●第6ターン (13:00)
今ターンに全軍盤外に撤退したいオーストリア軍、かたやその前に敵を補足したいプロイセン軍。活性化チット(marqueur d'activation)を引く手に力が入る。最初に引かれたのは…プロイセン軍のHorn。だがこの部隊は、前ターンのMusky山占領を優先したため、丘陵地では移動力が足らずオーストリア軍を捕まえることができない。
続いて引かれたのはFransecky。敵を逃がすわけにはいかない。オーストリア軍は斜面や村で防御ラインを引いているが、戦力やサイの目修正を考え、一番防御が弱い歩兵と砲兵のスタックを攻撃。だが斜面上からの防御射撃に砲兵の至近距離の射撃が加わって、Franseckyの2ユニットとも撃退されてしまった。
プロイセン軍の攻撃を退けている間にAbeleの部隊が盤外に脱出していく。このままLeningenも、と思いきや、運命の女神はプロイセン軍に微笑んだ。Leningenよりも先にSchölerのチットが引かれる。これまで渡渉地点を見つけられなかったプロイセン軍の騎兵だが、今回は成功! マップ南端の向こう岸にZoCを及ぼす。そしてSchölerの主力は消火された橋、それに架橋された地点を通って渡河、南下してLeningenの部隊を拘束する。渡渉地点を見つけた騎兵のZoCと相まって、Leningenの今ターンの盤外への撤退は不可能になってしまった。
Leningenは至近距離からの砲撃でSchölerの歩兵を混乱させるものの、敵ZoCに拘束されていること、丘陵地での移動コスト、それに移動力の低い砲兵がいることから、包囲を避けマップ南端に後退するのが精いっぱいである。
Les Grandes Batailles du temps de Napoléon III(ナポレオン三世時代の主要会戦)シリーズでは、敵ZoCの離脱には全移動力の半分を、混乱状態だと全移動力を消費する。高度差があるヘクスサイドを通過する場合は移動コストが+1(ただし街道沿いだとゼロ、道沿いだと+0.5)で、砲兵は街道か道が通っていなければ高度差のある移動はできない。そもそも砲兵は移動力が低いため、敵に隣接された場合丘陵地での後退はかなり困難になるのである。
ちなみにこのシリーズではユニットの配置には向きがあり、ユニットはヘクスのいずれかの辺に向けて置く。ユニット周辺の隣接6へクスのうち3へクスにみZoCが発生し、後方3へクスにはZoCは及ばない。
●第7ターン (14:00)
最終ターンである。プロイセン軍はあえて攻撃することはせず、敵を拘束するにとどめる。オーストリア軍はゲーム終了時にマップ上に残っているオーストリア軍2ユニットごとに1VPを失うのだ。それに、プロイセン軍はゲーム終了時に混乱状態の自軍ユニットがいるとVPが減る。防御射撃で損害を受け回復も失敗、ということもあり得るので、あえて攻撃に出るリスクを冒さないのである。
一方のオーストリア軍は最後の反撃を試みる。砲撃でSchölerの歩兵を混乱、敵に一矢を報いた。そして歩兵1ユニットがからくも盤外へ脱出していった。
こうしてゲームは終了。勝利得点は1点差でプロイセン軍の限定的勝利(victoire mineure)に終わった。
正直、プレイバランス的にはオーストリア軍に厳しい。兵力劣勢なうえ、第5ターンまでMusky山やミュンヘングレーツの占領を極力阻止しないといけないし、オーストリア軍は第6ターンに撤退したユニットのみがVPに貢献するし。そのうえ損害は避けないといけない。史実では3点差でプロイセン軍の勝利だったそうで、そりゃ厳しいのも当たり前か。
ただ今回のプレイではHornは1回しか活性化に失敗しなかったし、Schölerは毎回成功していたけど、確率的にはゲーム中Hornは2回、Schölerは一回は失敗するわけで、特にSchölerがIser川を渡河して全力追撃って場面で活性化できないとプロイセン軍には結構痛いはず。あとは地形の利用と砲兵の運用・撤退をうまくやればオーストリア軍にも勝ち目はあるんじゃないかと思います。チットプルなんで、活性化チットの引き順も結構影響するけど。
VV174号にはこのMünchengrätzの翌日に起こったGitschinの戦いもついている。ちなみにGitschinもオーストリア軍の撤退戦だ。両ゲームの連結シナリオも収録されているし、将来的にはケーニヒグレーツの戦いも同じLes Grandes Batailles du temps de Napoléon III(ナポレオン三世時代の主要会戦) シリーズで出るらしい。1860年代っていったらアメリカの南北戦争がウォーゲーム的にはメジャーだけど、普墺戦争を扱ったゲームは希少価値があるんじゃないかな。戊辰戦争と同時代ということでプレイしてみてはどうでしょう。
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