ラベル Bosworth の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Bosworth の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年11月6日月曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ⑤

  リチャードの凄まじい勢いを見ても冷静なランカスター軍プレイヤー。Seizureカウンターを使用して敵の継続活性を奪取し、

「歴史に名を残すのは、お前じゃない」

とつぶやく。

「映画『敦煌』の李元昊かよ。つうか、リチャードはボズワースで負けても十分歴史に名を残しているだろ」

 そんなヨーク軍プレイヤーのツッコミをしり目に、マップ右端に位置するトマス・スタンリーの部隊を動かす。リチャード隊左翼(マップ右方)の歩兵に集中攻撃をかけて損害を与えた。また、先ほどリチャードの重騎兵がウィリアム・スタンリー隊に切り込んできたが、そのユニットが背面をさらけ出しているのを兄トマス・スタンリーが見逃さない。長弓兵が矢を射かけて混乱状態にし、そこに重騎兵が突撃、敵騎兵を蹴散らした。


 ここまで戦闘に参加していなかったヘンリー隊だったが、ついに動く。スタンリーの側面攻撃でリチャード隊が手負いとなった今こそ、主役の見せ場。イングランド王位を継ぐのはランカスターの血を引くこのヘンリーなのだ。ものども、突撃! リチャードの白い猪を奴の血で赤く染めてやれ!!  ヘンリー自ら陣頭に立って突撃。粉塵を巻き上げて突っ込んでくる重騎兵集団の攻撃で、リチャード隊の重騎兵と歩兵が混乱状態となった。

 よし、余に続けオックスフォード、とヘンリーが命じるものの、これまでの激戦で疲弊したか、オックスフォードが動かない。そしてヨーク軍に自由活性が回ってくる。迷わずリチャードが活性化。左翼(マップ右方)の歩兵がスタンリーの歩兵を壊滅させる。リチャードは、王自ら勝負を決めてやる! と反転してスタンリーの重騎兵に向かう。ここでヨーク軍は「戦列の裂け目へ(Into the Breach)」という、白兵戦でDRM+1となるカウンターを使用。

「もう一度、あの敵戦列の裂け目へ! 皆の者、もう一度だ!」とリチャードになり切って檄を飛ばすヨーク軍プレイヤー。

「それの元ネタって『ヘンリー5世』でしょ。リチャードじゃないじゃん。というか、リチャードをあれだけの悪役に仕立て上げたシェイクスピアから引用してていいの?」


 このセリフ、シェイクスピアの「ヘンリー5世」の原文だと、

Once more unto the breach, dear friends, once more

ってなっています。dear friendsって呼びかけるんですね。それと、これはハーフラー(仏語読みだとアルフルール)の街の攻城戦のシーンで、このセリフのあとOr close the wall up with our English dead(さもなくばイギリス人の死骸で城壁を塞ぐのだ)」と続いていますね。


 すでに混乱状態だったスタンリーの重騎兵はリチャードの猛攻に耐えきれず、粉砕された。これでランカスター軍の累計敗走ポイントは16。敗北チェックのサイの目は…3。ランカスター全軍の士気は崩壊し、リチャードは王として君臨し続けることになった。



「いやー、もうちょっと粘っていればリチャードを挟撃して勝負がわからなかったと思うんだよね。でも苦労人のヘンリー・テューダー、ここで負けてもしぶとく生き残ってまたフランスに亡命して、捲土重来してきそうだよね」

とはランカスター軍プレイヤーの敗戦の弁。ヘンリー・テューダーは若い頃から亡命してフランスでしぶとく生き残っているし、1回大陸からの侵攻に失敗していて、2度目にボズワースで勝ちを収めているんですよね。それにリチャードはボズワースで勝ったとしても貴族たちの不満を抑えられたかどうかはわからず、ランカスター派の反乱は続くんでしょう。

 でもそんなことは置いておいて、映画「ロスト・キング」を見てからこのシナリオをやると燃えると思いますよ。「Blood&Roses」の入っている「Men of Iron Tri-pack」はGMTから再版が決まっているので楽しみです。

2023年11月1日水曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ④

 スタンリー兄弟がついに本性を現しランカスター側についたが、ヨーク軍のノーフォークが奮戦、またも長弓兵が猛威を振るう。集中射撃を受けオックスフォード隊の歩兵がたまらず壊滅。そして射撃で混乱状態に陥ったランカスター軍の歩兵に重騎兵が白兵戦をしかけ粉砕した。指揮官のノーフォークも自ら陣頭に立って突撃。混乱状態の徴集兵を側面から襲い瞬殺した。

 積み重なる損害に、ランカスター軍の累積敗走ポイントは12となった。このシナリオでのランカスター軍の敗走レベル(Flight Level)は18で、自由活性の終了時に10面体サイコロを振り、出た目を累計敗走ポイントに足してこの数値を越えると負けてしまう。つまり、現状では7以上の目が出ると終わりで、損害が増えるとランカスターが敗北する可能性がさらに上がっていくのだ。

 ヨーク軍にとっては一気に勝負をつけるチャンス。だが、またもリチャード動かず。おいおい、どうしたよリチャード。このままでは史実同様、負けてしまうぞ。もしかして失われた王になって、500年後に見つけてほしいのか?


 ヨーク軍が攻撃の手を緩めたすきに、ランカスター軍は軍旗(Standard)を活性化、軍旗周辺に敗走していたオックスフォード隊の4ユニットを回復させた。これでランカスター軍の累積敗走ポイントは8に下がり、一発敗北の可能性はなくなったことになる。


 そしてオックスフォードが継続活性しノーフォーク隊へ全力で攻撃。ノーフォーク隊は射撃ユニットは多いものの、歩兵や重騎兵が少ないため白兵戦では数的に不利なのだ。こうしてヨーク軍に攻撃する一方で、オックスフォードは先ほど敗走状態から回復して混乱状態になった4ユニットを、さらに正常状態に戻す。これでオックスフォード隊の戦力はかなり回復した。

 スタンリーが参戦したことで勢いづいたランカスター軍は、ウィリアム・スタンリー隊をヘンリーの隣にシフトさせ、支援態勢をとる。そしてまたもやオックスフォード隊が猛攻。先ほど軍旗のもとで回復したウェールズの長弓兵とノルマン弓兵が戦列に復活して弓矢の雨を降らせ、敵長弓兵を壊滅。そしてノーフォーク隊の重騎兵を包囲攻撃、混乱させた。


 オックスフォードはこのとき42歳。戦闘経験豊かで、ボズワースの14年前にあったバーネットの戦いにもランカスター軍の一隊を率いていた。ちなみにこの戦いでキングメーカー・ウォリックが敗死している。オックスフォードは父の第12代オックスフォード伯がエドワード四世によって処刑されたため、若くして第13代オックスフォード伯になっており、22歳の時にはエリザベス・ウッドヴィルの戴冠式で王妃に水を給仕する役を務めている。


 ここでやっとヨーク軍に自由活性が回ってくる。包囲され損害を受けているノーフォークの重騎兵が危ない。重騎兵は壊滅すると敗走ポイント(FP)が3と、結構高価なのだ。長弓兵とハンドガンの集中射撃で敵包囲網に穴をあけ、重騎兵が後方に退避。ふう、危ない危ない。

 ノーフォークとオックスフォードの死闘を静観していたリチャードだが、好機がやっと到来したと見たか、ついに動いた。重騎兵がスタンリー兄弟の弟、ウィリアムの歩兵に集団で突撃。3ユニットのチャージを受けた歩兵は瞬殺された。

 リチャードの猛攻で弟が危ない。兄のトマス・スタンリーが駆け付ける。リチャードの重騎兵を長弓兵の射撃で混乱状態にし、そこに重騎兵が突撃。リチャードのユニットは敗走した。

 だが、ここでオックスフォード続かず。この時点でランカスター軍の累積敗走ポイントは10、一方ヨーク軍は5にとどまっている。ヨーク軍に追い打ちをかけたいのに、連係ミスが痛い。60%の確率でオックスフォードが動くはずだったのだが。


 ヨーク軍のノーフォーク隊は射撃戦を繰り広げつつ、混乱状態の重騎兵と歩兵の回復に努める。そしてリチャードが熾烈な攻撃を続ける。重騎兵を引き連れ陣頭に立ち、歩兵も従えて猛攻、スタンリーの歩兵ユニットを壊滅させた。リチャードの白兵戦修正値(Charisma)+2は伊達じゃない。失われた王などになってたまるか!


つづく

2023年10月27日金曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ③

  オックスフォードの反撃を受けたヨーク軍のノーフォークだが、猛烈な射撃をくらわせランカスターの兵を次々と矢で倒していく。さらにノーフォーク隊の歩兵が対応射撃(Reaction Fire)をものともせずオックスフォードの砲兵にとりつき、壊滅させた。

「マジ? オックスフォード隊に射撃能力のあるユニットはなくなったじゃん。早くスタンリー裏切ってよ!!」

 これでヨーク軍は敵から撃たれる危険を考慮しなくてよくなった。ノーフォーク隊の重騎兵2ユニットが突撃する。オックスフォードの徴集兵1ユニットが混乱、もう1ユニットが壊滅した。 

 敵前衛が損害を受けている今こそ、追い打ちをかける好機! だがリチャード続かず。配下の奮闘を無駄にするつもりか? やっぱり悪王なのか?


 ヨーク軍の連係ミスを見て取ったヘンリーは、スタンリーに裏切りを促す。40%の確率だったが、スタンリー動かず。ええい、リチャードを目の前にして臆したか。それとも、実績のほとんどない28歳の若造ヘンリーの側につくことを躊躇しているのか。

 実際、14年間亡命していたヘンリー・テューダーは実戦で指揮を執ったことが少なかったようで、シェイクスピアの「リチャード三世」でも「実戦経験の全くない男だ(he was never trained up in arms)」なんて言われていますね。


 日和見しているスタンリーなど頼りにならんわ! とオックスフォードがノーフォークに反撃。またその間、混乱状態にあるユニットの回復に努めた。

 させるか! とノーフォーク。混乱状態の徴集兵に重騎兵が鎧袖一触、と攻撃するも、敵を侮りすぎたか徴集兵は踏みとどまった。だが、集中射撃にたまらずオックスフォード隊のウェールズ歩兵が敗走する。こうして敵を消耗させていく一方で、ノーフォークは混乱状態の長弓兵を回復させた。敵に弓兵がいなくなった今、こちらから一方的に射撃をくらわしてやるのだ。


 ノーフォークの攻撃で敵ランカスターの前衛はボロボロだ。王よ、敵にさらなる打撃を! だが、一人奮戦するノーフォークの懇願にも関わらず、またもリチャード動かず。何考えているんだ。

「いや、リチャードはやっぱり悪い奴なんだって。ノーフォーク隊に戦わせて限界まで出血するのを黙って見ているんだよ。悪人になると決めたって本人も言ってたじゃん」

いやそれ、またシェイクスピアの書いたセリフ。ちなみに原文は

I am determined to prove a villain

で、映画「ロスト・キング」でも出てきますね。


 リチャードがぐずぐずしている間に態勢を立て直したいランカスター軍。再びスタンリーに裏切りを要請する。引いたカウンターは70%で裏切るというもの。そしてスタンリー裏切り! おっしゃー!!

 

 スタンリー兄弟の兄トマス・スタンリーは薔薇戦争中に他の多くの貴族同様、寝返りをしているが、以前紹介した『Blood Royal』では、勝ちそうな人物であればだれであろうと忠誠を誓っていた、なんて書いてある。短い期間で大軍を召集する能力を見せつけ、どの戦いにおいてもほんの少しだけ遅れて参加したそうだ。


 スタンリーの裏切りを見て、オックスフォード隊が積極的な攻撃に出た。これまでは前面のノーフォークに加え、右翼にリチャードが迫ってきていたため、オックスフォード隊はユニット数が多いとはいえ限定的な攻撃をする余裕しかなかった。なにせ、ヘンリー本隊は5ユニットしかいないため、リチャード隊の攻撃をまともに食らったら支えきれず、どうしてもオックスフォードの支援が必要になる。だがスタンリーがランカスター側に立った今、右翼は彼らに任せられる。オックスオードは兵力を左にシフトし、これまでのうっ憤を晴らすかの如く果敢に攻撃。ノーフォーク隊に損害を与えた。



つづく

2023年10月22日日曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ②

  まずはヨーク軍のノーフォーク隊が前進、オックスフォードの部隊と射撃戦を展開する。そしてリチャードが白い猪の旗印を掲げ左翼方面(マップ右方)に前進。スタンリーに近づいたことで裏切りの可能性がやや低くなる。

 あ、白い猪っていうのはリチャードの旗印(heraldic badge)です。映画「ロスト・キング」でも、もちろん出てきましたね。



 ランカスター軍はオックスフォード隊が射撃で応戦するものの、ヘンリーが継続活性に失敗。敵の連携がとれていないうちに追い打ちを、とノーフォークは長弓兵に容赦のない射撃を行わせる。そうして敵前衛を牽制しつつ、リチャードがさらにマップ右方を急進した。

 ヨーク軍の好きにさせるわけにはいかない。オックスフォード隊が突出していたノーフォークの歩兵を3ユニットで集中攻撃、混乱させる。射撃戦では不利であっても、兵数ではオックスフォード隊のほうが上なのだ。そしてやっとヘンリーが動く。マップ右方にシフトしてリチャードに対応できるようにするとともに、スタンリーに近づくことで裏切りの可能性を上げた。


 このシナリオでは最初はスタンリーの2部隊は中立で動かないが、ランカスター軍は自由活性を使ってスタンリーの裏切り(Stanley Mobilization)チェックをすることができる。基本的に、スタンリー裏切りカウンター(Lancastrian Stanley counter)を1枚引いてそこに書かれているサイの目以下が出れば裏切るのだが、カウンターは5枚あって裏切りの可能性は30%~70%と幅がある。とはいえいろいろ計算すると、50%の確率で裏切るはず(でも計算自信ないなあ)。

 ただし、スタンリーの2人の指揮官のうちどちらかから12へクス以内にリチャードがいれば裏切りチェックのサイの目が1不利になり、逆にヘンリーが8へクス以内にいれば1有利になる。


 今回リチャードはスタンリーに近づくようにマップ右方に展開したが、実際はデメリットの方が大きいと思う。こちら方面は湿地(Bog)や小川(Stream)、それに沼地(Marsh)などがありリチャード麾下の重騎兵の機動力や突撃能力を活かしにくい。それだけでなく、スタンリーが裏切った場合、ヘンリーとスタンリーから挟撃される可能性が高いのだ。

 しかもマップ下方の中央右よりにある沼地は、「沼地とリチャード三世ルール(Marshes and the Richard the Third Rule)」なんてのがあって、騎兵がここで白兵戦を行うと強制下馬(Unhorsed)となる可能性がある。ボズワースでは沼地でリチャードが馬を失い討ち死にしたと言わているが、それを反映しているらしい。リチャード三世としてはマップ右下は縁起が悪い。


 一方、マップ左方にリチャードが展開した場合、平坦な地形が広がっているので重騎兵がその能力を発揮できるうえ、スタンリーの2部隊がマップ右方から主戦場に駆け付けるのに時間がかかる。そもそも、スタンリーは2人とも活性化値3と凡庸だ。ヘンリーの指揮範囲にいると継続活性でDRM1有利になるが、リチャードがマップ左方から全力で攻撃する場合ヘンリーがオックスフォードの救援に駆け付けざるをえず、スタンリーから離れることになる。つまりスタンリーが活性化しにくくなり、ヨーク軍を攻撃する位置にたどり着くまで時間がかかるのだ。

 ということでこのシナリオの場合、リチャードはマップ左方に展開したほうがメリットが大きいと思う。だがヨーク軍プレイヤーは

「進め!  雄々しく!  猛進して乱戦に飛び込むのだ。天国に行けなければ、ともに地獄に進もうぞ」

とうそぶきながらマップ右方に兵を進める。

「いや、それシェイクスピアの『リチャード三世』のセリフでしょ。不吉すぎない?」

と敵プレイヤーに心配される始末。両プレイヤーとも映画「ロスト・キング」を見てリチャード三世に肩入れしてしまっているのである。「リチャード三世」のボスワース戦のところを読み返したりしていたし。


ちなみにこれは「リチャード三世」のボズワース戦冒頭のところで、原文は

March on. Join bravely. Let us to it pell mell,

If not to heaven, then hand in hand to hell.

となっています。


つづく

2023年10月17日火曜日

失われた王になってたまるか! Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

  映画「ロスト・キング 500年越しの運命」を見たら、当然ボズワースでリチャード三世の無念を晴らさなくては、ということでMen of Ironシリーズ「Blood & Roses」のボズワースのシナリオをやってみることにした。

 ボズワースの戦いと言ったら30年続いたイギリスの血みどろの内戦・薔薇戦争を終結させたと言われる戦いで、リッチモンド伯ヘンリー・テューダーがリチャード三世を打ち破った。シェイクスピアの戯曲「リチャード三世」でのリチャードの最後のセリフ、「馬の代わりに我が王国をくれてやる!(My kingdom for a horse!)」が有名である。

 というかね、「リチャード三世」で悪人に描かれて過ぎていて、その反動からかリチャードを擁護するRicardianなんて人たちが出てきているんですよね。リチャード三世協会なんてのもあるんだけど、映画「ロスト・キング」では学者からファンクラブと馬鹿にされていましたね。でもそんなRicardianが、川に投げ捨てられたという伝承が残るリチャードの遺体を、2012年に発見するんですよ。いやー、すごいなあ。


 で、ボズワースである。リチャード率いるヨーク軍は前衛をノーフォク公ジョン・ハワード、中央がリチャード、後衛をノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーが指揮しているが、以前のAARにも書いたようにノーサンバランドが動くことはほとんど期待できない。一方、ヘンリー・テューダーのランカスター軍は、前衛がオックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアーの部隊、その後ろにヘンリー直属部隊が布陣している。



 射撃力でヨーク軍は優位に立っている。百年戦争から薔薇戦争にかけて猛威を振るった長弓兵のユニット数はヨーク軍6,ランカスター軍3だ。またランカスターのオックスフォード隊は兵力が多いように見えるが、そのうち6ユニットは徴集兵(Levy)。徴集兵は他の兵種と共同でないと白兵戦がしかけられないので、あくまで補助的な戦力である。


 ちなみに、「Blood&Roses」のシナリオ集「Battle Book」にもちらっと書いてあるけど、この戦いのランカスター軍の多くはフランスやウェールズの兵で、ユニットにもウェールズやフランス、ノルマンディ、ブルターニュの紋章がついていたりする。ヘンリー・テューダーは亡命して長い間ブルターニュ公の庇護下にあった。そして今回はフランス王シャルル八世の支援を得て、ノルマンディーのアルフール港からウェールズにもどってきている。

 テューダー家はもともとウェールズの貴族で、薔薇戦争中はペンブローグ城を拠点にしてヨーク家に対し抵抗を続けた。ウェールズと言えば紋章は赤い竜で、ヘンリー・テューダーは1485年にリチャードを倒すためウェールズに上陸した際、赤竜の軍旗を掲げてウェールズ人の支持を得たらしい。ウェールズの吟遊詩人たちはヘンリーのことをアーサー王の再来と称え、その帰還を待ち焦がれていたそうだ。…というのは『物語 ウェールズ抗戦史』という本の受け売りで、この本の帯には「そのとき赤竜の軍旗を掲げアーサー王は蘇った。」なんて惹句が付いている。まあ、実際ヘンリーはアーサー王伝説をうまく利用したようで、息子にもアーサーと名付けている。


 おおっと、話がそれた。ということでランカスター軍はやや不利で、指揮官の活性化値ではランカスター軍のほうが優っているものの、マップ右下にいるスタンリー兄弟が史実のようにリチャードを裏切って味方に付いてくれないと苦戦することだろう。


つづく



2022年6月7日火曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ③

  一人突出していたリチャードに対し、ヘンリー隊のMM3ユニットが突撃する。結果は防御側混乱で継続攻撃。よし、今度こそシェイクスピアの名場面を再現するのだ。だがリチャードが奮戦し、結果はNo Result。リチャード強え。 

 オックスフォード隊よ続け、とヘンリーが命ずるも、リチャード側がSeizureカウンターで継続奪取。リチャードを大急ぎで後退させ、支援のユニットを前進させる。危ういところで窮地を脱したリチャードである。


 だが今度はヘンリーがSeizureカウンターで継続奪取。ヘンリーが陣頭指揮をとった突撃は敵歩兵を壊滅させる。リチャードばかり活躍させてたまるか。これまでだてに苦労してきたわけじゃないんだ。薔薇戦争が始まって2年後に生まれたヘンリーは、生まれたときにはすでに父親はこの世にいなかった。さらには幼くして母親と別れることを余儀なくされる。ランカスター朝のヘンリー6世と王太子エドワードが殺された後は、ランカスター家の血を引く唯一の男子としてヨーク派に命を狙われ、14歳にしてフランスのブルターニュ公国に逃げる。そして14年間の亡命生活ののち、イングランドに捲土重来。重耳みたいなもんなんだぞ。あんなに歳とってないけど。


 ランカスター軍のオックスフォードが部隊を後退させ戦列を整理するも、再びリチャードが猛攻。ヘンリー・チューダーが王位継承権を持っているなんてちゃんちゃらおかしい。百年戦争を始めた王エドワード3世の、王子の一人が生んだ私生児のひ孫ってだけじゃないか。こんな僭称者、王の威厳にかけて叩き潰してくれる。

 気がついたらランカスター軍のFPは14になっていた。敗走レベルは18なのでかなりやばい。だが敗北チェックのサイの目は3でヘンリーは耐える。


 ヨーク軍は継続活性に失敗し、今度はヘンリーが反撃。MM2ユニットによるMMへの攻撃はなんとサイの目ゼロで効果なし。だがヘンリー自ら突撃し、リチャード隊に損害を与える。そして敗北チェックも再び耐えた。苦労人ヘンリーの本領発揮である。オックスフォード隊が混乱状態のユニットの回復に努め、再びヘンリー隊が活性化。リチャード隊のMMと歩兵を壊滅させる。

 だがヘンリーの奮闘もここまでだった。ヨーク側に自由活性が移り、リチャード隊の攻撃ののち、敗北チェックでサイの目は5。敗走レベルを超えてしまい、ランカスター軍の敗北となった。


 リチャードは王位にとどまってヨーク朝が続き、シェイクスピアの書く「リチャード3世」は真逆の内容となったことだろう。いや、「冬の王」に描かれているようにボズワースの戦いの後もイギリスは不穏な状態が続き、ヨーク朝が転覆させられたかも。それよりなにより、1ミリも動かかなかった後衛のノーサンバランド伯、それに裏切らなかったにせよリチャードを助けることもなかったスタンリー兄弟の戦後の処遇はどうなるんでしょうね。ロンドン塔送り? それとも、beheaded?



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月5日日曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ②

  ヨーク軍は射撃戦でオックスフォード隊(黄)の前衛に損害を与えたのち、ノーフォーク隊(緑)の歩兵と騎兵が攻撃に移る。オックスフォードは即座に対応。ノーフォーク隊の戦列の両端のユニットを混乱状態にさせる。


 そこにリチャード本隊が騎兵の機動力を生かしてノーフォークの左翼に突撃する。陣頭に立つリチャード。シェイクスピアがなんぼのもんじゃい。馬を失うことを恐れて突撃ができるか。

 このゲームの指揮官にはカリスマ(Charisma)という数値があり、スタックしているユニットが攻撃する際にサイの目修正ができるのだが、リチャードのカリスマは+2だ。強烈な突撃で敵歩兵を敗走させる。


 だがランカスター側のオックスフォード隊がすかさず反撃。長弓兵の射撃でリチャード指揮下のMMが強制下馬(Unhorsed)。馬を失った騎兵など物の数ではないわ、と歩兵(Infantry, Inf)2ユニットが攻撃。シェイクスピア「リチャード3世」の再現だ、と思いきや、防御側混乱で終わった。ふう、やばいやばい。歴史は繰り返すって言うからね。


 リチャード直属部隊の攻撃を受けているオックスフォード左翼の支援のため、ヘンリーは自分の直属部隊を派遣。だがスタンリーを裏切らせようとマップ右側に寄って行っていたため、すぐには間に合わない。

 トマス・スタンリーはこの戦いの13年前にヘンリーの母親と再婚しており、ヘンリーは継子になる。そのためリチャードはスタンリーが裏切らないように息子を人質に取っていた。このゲームでは自由活性化を使ってスタンリーの裏切りチェックを試みられるのだが、リチャード軍の猛攻でランカスター側は自由活性化をそんなことに使う余裕がなくなってきた。ヘンリーの母親と再婚してるんでしょ、早くこっちについて参戦してよー。


 リチャードとスタックしているユニットが混乱状態のうちに討ち取ってしまいたいランカスター軍。ヘンリー隊が間に合わないため、頼むぞオックスフォード。オックスフォードの活性化値は4で、ヘンリーの士気範囲にいるとサイの目が1有利になる。だが継続活性に失敗してしまう。リチャードは窮地を脱し、再び怒涛の攻撃。オックスフォード隊の左翼に大きな損害を与える。


 続いてヨーク軍のノーフォーク隊が活性化。長弓兵の射撃でオックスフォード隊に損害を与えるが、混乱状態の歩兵に対する攻撃はなんとサイの目0が出て攻撃側の混乱に終わった。10面体ダイスを振るのでこういうこと時々あります。


 ヨーク軍の連続攻撃に対して態勢を立て直したいランカスター軍。Seizureカウンターを使っての継続奪取を試みようか迷ったのだが、継続奪取成功の可能性は60%。リチャードの継続活性は60%の確率で失敗するはずなのでSeizureカウンター使用を見送る。だがヨーク側はリチャード隊の継続活性に成功。これは痛い。

 先ほどの攻撃で損害を受けていたオックスフォード隊に、リチャード隊が再び猛攻をかける。リチャードが陣頭に立ち、オックスフォードの軍旗(Standard)に迫った。敗走状態のユニットは軍旗まで逃げていたのだが、リチャードは2回連続の継続攻撃で3ユニットを壊滅させる。おそるべし、リチャード三世。


 リチャード三世は悪人というイメージがイギリスでは定着しているそうなんだけど、これはシェイクスピアの書いた「リチャード三世」の影響が大きいらしい。シェイクスピアが活躍したのはイングランドの黄金時代を築いたチューダー朝エリザベス1世の治世で、エリザベス1世はヘンリー7世の孫である。長きにわたった内乱に終止符を打った名君でチューダー朝の開祖、ヘンリー7世をシェイクスピアが悪く書くはずがなく、ヘンリー7世が打ち破ったリチャード三世は極悪人に描かれているのだ。

 だがそういったリチャード像は正確ではないようで、例えば「物語 イギリスの歴史(上)」という本なんかでは、リチャードは

「兄王エドワード4世からも絶大な信頼を寄せられ、劇中に見られるような兄クラレンス侯爵、妻アン、二人の甥(エドワード5世と弟リチャード)を次々と殺害したという証拠はいっさいない。むしろ勤勉で公正な支配を進めたと言われている」

とまで書かれている。このゲームのデザイナーもリチャードを正当に評価しようとする立場だって言っているしね。名前が一緒だからってわけでもなさそうだし。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

2022年6月3日金曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

  1455年から30年間続いたイギリスの内戦が薔薇戦争。ランカスター家とヨーク家が王位をめぐって争ったらしいが、GJ65号のリプレイマンガが自分の基本知識である。この戦争を締めくくったのが今回プレイしたボスワースの戦いで、ヨーク朝のリチャード3世をヘンリー・チューダー、のちのヘンリー7世が打ち破った戦いである。SNSで知り合ったこーちゃさんに教えていただいた、ヘンリー7世を描いた「冬の王」という本が面白かったので(実際に読んだのは"Winter King"のほうですが)ヘンリーの見せ場であるこの戦いをやってみた。アニメ「薔薇王の葬列」放送に便乗して、というわけではない、けど、ほんと日本の漫画・アニメっていろんなジャンルの作品があるよね。なおゲームは今回もMen of Ironシリーズで、使用したのはTri-pack版である。



 初期配置は上の写真のとおり。ヨーク側、リチャード軍の最後尾にはノーサンバランド伯ヘンリー・パーシーの部隊(青)がいる。パーシー家は代々北イングランドの要職を歴任していたが、リチャード三世が甥にイングランド北部を任せるようになって、ノーサンバランド伯パーシーはリチャードの元での出世に見切りをつけたそうだ。そのためこの戦いの最中はリチャードの命令に反して動かなかったらしく、活性化値はなんと1である。しかも通常は活性化チェックが不要の自由活性化でも、ノーサンバーランドはチェックが必要となる。

 ヨーク軍の前衛、ノーフォーク公ジョン・ハワードの部隊(緑)は長弓兵中心で打撃力にはやや欠ける。主力はリチャードの直接指揮下の部隊(黄)となるだろう。

 一方のランカスター側は、オックスフォード伯ジョン・ド・ヴィアーの部隊(黄)の後ろにヘンリー直属部隊(黒)。ユニット数は5と少ないが、そのほとんどが重装騎兵であるMM(Mounted Men-at-Arms)である。

 マップ右下にはスタンリー兄弟の2部隊がいる。こいつらは一応リチャードの配下で、ヘンリーの右翼を攻撃してくれたらいいのだが、実際の戦闘ではずっと日和見で最終的にリチャードを裏切った。大まかに言って関ヶ原の小早川秀秋という感じか。このゲームでもランカスター側がスタンリーを裏切らせるルールがある。


 ゲームはヨーク軍の活性化から始まる。ノーフォーク隊(緑)は長弓兵が6ユニット、かたやオックスフォードの長弓兵は3ユニットに射程と威力に劣る弓兵が2と、ノーフォークのほうに分があるため、まずは射撃戦を仕掛ける。その間、リチャード隊は地形的に障害が少ないマップ左方に展開を目指す。

 これに対してヘンリーはスタンリーに近寄り、裏切りを促す。ヘンリーが近くにいればスタンリーの裏切りチェックでサイの目が有利になるのだ。またマップ右側にシフトすることで、騎兵にとって不利な地形である沼地にリチャード軍を誘導し、身動きが取れなくなったリチャードを討ち取れれば理想的である。シェイクスピアの史劇「リチャード三世」では、戦いの最後にリチャードが突撃。馬を失い、「A horse! A horse! My kingdom for a horse!(馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!)」と叫んで討ち取られる、というクライマックスがある。あのシーンを再現してやるのだ。




つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

文豪デュマの父にして黒人奴隷の子、そしてナポレオンの将軍だった人物の一生とは ー 『ナポレオンに背いた「黒い将軍」:忘れられた英雄アレックス・デュマ』

 DSSSMさんが主宰されているDiscordサーバー「全日本ナポレオン戦争フォーラム」っていうのがあるんですけど、 「全日本ナポレオン戦争フォーラム」のDiscordサーバーの招待URLをまた張ってみます。興味を持たれた方はお気軽にどうぞ~。 何をやるのが良いのか手探りなので...