ラベル スペイン内戦 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル スペイン内戦 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2026年9月13日日曜日

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part5

 ●第5ターン

 残り2ターンである。このゲーム、序盤は共和国軍が圧倒的に優勢であるものの、反乱軍には続々と増援が登場する。下の写真はこのショートシナリオが扱う第1~6ターンの両軍の増援で、一目瞭然、共和国軍には微々たる数しか現れないのに対し、反乱軍は大量の援軍を受け取る。ヒストリカルノートによると、共和国軍の攻勢は奇襲に近かったものの、反乱軍は素早く反応したそうだ。先述のように攻撃側に出血を強いる戦闘結果表に加え、兵力バランスが均衡していくにつれて共和国軍は苦戦を強いられるようになる。

 だが勝利するためには共和国軍は前進しなければならず、少なくとも引き分けに持ち込むには激戦が続くMosquito山を確保しなければならない。前ターンに撃退された山頂右上のヘクスを、航空・砲兵の支援を最大限使い損害を出しながらも奪還する。そしてマップ中央では、前ターンに反撃して突出してきた反乱軍を、南下してきた増援で包囲し撃退した。

 反乱軍はMosquito山頂を囲む形になっている共和国軍を攻撃、だが敵を退却に追い込めない。一方、中央と左翼(マップ左方)では攻撃が成功、Burunete前面にまで迫った。


●第6ターン

 最終ターンである。消耗が激しい共和国軍は残った戦力をかき集めMosquito山を5方向から強襲。この山頂を占領、保持すれば引き分けに持ち込めるのだ。結果は攻撃側損害1,防御側は1へクス後退。だが反乱軍は防御効果のある山頂で守っているため、死守を試みる。両プレイヤーがかたずをのんで見つめる中、出た目は4。死守は失敗し、反乱軍は退却。激戦を制した共和国軍は山頂を占領した。

 このターン、反乱軍にはマップ右端、つまりMosquito山頂に近い方面から増援6ユニットが登場するのだが、山頂奪還をしようにも1へクスからしか攻撃できないため共和国軍の守備隊を退却させるのは無理である。また紫へクスを1つでも奪還すると反乱軍の勝利なのだが、マップ左のQuijornaも中央のBuruneteも共和国軍が守りを固めていてこのターンに落とせる可能性はないので、ここでゲームは引き分けで終了となった。



 今回のプレイ、両軍とも、攻撃側に不利な戦闘結果表という印象が強かったせいか、なるべく高比率での攻撃を行おうとしていた。その結果、攻撃地点の数が少なくなってしまったが、共和国軍は少なくとも前半はもっと積極的に低比率でも攻撃してよかったのかもしれない。また反乱軍も、後半は中央から左翼にかけて反撃したが、もっと早い段階で損害を恐れず攻撃することで敵に消耗を強いて、主攻勢方面から兵力を回さざるを得ない状況を作るべきだったとも思われる。要は両プレイヤー、攻撃側に損害を強いる戦闘結果表にビビって積極性に欠けたということか。

 なお第2ターン終了時にサイコロを振って決まった共和国軍の目標へクスはマップ右端中央のBoadilla del Monteだったそうだが、その手前のMosquito山を占領するのでさえやっとだったので、Boadilla del Monteを獲るためにはかなりの戦力をこちら方面に投入しなければならなかっただろう。ただそうすると他方面が手薄になり今回のプレイのように反乱軍の反撃を食らうわけで、共和国軍としては悩ましい。

 また反乱軍は無理に攻撃せずとも、兵力が互角になった方面では早い段階で接敵し、ZOCtoZOCの浸透のプレッシャーを共和国軍に与えじわじわと退却させる、ということも可能だったと思うが、マップ左方では両軍とも敵の浸透を警戒して、敵から距離を置いてしまっていた。だが積極的な性格のプレイヤーだったら、混戦状態に持ち込んでまた違った展開がみられるのかもしれない。もちろん、今回はショートシナリオだったので、全14ターンのキャンペーンではまた戦い方が変わってくる部分があるかと思う。


 このブルネテの戦い、ヒストリカルノートによると、一方が奇襲や数的優勢でもって突破し前進するものの、敵が対応して消耗戦になるというスペイン内戦の多くの戦いに共通してみられるパターンだそうだが、まさにこのゲームはそういった展開になる。簡単なルールのわりに取りうる選択肢が多く、一方で戦闘後前進の制限など多くのWWIIのゲームとは少し違う点もあり、作戦研究のし甲斐があるのでは。作戦級に慣れたウォーゲーマーの感想を聞いてみたいものだ。


2026年9月9日水曜日

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part4

 ●第4ターン

 全6ターンのうち、残るは半分の3ターンである。共和国軍は広がった戦線維持に兵力を割かれる一方、反乱軍には続々と増援が到着しているという状況で攻勢を続けないといけない。

 前ターンに攻略に失敗したマップ右方中央のMosquito山は敵が新手を投入したため、再度の強襲は難しくなった。この山頂の北と南で揺さぶりをかけるしかない。反乱軍は増援を得ているものの、隙間なく並べられるほどの兵力は無いため、共和国軍はZOCtoZOCの移動で敵ユニット間に浸透し、山頂の北と南の隣接へクスを攻撃する。戦車の支援を受け、サイの目にも恵まれて両ヘクスの敵を退却させた。

 多くのWWII作戦級ゲームだったらここで戦闘後前進で敵の背後に回り込む、特に戦車ユニットがその突進力を発揮、ということもあり得るのだが、このゲームでは戦闘後前進の2へクス目以降は敵ZOCに侵入不可(ただし退却したユニットのZOCは無視できる)。そのため、敵ユニットが密集しているところで敵を退却させても、そこから戦闘後前進で敵を包囲、というわけにはいかず、空いた1ヘクスのみ敵戦線に食い込むことになる。この点、なんだか第一次世界大戦のフレーバーを感じる。また、防御側は退却時に敵ZOCに進入するとステップロスとなるが、自軍ユニットがいればそのような損害は被らない。ユニットが密集して混戦状態になっている場所では先述のように攻撃側が戦闘後前進で戦果を拡大しにくい一方、防御側は味方に助けられて退却ができるようになっている。

 共和国軍はマップ右下方向へも攻撃を続けるが、高戦力比に持っていけず双方に損害が出るのみ。反乱軍がスタックして守れるようになってきているので、有利な戦力比での攻撃に持って行けないのだ。また、先述のように攻防ともに航空・砲兵支援マーカーを投入できるのだが、いくつ使用するか、またCPを使用するかどうかも相手プレイヤーには秘匿して決めて、同時に公開する。そのため、読みが外れると不利なコラムシフトとなってしまい、しかもCPを消費しないと各マーカーごとに支援できるか判定があるため、最終的な戦力比が意外と読めなかったりする。これに加えて両軍ともに精鋭ボーナスを使用するかどうか決められるので、さらに戦力比が動く可能性がある。なお精鋭ボーナスの使用は攻防どちらが先に宣言するのか、それとも同時なのかルールに記載がないようで、今回は攻撃側から先に使用するかどうかを決めるという形でプレイした。


 Mosquito山を失うわけにはいかない反乱軍は、先ほど攻撃を受けた山頂隣接の2へクスに反撃。攻防双方に出血を強いる激戦の結果、山頂右上のヘクスは奪還した。

 このゲーム、共和国軍の歩兵は1ユニット8戦闘力なのに対し、反乱軍のほとんどは7。作戦級に慣れたウォーゲーマーならすぐにわかると思うが、反乱軍が攻撃をしようとすると、共和国軍が攻撃する際に比べて多くのユニットを投入しないと有利な比にならない。共和国軍のように戦車の支援シフトを得られるわけではないし、航空・砲兵の支援もゲーム後半になってやっと共和国軍と対等になる。そのため、攻撃側に出血を強いる戦闘結果表と相まって、反乱軍が反撃をする際は多数の部隊を集めて攻撃しない限り不利な戦闘になることが多い。ちなみにヒストリカルノートによると、ブルネテの戦いで共和国軍は自軍の精鋭を集めたそうで、装備や弾薬の供給も最優先だった。しかもこの攻勢のために共和国軍はほぼ全航空戦力を集中させている。共和国軍ユニットと反乱軍ユニットの戦闘力差や、ゲーム初期の共和国軍の圧倒的な航空・砲兵支援数はこういうのを反映しているのかな。


 さらに反乱軍は、共和国軍が東方向(マップ右方)への攻撃に兵力を注ぎ込んでいるのを見て、マップ中央部で反撃に出た。こちらの方面は、マップ左方や下方から登場してきた増援のおかげで共和国軍より数的に有利となっている。5ユニットで共和国軍1ユニットを撃破、戦闘後前進でBruneteの街に迫った。また、左翼(マップ左方)でも共和国軍に接敵、次ターンはZOCtoZOCで浸透できるので、敵に後退を強いることになる。


つづく

2026年9月6日日曜日

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part3

 ●第3ターン

 このターンも共和国軍は南(マップ下方)への攻撃を続ける。兵力的に優勢な序盤の状況に乗じて多くの地点で攻撃をかけたいのだが、このゲームの戦闘結果表は攻撃側にかなり不利で、5:1でも2分の1の確率で攻撃側に損害が出る。この点についてはデザイナーズノートで説明があり、実際の戦いでは攻撃側が甚大な損害を出していたそうだ。攻撃側の損害が多くても防御側にダメージを与えられるといいのだが、2:1~5:1の各コラムで、防御側1へクス退却のみ、という結果が3分の1の確率で出る。しかもこの戦闘結果の場合、森林など防御に有利な地形で守っていると、防御側は死守を試みることが可能で3分の1の確率でその場に留まることができる(ただし標準部隊が死守すると損害が生じる場合もある)。このような戦闘結果表を考慮して、共和国軍はなるべく兵力を集中し、戦車や航空・砲兵の支援も活用して、マップ下端の限られた地点で高比率の攻撃を仕掛けていった。結果、反乱軍は東西に分断されることとなった。

 そして前ターンで敵を包囲攻撃した左翼(マップ右方)中央方面。ここの河川を越えたところには引き分けの条件となる黄色の山頂へクスMosquitoがある。一部消耗しながらもスタックして山頂を守る反乱軍に対し、共和国軍は第11師団と第34師団の計6ユニットが強襲。反乱軍も砲兵と航空支援、それに精鋭ボーナスを使って必死に防御し、結果は両軍ステップロス。共和国軍は大兵力を投入しながらも山頂占領とはならなかった。


 このゲームの特徴の一つに、両軍の指揮能力を表すコマンド・ポイント(CP)がある。今回のMosquito山攻撃のように複数の師団が共同で攻撃する際には、CPを消費しないといけない。また、戦闘時に砲兵や航空の支援マーカーを投入する場合、CPを使用しないと、マーカーごとにサイコロを振って実際に戦闘支援ができるかどうか判定する必要がある。失敗する確率は3分の1だ。攻撃側は一つの戦闘に最大3つまで支援マーカーを投入できるのだが、CPを消費しない場合サイの目によってはまったく支援が受けられない、なんてことも生じる。また、使用した航空支援マーカーはターンの最後に整備判定があり、失敗すると2ターン後に復帰となる。共和国軍は2分の1,反乱軍は3分の1の確率で失敗だ。だがCPを消費したマーカーはこの判定を受ける必要がなくなるため、次ターンにも確実に航空支援を得たい場合はCPを使うことになる。このように用途は多様だが、CPは両軍とも各ターン3ポイントしか保有していないため悩ましい。CPをどのタイミングで何に使うかで、プレイヤーの性格が出ると思う。


 反乱軍には増援が西方(マップ左)から5ユニット、北東(マップ右上)からも5ユニットが登場するが、共和国軍の激しい攻撃にあっている南方には2ユニットしか現れない。前ターンに決まった共和国軍の目標へクスがどれであるかは不明だが、目標へクスの一つであるマップ下端中央の街Sevilla la Nuevaを守るため、左翼から兵力を抽出、中央部に回す。そして東方(マップ右方)では、共和国軍の攻撃に耐えたが消耗しきったMosquito山の守備隊を増援と交代、さらに山頂周辺の防御を固めた。



 ターン最後の航空支援マーカー整備判定では、共和国軍のマーカー1つが判定に失敗。共和国軍の次ターン使用可能な航空・砲兵支援マーカーは5となる。一方、反乱軍には次ターンにも増援で航空支援マーカーを得られるため、これまでの増援と併せると計4となる。ゲーム開始時の共和国軍の圧倒的な航空・砲兵の優勢という状況から、ほぼ互角となった。


つづく


2026年9月3日木曜日

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part2

 ●第2ターン

  反乱軍には砲兵支援マーカーと航空支援マーカーがそれぞれ1つ増援として登場。初期配置の砲兵マーカー1と併せて3個に増えたが、やっと共和国軍の半分である。 

 前ターンに紫へクスQuijorna(マップ左方中央)を占領した共和国軍は、主攻勢軸を南東方向(マップ右下)へと変え、全力で南下する。黄色ヘクスのSevilla la Nueva(マップ下端中央)の前面まで迫り、第15師団が戦車、それに航空支援も投入して敵を後退させた。共和国軍の戦車ユニットは攻撃の際1シフト有利にできるので、攻撃の際には欠かせない(ただし1つの戦闘に対し使用できる戦車ユニットは1つのみ)。ヒストリカルノートによると、ブルネテの戦いには多数の戦車が投入された。2年後に起こる第二次世界大戦よりも第一次世界大戦に近い形で運用されていたものの、両軍とも、この戦いまでの数か月間で砲兵や航空戦力との協調など戦術面を発展させていたそうだ。WWIからWWIIへの過渡期って感じだったのかな。

 さらに上記攻撃の東方(マップ右方)では第11師団の歩兵2ユニットが攻撃。戦力比は2:1にしかならないところ、戦車、それに航空支援マーカーを最大の3個叩き込む。守る反乱軍は精鋭部隊で、そのボーナスを利用してなんとか5:1まで比を落とした。このゲームではユニットは標準部隊と精鋭部隊に分かれ(精鋭部隊にはユニット右上にマークがついている)、戦闘に参加している自軍ステップの半数以上が精鋭であれば、1シフト有利にできるのだ(ただし損害が発生した場合は精鋭ユニットに優先的に適用される)。だが精鋭部隊の奮戦もむなしく、共和国軍のサイの目は6。反乱軍は損害を被って退却した。

 マップ中央Brunete方面に夜間浸透していた第11師団の主力は東方(マップ右方)に突進、渡河点を守っていた反乱軍を4ユニットで包囲する。この周辺は河川が流れているうえに森林地帯が広がっているため機動が阻害されると思いきや、このゲームでは歩兵でも8移動力を持つのだ。反乱軍は精鋭ボーマスを活用し、なけなしの砲兵・航空支援を投入して必死の抵抗を試みるも、共和国軍の圧倒的な兵力に加えて戦車や砲兵・航空支援、それに4ヘクスからの攻撃による1シフトが加わった攻撃にはなすすべもなく、退却。敵ZOCへの退却のためステップロスを被った。

 なお、共和国軍、反乱軍ともにほとんどのユニットが歩兵。それらが移動力8もあるということは攻撃側が柔軟かつ大幅に攻勢地点を変更できる一方、防御側も機動的な対応が可能になっている。共和国軍は南東方面に全力で前進していったが、目標へクスがこちら方面にあるというだけでなく、敵を東西に分断して柔軟な兵力の運用をさせないという意図もあったらしい。

 北東方面(マップ右上)では、河川沿いの守備隊を掃討。この方面には反乱軍が初期配置で3ユニットいるのだが、特別ルールで共和国軍が4へクス以内に近づかない限り移動できない。共和国軍としては敵を刺激せずに攻撃態勢を整えたわけである。

 紫へクスVillanueva de la Cañnada(マップ中央上寄り)では、前ターンに包囲して補給切れにしていた反乱軍ユニットを壊滅させる。なお、このゲームは全移動力を使ってZOCtoZOCの移動が可能である。さらに補給判定は自軍ターンの最後なので、第1ターンに反乱軍はここのユニットを移動させ包囲下から脱出させることもできたのだが、正直なところZOCtoZOCの移動が可能ということを忘れていたらしい。だがそうやって包囲を脱して補給下にしても、再び包囲され増援や戦車ユニットも投入されれば5:1の攻撃を食らうことになるので、少し足止めができたぐらいの違いしかなかったと思われる。


 共和国軍の攻勢に押され続けている反乱軍だが、東方(マップ右方)から第11師団の5ユニットが登場。この方面でもなんとか戦線を張る。またマップ下方や左方からも計3ユニットの増援が駆け付け、薄い防御ラインが強化された。



 このターン、共和国軍が4つの紫へクスを占領したため、サイコロを振って黄色の4ヘクスのうちどれが目標となるかを決める。マップ右上のLas Rozas、もしくはマップ中央下のSevilla la Nuevaになる可能性はそれぞれ6分の1。一方、河川・森林地帯を越えたところにあるマップ右端中央のBoadilla del Monteと右下のVillaviciosa de Odónはそれぞれ3分の1だ。どの目標へクスに決まったかはゲーム終了時まで反乱軍には秘匿されるため、防御側としては敵の攻勢意図が不確かなまま守る必要がある。


つづく

2026年8月30日日曜日

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part1

  今年はスペイン内戦ぼっ発から90年。「ランド・アンド・フリーダム」の日本語版も出ることだし、スペイン内戦のゲームが盛り上がってくれるといいな、と思ってるんですけどね。スペイン内戦の共和国軍の攻勢と反乱軍の反攻を扱ったALEA最新号の「Brunete 1937」という作戦級ゲームがあって、先日、某ゲーム会での対戦相手を募ったんだけど、反応がゼロ。やっぱり日本ではスペイン内戦はマイナーなのかな…と意気消沈していたんですが、つい最近Xでこんなポストを見まして。

 そうだよね、面白いよねって以前から思っていたんだけど、そんなこと作戦級が不得意な自分が言っても説得力ないなあと気が引けてました…。でもこのポストに勇気づけられて、AARを書いてみることにしましたよ。発売後すぐにプレイして一応AAR用に記録とっていたんだけど、Bruneteのあった7月にブログを、と思っていたら猛暑でモラルチェックに失敗し続けてたんだよね…。

 「Brunete 1937」はいわゆるIGOUGOシステムで、戦闘は戦力比。そこに砲兵の支援やらが加わるという、いたってスタンダードな作戦級という感じ。デザイナーは日本語版も出た『九州侵攻: オリンピック作戦』のアントニオ・ロドリゲス氏と言えば、ああ、あのゲームだったらプレイしたことあるっていう人も多いんじゃないかな。1へクスは約1km、1ターンは1日。全14ターンだが、今回は6ターンの共和国軍の攻勢シナリオをやってみた。

 

 初期配置は写真のとおり。なおBruneteに配置されている共和国軍6ユニットは夜間に浸透してきた部隊で、第1ターンは特殊な移動となる(後述)。

 共和国軍は紫で囲まれた4つのヘクスを占領したうえで、もう一つ、黄色のヘクスを占領しないといけないのだが、どれが目標になるかは紫の4へクスを占領した後にランダムに決まる。なお、黄色の目標へクスを占領できなくても、紫の4つを維持したうえで、黄色の点線で囲まれた3つの頂点へクスを保持していれば引き分けとなる。パッと見てわかるように、南方(マップ下方)と東方(マップ右方)の端のほうに黄色の目標へクスがあり、引き分けの条件となる黄色の山頂へクスも2つはマップ東方にあるので、共和国軍は右と下にむかってがんがん攻勢をかけていかないといけない。


●第1ターン

 まずは第1ターンの特別ルールによる、共和国軍第11師団6ユニットのブルネテへの夜間浸透移動。敵に発見されるかどうかで結構その後の展開が変わるんだけど、無事浸透成功。サイコロを2個振って出た目の合計分を、6ユニットに振り分けて移動させる。なおこれらのユニットは第1ターンの移動はこれ以上できない。

 共和国軍は主力が紫のヘクスの一つであるマップ左方のQuijornaを強襲。ここを占領しないと、夜間浸透したBrunete周辺の6ユニットに補給が通じないのだ。戦車、それに砲兵の支援を受けて猛攻、守備隊を追いやる。またその情報、黄色の山頂へクスの1つLos Llanosも包囲攻撃であっさり陥落。、またマップ上方の紫へクスVillanueva del Pardilloでは反乱軍はなけなしの砲兵支援も投入したものの、戦力比は4:1に。だが結果は両軍1ステップロス、さらに共和国軍の戦車は除去され3ターン後に復帰という結果になった。もう一つの紫へクスである中央のVillanueva de la Canadaは包囲にとどめる。補給切れになれば戦力が半減するため、次ターンに屠ればいい。

 反乱軍には増援が計5ユニット登場するものの、平地が広がる戦場に薄い戦線を張るのがやっとである。戦力比を有利にする航空・砲兵の支援マーカーも共和国軍は計6個あるのに対し、反乱軍はたったの1。ゲーム初期はどうしても劣勢にならざるを得ない。

つづく

2023年9月1日金曜日

「Land and Freedom」関連書籍その4 ジョージ・オーウェル『カタロニア賛歌』

 スペイン内戦を描いたゲーム「Land and Freedom」ではジョージ・オーウェルもカードになっているんですよね。

なので、オーウェルの著書『カタロニア賛歌』を読んでみました。オーウェルは義勇兵としてスペイン内戦に参加しているんだけど、POUMの民兵として戦っているんですよ。あのPOUMですよ。映画「Land and Freedom」を見た人だったら熱くなるんじゃないでしょうか。

 でもオーウェルの作品は『1984年』と『パリ・ロンドンどん底生活』しか読んだことがなくて、前者はまあ読んでおいたほうがいいかなぐらいの気持ちで手に取ったんだけど、個人的にはうーん、あんまりはまりませんでした。でも『パリ・ロンドンどん底生活』のほうは、ぐはー、おもしれーとむさぼるように読んでしまい、あまりの印象の違いに同じ筆者が書いたとは思えないぐらい。(まあ、両方とも和訳は読んでいないので、日本語で読むとまた受け止め方が変わるのかもしれませんが…)

 『カタロニア賛歌』はどうだろうな、と思って読み始めてみたら、いやこれまた面白かったです。前線での生活やら市街戦やらでの体験が一人称で書かれているんだけど、淡々とした感じででもリアリティを感じさせるんですよね。敵陣に夜襲をかけているところとか。あと、のどを喉を撃たれるんですけど、しゃべろうとすると口の中に血が泡になって溢れてくるみたいなこと書いていて、いやーよく生きていたなと思います。

 それと、『誰がために鐘は鳴る』を読んでいたときはワインを飲むシーンが結構出てきて自分もワインがほしくなったけど、この本ではそんなことなかったな。というか、物資の欠乏をいろんなところで書いていて、まあそれが現実だったんでしょうな。

 

 オーウェルってスペインでの経験で反共産主義になったらしいってことは知っていたけど、POUMが共産勢力のせいで弾圧されることになるバルセロナでの内紛でも銃をとっているんですよね。ゲーム「Land and Freedom」でも共産主義者が使えるカードとして、バルセロナでの内紛やPOUMの非合法化なんてのがあります。『カタロニア賛歌』を読んだ後だともうこの二つのカード、怒りしか湧いてこない…。


 でもオーウェルの文章は共産主義者を声高に批判する感じはなく、あくまで抑えた筆致の印象。POUMが弾圧されている間も民兵たちは共和国を守るために前線で戦っていて、後方では新聞が自分たちのことをファシストと呼んでいることを知らずに死んでいった兵士が多くいたはずだ、とは述べています。その後にThis kind of thing is a little difficult to forgive.って書いていて、イギリス人がこういう書き方をしているってことは心底憤っているんだろうなと思えて、オーウェルの悔しさがひしひしと伝わってきました。

 こんな感じでスターリン主義者への怒りを抑えて書いていたのかな、と思っていたら、最後にappendixとして2章がついていて、共産主義者たちがいかにPOUMに罪を擦り付けたかをガンガン書いていました。

 あくまで冷静かつ客観的な姿勢は保ちつつ、The accusation of espionage against the POUM rested solely upon articles in the Communist press and the activities of the Communist-controlled secret police.とか述べています。

 この2章はもともとは本文の途中に入っていたんだけど、オーウェル自身の判断でappendixとして最後にもってこられたらしい。内容がかなり政治的で、基本的に自分の体験をつづった他の章とはまったく雰囲気が違うからなあ。でも勉強になりました。共和国側内部での勢力争いについて言及しつつ、でも戦争に負けてしまったら民主主義や革命、社会主義や無政府主義などは無意味な言葉になってしまうと述べていて、これってまさにゲーム「Land and Freedom」じゃないですか。


 ということで、本文とappendixは別作品のような印象を受けますが、逆に一冊で2作読めた感じでお得な気持ちになれました。しかしオーウェル、生き様がかっこいいわー。


2023年8月18日金曜日

「Land and Freedom」関連書籍その3 『誰がために鐘は鳴る』

  ゲーム「Land and Freedom」ではヘミングウェイがカードになっていますが、そういやヘミングウェイがスペイン内戦を舞台に書いた『誰がために鐘は鳴る』って、恥ずかしながら読んだことがなかったです。ノーベル賞作家の代表作の一つってされているそうなんですけどね。



 ヘミングウェイはスペイン内戦中の1937年にスペインを訪れ国際旅団に関わり、1938年にはスペイン内戦における最大の激戦であるエブロ川の戦いも見ている。1920年代にもスペインを訪れていて、結構あの国が好きだったみたいですね。

 で、『誰がために鐘は鳴る』なんですけど、舞台はスペイン中央部、マドリードの北のほうの山岳地帯。内戦が始まって1年弱のころ、共和国側に立って戦っている主人公のアメリカ人ロバート・ジョーダンは、共和国軍の攻勢開始に合わせて敵後方の橋梁を破壊する任務を受ける。現地のゲリラ部隊の協力のもと、橋梁爆破のための準備を進めるのだが…というストーリーで、結構分量がある作品。自分が読んだのはペーパーバック版だけど、490ページありました。でも物語上では4日間の話なんですよね。



 この作品の文学的評価はいろんなところで書かれていると思うのでそれは置いておいて、ウォーゲーマー的には、ハインケルHe111やフィアット戦闘機が飛んでたり、ソ連から派遣されたであろうロシア人の将軍が出てきたりするところに反応してしまうんじゃないですかね。トハチェフスキーの名前もちらっと触れられていました。あと、主人公に若い彼女ができるんですけど、こんちくしょうってウォーゲーマーだったら思…わない思わない、私だけですよね、そんなこと考えるの。

 この作品の時期の3か月ほど前にグアダラハラの戦いっていうのが実際にあったんですけど、共和国軍はファシスト側のイタリア軍部隊を撃退しているんですね。この作品中でもグアダラハラの戦いに触れたところで、敵がイタリア軍だって知っていたから、他の軍隊相手だったら到底やれない機動をして勝った、みたいなセリフがあって、あー、イタリア軍ねって思ってしまいました。あと、主人公の祖父は南北戦争で従軍したってことになっていて、グラント将軍がいつも酔っぱらっていたとかそういう話も出てきます。

 

 それと、スペイン内戦時のヨーロッパ情勢を知っていると、あー、そうねって思うところが結構あるんですよね。「もしフランスが我々を助けてくれていたら、国境を開けてくれてさえいたら」なんてところを読むと、不干渉委員会なんて作って英仏はファシスト陣営を利するだけだろ、でも翌年にはミュンヘン会談があって共和国の人々は裏切られたって絶望するんだよな…と思ってしまいました。


 ところどころQué vaとか短いスペイン語が出てきて、スペインっぽさを感じます。それと、登場人物のセリフの中でThou artとかDost thouとかtheeとか、自分はなんか古い英語だなって感じる表現が結構出てくるんですけど、方言を話していることを表そうとしてるんですかね。でもジョージ・オーウェルの『カタロニア賛歌』では、共産主義者や無政府主義者が支配的になったバルセロナでは相手のことをComradeとかThouと呼ぶようになった、って書いているから、そういう雰囲気をだしているのかな。和訳ではどうなっているんだろ。あと、主人公のロバートはスペイン人にはInglés(English)って呼ばれているんですけど、和訳だとどう表現しているんですかね。イギリス人? あと、彼の名前はRoberto(ロベルト)って言われていました。それと、作中ではお互いにSaludって挨拶するんですけど、ジョージ・オーウェルの『カタロニア賛歌』ではBuenos diasの代わりにこう言うようになった、って書いていますね。


 作中ではワインを飲むシーンが結構出てくるんですけどね、優雅にボトルからワイングラスに注ぐなんてことしないんですよ。dipped his cup into the wine bowlって、ワインの入ったボウルからコップで掬ったってことですよね。それとwineskinって、ワインの入った革袋から飲んだりしているんですよ。読んでいて赤ワインが飲みたくなってきて、でもたまたま近所の店でスペインのビールが安く売っていたのでそれを飲んだりしていました。Estrella Dammっていうバルセロナのビールで、バルセロナっていったらスペイン内戦中は共和国側の有力な拠点の一つだったわけで、共和国のために戦っている物語を読んでいるだからいいでしょと自分に言い訳してがぶがぶ飲んでしまいました。というわけで、赤ワインかスペインのビールの飲みながら読むに結構いい本だと思います。このブログもワイン飲みながら書きました。

2023年7月31日月曜日

『スペイン内戦—ごく短い概要』

  アントニー・ビーヴァ―の『スペイン内戦』は面白かったんだけど、結構分量があって知識のない自分は消化不良気味。もうちょっと簡単にスペイン内戦の流れがわかるものはないかなと思っていたら、ゲーム「Land and Freedom」の参考資料に『The Spanish Civil War: A Very Short Introduction』っていうのがあったので読んでみた。デザイナーのAlex Knightがツイッターで勧めていたのを見たことがあったし、版元もオックスフォード大学出版なので内容的にもちゃんとしているかなと。

 『The Spanish Civil War: A Very Short Introduction』は新書ぐらいの大きさで、本文は150ページしかなく、まさにvery shortですよ。なんだよ、最初からこれにしておけばよかった。見栄はっていきなりビーヴァ―の分厚い本なんか読むんじゃなかったよ…。

 と気楽な気持ちで読み始めたんだけど、やっぱり内戦が始まるまでのスペインの政治状況はややこしいですわ。というか、組織や人物を把握していないので、頭の中が混とんとしてきました。まあ、アントニー・ビーヴァ―の本と同様、この本の最後にも単純化はしてはいけないということを繰り返し書いていたので仕方ないんでしょう。安易に類型化しないように努めるというのが歴史に対する真摯な態度なんでしょうな。

 それはさておき、ページ数が少ない割には共和国側の描写にボリュームを割いている印象。ゲーム「Land and Freedom」で共産主義者のカードにAbraham Lincoln Brigadeっていうカードがあって、スペイン内戦に義勇兵として参加したアメリカ人部隊のことらしいけど、へ―そんな部隊があったんだと思っていたらこの本でも触れられていました。もちろん共和国側のことだけでなく、The making of rebel Spainという章を設けてフランコ側のこともちゃんと書いていますけど。

 あと、軍事よりも政治や社会、文化面の記述が結構ありました。女性の役割とか、プロパガンダについてとか。でも例外的に共和国軍のVicento Rojoっていう指揮官を称賛していてるんだけど、そんなに優秀な指揮官だったんですかね。スペイン内戦のゲームは「Land and Freedom」以外持っていないからウォーゲームでどういう評価がなされているのか知らないんだけど。優秀な指揮官と言えば、アントニー・ビーヴァ―の『スペイン内戦』では反乱軍側のJuan Yagüeが一番できる子みたいなこと書いていたな。

 『The Spanish Civil War: A Very Short Introduction』を読んで意外だったのが、内戦後から現代までのスペインにおける、スペイン内戦の意義の変遷について結構書いているという点。本全体の2割以上のページを使っていて勉強になりました。冷戦期から現代にかけてのスペインって全然知らないし。しかしまあ、ヘミングウェイの『誰がために鐘は鳴る』でもファシスト側のブルジョアたちに村人が集団リンチのようなことをするシーンがあったけど、共和国側に付いた人たちへのフランコ政権の迫害もひどいもんで、しかもフランコの独裁は35年も続いたわけで、内戦がスペイン社会に深い傷跡を残したことは容易に想像がつきますな。

 というわけで、軍事面にとどまらないスペイン内戦の概要をさくっと知るにはちょうどいい本なんじゃないでしょうか。2005年出版なんで比較的新しいし。これを読んでからゲーム「Land and Freedom」をやるとさらに盛り上がると思います。


2023年7月23日日曜日

アントニー・ビーヴァ―『スペイン内戦』

  前回紹介したゲーム「Land and Freedom」をやるにあたって、あまりにもスペイン内戦について知らなすぎるので関連書籍を探してみた。だって、スペイン内戦って言ったらフランコとコンドル軍団ぐらいしか思い浮かばなくて、WW2の前に各国が兵器や戦術を試した、ぐらいの印象。ドイツのポーランド侵攻の数か月前までやってたなんて頭からすっかり消えていましたよ。

 そこで見つけたのが、アントニー・ビーヴァ―の『スペイン内戦』。アントニー・ビーヴァーと言ったら『スターリングラード 運命の攻囲戦 1942-1943』や『ベルリン陥落 1945』などWW2の本をいくつか出していて、ウォーゲーマーだったら読んだことがある、もしくは読みたいと思ったことがある人、多いんじゃないかな。

 でも実際に買ったのは原著の『The Battle for Spain』のペーパーバック版。だってこの本、上下巻で合わせるといいお値段がするんだもん…。みすず書房さんすみません。



 読んでみると人名やら組織名やら初見のものがふんだんに出てきて大変でした。全然知識がない状態でいきなりこの本を読むのは結構無謀かも…。1936年に反乱が起こって以降は軍事的な内容が結構出てくるので読む楽しみのほうが苦労を上回りましたけどね。それに知らないことだらけってことは逆に言うと新しいことをいろいろと勉強できたんでよかったんです。…と、ポジティブシンキングっぽく自分に言い聞かせておきました。「第五列」はスペイン内戦で生まれた言葉だって知らんかったわー。

 内容は共和国側と反乱軍のどちらかに偏ることなく、バランスの取れた既述のような印象を受けました。スペイン内戦前の2月の選挙で右派が負けたため、8月の軍部の反乱につながるんですけど、左派は2月の選挙で負けていた場合、その結果を受け入れたのだろうかと疑問を呈しています。それに、リベラルや中道左派も憲法を順守していたわけではないってことも指摘していますね。


 導入部で、スペイン内戦は左派と右派の衝突として描かれることが多かったが、これはミスリーディングな単純化で、中央対地方自治、それに権威主義と個人の独立というもう二つの対立項も考えないといけないって書いてあったんですけど、うーん、ややこしい。でもバスクやカタルーニャが独自の動きをしていることも結構理解しやすくなりました。それにね、たしかにややこしいんですけど、この本の一番最後はhistory, which is never tidy, must always end with questions. Conclusions are much too convenient.って言葉で結んでいるので、単純化して結論を出すみたいなことをしないのが筆者の精神に即しているんでしょうね。


 あとアントニー・ビーヴァ―はソ連崩壊後のロシア語の資料にもあたっているらしく、ソ連から参加した指揮官についてもわりと書かれている印象。のちのWW2で活躍する指揮官が結構いますね。それと、ソ連から多くの軍事援助とともに指揮官も派遣されたけど、1937年にトハチェフスキーが粛清されてからはソ連軍の指揮官はトハチェフスキーの軍事理論に従うことを恐れるようになり、縦深攻撃をやらなくなったっていう指摘も面白かったです。


 スペイン内戦では共和国側で女性兵士も活躍していて、ゲーム「Land and Freedom」のボックスアートも女性だし、映画「Land and Freedom」も女性たちが主人公と一緒に銃を持って戦っていますね。まあ、その後女性が兵になるのが禁止になったりするんですが。

 ビーヴァーの『スペイン内戦』でも女性指揮官が出てくるシーンがあって、泥濘の中で長時間の行軍で疲弊していた共和国軍部隊がイタリア軍に攻撃され必死に防戦したとき、女性が指揮する機関銃中隊が持ちこたえたおかげで援軍が救助にくるまで敵の攻撃をしのいだ、っていうのがあるんですけどね。その共和国軍部隊の指揮官が機関銃中隊の女性指揮官に謝意を示そうと走っていったところ、

only to find her calmly combing her hair while looking into a fragment of broken mirror. (彼女は割れた鏡の破片を覗き込みながら静かに髪を櫛で梳かしていた)

←惚れてまうやろ~!!!


 スペイン語のツイートでこの本への批判もあったけど、とりあえずスペイン内戦に興味のあるウォーゲーマーだったら読んでおいて損はないんじゃないでしょうか。ただ自分のようにいきなりではなく、何かしらの基礎知識を得てから読むのをおススメします。




2023年7月16日日曜日

協力か、それともエゴか。スペイン内戦を描いた半協力型ゲーム「Land and Freedom」

  スペイン内戦をテーマにした「Land and Freedom」。叛乱をおこした軍部に対し、プレイヤーたちは協力して共和国を守らないといけないけれど、その一方で自勢力の拡大を図らないと勝利できないというゲーム。通常のウォーゲームだったらファシストvs共和国派になると思うんだけど、デザイナーのインタビューとか読んでいたら、信用できない味方との駆け引きがメインになりそう。

 早く発売されないかな、と待っていたんだけど、日本語訳付きで小さなウォーゲーム屋さんで発売になった。と思ったらあっという間に完売してしまい、しかたなく版元のBlue Pantherに直接注文。そのときは海外に長期滞在中でその国から注文したんだけど、何週間後かに小さなウォーゲーム屋さんのサイトを見ていると日本語訳付きが再入荷した模様。がーん。もうちょっと待っていればよかった……とショックを受けていたら、その翌日にゲームが自分の手元に届くという何とも皮肉なことに。まあ、仕方ないよね。手に入っただけでも良しとしないと。

 というわけで、以下ゲームについての訳語は我流です。よい子のみんなはちゃんと日本語訳付きを買おうね。ちなみにゲームのタイトルはケン・ローチの同名の映画からとられているらしい。映画「Land and Freedom」も見たけど、ケン・ローチの作品ってずーんと重いものが多いっすよね…。

 ゲームは基本的に3人プレイのカード・ドリブン。プレイヤーはそれぞれ穏健派(Moderates)、共産主義(Communists)、無政府主義(Anarchists)を担当し、3年間共和国を守ることになる。1年は4ターンに分かれ、各ターン最初にファシストのカードを引いてどこが攻撃されたかを決めた後、各プレイヤーがそれぞれプレイする。ポイントは、共和国が負けたら3人とも負けになってしまうということ。特に首都のマドリードが陥落したら即座に負けなので、史実同様プレイヤー間のいざこざを置いておいて必死に首都を防衛することになる。(なお、このゲームは2人や1人でのプレイも可能)

 共和国を守る一方で、無政府主義者は自由化と集団化を推し進め、共産主義者と穏健派は政府のコントロールをめぐって争う。また共産主義者はスターリンの、穏健派は外国からの支援を増やして自勢力に有利になるようにする。でもそうやって自勢力を有利に持っていこうとするとファシストに対する防衛がおろそかになるんだよね。

↑南方前線にファシストの攻撃があって結構やばくなり、穏健派と無政府主義者が協力して防衛したんだけど、そんな二人をしり目に共産主義者はソビエトからの支援を増やした図。「お二人とも防衛ご苦労様。私は共和国のためにスターリン閣下からさらなる支援を…」「このソ連の犬め!」みたいな会話が繰り広げられることになる。

 AARを書こうと思ったんだけど、マルチプレイヤーズゲームって記録を取り慣れてなくて、なかなかうまくいかなかった。日本語ルール無しでもプレイできる人間を二人集められたのはいいんだけど、高校生だったのでスペイン内戦当時のヨーロッパの状況を説明しないといけなかったり、「Collectivizationって何?」みたいな疑問が続出して自分も勉強になりました。とりあえず、映画「Land and Freedom」でファシストから解放した村の土地をどうするかという議論のところは見せておいた。10分ちょいだけど、結構教材としてもいいかも。


 マップはMadrid, Northern, Aragon, Southernの4つの前線(Front)に分かれていて、ファシストの攻撃はマイナスで表され(逆に共和国側がポイントを使って防衛するとプラスに働く)、マイナス10になった戦線は敗北が決まる。前述のようにマドリードで敗北したらサドンデスだが、それ以外にも2つの戦線で負けたらやはりサドンデス。さらに最終ターンでプラスになっていない戦線が2つ以上あったら共和国の敗北である。ファシストの攻撃は年を追うごとに強力になっていって、なかなか守るのが大変なんですよ…。

 ファシストの攻撃はこんな感じ。


フランコの主力は地中海の対岸モロッコに駐留していたんだけど、ナチスドイツから提供されたJu52を使ってスペイン本土に空輸。


おお、我らがコンドル軍団!(←違う)。イタリアの装甲部隊も。ムッソリーニは結構フランコに軍事援助をしたらしい。



独ソ不可侵条約や日中戦争勃発なんてカードも。スペインでファシストと対立は避けたいってことなんですかね、スターリンからの支援が減少する。


対する共和国側。無政府主義者のカードには

あのジョージ・オーウェル。『1984年』の作者ですね。スペイン内戦に義勇兵として行っていて『カタロニア賛歌』とか書いているんだけど、彼が参加していたのがPOUMですよ、POUM。映画「Land and Freedom」を見た人だったら熱くなるでしょう。ジョージ・オーウェルはスターリン主義者を猛批判していて、このカードではソ連からの支援が下がったりする。

で、共産主義勢力には

「POUMの非合法化」なんてのがある。もう、こんなふうに内部対立やってたら共和国を守れないでしょ。

 さらにはこの時代、英仏の資本主義勢力が共産化への懸念を持っていたため、それを抑えるため、スターリンの指示で共産主義者は農業の非集団化までやっている。

あとこんなのも。

女性兵士の禁止は、これも映画を見たら、ああ、そういうのあったな、と思いますよね。

それと腹立つのが、

「スターリンが共和国の金塊を取得」ですよ。むかー! スターリンは共和国の金塊を安全なところで保管しなくては、とかいってソ連に運び、しかもそこから武器の代金を支払わせたんだけど、勘定はソ連の思うがままだったらしい。

もちろん、ソ連からの軍事援助もあるけどね。


穏健派には

有名なゲルニカのほか、ヘミングウェイも。ノーベル賞作家のヘミングウェイはスペイン内戦に参加して『誰がために鐘は鳴る』を書いている。このカードは外国からの援助を増やしたりする。

ほかに、

「メキシコからの軍事援助」なんてのも。スペイン内戦時にソ連を除けば共和国を支援した国ってメキシコぐらいらしくて、武器以外にも食料を送ったので飢餓を免れたりしていたらしい。


と、スペイン内戦のことを知れば知るほど楽しめるんだけど、それを除いても協力とエゴのジレンマで独特の作品になっている。デザイナーはインタビューで、「最下位にいるプレイヤーは、ファシストが猛威を振るう間、見て見ぬふりをするのかそれとも団結して陣営全体のために戦うのかという問いを突き付けられる」なんてなことを言っていたけど、ほんと、そのとおりのゲームですよ。

共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part5

 ●第5ターン  残り2ターンである。このゲーム、序盤は共和国軍が圧倒的に優勢であるものの、反乱軍には続々と増援が登場する。下の写真はこのショートシナリオが扱う第1~6ターンの両軍の増援で、一目瞭然、共和国軍には微々たる数しか現れないのに対し、反乱軍は大量の援軍を受け取る。ヒスト...