2022年8月3日水曜日

スコットランドの独立のために-Freeedooom!!  Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ④

  イングランド軍はマップ右下から増援も登場し、大量の槍兵を擁するエドワード隊がようやく態勢が整ってきた。スコットランド軍は慎重に攻めていたら兵力差で押し切られる可能性がある。右翼(マップ下方)のキャリック伯の部隊がさらに前進、敵の長弓兵2ユニットを壊滅させる。これでイングランド軍左翼のクリフォード隊(青)は槍兵2ユニットに混乱状態のクロスボウ1ユニットを残すのみとなった。

 続けて中央のロバート一世率いる主力が前進、と思いきや、継続活性に失敗。指揮官の活性化値が高いのがスコットランド軍の売りなのに、どうした。

 逆にイングランド軍は、右翼のヘンリー・ボーモント(Henry Beaumont, 1st Baron Beaumont)の部隊(ピンク)が射撃をしたのち、継続活性で中央のヘレフォード伯(Humphrey de Bohun, 4th Earl of Hereford)率いる重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)が動く。突出して側面をさらけ出しているスコットランド軍右翼キャリック隊(緑)に突撃。横から騎兵の突撃をくらって槍兵が瞬殺された。


 じわじわと損害が増えていっているスコットランド軍。ここでマレー伯の軍旗(Standard)を活性化。敗走状態(Retired)だった4ユニットを士気回復(Rally)させる。

 Men of Ironシリーズでは、戦闘結果で敗走(Retired)が出たユニットは、自隊の軍旗のヘクスもしくはその隣接へクスまで動かされる。軍旗は自軍のかなり後方に配置されていることも多く、この動きをテレポーテーションと評しているレビューもあった。

 だがこれは、士気喪失した兵たちが軍旗を目指して逃げている過程をいちいち再現する手間を省くため、便宜的にユニットを瞬間移動させているのだと思う。実際、敗走の結果を受けたユニットが遠く離れたところにある軍旗まで瞬間移動させられたとしても、軍旗をすぐに活性化して敗走ユニットが士気回復してすぐに再び動く、というケースはプレイをしていてもそうそう起こらない(と思う)。つまり、遠いところまで瞬間移動したユニットがそこからすぐに動き出す可能性は低く、実際はいくつかの活性化が行われたのちに士気回復するケースがほとんどだ。それまでの間、兵は一目散に逃げており、ただしユニット自体は便宜的に軍旗のところに移動させているのだと好意的に解釈しています。

 SPI/S&TのGreat Medieval Battlesという中世の戦いをシミュレートしたシリーズでは、敗走したユニットは実際に毎ターン数ヘクス逃げていくが、難易度の低いゲームを指向しているMoIシリーズは簡略化のためにこういう処理にしたのではないだろうか。ルールブックのイントロダクションにも「細かい点は省略されるか全体的なシステムに組み込まれている」と述べているし。


 ちなみにGreat Medieval Battlesでは敗走していく兵士を引き留めるために指揮官があちこち走り回る、という状況がよく見られる。なんか、ヘイスティングスの戦いでノルマンディー公ギヨーム2世(征服王ウィリアム一世)戦死の噂に動揺した兵士たちに、ギョームが兜を脱いで健在であることを示して士気回復させた、というバイユーのタペストリーに描かれているエピソードを思い出しますな。なおGreat Medieval Battlesにはバノックバーンのほか、クレシー、ナヘラとMoIと同じ戦いが3つ含まれていて、比較するのも面白い。個人的にはMoIのほうが好きですが。


 先ほどの重装騎兵の突撃に続いてさらに敵に攻勢を仕掛けたいイングランド軍はSeizureカウンターを使用して継続奪取(Seizure)を試みる。だが、失敗。逆に自由活性を得たスコットランド軍はマレー隊(青)を活性化させ、先ほど敗走状態から回復して混乱状態となっていた4ユニットを正常の状態に戻した。マレー隊は残存ユニットが9なので、そのうち4ユニットが前線に復帰できるのは大きい。これで左翼でも再び攻勢に出られるはずだ。



つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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