2022年9月7日水曜日

歩・騎・砲の連携で敵陣を抜け  Ravenna 1512 - Arquebus(GMT) AAR ③

  着々とフランス軍が攻撃準備を整えていったが、やっとスペイン軍に自由活性が移る。歩兵部隊(茶色)を活性化させ、スペイン軍の弱点と思われる右翼(マップ下方)に一部ユニットをシフトさせるとともに、砲撃を受ける位置にいるユニットは掩蔽状態(Entrenched)にする。


 このシナリオの特別ルールでスペイン軍の歩兵は掩蔽状態になることができ、敵の砲撃をほぼ無力化できる。だが掩蔽状態では射撃はできないため、敵歩兵が前進して白兵戦を挑んできた場合、対応射撃ができない。掩蔽状態を解除するにも活性化時に何もしないことが条件となるため、敵の動きに対応するための移動などがすぐにはできない。さらに掩蔽状態のときに白兵戦で攻撃されると+1DRMと不利になる。


 続いてスペイン軍は左翼(マップ上方)の重装騎兵部隊(青)を前進、集結させる。これで敵正面の騎兵部隊(黒)も、壕の切れ目と河川の間の狭い隙間から突入してくるということはなかなかできないだろう。


 ここで自由活性を得たフランス軍は、2部隊を同時に活性化しようとしてチェックに失敗。自由活性化の際でも2部隊を活性化しようとすると、30%の確率で失敗となり敵に自由活性が移るのだ。


 スペイン軍は中央の砲兵で砲撃を開始。フランス軍中央、ランツクネヒト前面のクロスボウ部隊が砲火にさらされ次々と被害を受けた。ふん、そんなの計算のうちさ、と平静を装うフランス軍プレイヤー。実際は、クロスボウ部隊で弾除けをするのではなくランツクネヒト部隊を少し後退させておけばよかったと心の中で後悔していた。Arquebusでは砲兵はかなりの射程を持つが、5へクス以上離れるとほとんど効果がないからだ。

 だが、ランツクネヒトの移動力は3しかないため、砲兵から5へクス以上離れるように後退すると一回の移動で壕・塁壁に取り付けない。スペイン軍としては中央からの圧力が減るため他方面に対応しやすくなる。そのためフランス軍は今回のように後退せずに砲撃に耐え、戦機を逃さず前進、壕・塁壁に攻撃をかけるというのがいいのかもしれない。


 一方で、スペイン軍の砲兵部隊(緑)は指揮官がいないため自由活性のときにしか活性化できない。つまり砲撃のタイミングが制限されているわけで、スペイン軍の部隊間の連携の悪さがこういった形でも表されているように思える。そのためフランス軍は多方面でプレッシャーをかけ、自由活性を砲撃に使うべきかどうかスペイン軍が判断に迷うような状況を作り出すべきなのだろう。


 フランス軍は2部隊を同時活性化。右翼(マップ上方)の砲兵部隊(黒)から1ユニットを抽出し、史実同様に迂回渡河を始める。向こう岸から敵左翼(マップ上方)の重装騎兵に砲撃を加えるためだ。そして中央左翼寄り(マップ下方)の重装騎兵部隊(赤)を左にシフト。こうして両翼からの攻撃態勢を整えていく。




 このシナリオでは砲兵ユニットは両軍とも移動ができないのだが、特別ルールでフランス軍は右翼(マップ上方)の砲兵部隊から1ユニットだけ河の対岸に移動させることができる。史実でもこのような砲兵の移動があったようだけれども、当時すでに砲には野戦で戦術的な機動性があったんですね。なんか意外。砲のことはよく知らないけど。ここの砲兵部隊はフェラーラ公アルフォンソ・デステ指揮下のもので、フェラーラ公は砲の運用に長けていたらしい。


 その後は両軍の砲撃の報酬が続いたが、フランス軍はころはよし、と本格的な攻撃を開始する。自由活性で2部隊を同時活性化し、先ほど渡河を始めた砲兵ユニットを川の対岸に配置。敵重装騎兵に砲撃を加え混乱状態にした。

 そうしてマップ上方で圧力をかけつつ同時に、フランス軍左翼(マップ下方)のSword&Buckler(SB)部隊(青)が動く。スペイン軍歩兵が掩蔽状態になったため砲撃では効果がないが、白兵戦を仕掛けるには有利な状況だからだ。ちなみにSBのBucklerとは、以前チェリニョーラの戦いのAARでも説明したが小さめの丸い盾である。


 SB部隊は敵が掩蔽状態だったため対応射撃を受けることなく壕にとりつき、白兵戦(Shock)を開始。守るスペイン軍歩兵もSBである。壕を渡り塁壁を乗り越えようとするフランス軍に対し、剣で必死に防戦するスペイン軍。両軍が入り乱れての戦いとなり、多くの攻撃が混戦(Engaged)に終わった。


 白兵戦の戦闘結果の混戦は、Men of IronシリーズではBlood&Rosesまでは選択ルールだったがArquebusでは標準ルールとなっていて、防御ユニットが正常状態の場合は60%、混乱状態の場合は40%と結構な確率で出る。

 混戦状態になった場合、離脱(Disengage)しない限り自部隊の活性化時に白兵戦で攻撃をしないといけない。そのため混戦状態のユニットを含む部隊を活性化するのは悩ましい場合も生じる。スペイン軍は歩兵がすべて一つの部隊にまとまっているため、このように一部ユニットが混戦になると、別方面で歩兵を動かす場合でも混戦状態の歩兵ユニットはフランス軍への攻撃を強制される。

 自部隊の活性化の際に攻撃しないようにするためには離脱してそのヘクスから移動するしかないが、混乱状態になるうえ、予備ユニットが空になったヘクスを埋めない限り壕・塁壁の防御拠点を敵に明け渡すことになるのだ。


 ほとんどが混戦となったフランス軍SB部隊(青)の攻撃だが、部隊戦列右端の1ユニットが奮戦する。壕越しの攻撃で混乱状態になりながらも、先の砲撃で被害を受けていた敵Gun Wagonを壊滅させ継続攻撃(Continued Attack)を出す。Gun Wagonとスタックしていた砲兵は雲散霧消した。

 隊形を乱しながらも塁壁を乗り越えるフランス軍SB。混乱状態のユニットは戦闘後前進ができないのだが、継続攻撃の場合は別なのだ。うおおー!!と敵陣に乱入し、さらにGun Wagonと砲兵のスタックを壊滅させたものの、そこで待ち構えていたスペイン軍パイク兵(Pike, PK)に突っ込んでしまい、逆に撃退されてしまった。継続攻撃あるあるである。


つづく




(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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