2022年9月9日金曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ④

  マップ下方のSB部隊(青)の奮戦で敵陣地の一角が空いた。そこにすかさずフランス軍はパイク兵部隊(黄土色)を前進させる。

このパイク兵はフランス北東部のピカルディ地方の兵ということになっており、射撃能力はなくパイク兵のみで構成されている。イタリア戦争中に歩兵に火縄銃兵を配備するという編成が普及していき、このラヴェンナの戦いでもドイツ傭兵のランツクネヒトやフランス軍のSB部隊を構成するイタリア兵には火縄銃兵が含まれている。またスペイン軍の歩兵はスペインのSBと教皇軍のパイク兵から成るが、すべて射撃能力がある。フランスはこういう戦術の進化にすこし遅れていたってことなんですかね。


 そして右翼(マップ上方)の砲兵部隊(緑)で砲撃。かなりラッキーなことに敵の砲兵1ユニットを壊滅させた。敵中央に少しずつほころびが出てきている。パイク兵部隊に続けてそろそろランツクネヒトを投入するタイミングか。


 スペイン軍は中央の砲兵でやり返す。身を隠すことができない場所にいる歩兵など砲撃のいい餌食である。クロスボウとランツクネヒト1ユニットを敗走させた。

 そして川の対岸から砲撃を受けるようになった左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)だが、このままでは一方的に損害が増えるだけだ。砲撃の有効射程外に退避させる。



 対岸からの砲撃で動揺した敵が動いた。今こそ好機! そう見て取ったフランス軍は、最右翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(黒)が塁壁と川の間隙から敵陣内に突入し、怒涛のチャージ。重装騎兵集団の突撃はすさまじく、スペイン軍の重装騎兵1ユニットが壊滅、さらに掩蔽状態だったSBが敗走した。

 フランス軍は同時に最左翼(マップ下方)の軽騎兵部隊(ピンク)も動かす。当初のプラン通り、左翼で攻勢をかけるのだ。この部隊には長弓兵(Longbow, LB)も含まれており、正面の敵軽騎兵部隊(赤)に射撃で大きな損害を与えた。



 この2部隊同時活性化による多方面での同時攻撃こそフランス軍の持ち味。「スペイン軍はこんな芸当できないでしょ、ぐはは。総指揮官の能力の違いがこういうところで出るのよ」とフランス軍プレイヤーは余裕しゃくしゃく。いや、当時の指揮官の能力の違いであって、プレイヤーの能力の違いじゃないからね、そこんとこ間違わないように。


 ちなみに当時、主要な射撃兵器はクロスボウから火縄銃に移っていっていたが、弓兵も依然として使われていた。日本の戦国時代でも、火縄銃が伝来した後も弓矢が使われていましたよね。フランスのフランク弓兵(Franc-archer)は1535年まで存続していたし、イングランドではラヴェンナの戦いの約80年後、16世紀末になって長弓の廃止が正式に決まっている。このラヴェンナの戦いでは弓兵やクロスボウ、火縄銃、それに砲兵と新旧様々な兵種が含まれているが、中世から近世の過渡期というイタリア戦争っぽい。


 左右両翼からの同時攻撃で大きな損害を受けたスペイン軍。さらに右翼(マップ下方)方面には敵重装騎兵部隊(赤)が後詰めとして続いている。このままでは右翼は粉砕され、史実通り後方に回り込まれてしまう。

 スペイン軍は砲撃でランツクネヒトを1ユニット敗走させたのち、歩兵部隊(茶色)を動かす。右翼に救援を差し向ける一方、左翼(マップ上方)に突撃してきた敵重装騎兵を攻撃、敵の衝力を奪った。


 これで一息、と思いきや、右翼の壕沿いの歩兵ユニットは混戦状態なので、自部隊が活性化したら攻撃せざるを得ない。攻撃側混乱など多くは不利な結果となったが、1ユニットが奮戦し敵のSBを壊滅させる。だが戦闘後前進の際の壕越え混乱チェックに失敗、混乱状態になった。スペイン軍側から壕・塁壁越しに攻撃する場合、混乱チェックはないのだが、戦闘後前進で壕を越える場合はチェックが課されるのだ。正面の敵を壊滅させ勢いに乗って壁や壕を越えたものの隊列が乱れてしまった、というイメージか。


 ここでフランス軍が自由活性を得たが、2部隊を活性化しようとして失敗。スペイン軍に自由活性が移る。フランス軍は敵に対応する余裕を与えずに攻撃を継続しようとしていたのに、これは痛い。

 スペイン軍は軍旗(Standard)を活性化させ敗走状態だった4ユニットを混乱状態に戻す。こうして自軍立て直しに努めたうえで、左翼(マップ上方)の重装騎兵が敵騎兵に反撃。指揮官の陣頭指揮で敵ユニットを壊滅させる。だが継続攻撃で敵指揮官直属の重装騎兵に側面から突っ込んだが、攻撃側混乱で混戦状態に。


 騎兵部隊に続けてスペイン軍は歩兵部隊の活性化に成功。左翼(マップ上方)の敵重装騎兵に追い打ちをかけ、右翼では陣地側面に進入してきた敵騎兵部隊を連続射撃で敗走させる。スペイン軍の歩兵にはすべて火縄銃兵が配備されているので射撃能力があるのだ。



 スペイン軍はひとまず両翼での火消しに成功したものの、マップ下方では敵の無傷の重装騎兵部隊(赤)が陣地と湿地の隙間から突入してくるだろう。さらに中央ではランツクネヒトとパイク兵の2部隊が健在のうえ、対岸からの砲撃も無視できない。

 逆にフランス軍は兵数の優位、それに部隊間の連携を生かしてスペイン軍に息をつかせないようにしたい。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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