軍の歩兵は一部に擲弾マークがついていて、普通の歩兵は壊滅すると2点のところ、擲弾付きだと3点なのである。一方、仏軍の壊滅は1ユニットにとどまっており、露軍は2勝利得点のみだ。だが、仏軍は半数が混乱状態となっており、精鋭ぞろいの親衛騎兵といえども衝力はかなり落ちている。


(つづく)


共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part5

 ●第5ターン  残り2ターンである。このゲーム、序盤は共和国軍が圧倒的に優勢であるものの、反乱軍には続々と増援が登場する。下の写真はこのショートシナリオが扱う第1~6ターンの両軍の増援で、一目瞭然、共和国軍には微々たる数しか現れないのに対し、反乱軍は大量の援軍を受け取る。ヒスト...