2023年4月28日金曜日
第一回十字軍最後の戦い Ascalon 1099 - Infidel, Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ⑤
2023年4月22日土曜日
第一回十字軍最後の戦い Ascalon 1099 - Infidel, Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ④
敵中央部隊の攻撃で自軍が分断された十字軍だが、左翼(マップ右方)のゴドフロア隊(青)で反撃する。騎士の威力を見せてやる!と+3DRMで攻撃するものの、サイの目はゼロでまさかの攻撃側混乱。だがそれ以外では敵右翼の槍兵と中騎兵に損害を与えていった。
このゴドフロア隊だが、フランス南東部のブルゴーニュとロレーヌ地方の兵から成る。「Infidel」の十字軍ユニットには出身というか所属地方が書いてあるのだが、ロベール隊(赤)はノルマンディとフランドル、レーモンはフランス南西部のアキテーヌと南部のプロヴァンスの兵から成っている。どこの兵かはルール上は全く関係ないのだが、WW2のゲームで師団名が書かれていると気分が盛り上がるのと同じような感じかな。
第一回十字軍は、教皇ウルバヌス二世がフランス中央のクレルモンで開かれた公会議で呼びかけたことで始まったこともあって、フランスからの参加が主だった。ウルバヌス二世もフランスの地方貴族の家の出で、フランスにあるクリュニー修道院に入っているから、フランスの騎士たちに訴えかけやすかったんだろうなあ。
ちなみに兵站が未発達のこの時代に万単位の軍を遠征させること自体が難事業だったそうだ。ローマ帝国のころとえらい違いだけど。前回紹介した『Victory in the East』によると、パリから南伊経由でギリシアのテッサロニキまでですでに約2,400kmと、鹿児島から稚内よりも約600km遠い。さらにそこから十字軍主力はアンナ様のいるコンスタンティノープル経由でイェルサレムに向かったわけで、その距離約2,000km。つまりフランスからやってきた兵たちは約4,000kmの行軍をしていて、しかも小アジアに渡って以降は敵地の真っただ中、かつ険しい地形や酷暑に悩まされていた。そういう苦難に負けないぐらい聖地奪還への宗教的使命にみなさん燃えていたんでしょうな。イスラム側からしたらとんでもない厄災だけど。
ゴドフロア隊に続いて右翼(マップ左方)のレーモン隊(黒)が攻撃。混乱状態の中騎兵を狙って騎士や槍兵が白兵戦をしかける。たまらず中騎兵1ユニットが自軍の軍旗目指して逃げ出し、さらには2ユニットが壊滅した。砂浜から側面に回り込み混乱状態の中騎兵を攻撃したレーモン隊の槍兵は、騎兵を蹴散らした勢いに乗って継続攻撃(Continued Attack)。だがそこでベルベル中騎兵の中でも防御力の高いユニットにぶつかり、逆に混乱状態となるというおまけつき。指揮官のレーモンは騎士とともに敵に囲まれていたが、隣接する槍兵を瞬殺。ファーティマ朝軍の累積敗走ポイントは18に上った。
このシナリオでのファーティマ朝軍の敗走レベル(Flight Level)は25で、累積敗走ポイントに10面体サイコロの目を足した数がこれを超えると負けてしまう。焦るファーティマ朝軍。一方、十字軍の累積敗走ポイントはいまだに2だ。だがこれまでの戦闘で混乱状態のユニットが増えてきているため、楽観視はできない。
ここでファーティマ朝軍に自由活性が回ってくる。中央の弓兵部隊で、弱体化している敵ロベール隊(赤)に追い打ち。さらには左右の敵部隊にも射撃によって損害を与えていく。十字軍はまだ累積敗走ポイントが5にとどまっているものの、3部隊とも消耗が激しい。騎士9ユニットのうち正常状態で残っているのは最左翼(マップ右方)で突出しているゴドフロア隊(青)の1ユニットのみとなった。
ころはよし、とファーティマ朝軍は後方で温存していたマムルーク重騎兵を解き放つ。マップ右方のゴドフロア隊に向かってチャージ、チャージ、チャージ!! さすがの騎士もこれまでの戦いで疲労していたか、砂塵を巻き上げながら突進してくるマムルークの突撃を受け止めきれずに2ユニットが壊滅した。騎士は壊滅時の敗走ポイントが3なので結構な痛手である。
マムルークとは奴隷の意味らしいが、奴隷は奴隷でも軍人奴隷で、実際は騎兵のエリート軍人層。多くは遊牧民の出身で忠誠心も強かったそうだ。10世紀あたりからイランやシリア、エジプトなどのイスラム圏で有力な軍事力となり、サラディンもマムルークを活用している。1250年にはエジプトでマムルーク朝が成立しているけど、そのバイバルスがモンゴル軍を破ったのは有名なんじゃないかな。
つづく
2023年4月9日日曜日
第一回十字軍最後の戦い Ascalon 1099 - Infidel, Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ③
十字軍の左右両翼の部隊から攻撃を受けたファーティマ朝軍は左翼のベルベル中騎兵で反撃。さらに右翼でも反撃を、と言いたいところなのだが、継続活性に失敗する。
このシナリオのファーティマ朝軍は弓兵、槍兵、重騎兵など兵種ごとに5つの部隊に分けられているのだが、登場する指揮官はアル・アフダルのみで、どの部隊も活性化にはアル・アフダルの活性化値を使う。
なぜ指揮官が一人しか登場しないかというと、イスラム側の資料で入手できるものが非常に限られているからだそうだ。日本語でもイスラムに関する資料って(少なくとも一般人にとっては)限られている印象だけど、英語でもそうらしい。そういえば、GMTのLevy&Campaignシリーズの新作として11世紀半ば、アナトリアでのセルジューク・トルコとビザンツ帝国の衝突をシミュレートした「Seljuk: Byzantium Besieged, 1068-1071」がP500に入っているけど、このゲームのデザイナーも英語で手に入るイスラム側の資料ってかぎられているんだよねって言っていたな。Andrew C.S. Peacockっていう学者の著書を教えてもらったけど。
ちなみにファーティマ朝は北アフリカのベルベル人を支持基盤として東西に領土を広げ、モロッコからシリアまでを支配していた。ファーティマ朝の時代にカイロが建設されて繫栄する。この王朝はイスラム教のシーア派で、創始された11世紀初頭にはバグダッドでアッバース朝君主がイスラム教最高指導者カリフとなっていたが、ファーティマ朝の君主もカリフを名乗る。同時期、イベリア半島で後ウマイヤ朝もカリフを名乗っていたため、11世紀前半は3カリフ鼎立の時代となっていた。ちなみにアッバース朝は歴史が長く、1258年にモンゴルのフレグに滅ぼされるまで宗教的権威を保っていたらしい。あと、第一回十字軍より300年ほど前にアッバース朝が751年にタラス河畔の戦いで唐軍を打ち破り、製紙法が西方世界に伝わることになりましたね。
このファーティマ朝軍の指揮官アル・アフダルだが、活性化値が3と凡庸なのである。そのため連続して部隊を活性化することがそれほど期待できず、イスラム側としては数的な優勢を活かすのは難しい。一方の十字軍は中央のロベールが3だが、左翼(マップ右方)のゴドフロアは4,右翼のレーモンは5と高く連続攻撃がやりやすくなっている。
連携の取れていないファーティマ朝軍がまごついている間に、十字軍は左翼(マップ右方)のゴドフロア隊(青)、そして右翼のレーモン隊(黒)と連続攻撃。マップ右方に展開していたゴドフロアの部隊はさらに右方にシフトし、脆弱な槍兵や中騎兵に次々と損害を与えていく。続いて右翼(マップ左方)のレーモン隊(黒)は、突出していた騎士に槍兵が追いつき敵中騎兵を攻撃。包囲されている騎士を救出した。
ファーティマ朝軍は両翼で押され気味となる。やはり中騎兵では、騎士を基軸にした敵の攻撃をしのぐのには無理がある。後方で待機しているマムルーク重騎兵であれば白兵戦でも騎士とある程度互角にやりあえるうえ、総計10ユニットもある。十字軍に寝込みを襲われたもののすでに混乱状態から回復している重騎兵部隊を両翼に投入すべきか。
だがファーティマ朝軍プレイヤーは重騎兵温存を選択する。今両翼の救援に回しても中騎兵ユニットと混在してしまい効果的な攻撃は行えない。それに重騎兵は敗走ポイント(Flight Points, FP)が3と高い。一方中央の弓兵の敗走ポイントは1で、重騎兵が壊滅した際に弓兵の3倍の勝利得点を敵に献上するような形になる。焦ってマムルークを投入するよりもまずは弓兵で消耗戦に持ち込むべし。敵の両翼部隊が自軍中騎兵部隊を突破したその瞬間に、重騎兵はその機動力と数、それに突撃の破壊力を活かして敵のスピアヘッドを叩き潰せばいい。
そのような方針のもと、ファーティマ朝軍最前列中央の弓兵部隊が敵ロベール隊(赤)に向かって前進。弓兵の射撃の援護を受けながらスーダン弓兵がフレイルを振り回して白兵戦を仕掛ける。ロベール隊は1ユニットが敗走(Retired)、もう1ユニットが壊滅した。十字軍初の壊滅である。
さらにファーティマ朝軍は、十字軍の両翼部隊がマップの左右にシフトしていった結果、中央ロベール隊との間が手薄になっているのを見逃さなかった。敵部隊の間隙にスーダン弓兵が突進していく。十字軍は3つの部隊が分断された形となった。
つづく
2023年4月1日土曜日
第一回十字軍最後の戦い Ascalon 1099 - Infidel, Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ②
このシナリオでは最初に両プレイヤーがサイコロを振り、大きい目を出した側から活性化が始まる。アッラーの恩寵か、最初の活性化を獲得したのはファーティマ朝軍となった。十字軍が接近! 眠りこけているマムルーク重騎兵部隊(紫)に警報を与えてたたき起こす。
十字軍は、敵が態勢を整える前に一気呵成に攻撃しようと中央のノルマンディー公ロベール二世(Robert II, Duke of Normandy)の部隊(赤)を前進させるが、後が続かない。対照的にファーティマ朝軍は先ほど警報を与えたマムルーク重騎兵を混乱状態から回復させ、続いてその前面に布陣しているのベルベル中騎兵部隊(緑)も回復させる。
さらにファーティマ朝軍は、混乱から回復したベルベル中騎兵部隊を左翼に展開、歩兵部隊の側面を守らせる。一方の十字軍は各隊をやっと攻撃できる距離まで前進させた。あれ、イスラム側は虚を突かれたんじゃなかったっけ。こりゃ奇襲失敗だろ。
着々と防御態勢を整ていくイスラムの軍勢を見て焦る十字軍は、中央のロベール隊(赤)に攻撃を命ずる。まずは敵のスーダン弓兵に射撃戦を仕掛けた。このスーダン弓兵はフレイルを装備した弓兵(Archers with Flails, AF)という、特殊な弓兵となっている。
ファーティマ朝の軍には多くのスーダン人が含まれていて、その弓兵はフレイルというチェーンでつながった棍棒のようなものを持っていた。まあ、たぶんこんな感じ↓でしょうね。
接近戦ではこのフレイルを振り回して敵をぶん殴っていたらしい。当たったら鎧もろとも骨を砕かれそうで怖い。Men of Ironシリーズ(MoI)では通常の弓兵は白兵戦では脆弱なのだが、スーダン弓兵はこんな狂暴な武器を持っているため強力で、攻防ともに槍兵に勝る。
ただし、スーダン弓兵は射撃をしてしまうとその活性化中は弓兵扱いとなり白兵戦では脆くなる。スーダン弓兵は弓兵同様、敵から射撃を受けると応射(Return Fire)ができるのだが、その直後に白兵戦に巻き込まれると不利なのだ。そのためまず十字軍は射撃戦を仕掛けたのち、すぐに騎士3ユニットを突撃させた。
射撃をしていたスーダン弓兵はフレイルに持ち帰る余裕もなく騎士の突撃を受ける。MoIでは弓兵は前面に敵が移動してきたら対応射撃(Reaction Fire)ができるのだが至近距離からの射撃をものともせず騎士が突っ込む。聖地を奪還して士気が最高潮の騎士が異教徒の弓矢に怯むわけがないだろうが! だが突撃のサイの目が振るわず、3ユニットのうち2つが混乱状態となってしまった。
残りの2隊もロベール隊に続くのだ。高い活性化値の真価を見せろ!! と十字軍プレイヤーが両翼の部隊を叱咤するも、継続活性失敗。キリスト教徒たちが躊躇している隙にファーティマ朝軍の弓兵部隊がロベール隊に弓矢の雨を降らせ、次々と混乱させていった。
自軍中央部隊の苦境を見て奮い立ったか、左翼のゴドフロワ・ド・ブイヨン(Godfrey of Bouillon)、そして右翼(マップ左方)のトゥールーズ伯レーモン・ド・サン・ジル(Raymond IV, Count of Toulouse)が動く。まずはゴドフロアの部隊(青)が射撃戦、そして騎士が突撃。たまらずスーダン弓兵が蹴散らされる。レーモンの騎士もベルベル中騎兵に突撃。敵陣に切り込んでいった。
左右両翼から十字軍の猛攻を受けたファーティマ朝軍は左翼のベルベル中騎兵を動かす。先ほどの突撃で突出してるレーモン隊(黒)の騎士を4ユニットで包囲攻撃。強力な騎士も数の暴力には勝てず、損害を被る。
以前アンティオキアのAARでも書いたが、騎士はすさまじいほど強力なのに中騎兵は弱い。どれくらい弱いかというと槍兵と同程度であり、足の速い歩兵、ぐらいの感じである。騎士に対抗する手段としては、突出してきた相手を多くのユニットで包囲して袋叩きにする、ぐらいしかないのだ。
つづく
2023年3月26日日曜日
第一回十字軍最後の戦い Ascalon 1099 - Infidel, Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ①
漫画『アンナ・コムネナ』の第3巻発売を記念してアンナ様関連のゲームがしたくなってきた。発売はもう2か月以上前だろ、なんてツッコミは置いておいて、あの漫画、知り合いの女性が読むと元気になると言っていたので未読の方はぜひ。
漫画を読み返してて第一回十字軍はアンナ・コムネナの父アレクシオスI世が呼び寄せたことを思い出したんだけど、Men of Ironシリーズ(MoI)のInfidelには第一回十字軍の戦いが3つ収録されている。アンナ様のお父様を苦しめた憎っくきボエモンドもDorylaeum 1097とAntioch 1098の二つのシナリオに登場するが、残る1つが今回プレイするAscalon 1099である。
ところでアンナと言ったら「幸せな家族はどれもみな似通っているが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」で有名なあの人ですよね。
……いや、違うから! あのアンナさんも世界的に有名だけど、そうじゃなくてビザンツの皇女のほう。数百年、時代が違うからね。でも正教でつながっていると言えば言えるのかな。
正教と言えば数年前、プーチンが正教会の聖地であるギリシャのアトス山の修道院を訪れていて、正教の力を利用して旧ロシア帝国への回帰を想起させることで国内外への影響力の強化を狙っている、みたいな記事があったな。当然今はウクライナとロシアの正教会は関係が断絶していて、アンナ様がこの現状を見たらどう思うんですかね。というか、そもそもモスクワが第三のローマなんて名乗るなんておこがましい、みたいなツッコミを500年ぐらい前にしてそうだけど。それよりなにより、早くウクライナの戦争が終わることを祈っています。
あれ、何の話してたんだっけ。そうそう、アスカロン。このアスカロンの戦いは第一回十字軍最後の戦いとも言われている。遠く西欧からやってきた十字軍がアンナ様のいるコンスタンティノープルを経由して聖地を目指し進軍。敵地で食糧不足などに苦しみながらも1099年7月にイェルサレムを陥落させる(その際にすんごい住民殺戮が行われるんですがね…)。同市の奪還のためにエジプトのファーティマ朝の宰相アル・アフダルAl-Afdalが軍勢を率いてイェルサレムに迫るものの、十字軍はアスカロンで迎え撃ち散々に打ち破って西欧勢のパレスティナ地域の支配を確立させた、という戦いである。
プレイで使ったゲームはいつものとおりGMTのMen of Iron Tri-pack版。このゲーム、ずっと品切れになっていたんだけど、なんと2nd printがP500に入りました! うひょ~。これで、欲しくて手に入れられなかった方々も一安心ですよ。そういう人たちがどれくらい知らないけど、MoIの魅力を世に広めることへのモチベーションが爆上がりです。
それと、Men of Ironシリーズの第五作目にあたる「Norman Conquests」もP500で順調に位を上げて行っていて、早く発売にならないかなー。ノルマン・コンクエストと言ったらヘイスティングスだけど、それ以外にもノルマン人関係の戦いがいろいろと収録されているようで、たった一人のバイキングが敵を食い止めた逸話の残るStamford Bridgeとか、Civitateの戦いだったらSchwabenの騎士たちの最後の奮戦とか、もう楽しみで楽しみで…。
あれ、何の話してたんだっけ。そうそう、アスカロン。このシナリオの十字軍は3つの部隊(Battle)からなる。各部隊とも騎士、弓兵、槍兵と兵種のバランスが取れた構成であるが、歩兵には重装歩兵(Men-at-Arms, MA)は含まれておらず、強力な騎士も各部隊に3ユニットとやや少ない。
一方のファーティマ朝軍は最前列に弓兵がずらっと並び、その後方に槍兵、そしてさらに後方には騎兵部隊がいる。
十字軍が相手にした東方系の軍隊は騎馬弓兵が特徴で、そのヒットアンドアウェイに十字軍は悩まされ続けたそうだ。Infidelに入っているシナリオのほとんどでも騎馬弓兵がイスラム勢力側の主力となっている。だがファーティマ朝は騎馬弓兵を利用していなかったらしく、このシナリオでも騎馬弓兵は登場しない。
ファーティマ朝はもともとチュニジアのほうから興ってエジプトまで進出しただけに、中央アジアの遊牧系の流れをくむセルジューク・トルコとかとは違うようですね。まあ、重武装の十字軍vs騎馬弓兵主体のイスラム軍っていう対照的な軍隊の戦いは他のシナリオで十分味わえるからいいんですけど。
このアスカロンの戦いは十字軍がファーティマ朝軍の不意を突いたらしく、後方のベルベル中騎兵とマムルーク重騎兵の二部隊はゲーム開始時は混乱状態である。MoIでは混乱状態から回復するにはその部隊の活性化中に何もしないことが条件になるため、この二部隊はすぐには投入できない。さらに十字軍の奇襲時にはマムルークの兵たちはまだ寝ていたらしくて、このシナリオの特別ルールで同部隊は自由活性を使って警報を与えないと混乱状態から回復できない。つまり重騎兵部隊は2回活性化してやっと正常状態になれるのだ。
ユニット数ではファーティマ朝軍が十字軍の1.5倍以上あるが、上述のように騎兵2部隊が混乱状態で始まることから数的優勢を活用するには時間がかかる。さらに十字軍の指揮官は活性化値が高いため、ファーティマ朝軍が対応しきれないうちに十字軍のペースで戦いが展開する可能性が高い。
つづく
2022年9月13日火曜日
歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ⑤
フランス軍は左翼(マップ下方)で攻撃を続ける。軽騎兵部隊(ピンク)と重装騎兵部隊(赤)の2部隊の攻撃で、スペイン軍軽騎兵部隊(赤)はほぼ壊滅したうえ、指揮官のペスカーラ侯フェルナンド・ダヴァロスも戦死していしまった。
このペスカーラ侯、ラヴェンナの戦いの時にはまだ若く経験不足だったようで、他の部隊との連携もないまま騎兵で攻撃をしかけて捕虜になっている。だがその後、軍才を発揮するようになった。Aruquebusの資料として挙げられている本『The Art of War in Italy』では結構称賛されている人物である。
1522年にはビコッカの戦いでフランスとヴェネツィアの連合軍を破ったのち、1525年のパヴィアの戦いでは神聖ローマ皇帝軍の実質的な総指揮官としてフランス軍に対して決定的な勝利をおさめ、仏王フランソワ一世を捕虜にしている。ちなみにこの2つの戦いはともにArquebusに収録されている。でもね、こんなところでペスカーラ候が戦死しちゃったらパヴィアの戦いはどうなんの?! 伊達男フランソワ一世を捕虜にできないじゃん。
スペイン軍は砲撃でランツクネヒトをたたく。だが継続活性に失敗。敵の騎兵集団の攻撃で右翼(マップ下方)が危ういのに、この失敗は痛い。でもスペイン軍は自由活性のときしか砲撃ができないから、どうしても砲兵部隊の活性化を優先させてしまうんだよね。
フランス軍は左翼の騎兵集団2部隊でさらにスペイン軍を追いつめる。長弓兵の射撃、そして騎兵の攻撃でスペイン軍は大きな損害を被った。さらにはスペイン軍の軍旗にも仏軽騎兵が迫る。
この時点でスペイン軍の累積敗走ポイントは17,フランス軍は16と両軍ともまだ低いが、スペイン軍はマップ下方から回り込んだ騎兵集団によって包囲される危険が出てきた。さらにフランス軍は川の対岸からスペイン軍の軍旗近くのユニットに砲撃を加える。スペイン軍危うし。歴史は繰り返してしまうのか。
スペイン軍は後方に回り込んできた敵騎兵集団に対し、歩兵で反撃を加える。火縄銃の斉射で、フランス軍の騎兵や長弓兵が次々と倒れていった。スペイン軍の歩兵ユニットはすべて、移動して射撃、さらに白兵戦が行えるのだ。
またマップ下方の壕沿いでは混戦状態だったフランス軍SBを敗走させる。フランス軍は軍旗周囲がすでに自軍敗走ユニットによって埋め尽くされているためこれ以上の敗走はできず、壊滅となった。SBが除去されると敗走ポイントが5と高いため、かなり痛い。
部隊が細分化されているフランス軍とは対照的に、スペイン軍の歩兵12ユニットはすべて1部隊にまとめられている。敵軍がこうして両翼から陣内に進入してきた場合、内線の利を生かして対応しやすくなるのだ。
一方で、スペイン軍歩兵は一人しかいない指揮官のペドロ・ナバロの士気範囲内にとどまっておく必要があるため、塁壁を越えて積極的に打って出るということが難しくなっている。このあたりも、防御に固執したというペドロ・ナバロの方針がうまく表現できているように思える。
スペイン軍は歩兵部隊に続き、左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)で敵騎兵部隊に猛攻を加え、フランス軍の重装騎兵部隊(黒)を壊滅させた。
両翼で逆にスペイン軍に押し返されているフランス軍は、中央の無傷のパイク兵部隊(黄土色)とその左横のSB部隊(青)で攻撃をかけようとする。
SB部隊の正面の敵歩兵はほぼすべて混乱状態。こちらも消耗しているとはいえ、敵は兵力をフランス軍騎兵への対応に転用してこちらは手薄になっている。そしてSB部隊と同時に、パイク兵部隊で敵陣地の角にあたるところのスペイン軍歩兵に集中攻撃をかけ、損害を恐れずWagon Gunを攻撃していくのだ。中央方面で兵力にものを言わせて圧力をかけ、左翼の騎兵部隊で挟み撃ちにしてやる。
だが、無情にも活性化チェックのサイの目は8で失敗。ぐはっ。ここでスペイン軍に自由活性が移ってしまうとは。部隊間の連携がフランス軍の勝因じゃなかったのかよ。
スペイン軍は自軍の軍旗近くにまで突出してきていた敵軽騎兵を連続射撃で壊滅。さらに右翼(マップ左方)に攻撃を仕掛け、長弓兵や重装騎兵を壊滅させていく。フランス軍の累計敗走ポイントは39に上った。フランス軍の敗走レベルは45で、累計敗走ポイントとサイの目を出してこの数を超えると負けてしまう。これはまずい。
フランス軍は軍旗を活性化させ、敗走状態の7ユニットを士気回復。一気に累計敗走ポイントが32に下がる。そして無傷のパイク兵部隊で今度こそ攻撃をかけるのだ。だが継続活性に失敗。ぐはっ。またかよ。1部隊だけでの継続活性の場合、60%で成功するはずなのに。総司令官のガストン・ド・フォアは将として優れているとはいえまだ20代の若者。部隊の統率にはもっと経験が必要だったということか。
自由活性を得たスペイン軍は右翼(マップ左方)で畳みかける。計算どおりに部隊が動かず残念だったな、ガストン・ド・フォアくん。認めたくないかもしれないが、若さゆえの過ちというものだよ。
フランス軍の軽騎兵部隊(ピンク)は全滅、重装騎兵部隊(赤)も残り1ユニットとなった。さらにスペイン軍は壕沿いで射撃を行い、SBを壊滅させる。フランス軍の累計FPは42に。スペイン軍はいまだに17だ。
敗北がほぼ決定的なフランス軍は最後のあがきを見せ、SB部隊の残存兵力すべてを投入して攻撃をしかける。フランス軍の誇りを見せろ! そしてド・フォアも史実と同じく敵に突っ込んで華々しく散るがいい! …いや、ド・フォアが戦死したのは勝ち戦の最後だからね。そしてその後の敗北チェックで4を出し、負けとなった。
あまり動きのない陣地戦かと思いきや、フランス軍はいつどこでいくつの部隊を動かすか考えないといけないし、陣地両端から騎兵の攻撃、対岸からの砲撃と、結構変化があって両プレイヤーとも楽しめました。後半、パイク兵部隊の活性化に成功し、ランツクネヒト部隊も投入できていたらスペイン軍はもっと苦しくなったはず。敵陣後方に回り込んだ騎兵集団に入れ込みすぎたかも。あと、スペイン軍プレイヤーとしてはペスカーラ侯の見せ場が欲しかったかな。でもペスカーラ侯が活躍するようになるのはラヴェンナの後ですから。
2022年9月9日金曜日
歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ④
マップ下方のSB部隊(青)の奮戦で敵陣地の一角が空いた。そこにすかさずフランス軍はパイク兵部隊(黄土色)を前進させる。
このパイク兵はフランス北東部のピカルディ地方の兵ということになっており、射撃能力はなくパイク兵のみで構成されている。イタリア戦争中に歩兵に火縄銃兵を配備するという編成が普及していき、このラヴェンナの戦いでもドイツ傭兵のランツクネヒトやフランス軍のSB部隊を構成するイタリア兵には火縄銃兵が含まれている。またスペイン軍の歩兵はスペインのSBと教皇軍のパイク兵から成るが、すべて射撃能力がある。フランスはこういう戦術の進化にすこし遅れていたってことなんですかね。
そして右翼(マップ上方)の砲兵部隊(緑)で砲撃。かなりラッキーなことに敵の砲兵1ユニットを壊滅させた。敵中央に少しずつほころびが出てきている。パイク兵部隊に続けてそろそろランツクネヒトを投入するタイミングか。
スペイン軍は中央の砲兵でやり返す。身を隠すことができない場所にいる歩兵など砲撃のいい餌食である。クロスボウとランツクネヒト1ユニットを敗走させた。
そして川の対岸から砲撃を受けるようになった左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)だが、このままでは一方的に損害が増えるだけだ。砲撃の有効射程外に退避させる。
対岸からの砲撃で動揺した敵が動いた。今こそ好機! そう見て取ったフランス軍は、最右翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(黒)が塁壁と川の間隙から敵陣内に突入し、怒涛のチャージ。重装騎兵集団の突撃はすさまじく、スペイン軍の重装騎兵1ユニットが壊滅、さらに掩蔽状態だったSBが敗走した。
フランス軍は同時に最左翼(マップ下方)の軽騎兵部隊(ピンク)も動かす。当初のプラン通り、左翼で攻勢をかけるのだ。この部隊には長弓兵(Longbow, LB)も含まれており、正面の敵軽騎兵部隊(赤)に射撃で大きな損害を与えた。
この2部隊同時活性化による多方面での同時攻撃こそフランス軍の持ち味。「スペイン軍はこんな芸当できないでしょ、ぐはは。総指揮官の能力の違いがこういうところで出るのよ」とフランス軍プレイヤーは余裕しゃくしゃく。いや、当時の指揮官の能力の違いであって、プレイヤーの能力の違いじゃないからね、そこんとこ間違わないように。
ちなみに当時、主要な射撃兵器はクロスボウから火縄銃に移っていっていたが、弓兵も依然として使われていた。日本の戦国時代でも、火縄銃が伝来した後も弓矢が使われていましたよね。フランスのフランク弓兵(Franc-archer)は1535年まで存続していたし、イングランドではラヴェンナの戦いの約80年後、16世紀末になって長弓の廃止が正式に決まっている。このラヴェンナの戦いでは弓兵やクロスボウ、火縄銃、それに砲兵と新旧様々な兵種が含まれているが、中世から近世の過渡期というイタリア戦争っぽい。
左右両翼からの同時攻撃で大きな損害を受けたスペイン軍。さらに右翼(マップ下方)方面には敵重装騎兵部隊(赤)が後詰めとして続いている。このままでは右翼は粉砕され、史実通り後方に回り込まれてしまう。
スペイン軍は砲撃でランツクネヒトを1ユニット敗走させたのち、歩兵部隊(茶色)を動かす。右翼に救援を差し向ける一方、左翼(マップ上方)に突撃してきた敵重装騎兵を攻撃、敵の衝力を奪った。
これで一息、と思いきや、右翼の壕沿いの歩兵ユニットは混戦状態なので、自部隊が活性化したら攻撃せざるを得ない。攻撃側混乱など多くは不利な結果となったが、1ユニットが奮戦し敵のSBを壊滅させる。だが戦闘後前進の際の壕越え混乱チェックに失敗、混乱状態になった。スペイン軍側から壕・塁壁越しに攻撃する場合、混乱チェックはないのだが、戦闘後前進で壕を越える場合はチェックが課されるのだ。正面の敵を壊滅させ勢いに乗って壁や壕を越えたものの隊列が乱れてしまった、というイメージか。
ここでフランス軍が自由活性を得たが、2部隊を活性化しようとして失敗。スペイン軍に自由活性が移る。フランス軍は敵に対応する余裕を与えずに攻撃を継続しようとしていたのに、これは痛い。
スペイン軍は軍旗(Standard)を活性化させ敗走状態だった4ユニットを混乱状態に戻す。こうして自軍立て直しに努めたうえで、左翼(マップ上方)の重装騎兵が敵騎兵に反撃。指揮官の陣頭指揮で敵ユニットを壊滅させる。だが継続攻撃で敵指揮官直属の重装騎兵に側面から突っ込んだが、攻撃側混乱で混戦状態に。
騎兵部隊に続けてスペイン軍は歩兵部隊の活性化に成功。左翼(マップ上方)の敵重装騎兵に追い打ちをかけ、右翼では陣地側面に進入してきた敵騎兵部隊を連続射撃で敗走させる。スペイン軍の歩兵にはすべて火縄銃兵が配備されているので射撃能力があるのだ。
スペイン軍はひとまず両翼での火消しに成功したものの、マップ下方では敵の無傷の重装騎兵部隊(赤)が陣地と湿地の隙間から突入してくるだろう。さらに中央ではランツクネヒトとパイク兵の2部隊が健在のうえ、対岸からの砲撃も無視できない。
逆にフランス軍は兵数の優位、それに部隊間の連携を生かしてスペイン軍に息をつかせないようにしたい。
つづく
2022年9月7日水曜日
歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ③
着々とフランス軍が攻撃準備を整えていったが、やっとスペイン軍に自由活性が移る。歩兵部隊(茶色)を活性化させ、スペイン軍の弱点と思われる右翼(マップ下方)に一部ユニットをシフトさせるとともに、砲撃を受ける位置にいるユニットは掩蔽状態(Entrenched)にする。
このシナリオの特別ルールでスペイン軍の歩兵は掩蔽状態になることができ、敵の砲撃をほぼ無力化できる。だが掩蔽状態では射撃はできないため、敵歩兵が前進して白兵戦を挑んできた場合、対応射撃ができない。掩蔽状態を解除するにも活性化時に何もしないことが条件となるため、敵の動きに対応するための移動などがすぐにはできない。さらに掩蔽状態のときに白兵戦で攻撃されると+1DRMと不利になる。
続いてスペイン軍は左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)を前進、集結させる。これで敵正面の騎兵部隊(黒)も、壕の切れ目と河川の間の狭い隙間から突入してくるということはなかなかできないだろう。
ここで自由活性を得たフランス軍は、2部隊を同時に活性化しようとしてチェックに失敗。自由活性化の際でも2部隊を活性化しようとすると、30%の確率で失敗となり敵に自由活性が移るのだ。
スペイン軍は中央の砲兵で砲撃を開始。フランス軍中央、ランツクネヒト前面のクロスボウ部隊が砲火にさらされ次々と被害を受けた。ふん、そんなの計算のうちさ、と平静を装うフランス軍プレイヤー。実際は、クロスボウ部隊で弾除けをするのではなくランツクネヒト部隊を少し後退させておけばよかったと心の中で後悔していた。Arquebusでは砲兵はかなりの射程を持つが、5へクス以上離れるとほとんど効果がないからだ。
だが、ランツクネヒトの移動力は3しかないため、砲兵から5へクス以上離れるように後退すると一回の移動で壕・塁壁に取り付けない。スペイン軍としては中央からの圧力が減るため他方面に対応しやすくなる。そのためフランス軍は今回のように後退せずに砲撃に耐え、戦機を逃さず前進、壕・塁壁に攻撃をかけるというのがいいのかもしれない。
一方で、スペイン軍の砲兵部隊(緑)は指揮官がいないため自由活性のときにしか活性化できない。つまり砲撃のタイミングが制限されているわけで、スペイン軍の部隊間の連携の悪さがこういった形でも表されているように思える。そのためフランス軍は多方面でプレッシャーをかけ、自由活性を砲撃に使うべきかどうかスペイン軍が判断に迷うような状況を作り出すべきなのだろう。
フランス軍は2部隊を同時活性化。右翼(マップ上方)の砲兵部隊(黒)から1ユニットを抽出し、史実同様に迂回渡河を始める。向こう岸から敵左翼(マップ上方)の重装騎兵に砲撃を加えるためだ。そして中央左翼寄り(マップ下方)の重装騎兵部隊(赤)を左にシフト。こうして両翼からの攻撃態勢を整えていく。
このシナリオでは砲兵ユニットは両軍とも移動ができないのだが、特別ルールでフランス軍は右翼(マップ上方)の砲兵部隊から1ユニットだけ河の対岸に移動させることができる。史実でもこのような砲兵の移動があったようだけれども、当時すでに砲には野戦で戦術的な機動性があったんですね。なんか意外。砲のことはよく知らないけど。ここの砲兵部隊はフェラーラ公アルフォンソ・デステ指揮下のもので、フェラーラ公は砲の運用に長けていたらしい。
その後は両軍の砲撃の報酬が続いたが、フランス軍はころはよし、と本格的な攻撃を開始する。自由活性で2部隊を同時活性化し、先ほど渡河を始めた砲兵ユニットを川の対岸に配置。敵重装騎兵に砲撃を加え混乱状態にした。
そうしてマップ上方で圧力をかけつつ同時に、フランス軍左翼(マップ下方)のSword&Buckler(SB)部隊(青)が動く。スペイン軍歩兵が掩蔽状態になったため砲撃では効果がないが、白兵戦を仕掛けるには有利な状況だからだ。ちなみにSBのBucklerとは、以前チェリニョーラの戦いのAARでも説明したが小さめの丸い盾である。
SB部隊は敵が掩蔽状態だったため対応射撃を受けることなく壕にとりつき、白兵戦(Shock)を開始。守るスペイン軍歩兵もSBである。壕を渡り塁壁を乗り越えようとするフランス軍に対し、剣で必死に防戦するスペイン軍。両軍が入り乱れての戦いとなり、多くの攻撃が混戦(Engaged)に終わった。
白兵戦の戦闘結果の混戦は、Men of IronシリーズではBlood&Rosesまでは選択ルールだったがArquebusでは標準ルールとなっていて、防御ユニットが正常状態の場合は60%、混乱状態の場合は40%と結構な確率で出る。
混戦状態になった場合、離脱(Disengage)しない限り自部隊の活性化時に白兵戦で攻撃をしないといけない。そのため混戦状態のユニットを含む部隊を活性化するのは悩ましい場合も生じる。スペイン軍は歩兵がすべて一つの部隊にまとまっているため、このように一部ユニットが混戦になると、別方面で歩兵を動かす場合でも混戦状態の歩兵ユニットはフランス軍への攻撃を強制される。
自部隊の活性化の際に攻撃しないようにするためには離脱してそのヘクスから移動するしかないが、混乱状態になるうえ、予備ユニットが空になったヘクスを埋めない限り壕・塁壁の防御拠点を敵に明け渡すことになるのだ。
ほとんどが混戦となったフランス軍SB部隊(青)の攻撃だが、部隊戦列右端の1ユニットが奮戦する。壕越しの攻撃で混乱状態になりながらも、先の砲撃で被害を受けていた敵Gun Wagonを壊滅させ継続攻撃(Continued Attack)を出す。Gun Wagonとスタックしていた砲兵は雲散霧消した。
隊形を乱しながらも塁壁を乗り越えるフランス軍SB。混乱状態のユニットは戦闘後前進ができないのだが、継続攻撃の場合は別なのだ。うおおー!!と敵陣に乱入し、さらにGun Wagonと砲兵のスタックを壊滅させたものの、そこで待ち構えていたスペイン軍パイク兵(Pike, PK)に突っ込んでしまい、逆に撃退されてしまった。継続攻撃あるあるである。
つづく
2022年9月5日月曜日
歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ②
ラヴェンナの戦いでは、野戦陣地にこもったスペイン軍に対してフランス軍が攻撃。まずは両軍の砲撃戦が繰り広げられた。スペイン軍の歩兵は低地に身を潜めており被害は少なかったものの、軽騎兵が砲撃に耐えられなくなり攻撃をしかける。一方フランス軍も、敵の砲撃範囲内に布陣してまったランツクネヒトが前進して攻撃を開始。血みどろの戦いが繰り広げられるが、スペイン軍の軽騎兵集団を撃退したフランス軍騎兵が敵陣地の側面から後方に回り込み勝負を決めた-というのがだいたいの流れのようだ。
両軍とも被害は甚大で、多くの指揮官が死亡したり捕虜になったりしている。フランス軍の総指揮官のガストン・ド・フォアはまだ20代前半の若さながらその将才を認められていたが、この戦いで戦死した。でも、戦いの帰趨が決まった後で敵の残存歩兵に少数の騎兵で突っ込みそこで槍衾にやられてしまったそうで、若くて血気盛んなのはわかるけど総大将なんだから自重してください。
この戦いでのフランス軍の勝因は、各部隊の連携にあるらしい。総指揮官ガストン・ド・フォアのもと、歩兵、砲兵、騎兵が連携して攻撃したが、スペイン軍にはそれが欠けていた。スペイン軍の陣地構築を指揮したペドロ・ナバロは防御に固執していたのに、砲撃を受けた軽騎兵部隊は攻撃をしかけてしまっている。 一方、フランス軍は各部隊が機を逃さず動いており、砲兵の一部は戦闘開始後に渡河して敵の側面から砲撃を浴びせかけ、スペイン軍の敗因の一つとなった。なお、ペドロ・ナバロはこのシナリオでスペイン軍歩兵部隊の指揮官になっている。
フランス軍の部隊間での連携を反映してか、このシナリオのフランス軍は指揮については特別ルールがある。Men of Ironシリーズでは基本的に各部隊に指揮官がいて、指揮官の活性化値(Activation Rating)を使って部隊(Battle)ごとに活性化させる。だがこのシナリオではフランス軍は最大3部隊を同時に活性化できるのだ。フランス軍の活性化には指揮官の活性化値ではなく活性化表(French Activation Table)を使うのだが、同時に活性化する部隊が多いほど失敗する可能性は高くなっている。フランス軍は総兵力では勝っているものの9つの部隊に細分化されているため、慎重に1部隊ずつ動かすだけでは数の優位を生かせない。リスクを冒してでも一気に複数の部隊で攻撃にでるかどうか、フランス軍としては悩まやしい局面が多々生じるはず。
攻めるフランス軍にとって厄介なことに、スペイン軍の前面には戦列に沿って壕(Trench)と土でできた塁壁(Rampart)が続いていて、防御に有利な態勢にある。壕・塁壁越しの攻撃はDRM-1と攻撃側に不利なうえ、フランス軍が壕越しに白兵戦(Shock)を仕掛ける場合、混乱チェックをしなければならない。そのため、フランス軍プレイヤーは左右両翼の壕の切れ目、特に左翼(マップ下方)に攻撃の主軸を置くことにする。この方面にはスペイン軍の軽騎兵部隊しかいないうえ、比較的スペースが広がっており、フランス軍の数の優位を生かせるからだ。ただそれだけだと攻撃が単調になり敵にとって対応が容易になるため、砲撃、そして騎兵部隊の攻撃と連動しての歩兵の攻撃が欠かせない。
そのような方針のもと、フランス軍は左右両翼の砲兵二部隊で砲撃を開始し、スペイン軍に損害を与える。さらに右翼(マップ上方)のクロスボウ部隊(灰色)をランツクネヒト(茶色)の前に展開。ランツクネヒトの正面にはスペイン軍の砲兵(緑)が並んでいるため、敵砲兵の射線(LOS)をさえぎってランツクネヒトが砲撃を受けないようにするためだ。ユニットが壊滅すると課される敗走ポイント(Flight Point, FP)はユニットの種類によって違い、FPが大きいものほどいわば高価なのだけれども、ランツクネヒトは5もあるがクロスボウは2。クロスボウが犠牲になってもランツクネヒトを守る目論見である。
ランツクネヒトは敵から砲撃を受ける前にさっさと前進して白兵戦をしかけるという選択肢もあるが、正面のスペイン軍は砲兵とスタックしてGun Wagonが並んでいる。ラヴェンナの戦いの百年近く前、15世紀前半のフス戦争で馬車や荷車に防御を施した木製の装甲車と言えるものが登場したが、このGun Wagonはその流れを汲んでいるらしい。イタリア戦争関連の本を読んでみると、当時使われていた車両は大鎌のような刃や槍のようなものが突き出ていて敵歩兵の突進を妨げ、木の板に守られた火縄銃兵が射撃をする、というものだったそうだ。
フランス軍のランツクネヒトが攻撃する場合、前進して敵陣にとりついた時点でGun Wagonから対応射撃(Reaction Fire)を受け、60%の確率で混乱状態になる。その後にランツクネヒトも射撃(Active Fire)できるが、Gun Wagonへの射撃はその防御力を反映してかDRM-2と不利。さらに白兵戦攻撃でも壕・塁壁越しの攻撃なので混乱チェックがある。
ランツクネヒトが混乱状態で正常の状態のGun Wagonを壕・塁壁越しに白兵戦で攻撃した場合、諸々の修正を合算するとDRM-1と不利になる。もし白兵戦での攻撃に成功してGun Wagonと砲兵を排除しても混乱状態だったら戦闘後前進はできないため、敵の歩兵がその穴を埋めてしまうだろう。そのためフランス軍は、ランツクネヒトの投入は時機を待って行うことにする。それまでクロスボウが犠牲になるがやむを得ない。
「えー、クロスボウ部隊を弾除けにするなんてひでー」と非難するスペイン軍プレイヤーに対し、「勝たなきゃ意味ねえよ」と応えるフランス軍プレイヤー。
「一将功なりて万骨枯る、とか言われても意に介さず。というか、あんたもフランス軍だったら同じことするんじゃないの」
「……はい、します」
フランス軍はさらに継続活性に成功。最右翼(マップ上方)の重装騎兵(Men-at-Arms, MM)に側面を固めさせる。フランス軍の右翼はMM以外は砲兵しかおらず防御力に乏しい一方で、正面に敵のMM部隊がいるため、敵が陣地から出てきて突撃をくらうと苦戦しかねないからだ。
つづく
2022年8月25日木曜日
歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ①
ラヴェンナの戦い、というと昔アドテクノスからゲームが出ていたのである程度知名度はあるのではないかと勝手に思っている。Men of IronシリーズのArquebusでもラヴェンナの戦いが収録されているのでやってみた。
この戦いはイタリア戦争の最中に起こったのだけれど、イタリア戦争って全然知らない。ちょっと調べてみると、15世紀末から16世紀半ばまで約60年間の、断続的な戦争の総称のようだ。
基本的にフランスがイタリアに攻め込み、それに対しスペイン、神聖ローマ帝国が対抗。その間ヴェネツィアやローマ教皇などイタリアの諸国が合従連衡を繰り広げて強くなった国をたたき、結局フランスはイタリアをあきらめ、イタリアの大部分がハプスブルク家の統治下となる、という流れらしい。というか、いろんな同盟が出てきてややこしいんだよね。
しかもイタリアだけの話にとどまらず、ヨーロッパ全域の戦争と関連があるのが特徴らしい。イタリア戦争以前、15世紀には英仏百年戦争やフス戦争、フランスとブルゴーニュ公国の衝突やスイスとハプスブルク家との争い、それにオスマントルコによるハンガリーへの侵攻など様々な地域で戦争が起こったが、あくまでも地域内での戦いで、戦争間の関連性に乏しかった。イタリア半島でも諸国家間で傭兵を使って様々な戦いが行われていたが半島内での話。イベリアのアラゴン王アルフォンソがナポリ王国を占領したりしたけどこれは他の様々な地域と関連する国際的な戦争ではなくイタリアに限定したものだ。
だがイタリア戦争の時期になると、スペイン、フランス、ドイツ、低地諸国、ハンガリー、オスマントルコなど多くの国が巻き込まれた大規模な戦争に次第に変化していく。
……というのはイタリア戦争関連の本からの受け売りである。正直自分はよく知らない。でも実際、イタリア戦争の時代にはスペイン王カール一世が神聖ローマ皇帝カール5世として即位することでスペインとドイツが一つになったり、オスマントルコによるウィーン包囲があったり、フランスとオスマントルコが同盟してハプスブルク家に対抗したり、イギリスのヘンリー8世がフランスに攻め込んだりとヨーロッパ全体が複雑に絡み合っていく。この辺の状況はGMTのHere I Standが好きな人だったらよくわかるんじゃないかと思います。
で、ラヴェンナの戦いである。ラヴェンナは北イタリアの都市で、西ローマ帝国末期には宮廷が置かれていた。しかしホノリウス、なんでスティリコを処刑しちゃうかな…。おおっと、時代が違った。ラヴェンナの戦いは1512年で、日本だと戦国時代の初期にあたる。上杉謙信や武田信玄の生まれる10~20年ぐらい前のことである。
イタリアに侵攻したフランスに対し、ローマ教皇がヴェネツィア、スペインなどと神聖同盟を結成。フランス軍は神聖同盟側の都市ラヴェンナを攻撃する。その救援にスペイン軍を中心とする神聖同盟の軍隊が派遣されて起こったのが、今回プレイするラヴェンナの戦いである。
兵力に劣る神聖同盟軍はラヴェンナ近郊で野戦陣地を構築。フランス軍は補給線が後方でヴェネツィアによって妨害されていること、さらにはスイス軍が背後のロンバルディア平原に南下してくるという情報もあり、早期に敵の救援軍を排除する必要があった。また総兵力、とくに砲兵力で優越していたこともあって、攻撃を決意する。
一説では、フランス軍に所属していたドイツ傭兵ランツクネヒト部隊が、まもなく神聖ローマ帝国はフランスと開戦するからすぐにフランス軍の陣を離れるようにとの密命を皇帝マクシミリアン一世から受け取ったことも、フランス軍が早期に攻撃をする一因となったらしい。ランツクネヒトを率いていたトマス・エンプサーは長年フランス王のもとで戦っており、戦いの直前になって軍を離脱するのに忍びなくフランス軍総指揮官ガストン・ド・フォアに皇帝からの命令の内容を告げたそうだ。確かに神聖ローマ帝国は神聖同盟に加わっているし、マクシミリアン一世はランツクネヒトの父と呼ばれているからこういうことはあり得ないわけではないけど、なんか出来すぎていて小説みたいな逸話だな。
初期配置(写真上)を見ればわかるように、スペイン軍(Arquebusの表記に則って神聖同盟軍をスペイン軍と呼ぶことにする)の前面には壕(Trench)と塁壁(Rampert)が構築されており、左翼(マップ上方)は川、右翼は湿地で守られている。
それに対してフランス軍は左右両翼に騎兵集団と砲兵部隊が配置され、多くの歩兵ユニットが中央を占めている。理想的な防御地形に布陣したスペイン軍に対し、フランス軍はどう攻めていくのかが考えどころである。
つづく
2022年8月23日火曜日
But we can still rise now-だが我らは再び立ち上がる Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-Pack(GMT)第二戦 AAR ④
左翼(マップ下方)では守勢に立たされたイングランド軍だが、右翼で攻勢に出る。ボーモント隊(ピンク)が射撃で正面の敵マレー伯隊(青)に損害を与えたのち、迂回してきたヘレフォードの重装騎兵部隊(緑)がマレー伯隊の側面から後方に回りこむ。
ヘレフォードはこの前日、甥がロバート一世と一騎打ちをして頭を叩き割られている。甥の敵討ちだ。スコットランドの反乱者どもに目にものを見せてくれる。
敵重装騎兵部隊に側面が脅かされているスコットランド軍は、まずマレー伯部隊の軍旗を活性化。敗走状態だった2ユニットを回復させる。さらにマレー伯部隊を活性化させ、先ほど敗走状態から混乱状態に戻っていた2ユニットを正常状態に回復。そして突出してきた敵重装騎兵を攻撃し損害を与えた。
ちなみにマレー伯はこの戦いの前月にエディンバラ城を落としている。堅城だったが、守備兵の息子が街にいる彼女に会うためこっそり城を抜け出していたらしい。他の人に見つからないよう、城基部の急峻な崖となっている部分を通ったようだけど、そのことを知ったマレーは城門に陽動の攻撃をしかけておいてから、夜、若者の案内で一部隊を送り込む。部隊は崖を登り城内に進入、エディンバラ城は陥落したそうだ。若者の恋心って意外なところで役に立つんですね。
両軍の攻防が続き、スコットランド軍の累計敗走ポイントは17に。一方イングランド軍は左翼(マップ下方)での損害が響き、累計敗走ポイントが34に上った。イングランド軍の敗北レベルは40で、累計敗走ポイントにサイコロの目を足してこの数を越えたら負けてしまう。そのため、イングランド軍は軍旗を活性化。軍旗の周辺で敗走状態となっていた6ユニットを回復させたので、累計敗走ポイントが一気に28に下がった。
だがスコットランド軍は攻撃の手を緩めない。侵略者イングランドの軍を打ち破り、スコットランドの独立を守るのだ。俺たちのプライドをなめんじゃないぞ。フリーダーーム!!
スコットランド人のプライドがいかにイングランドによって傷つけられていたか、しかもそのことが何百年も尾を引いていたということを示す事件が20世紀になって起こっている。スコットランドにはStone of Sconeと呼ばれる石があり、13世紀まで代々スコットランド王はその上で戴冠をしていた。「運命の石」とも呼ばれているこの石は、「スコットランド人への鉄槌」エドワード一世がスコットランドを征服したときに1296年に戦利品としてイングランドに奪い去られる。しかも、代々イングランド王が戴冠式を挙げるウェストミンスター寺院で戴冠式用の玉座に組み込まれてしまっていた。イングランド王がスコットランド王を尻に敷くような感じか。
スコットランド人にとっては屈辱的なことだったようで、石が奪われてから650年以上のち、1950年にグラスゴー大学の学生たちがウェストミンスター寺院から撤去、スコットランドにひそかに持ち帰る、という事件が起こっている。スコットランド人のプライドって恐ろしい。ちなみにこの事件を題材にした映画も作られている。運命の石は事件から2年後の1952年にウェストミンスター寺院に戻されたが、1996年、つまりスコットランドから奪われて700年たってやっとスコットランドに返還された。
スコットランド軍は左翼(マップ上方)のマレー伯隊(青)、それに右翼のキャリック伯隊(緑)が射撃&白兵戦のコンボでイングランド軍に次々に損害を与えていく。特に右翼はHabilarの独立騎兵部隊による小川向こうの長弓兵の掃討が効いて、側面を恐れることなく攻撃できる。長弓兵の射撃で敵を混乱状態にしたのち、槍兵や戦斧兵が前進して白兵戦で攻撃。イングランド軍の損害が増大していった。
イングランド軍は右翼(マップ上方)ヘレフォード隊(緑)の重装騎兵が反撃したが、すでに累計敗走ポイントは38。自由活性化のあとの敗北チェックでサイの目4を出し、負けとなった。
こうしてスコットランドは独立を保ったのでした。スコットランドの(非正式の)国歌、Flower of Scotlandを流したいところですね。
But we can still rise now
And be the nation again
という歌詞そのまんまですな。
でもこれで大団円を迎えたわけではなく、すぐにイングランドが盛り返してスコットランド王はフランスに亡命、百年戦争が起こる要因の一つになった。薔薇戦争では落ち目のマーガレット王妃の要請に応じてスコットランドは兵を出す。そのためランカスター派が盛り返してウェイクフィールドでヨーク公リチャードが敗死してしまう。そんなこんなでイングランドとの因縁は続くのでした。
2022年8月21日日曜日
But we can still rise now-だが我らは再び立ち上がる Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-Pack(GMT)第二戦 AAR ③
イングランド軍左翼(マップ下方)に対してスコットランド軍は軽騎兵Hobilarの独立部隊を派遣してきたが、イングランド軍は長弓兵で射撃するほかは有効な手が打てない。それに対してスコットランド軍はロバート一世を活性化。前線中央でイングランドに攻撃を続けつつ、右翼では独立部隊のHobilarが小川(Burn)を渡り長弓兵を攻撃する。
このHobilarのうち1ユニットを率いているロバート・キースは、代々Marischal of Scotlandという称号を受け継いでいる。スコットランド軍元帥、みたいな感じかな。王権を守ることが職務だったらしく、ロバート一世とその息子に忠実に仕えている。
もう1ユニットを率いているジェームズ・ダグラスはバノックバーンの後も対イングランド戦で活躍し、1327年にはWear川の河畔に陣取っていたイングランド王エドワード三世の軍を夜襲している。エドワード三世は危ういところでのがれたが、もしこの時ダグラスがイングランド王を討ち取ったり捕虜にしていたら、百年戦争は起こらなかったかもしれませんね。
小川(Burn)向こうのイングランド軍左翼の槍兵は一目散にエドワード二世を目指して逃げていたため、長弓兵を守るユニットがおらず、Hobilarは長弓兵の側面に回り込んで白兵戦を仕掛ける。ダグラスはこのバノックバーンの時点ではイングランド軍のロバート・クリフォードに領土を奪われていたそうで、クリフォード隊(青)を目の前にして復讐する気満々だったでしょうな。
下馬したHobilarは白兵戦では重装備の歩兵、Dismounted Men-at-Arms(DM)と同様に扱われる。Men-at-Armsといったら、日本人が中世ヨーロッパの鎧と言ったら思い浮かべるような、鋼鉄のがちがちの装甲に身を包んだ兵だと思えばいいんでしょうな。それが攻撃してくるのだから、長弓兵に勝ち目はない。スコットランド軍右翼を脅かしていた長弓兵が2ユニットとも混乱状態になった。
さらにスコットランド軍右翼のキャリック伯がダメ押し。小川向こうの長弓兵をHobilarに任せられるため、正面の敵クリフォード隊(青)に突進。クリフォードはスコットランド軍との対戦経験が豊かな指揮官だったが、バノックバーンで戦死しているのだ。史実同様、この戦場で最期を迎えさせてやる。キャリック隊(緑)の攻撃でクリフォードの長弓兵が1ユニット混乱状態で退却、さらに1ユニットが壊滅した。
左翼(マップ下方)で押されているイングランド軍は、クリフォード隊(青)が敵キャリック隊(緑)に対して必死で反撃を行うも、スコットランド軍のHobilarによって小川向こうの長弓兵が掃討されてしまった。
やや分が悪くなってきたイングランド軍。状況を落ち着いて分析する。左翼は湿地帯や小川があるうえ自軍ユニットが多く、兵の展開には適していない。中央は兵数の多いエドワード二世の隊がなんとか敵の攻勢に対抗できるだろう。とすると、右翼だ。騎兵に迂回させて敵の側面を突くのだ。
ヘレフォードが重装騎兵を連れて右翼に展開する。こちらは小川や森など機動に不向きな地形があるし騎兵が小川(Burn)を越えるときは混乱チェックをしなければならない。だが騎兵の移動力、それにヘレフォードの活性化値が4と高いことを考えれば、迂回して敵左翼を脅かすことができるだろう。この方面にいるスコットランド軍は戦力が半減しているマレー伯隊(青)。そこに重装騎兵をぶち当てるのだ。
これに対し、スコットランド軍は右翼で敵の混乱状態の槍兵を掃討しつつ、左翼のマレー伯で攻撃をしかける。敵のヘレフォード隊が迂回してくるまで時間がかかるはず。それまでに正面の敵に損害を与えておくのだ。
マレー伯の領土はこの戦いの前年、エドワード二世によって寵臣ヒュー・ディスペンサーに与えられたらしい。ふざけんなエドワード、おれの土地を返せ、とマレー伯が猛攻。正面のボーモント隊に大きな損害を与えた。
つづく
2022年8月19日金曜日
But we can still rise now-だが我らは再び立ち上がる Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-Pack(GMT)第二戦 AAR ②
スコットランド軍とイングランド軍が交互に活性化する状況が続く。じわじわとイングランド軍のエドワード隊(水色)が態勢を整え、ヘレフォード隊(緑)が移動して空いたスペースに展開していく。さらにマップ右下からは増援も登場した。スコットランド軍はキャリック隊(緑)だけでは右翼(マップ下方)を支えきれない。
ここで中央のロバート一世が前進し、右翼キャリック隊の左側に展開。さらに継続活性でキャリック隊を右にシフト。指揮官の活性化値の高さを生かしたスコットランド軍の連携プレーである。
と思ったのもつかの間、今度はイングランド軍の活性化が続く。まずは中央でエドワード二世が攻撃。続いて左翼(マップ下方)でクリフォードが自隊の回復に努め、さらに右翼でボーモント隊が継続活性。長弓兵がまたも威力を発揮する。正面のマレー隊(青)の槍兵2ユニットが壊滅し、スコットランド軍の敗走ポイントは13になった。一方イングランド軍の敗走ポイントはまだ10だ。
この戦いでの敗走レベルはスコットランド軍は30、イングランド軍は40なので、スコットランド軍は敵により多くの損害を与える必要がある。それなのに敗走ポイントで先行してしまっては不利は否めない。
さらにはエドワード二世の本隊が中央に展開し、左翼(マップ下方)でも増援の長弓兵がスコットランド軍の側面を脅かしている。このまま前回同様、イングランド軍のペースとなってしまうのか。
だが今度はスコットランド軍が3連続で活性化。スコットランド軍のほうが指揮官の活性化値が高いんだから、イングランド軍よりも活性化が続いて当然なのだ。右翼(マップ下方)のキャリック隊(緑)がさらに右にシフト。イングランド軍左翼の小川(Burn)の向こうの長弓兵、それに混乱状態の槍兵を攻撃する。
ここの槍兵はエドワード二世の部隊に属しているのだが、特別ルールで自隊指揮官の指揮範囲にいないと混乱状態から回復できない。おまけに指揮範囲外(Out of Command)なので、自分から接敵もできず、接敵されたら移動ができない。要はスコットランド軍に捕まったら混乱状態のままやられ放題なのである。
エドワード二世は映画「ブレイブハート」ではかなり頼りない王子として描かれていたが、実際もダメダメだったようで、寵臣をえこひいきしたり優柔不断だったりと政治でも軍事でもいいところがなかったそうだ。このゲームのエドワードは指揮範囲が2,活性化値も2とかなり能力が低い。実際のバノックバーンの戦いでは、イングランド軍の大司馬だったヘレフォード伯と、エドワードの甥のグロスター伯の二人が前衛をめぐって争いとなったため、エドワード二世は両人に前衛を指揮させている。なんか、臣下の統制を取るのがうまくいってない感じ。1326年には王妃がクーデターを起こしてエドワード二世を幽閉、翌年には議会から廃位されている。ちなみにこの後を継いだのが、百年戦争を起こすエドワード三世である。
スコットランド軍左翼(マップ上方)ではマレー伯が混乱状態のユニットを回復させつつ正面のボーモント隊(ピンク)と射撃戦を行う。このマレー伯の部隊はすでに3ユニットが壊滅、2ユニットが敗走と戦力が半減しており無理はさせられないのだ。
さらにロバート一世の主力が続く。中央部で前進、攻撃をかけるとともに、右翼に軽騎兵Hobilar2ユニットを派遣する。
この軽騎兵Hobilarは高い移動力を生かして敵の側面を脅かしたり自軍の危ういところに急派するのに使われていたようで、移動に馬を使い、下馬して歩兵として戦っていた。
バノックバーンの戦いでは軽騎兵部隊はキースとダグラスという二人の指揮官に率いられていたのだが、このシナリオではロバート一世の部隊に含まれている。ただし常に指揮下(In Command)とみなされるため、ロバート一世から離れていても自由に行動できる。つまり独立した部隊として使えるのだ。
前回は予備としてとっておいていたが使うタイミングを見極められずまったく活用できなかった。スコットランド軍はその教訓を生かし、小川向こうのイングランド軍を掃討するのに使うことにする。
このゲームではHobilarは移動力が7と高いものの騎乗した状態では白兵戦での攻撃はできず、防御の際も不利なサイの目修正を受ける。また敵に接敵した状態や混乱状態では下馬(Dismount)できない。さらにこのシナリオの特別ルールとして、騎兵は道が通っている地点以外で小川を渡る場合は混乱チェックをしなければならない。そのため、小川の手前で下馬し、次にロバート一世の部隊が活性化したときに長弓兵を攻撃できるようにしておく。
つづく
2022年8月17日水曜日
But we can still rise now-だが我らは再び立ち上がる Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-Pack(GMT)第二戦 AAR ①
前回、途中まで優勢にゲームを進めながら負けてしまったスコットランド軍。
スコットランドの独立のために-Freeedooom!! Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ⑥
バノックバーンでスコットランド軍が敗れるなんて、そ、そんなことあり得ない。もう一度、もう一度勝負だ!
あきらめきれないスコットランド軍プレイヤーは、泣きを入れて再戦を申し込む。そして気合を入れるためにはやっぱりこれ、映画「ブレイブハート」の演説ですよね。
やつらは俺たちから命を奪えるかもしれないが、自由は決して奪えない! スコットランドの自由と独立のために戦うのだ! うおおおおー!!!
一人で盛り上がるスコットランド軍プレイヤー。だけど、これってロバート一世じゃなくてウィリアム・ウォレスのスピーチだし。それにバノックバーンじゃなくてスターリングブリッジだし。しかもブリッジじゃなくて野原だし。
いや、細かいことはいいんだ。とにかく士気が鼓舞されたところでリターンマッチだ。
前回と同じくイングランド軍先攻となった。エドワード二世を活性化したのち、単騎で突出しているグロスター伯を退避させる。この戦いの当時、グロスター伯はまだ20代前半で経験不足だったらしい。イングランド王エドワード二世の甥で、そのせいか若くして前衛を任されており、初期配置でも突出した位置にいる。なおグロスター伯はこの戦いで戦死している。
スコットランド軍は右翼(マップ下方)のキャリック伯の部隊(緑)を前進。敵クリフォード隊(青)のクロスボウを射撃で壊滅させる。続いて左翼のマレー伯が動く。正面のボーモント隊(ピンク)に射撃戦を仕掛けるがいいところなし。だが白兵戦で敵長弓兵を1ユニット敗走させる。
ボーモントはすぐに反撃。長弓兵が猛威を振るい、マレー伯隊(青)の槍兵が1ユニット壊滅、戦斧兵と長弓兵が敗走する。イングランドの長弓兵はやっぱり恐ろしい。
ボーモントは指揮官としての能力が低く、この前日には固く守っているスコットランド軍に対し繰り返し突撃。無理な攻撃に反対する部下に、怖いなら逃げろと言い放ったのはいいけどスコットランド軍に撃退された、という逸話が残っている。だがそのうち長弓兵を活用するようになり、1332年ダップリンムーアの戦いで寡兵でスコットランド軍を破り、1333年にはハリドンヒルの戦いでエドワード三世が数的に劣勢ながらもスコットランド軍を破るのに貢献している。イングランド軍はこうやってスコットランド軍相手に長弓兵の運用を発展させ、百年戦争でその破壊力を発揮するのである。フランス軍涙目。
ちなみにボーモントはエドワード二世のいとこで、しかもおじいちゃんはエルサレム王というセレブな家系である。
スコットランド軍は右翼(マップ下方)のキャリック伯の部隊(緑)が敵長弓兵の対応射撃を受けながらも取り付き、白兵戦で損害を与える。長弓兵の数では負けているのだ。敵の射撃で少々損害が出てもスコットランド軍としては積極的に攻撃していく以外に勝つ道はない。
このキャリック伯エドワード・ブルース、衝動的な性格で、この戦いの前にバノックバーン近くのスターリング城をほとんど攻城兵器がないのに勝手に包囲してしまっている。その結果イングランド王の出兵を招くことになり、ロバート一世の怒りをかった。またこの戦いの翌年にはアイルランドに侵攻、上王と名乗るが撃退されている。ちょっと猪突猛進気味なのかな。でも敵長弓兵に臆せず突っ込んでいくには適任である。
一方、イングランド軍は混乱状態で散らばっているエドワード隊(水色)の再編成に努めつつ、ヘレフォードの重装騎兵部隊(緑)を右翼(マップ上方)に回す。前回の教訓から、複数の部隊が混在してもイングランド軍の兵力の多さが生かせないため、エドワード隊の前をあけて多数のエドワード隊の槍兵が展開しやすくするのだ。さらにイングランド軍はマップ右下端から増援を登場させ、スコットランド軍の右翼を脅かし始めた。
つづく
2022年8月11日木曜日
スコットランドの独立のために-Freeedooom!! Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ⑥
やや優勢な状態になっているスコットランド軍は、中央主力のロバート一世の部隊(黄色)を前進させ右翼(マップ下方)のキャリック隊(緑)を援護する。そして左翼のマレー隊(青)が混乱状態のユニットを回復させつつ、敵ボーモント隊(ピンク)の槍兵に2ユニットで攻撃をしかける。側面と前面からの攻撃でDRMは+5。これで敵槍兵の戦列も崩せる、と思いきや、無情にもサイの目はゼロで効果なしに終わった。
だがスコットランド軍はめげない。高い活性化値を生かして右翼のキャリック隊が活性化。敵長弓兵と射撃戦を行う。
Men of Ironシリーズでは活性化した部隊の長弓兵が敵長弓兵に射撃を仕掛けた場合、応射(Return Fire)をくらい両軍同時に射撃結果を解決するのだが、スコットランド軍のサイの目はボロボロで敵の射撃にやられてばかりに終わる。だが、戦斧兵が小川の対岸にいる長弓兵に接敵、対応射撃をくらって混乱状態になりながらも2ユニット相手に白兵戦で大暴れし敵の両ユニットとも混乱状態で退却させた。
戦斧兵が長弓兵に白兵戦で攻撃する場合、DRMが+3となる。長弓兵はユニット固有の白兵戦防御DRMも弱いため、混乱状態の戦斧兵でもサイの目に嫌われなければ長弓兵を蹴散らすことができるのだ。
ここでイングランド軍は軍旗(Standard)を活性化させ、軍旗の周りにいる敗走状態(Retired)の6ユニットを士気回復(Rally)させる。各部隊ごとに軍旗があるスコットランド軍と違い、イングランド軍は軍全体で軍旗一つで、すべての敗走ユニットがここに集中して逃げてくるのだ。敗走ユニットは敗走ポイント(Flight Point, FP)が1発生するが、士気回復させるとそのFPは打ち消される。累積FPが23となっていたイングランド軍だが、敗走ユニットを6つ士気回復させたことにより、一気にFPが17まで下がった。イングランド軍の敗走レベルは40なので、かなり余裕ができたことになる。
続いてイングランド軍は中央左翼よりのへレフォードの重装騎兵部隊を右翼(マップ上方)に回す。右翼のボーモント隊(ピンク)がやや押され気味ということもあるが、エドワード隊の前面をあけて大量の槍兵を前線に投入できるようにするのが目的だ。槍兵の数で圧倒するだけでなくエドワード隊の長弓兵と槍兵を有機的に組み合わせて使えるようになれば、スコットランド軍には脅威となる。
次第に態勢が整いつつあるイングランド軍を見てやや焦るスコットランド軍は、右翼(マップ下方)で攻勢に出る。エドワード隊でやり返すイングランド軍。両軍の活性化が交互に続いたが、兵力差がじわじわと効いてくる。エドワード隊の大量の槍兵は初期配置では混乱状態で分散していたものの、士気回復し集結して攻勢に出ている。しかもエドワード隊には長弓兵が計5ユニットとスコットランド軍右翼のキャリック隊(緑)の倍以上。キャリック隊に隣接するスコットランド軍中央のロバート一世の部隊には長弓兵はいない。槍兵でも長弓兵でもスコットランド軍は数的に劣勢の状態のまま攻防が続いた。
そしてついに、長弓兵の射撃の援護下で攻撃をしかけてくるエドワード隊の槍兵の大群によって、スコットランド軍右翼は限界を迎えた。キャリック隊とロバート一世の部隊の間を突破され、イングランド軍がなだれ込む。スコットランド軍の敗走ポイントは21に上った。
前線の崩壊を防ぐため、スコットランド軍はSeizureカウンターを使用して継続奪取(Seizure)。中央のロバート一世が右翼の火消しに懸命になる。さらには継続活性で左翼(マップ上方)のマレー伯隊が攻撃。イングランド軍右翼ボーモント隊(ピンク)の2ユニットを壊滅させた。
だがエドワード隊が射撃と白兵戦のコンボでスコットランド軍ユニットを次々と壊滅させていく。やはり諸兵科連合(と言っていいのかな)は強力である。スコットランド軍の右翼危うし。そしてイングランド軍はスコットランド軍左翼に対してもボーモント隊(ピンク)で射撃を浴びせかける。スコットランド軍の累計敗走ポイントは28になり、敗走レベルの30が目前となった。
自由活性を得たスコットランド軍は左翼のマレー伯隊で少しでもイングランド軍に損害を与えようと全力で攻撃する。だが時すでに遅し。敗北チェックで4の目を出し、敗走レベルの30を超えてしまった。
え、これってもしかして「スコットランド人への鉄槌」エドワード一世に続いて息子のエドワード二世もスコットランドを実効支配するようになるってこと? 優柔不断で軍政ともに能力がなかったエドワード二世がスコットランドの英雄ロバート一世を破ったってことになっちゃうの? バノックバーン700周年のスコットランド独立住民投票も無し?!
つづく
(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)
2022年8月7日日曜日
スコットランドの独立のために-Freeedooom!! Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ⑤
左翼(マップ上方)で敗走していた4ユニットを回復させたスコットランド軍は、続いて右翼のキャリック伯の部隊(緑)で攻撃に出る。
キャリック伯の部隊はイングランドの中央ヘレフォード伯率いる重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)部隊の側面からの突撃で損害を被っていたが、長弓兵による射撃で重装騎兵を混乱させてから槍兵の白兵戦攻撃で敗走させる。そして残り3ユニットとなっているイングランド軍左翼(マップ下方)のクリフォード隊(青)にダメ押し。クロスボウを壊滅させ、継続攻撃(Continued Attack)でクリフォードとスタックしている槍兵を混乱状態にした。
スコットランド軍はさらに左翼のマレー伯の継続活性に成功した。この連携プレイこそスコットランド軍の持ち味。先ほど4ユニットを正常状態に回復させているので強気で攻撃に出る。長弓兵で射撃戦を行った後、対応射撃に臆することなく正面のイングランド軍ボーモント隊(ピンク)の長弓兵にとりつき、白兵戦で2ユニットを混乱状態にさせた。イングランド軍はボーモント隊の長弓兵を下げ、同隊に2ユニットしかいない槍兵でマレー伯隊の前に戦列を引くのがやっとだ。
スコットランド軍は攻撃の手を緩めない。左翼のマレー伯隊が突進を続ける。小川の対岸にも兵を送り、射撃と白兵戦のコンボでボーモント隊の長弓兵を1ユニット壊滅させる。そして中央寄りでは戦斧兵(Axe Infantry, AX)がクリフォード隊(黄色)の重装騎兵を敗走(Retired)させた。
戦斧兵はこのシナリオにのみ登場する兵種で、特別ルールでシルトロン状態の槍兵とスタックができる。Men of Ironシリーズは基本的にスタック禁止なので、スタックできるというだけでなんか気分が上がる。シルトロン隊形を組んでしっかりと守っている槍兵の背後に潜んでおいて、敵の隙をついて飛び出し斧をふるって襲い掛かる、というイメージらしい。実際、ユニットのイラストも斧を振り上げ飛びかかっているようなもの。攻撃力は槍兵よりも高いが、防御では劣るという、攻撃向きの兵種である。
ただこのシナリオではスコットランド軍が攻撃する側のため、シルトロン状態の槍兵とスタックしているのは、スコットランド軍の戦い方にもよるがおそらく初期配置の時ぐらいである。特別ルールを読んでいるときはなんか期待しちゃったんだけどな。
イングランド軍は右翼(マップ上方)のボーモント隊(ピンク)の多くが混乱状態になっているため、回復に努める。その間、スコットランド軍は今度は右翼(マップ下方)で攻勢に出た。キャリック伯の部隊がクリフォード隊(青)に攻撃を仕掛け、1ユニットが敗走、1ユニットが壊滅。クリフォード隊は残り1ユニットとなった。
スコットランド軍の左右両翼からの攻撃でイングランド軍の累積敗走ポイントは23になった。一方スコットランド軍は11だ。この戦いのイングランド軍の敗走レベル(Flight Level)は40,スコットランド軍は30。累積敗走ポイントにサイコロの目を足して敗走レベルを超えた側が負けになるので、ややスコットランド優勢と言える。イングランド軍としてはなんとかスコットランド軍の勢いを弱めないといけない。
イングランド軍はエドワード二世を活性化。エドワード二世はイングランド軍最大兵力を率いているのに活性化値が2しかないので自由活性化のときぐらいしか動くことを期待できない。最左翼(マップ下方)、小川の向こうの長弓兵3ユニットでスコットランド軍右翼のキャリック伯隊(緑)の側面に射撃を浴びせかけ、槍兵を1ユニット壊滅させる。やはり長弓兵は怖い。
そしてエドワード周辺でじわじわと槍兵の大群が隊列を整えていく。さらには戦いの最初のころに右翼に派遣していた長弓兵2ユニットもエドワード本隊のいる左翼に呼び戻し、長弓兵の射撃と槍兵の白兵戦のコンボができる態勢を取ろうとする。
だがエドワード隊の前面にはヘレフォードの重装騎兵部隊(緑)、それにクリフォード隊の残存ユニットがいて邪魔である。ただでさえエドワードは士気範囲が2とかなり狭い。指揮下(In Command)の自隊ユニットが隣接して続いていれば連鎖効果でエドワードと離れていても指揮範囲外にならないのだが、他の部隊と混在しているとそれもなかなか難しい。エドワード隊を有効に使うには隊がまとまっていなくてはならず、そのためには前線整理が必要になってくるのだが、スコットランド軍がそのような余裕を与えてくれるかどうか。
つづく
(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)
2022年8月3日水曜日
スコットランドの独立のために-Freeedooom!! Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ④
イングランド軍はマップ右下から増援も登場し、大量の槍兵を擁するエドワード隊がようやく態勢が整ってきた。スコットランド軍は慎重に攻めていたら兵力差で押し切られる可能性がある。右翼(マップ下方)のキャリック伯の部隊がさらに前進、敵の長弓兵2ユニットを壊滅させる。これでイングランド軍左翼のクリフォード隊(青)は槍兵2ユニットに混乱状態のクロスボウ1ユニットを残すのみとなった。
続けて中央のロバート一世率いる主力が前進、と思いきや、継続活性に失敗。指揮官の活性化値が高いのがスコットランド軍の売りなのに、どうした。
逆にイングランド軍は、右翼のヘンリー・ボーモント(Henry Beaumont, 1st Baron Beaumont)の部隊(ピンク)が射撃をしたのち、継続活性で中央のヘレフォード伯(Humphrey de Bohun, 4th Earl of Hereford)率いる重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)が動く。突出して側面をさらけ出しているスコットランド軍右翼キャリック隊(緑)に突撃。横から騎兵の突撃をくらって槍兵が瞬殺された。
じわじわと損害が増えていっているスコットランド軍。ここでマレー伯の軍旗(Standard)を活性化。敗走状態(Retired)だった4ユニットを士気回復(Rally)させる。
Men of Ironシリーズでは、戦闘結果で敗走(Retired)が出たユニットは、自隊の軍旗のヘクスもしくはその隣接へクスまで動かされる。軍旗は自軍のかなり後方に配置されていることも多く、この動きをテレポーテーションと評しているレビューもあった。
だがこれは、士気喪失した兵たちが軍旗を目指して逃げている過程をいちいち再現する手間を省くため、便宜的にユニットを瞬間移動させているのだと思う。実際、敗走の結果を受けたユニットが遠く離れたところにある軍旗まで瞬間移動させられたとしても、軍旗をすぐに活性化して敗走ユニットが士気回復してすぐに再び動く、というケースはプレイをしていてもそうそう起こらない(と思う)。つまり、遠いところまで瞬間移動したユニットがそこからすぐに動き出す可能性は低く、実際はいくつかの活性化が行われたのちに士気回復するケースがほとんどだ。それまでの間、兵は一目散に逃げており、ただしユニット自体は便宜的に軍旗のところに移動させているのだと好意的に解釈しています。
SPI/S&TのGreat Medieval Battlesという中世の戦いをシミュレートしたシリーズでは、敗走したユニットは実際に毎ターン数ヘクス逃げていくが、難易度の低いゲームを指向しているMoIシリーズは簡略化のためにこういう処理にしたのではないだろうか。ルールブックのイントロダクションにも「細かい点は省略されるか全体的なシステムに組み込まれている」と述べているし。
ちなみにGreat Medieval Battlesでは敗走していく兵士を引き留めるために指揮官があちこち走り回る、という状況がよく見られる。なんか、ヘイスティングスの戦いでノルマンディー公ギヨーム2世(征服王ウィリアム一世)戦死の噂に動揺した兵士たちに、ギョームが兜を脱いで健在であることを示して士気回復させた、というバイユーのタペストリーに描かれているエピソードを思い出しますな。なおGreat Medieval Battlesにはバノックバーンのほか、クレシー、ナヘラとMoIと同じ戦いが3つ含まれていて、比較するのも面白い。個人的にはMoIのほうが好きですが。
先ほどの重装騎兵の突撃に続いてさらに敵に攻勢を仕掛けたいイングランド軍はSeizureカウンターを使用して継続奪取(Seizure)を試みる。だが、失敗。逆に自由活性を得たスコットランド軍はマレー隊(青)を活性化させ、先ほど敗走状態から回復して混乱状態となっていた4ユニットを正常の状態に戻した。マレー隊は残存ユニットが9なので、そのうち4ユニットが前線に復帰できるのは大きい。これで左翼でも再び攻勢に出られるはずだ。
つづく
(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)
2022年7月29日金曜日
スコットランドの独立のために-Freeedooom!! Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ③
自由活性を得たイングランド軍はエドワード二世(水色)を活性化させ、混乱状態の槍兵の回復に努めるとともに、右翼(マップ上方)の長弓兵2ユニットを前線に出す。そして敵の中央主力が出遅れているのを見たグロスター伯(黄色)が、重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)で左右に突撃を仕掛ける。槍兵(Pike, PK)1ユニットが壊滅、1ユニットが敗走(Retired)した。
だがスコットランド軍の中央主力を率いるロバート一世(黄色)が即座に反撃。グロスター隊のMMを1ユニット壊滅させた。
このスコットランド王ロバート一世、映画「ブレイブハート」ではいまいち頼りないというか優柔不断な感じで描かれているが、この戦いのときは脂ののった40歳で、少数の兵でイングランドの大軍に立ち向かっている。このゲームで描かれている戦いの前日に行われた前哨戦では、敵指揮官と一騎打ちをおこなって戦斧で相手の頭を真っ二つに叩き割り、スコットランド軍の士気を大いに高めたそうだ。
ロバート一世はバノックバーンの大勝によってイングランドの脅威を打ち払っただけでなく、独立した王国としてのスコットランドを確立しているのである。スコットランド人にとってこの勝利は神話のごとく語り継がれるものになったらしい。ウィリアム・ウォレスよりすごいんじゃないの。
ちなみにイングランドは1066年のノルマンコンクエストでフランスからノルマン系の貴族が多くわたってきたが、スコットランドもノルマン系の貴族が多かったらしい。ロバート一世のブルース家もノルマン系だそうだ。なんか、一騎打ちをやって斧で相手の頭を叩き割るなんて、荒ぶるヴァイキングの血が脈々と受け継がれている感じ。「ヴィンランド・サガ」でも結構斧を使ってますよね。3世紀ぐらい時代が離れているけど。
さらにちなみに、ヴァイキングと言えば映画「The Northman」が公開されましたね。https://www.focusfeatures.com/the-northman
アムレートというスカンディナヴィアの伝説上の人物をもとにした映画だそうだけど、このアムレート、シェイクスピアの「ハムレット」の主人公の原型となったと言われている。
閑話休題。他の部隊もロバート一世に続け、活性化値の高さは伊達じゃないはず、と言いたいところなんだけど、継続活性に失敗。60%の確率で成功するはずなんだけどな。
スコットランド軍、イングランド軍ともに継続活性に失敗し続け、交互に1部隊ずつの活性化が続く。イングランド軍は両翼の長弓兵の部隊で射撃、スコットランド軍も両翼の部隊で射撃&白兵戦。だが両軍ともに相手に大きな損害を与えることができない。
イングランド軍は先ほど突撃したグロスター伯の重装騎兵部隊(黄色)を動かす。中央から左右に分かれるように攻撃していったため、左翼方面(マップ下方)に混乱状態で残っていた1ユニットを部隊主力のほうに退避させるとともに、右翼方面で攻撃。混乱状態だった槍兵を敗走、長弓兵を壊滅させる。さらに継続攻撃(Continued Attack)で敵マレー伯のもとまで切り込み、戦斧兵(Axe Infantry, AX)を混乱状態にした。
重装騎兵部隊の猛攻にスコットランド軍は冷静に対処。突出してきた重騎兵を包囲攻撃で敗走させる。そして右翼(マップ下方)のキャリック伯が前面のイングランド軍左翼に射撃&白兵戦攻撃。ここのクリフォード隊(青)には長弓兵4ユニット、クロスボウ2ユニットがあったのだが、長弓兵は半減、さらに残っているユニットも半数が混乱状態となった。
左翼が押され気味なのを見て、イングランド軍は増援をマップ右下端から登場させる。増援はエドワード隊(水色)に所属していて本隊とは離れた位置に現れることになるが、長弓兵3ユニットが含まれているため、長弓兵が消耗している左翼を強化できるはずだ。
そうはさせるか、とスコットランド軍はSeizureカウンターを使って継続奪取(Seizure)を試みる。増援が攻撃してくる前に敵左翼にさらなる損害を与えてモメンタムを維持するのだ。だが70%の確率で成功するはずだったが、失敗。自由活性を得たイングランド軍はエドワード二世を活性化させる。増援として登場した長弓兵3ユニットが急進、スコットランド軍右翼キャリック伯の長弓兵を敗走、槍兵を壊滅させた。
初期配置では分散していたエドワード隊(水色)も、エドワードの周りに集まって混乱状態から回復してきている。スコットランド軍は右翼に現れた敵増援の長弓兵に加え、エドワード本隊の多数の槍兵が戦闘に参加するようになったらかなり苦戦することになるだろう。そうならないうちに高い活性化値を生かして戦いのイニシアティブを握り、イングランド軍に有効な対応をする余裕を与えないようにしたい。
つづく
2022年7月27日水曜日
スコットランドの独立のために-Freeedooom!! Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ②
両プレイヤーがサイコロを振り、イングランド軍先攻となった。まずはエドワード二世(水色)を活性化。混乱状態(Disordered)で散らばっている多数の槍兵(Pike, PK)を集結させるとともに、マップ右下にある増援登場へクスをエドワード隊の槍兵が塞いでいるため、空けて増援が登場できるようにするためだ。
増援は長弓兵(Longbow, LB)3ユニットと槍兵4ユニット。槍兵は他のユニット同様混乱状態で登場しエドワードの指揮範囲に入らないと回復できない。しかも指揮範囲外状態(Out of Command)のユニットは接敵できないため、はっきり言って増援の槍兵には期待ができない。だが長弓兵3ユニットは強力だ。指揮範囲外でも射撃ができるので、スコットランド軍右翼(マップ下方)を脅かすことができる。
続けてグロスター伯の部隊(黄色)を継続活性。一人突出しているグロスター伯ギルバート・ド・クレア(Gilbert de Clare, 8th Earl of Gloucester)を自部隊のところまで退避させる。さらに左翼(マップ下方)のロバート・クリフォード(Robert Clifford, 1st Baron de Clifford)の長弓兵中心の部隊(青)が継続活性に成功。長弓兵とクロスボウを前進させて戦列を引く。
イングランド軍が着々と態勢を整えていったが、やっとスコットランド軍に自由活性が移る。スコットランド軍の槍兵はシルトロン(Schiltron)という防御隊形で初期配置されている。シルトロン状態の場合、移動や攻撃はできないが、戦闘結果で退却が出ても無視できるうえ、他のシルトロン状態のユニットと隣接している場合、側面(flank hex)も前面(front hex)として扱われて攻撃を受けても不利なサイの目が発生しない。さらには重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)はシルトロンの槍兵の前面から突撃(Charge)はかけられないうえ、白兵戦(Shock)で攻撃しようとしても白兵戦忌避チェック(Shock Reluctance DR)に成功しないといけない。
というようにシルトロンはいろいろと防御に有利なうえ、スコットランド軍はかっちり戦列を引いており両翼は小川(Burn)などによって守られている。このまま固く守っていたらいいんじゃないのと思ってしまうんだけど、この戦いではスコットランド軍は積極的に攻撃をしかけないといけない。そもそも時間制限(Timed Engagement)がスコットランド側にかけられているうえ、守っているだけだと分散して混乱状態だったイングランド軍の多数の槍兵が態勢を整えるだけでなく、長弓兵による射撃で一方的に損害を受けることになりかねない。スコットランド軍としては、自軍指揮官の高い活性化値を生かして積極的に攻撃していく必要があるのだ。
スコットランド軍右翼(マップ下方)のキャリック伯エドワード・ブルース(Edward Bruce, Earl of Carrick)の部隊(緑)がシルトロン状態を解除して前進し、長弓兵は敵と射撃戦を開始する。ちなみにこのエドワードは中央で主力を率いるスコットランド王ロバート一世の弟である。
そして左翼(マップ上方)のマレー伯トーマス・ランドルフ(Thomas Randolph, 1st Earl of Moray)の部隊(水色)が動く。長弓兵で射撃戦を仕掛けたのち、槍兵が前進して白兵戦に持ち込む。
Men of Ironシリーズでは敵の長弓兵など射撃ユニット(Missile Unit)の前面へクスに移動した場合、対応射撃(Reaction Fire)を受ける。隣接へクスへの長弓兵の射撃は+2DRMとなり、70%の確率で混乱してしまう。対応射撃を受けたのち、混乱状態で白兵戦を仕掛けると-2DRMと不利になるのだが、MoIシリーズの白兵戦では攻守の兵種の組み合わせでサイの目修正が発生し、槍兵が長弓兵を攻撃する場合は+2となるので混乱状態での攻撃の-2は相殺される。さらに長弓兵の白兵戦防御DRM(Shock Defense DRM)は+1なので、それらを合計すると混乱状態で攻撃しても+1のサイの目修正となるのだ。
長弓兵の数で劣るスコットランド軍としては射撃戦だけやっていると不利になる。そのためスコットランド軍は長弓兵からの対応射撃を受けながらも積極的に突っ込んでいったのだ。長弓兵に突進していくというとクレシーやポワティエ、アザンクールの悲惨な結果が思い浮かぶけれど、あれはすべて思い上がったフランス軍の愚行、じゃなかった長弓兵が防御に適した地形に陣取っていたときの話。このバノックバーンでは長弓兵は平地(Clear)にいるため白兵戦の攻撃をもろに受ける。
ただし敵の対応射撃で混乱状態になったユニットは、射撃にはかなり脆弱になり、白兵戦ののちイングランド軍に活性化が移ると長弓兵のいい餌食になってしまう。だがスコットランド軍は高い活性化値を誇るのだ。継続活性でたたみかけ、敵に対応する余裕を持たせることなく複数の方面で圧迫し続ければいい。
という目論見で積極的に打って出て、槍兵3ユニットが敵長弓兵に接敵する。1ユニットが対応射撃で混乱状態になったが、他の2ユニットは無傷。ラッキー。だが続く白兵戦ではサイの目が悪く、長弓兵に対する3つの攻撃がすべて失敗におわる。さらには継続活性に失敗、イングランド軍に自由活性が移る。あれ、やばいんでないの。
つづく
(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)
2022年7月25日月曜日
スコットランドの独立のために-Freeedooom!! Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ①
スコットランドといえば、ウィスキー、それにええと、なんか寒そうなところ? あ、そうだ、バグパイプもスコットランドでしょ? ぐらいしかイメージが浮かばなくて、2014年に独立を問う住民投票を実施というニュースを見たときには、なんで独立なの、とピンとこなかった。高校の世界史で、エリザベス女王の後にイングランドと同君連合になってステュアート朝が成立したって習ったのは覚えているけど、思い出せるのはそれぐらい。
ステュアート朝までのスコットランドの歴史をちょっと調べてみると、一応独立した王国としてずっと続いていたらしい。でもまあ基本、イングランドにやられっぱなしというか、イングランドの目が大陸に向いているときにフランスと組んで後ろからちょろちょろと手を出したり、薔薇戦争などイングランド内部のごたごたに乗じて兵を出したりするけれど、イングランドが本気で攻めてきたらあっという間に負けてしまう、という感じの歴史らしい(スコットランドのみなさん、ごめんなさい)。
そんなスコットランドにとって貴重な勝利が、1314年のバノックバーンの戦いなのである。このバノックバーンでイングランドに負けていたら、ウェールズ同様イングランドの植民地になっていただろう、と書いている本もあったりする。
前述の2014年の住民投票はバノックバーン700周年にあたり、おそらくスコットランド人のイングランドに対する敵愾心、じゃなかった独立心が刺激されたんでしょうな。バノックバーン関連の本もいくつかこの年に出版されている。
イングランド出身の知り合いは「え、スコットランド独立の住民投票? いや……現実的じゃないというか、独立したって経済的にやっていけないでしょ」とちょっとあきれ顔で言っていたけど、スコットランド人にしてみたら経済ではなくプライドの問題なのでしょう。
イングランドに大勝しスコットランドの独立を守ったバノックバーンの戦いは、SPI/S&TのThe Great Medieval BattlesシリーズやポーランドのTaktyka i Strategiaからもゲームが出されている。BGGかどこかで、スコットランド人としては買わざるを得ないと書いている人もいたな。
でもスコットランドでイングランドに立ち向かったと言えば映画「ブレイブハート」のウィリアム・ウォレスでしょ、と思うかもしれない。けれど、ウォレスが活躍したのはバノックバーンのちょい前。スコットランドに侵略し「スコットランド人への鉄槌(Hammer of the Scots)」と呼ばれるイングランド王エドワード一世に対してウォレスは立ち上がったものの、最後は捕らえられ、「フリーダーム!」と叫んで処刑される。で、あの映画の最後に描かれているのがバノックバーンである。(ちなみに、Hammer of the Scotsというゲームもある)
というわけで、Men of Iron Tri-Packのバノックバーンをやってみることにした。MoIは正直、バランスがよくないシナリオが結構あるが、このバノックバーンはバランスが取れているらしい。そもそも、最初の活性化も両軍がサイコロを振って大きめを出したほうから始める、というもの。初期配置は写真のとおり。兵数で勝るうえに長弓兵の数も多く、さらには強力な騎兵も擁するイングランド軍に対し、指揮官の活性化値の高さで対抗するスコットランド軍という戦いになる。なお、スコットランド軍の槍兵(Pike, PK)はシルトロン(Schiltron)という防御隊形となっている。
イングランド軍最大兵力を率いるのがイングランド王エドワード二世(水色)なのだが、活性化値が2と低いうえに、指揮範囲も2しかない。そのうえ麾下の部隊は戦場に広く散らばっており、その大兵力を有効に活用すのはむずかしい。
さらに、混乱状態で行軍した挙句に前夜は湿地帯で野営したことを反映して、イングランド軍の槍兵(Pike, PK)はすべて混乱状態でゲームを開始する。そして最初の混乱状態からの回復には、自隊指揮官の指揮範囲にいないと回復できないという特別ルールがある。士気範囲2しかないエドワード二世が自隊の槍兵を混乱状態から回復させるには結構時間がかかるはずだ。
一方のスコットランド軍は、総指揮官(Overall Commander, OC)ロバート一世(King Robert I)の活性化値が5,さらに他の2人の指揮官の活性化値は4と高い。しかもロバート一世は活性修正(Effectiveness)という値も持ち、指揮範囲内にいる指揮官は継続活性のサイの目が1有利になる。見てのとおり戦場は広くないので2人の指揮官はロバート一世の指揮範囲にとどまり続けるだろうから、実質的にスコットランド軍は3人の指揮官全員が活性化値5ということになるのだ。
ちなみに、イングランド軍の指揮官の活性化値は、2しかないエドワード二世のほか、騎兵部隊の指揮官二人が4,長弓兵部隊の指揮官二人が3である。
スコットランド軍の不利な点と言えば兵数で負けているということ。特に長弓兵の数ではスコットランド軍6に対しイングランド軍は計16もある。騎兵に関しても、イングランド軍には重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)がいるのに対し、スコットランド軍はHobilarという軽騎兵が2ユニットしかいない。ただ両側を川に挟まれた比較的狭い戦場であることを考えると、騎兵が活躍できる余地はそれほどなく、スコットランド軍にとっては敵長弓兵にどう対処するかが問題になる。
つづく
(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)
共和国軍の攻勢から反乱軍の反撃、そして機動戦から消耗戦へ Brunete 1937 (Alea43) AAR part5
●第5ターン 残り2ターンである。このゲーム、序盤は共和国軍が圧倒的に優勢であるものの、反乱軍には続々と増援が登場する。下の写真はこのショートシナリオが扱う第1~6ターンの両軍の増援で、一目瞭然、共和国軍には微々たる数しか現れないのに対し、反乱軍は大量の援軍を受け取る。ヒスト...
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今年のウォーゲームライフを振り返ってみると、ナポレオニックのゲームをやったり関連書籍を読んだりすることがわりと多かったかなと思います。自分もまわりも、いつもはナポレオニックあんまりやらないんですけどね。ブログでもAARや書籍紹介やら、見返してみると自分にしてはわりと書いたなあ。...
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アウステルリッツなんて自分でも知っているぐらいの有名な会戦ですけど、あの戦い関連の本って意外と少ない、って感じのつぶやきを目にしまして。へ、そうなの、と思って調べてみました。いやー、三連休だというのに仕事が溜まっているから、こういう逃避作業が進むこと進むこと。でもよく考えたら...
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いつもナポレオニックについて勉強させていただいているDSSSMさんがこんなポストをしていまして。 『ナポレオン戦争の会戦と戦術』発売日 2026/04 ロリー・ミュア 著 佐藤俊之 訳 定価 6,380円 (本体価格5,800円) うおおおおおおおおおおおお。 買います買い...




































