2022年9月13日火曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ⑤

  フランス軍は左翼(マップ下方)で攻撃を続ける。軽騎兵部隊(ピンク)と重装騎兵部隊(赤)の2部隊の攻撃で、スペイン軍軽騎兵部隊(赤)はほぼ壊滅したうえ、指揮官のペスカーラ侯フェルナンド・ダヴァロスも戦死していしまった。


 このペスカーラ侯、ラヴェンナの戦いの時にはまだ若く経験不足だったようで、他の部隊との連携もないまま騎兵で攻撃をしかけて捕虜になっている。だがその後、軍才を発揮するようになった。Aruquebusの資料として挙げられている本『The Art of War in Italy』では結構称賛されている人物である。

 1522年にはビコッカの戦いでフランスとヴェネツィアの連合軍を破ったのち、1525年のパヴィアの戦いでは神聖ローマ皇帝軍の実質的な総指揮官としてフランス軍に対して決定的な勝利をおさめ、仏王フランソワ一世を捕虜にしている。ちなみにこの2つの戦いはともにArquebusに収録されている。でもね、こんなところでペスカーラ候が戦死しちゃったらパヴィアの戦いはどうなんの?! 伊達男フランソワ一世を捕虜にできないじゃん。


 スペイン軍は砲撃でランツクネヒトをたたく。だが継続活性に失敗。敵の騎兵集団の攻撃で右翼(マップ下方)が危ういのに、この失敗は痛い。でもスペイン軍は自由活性のときしか砲撃ができないから、どうしても砲兵部隊の活性化を優先させてしまうんだよね。


 フランス軍は左翼の騎兵集団2部隊でさらにスペイン軍を追いつめる。長弓兵の射撃、そして騎兵の攻撃でスペイン軍は大きな損害を被った。さらにはスペイン軍の軍旗にも仏軽騎兵が迫る。

 この時点でスペイン軍の累積敗走ポイントは17,フランス軍は16と両軍ともまだ低いが、スペイン軍はマップ下方から回り込んだ騎兵集団によって包囲される危険が出てきた。さらにフランス軍は川の対岸からスペイン軍の軍旗近くのユニットに砲撃を加える。スペイン軍危うし。歴史は繰り返してしまうのか。




 スペイン軍は後方に回り込んできた敵騎兵集団に対し、歩兵で反撃を加える。火縄銃の斉射で、フランス軍の騎兵や長弓兵が次々と倒れていった。スペイン軍の歩兵ユニットはすべて、移動して射撃、さらに白兵戦が行えるのだ。

 またマップ下方の壕沿いでは混戦状態だったフランス軍SBを敗走させる。フランス軍は軍旗周囲がすでに自軍敗走ユニットによって埋め尽くされているためこれ以上の敗走はできず、壊滅となった。SBが除去されると敗走ポイントが5と高いため、かなり痛い。


 部隊が細分化されているフランス軍とは対照的に、スペイン軍の歩兵12ユニットはすべて1部隊にまとめられている。敵軍がこうして両翼から陣内に進入してきた場合、内線の利を生かして対応しやすくなるのだ。

一方で、スペイン軍歩兵は一人しかいない指揮官のペドロ・ナバロの士気範囲内にとどまっておく必要があるため、塁壁を越えて積極的に打って出るということが難しくなっている。このあたりも、防御に固執したというペドロ・ナバロの方針がうまく表現できているように思える。


 スペイン軍は歩兵部隊に続き、左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)で敵騎兵部隊に猛攻を加え、フランス軍の重装騎兵部隊(黒)を壊滅させた。




 両翼で逆にスペイン軍に押し返されているフランス軍は、中央の無傷のパイク兵部隊(黄土色)とその左横のSB部隊(青)で攻撃をかけようとする。

 SB部隊の正面の敵歩兵はほぼすべて混乱状態。こちらも消耗しているとはいえ、敵は兵力をフランス軍騎兵への対応に転用してこちらは手薄になっている。そしてSB部隊と同時に、パイク兵部隊で敵陣地の角にあたるところのスペイン軍歩兵に集中攻撃をかけ、損害を恐れずWagon Gunを攻撃していくのだ。中央方面で兵力にものを言わせて圧力をかけ、左翼の騎兵部隊で挟み撃ちにしてやる。


 だが、無情にも活性化チェックのサイの目は8で失敗。ぐはっ。ここでスペイン軍に自由活性が移ってしまうとは。部隊間の連携がフランス軍の勝因じゃなかったのかよ。


 スペイン軍は自軍の軍旗近くにまで突出してきていた敵軽騎兵を連続射撃で壊滅。さらに右翼(マップ左方)に攻撃を仕掛け、長弓兵や重装騎兵を壊滅させていく。フランス軍の累計敗走ポイントは39に上った。フランス軍の敗走レベルは45で、累計敗走ポイントとサイの目を出してこの数を超えると負けてしまう。これはまずい。


 フランス軍は軍旗を活性化させ、敗走状態の7ユニットを士気回復。一気に累計敗走ポイントが32に下がる。そして無傷のパイク兵部隊で今度こそ攻撃をかけるのだ。だが継続活性に失敗。ぐはっ。またかよ。1部隊だけでの継続活性の場合、60%で成功するはずなのに。総司令官のガストン・ド・フォアは将として優れているとはいえまだ20代の若者。部隊の統率にはもっと経験が必要だったということか。


 自由活性を得たスペイン軍は右翼(マップ左方)で畳みかける。計算どおりに部隊が動かず残念だったな、ガストン・ド・フォアくん。認めたくないかもしれないが、若さゆえの過ちというものだよ。

 フランス軍の軽騎兵部隊(ピンク)は全滅、重装騎兵部隊(赤)も残り1ユニットとなった。さらにスペイン軍は壕沿いで射撃を行い、SBを壊滅させる。フランス軍の累計FPは42に。スペイン軍はいまだに17だ。

 敗北がほぼ決定的なフランス軍は最後のあがきを見せ、SB部隊の残存兵力すべてを投入して攻撃をしかける。フランス軍の誇りを見せろ! そしてド・フォアも史実と同じく敵に突っ込んで華々しく散るがいい! …いや、ド・フォアが戦死したのは勝ち戦の最後だからね。そしてその後の敗北チェックで4を出し、負けとなった。


 あまり動きのない陣地戦かと思いきや、フランス軍はいつどこでいくつの部隊を動かすか考えないといけないし、陣地両端から騎兵の攻撃、対岸からの砲撃と、結構変化があって両プレイヤーとも楽しめました。後半、パイク兵部隊の活性化に成功し、ランツクネヒト部隊も投入できていたらスペイン軍はもっと苦しくなったはず。敵陣後方に回り込んだ騎兵集団に入れ込みすぎたかも。あと、スペイン軍プレイヤーとしてはペスカーラ侯の見せ場が欲しかったかな。でもペスカーラ侯が活躍するようになるのはラヴェンナの後ですから。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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