漫画『アンナ・コムネナ』の第3巻発売を記念してアンナ様関連のゲームがしたくなってきた。発売はもう2か月以上前だろ、なんてツッコミは置いておいて、あの漫画、知り合いの女性が読むと元気になると言っていたので未読の方はぜひ。
漫画を読み返してて第一回十字軍はアンナ・コムネナの父アレクシオスI世が呼び寄せたことを思い出したんだけど、Men of Ironシリーズ(MoI)のInfidelには第一回十字軍の戦いが3つ収録されている。アンナ様のお父様を苦しめた憎っくきボエモンドもDorylaeum 1097とAntioch 1098の二つのシナリオに登場するが、残る1つが今回プレイするAscalon 1099である。
ところでアンナと言ったら「幸せな家族はどれもみな似通っているが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」で有名なあの人ですよね。
……いや、違うから! あのアンナさんも世界的に有名だけど、そうじゃなくてビザンツの皇女のほう。数百年、時代が違うからね。でも正教でつながっていると言えば言えるのかな。
正教と言えば数年前、プーチンが正教会の聖地であるギリシャのアトス山の修道院を訪れていて、正教の力を利用して旧ロシア帝国への回帰を想起させることで国内外への影響力の強化を狙っている、みたいな記事があったな。当然今はウクライナとロシアの正教会は関係が断絶していて、アンナ様がこの現状を見たらどう思うんですかね。というか、そもそもモスクワが第三のローマなんて名乗るなんておこがましい、みたいなツッコミを500年ぐらい前にしてそうだけど。それよりなにより、早くウクライナの戦争が終わることを祈っています。
あれ、何の話してたんだっけ。そうそう、アスカロン。このアスカロンの戦いは第一回十字軍最後の戦いとも言われている。遠く西欧からやってきた十字軍がアンナ様のいるコンスタンティノープルを経由して聖地を目指し進軍。敵地で食糧不足などに苦しみながらも1099年7月にイェルサレムを陥落させる(その際にすんごい住民殺戮が行われるんですがね…)。同市の奪還のためにエジプトのファーティマ朝の宰相アル・アフダルAl-Afdalが軍勢を率いてイェルサレムに迫るものの、十字軍はアスカロンで迎え撃ち散々に打ち破って西欧勢のパレスティナ地域の支配を確立させた、という戦いである。
プレイで使ったゲームはいつものとおりGMTのMen of Iron Tri-pack版。このゲーム、ずっと品切れになっていたんだけど、なんと2nd printがP500に入りました! うひょ~。これで、欲しくて手に入れられなかった方々も一安心ですよ。そういう人たちがどれくらい知らないけど、MoIの魅力を世に広めることへのモチベーションが爆上がりです。
それと、Men of Ironシリーズの第五作目にあたる「Norman Conquests」もP500で順調に位を上げて行っていて、早く発売にならないかなー。ノルマン・コンクエストと言ったらヘイスティングスだけど、それ以外にもノルマン人関係の戦いがいろいろと収録されているようで、たった一人のバイキングが敵を食い止めた逸話の残るStamford Bridgeとか、Civitateの戦いだったらSchwabenの騎士たちの最後の奮戦とか、もう楽しみで楽しみで…。
あれ、何の話してたんだっけ。そうそう、アスカロン。このシナリオの十字軍は3つの部隊(Battle)からなる。各部隊とも騎士、弓兵、槍兵と兵種のバランスが取れた構成であるが、歩兵には重装歩兵(Men-at-Arms, MA)は含まれておらず、強力な騎士も各部隊に3ユニットとやや少ない。
一方のファーティマ朝軍は最前列に弓兵がずらっと並び、その後方に槍兵、そしてさらに後方には騎兵部隊がいる。
十字軍が相手にした東方系の軍隊は騎馬弓兵が特徴で、そのヒットアンドアウェイに十字軍は悩まされ続けたそうだ。Infidelに入っているシナリオのほとんどでも騎馬弓兵がイスラム勢力側の主力となっている。だがファーティマ朝は騎馬弓兵を利用していなかったらしく、このシナリオでも騎馬弓兵は登場しない。
ファーティマ朝はもともとチュニジアのほうから興ってエジプトまで進出しただけに、中央アジアの遊牧系の流れをくむセルジューク・トルコとかとは違うようですね。まあ、重武装の十字軍vs騎馬弓兵主体のイスラム軍っていう対照的な軍隊の戦いは他のシナリオで十分味わえるからいいんですけど。
このアスカロンの戦いは十字軍がファーティマ朝軍の不意を突いたらしく、後方のベルベル中騎兵とマムルーク重騎兵の二部隊はゲーム開始時は混乱状態である。MoIでは混乱状態から回復するにはその部隊の活性化中に何もしないことが条件になるため、この二部隊はすぐには投入できない。さらに十字軍の奇襲時にはマムルークの兵たちはまだ寝ていたらしくて、このシナリオの特別ルールで同部隊は自由活性を使って警報を与えないと混乱状態から回復できない。つまり重騎兵部隊は2回活性化してやっと正常状態になれるのだ。
ユニット数ではファーティマ朝軍が十字軍の1.5倍以上あるが、上述のように騎兵2部隊が混乱状態で始まることから数的優勢を活用するには時間がかかる。さらに十字軍の指揮官は活性化値が高いため、ファーティマ朝軍が対応しきれないうちに十字軍のペースで戦いが展開する可能性が高い。
つづく
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