このシナリオでは最初に両プレイヤーがサイコロを振り、大きい目を出した側から活性化が始まる。アッラーの恩寵か、最初の活性化を獲得したのはファーティマ朝軍となった。十字軍が接近! 眠りこけているマムルーク重騎兵部隊(紫)に警報を与えてたたき起こす。
十字軍は、敵が態勢を整える前に一気呵成に攻撃しようと中央のノルマンディー公ロベール二世(Robert II, Duke of Normandy)の部隊(赤)を前進させるが、後が続かない。対照的にファーティマ朝軍は先ほど警報を与えたマムルーク重騎兵を混乱状態から回復させ、続いてその前面に布陣しているのベルベル中騎兵部隊(緑)も回復させる。
さらにファーティマ朝軍は、混乱から回復したベルベル中騎兵部隊を左翼に展開、歩兵部隊の側面を守らせる。一方の十字軍は各隊をやっと攻撃できる距離まで前進させた。あれ、イスラム側は虚を突かれたんじゃなかったっけ。こりゃ奇襲失敗だろ。
着々と防御態勢を整ていくイスラムの軍勢を見て焦る十字軍は、中央のロベール隊(赤)に攻撃を命ずる。まずは敵のスーダン弓兵に射撃戦を仕掛けた。このスーダン弓兵はフレイルを装備した弓兵(Archers with Flails, AF)という、特殊な弓兵となっている。
ファーティマ朝の軍には多くのスーダン人が含まれていて、その弓兵はフレイルというチェーンでつながった棍棒のようなものを持っていた。まあ、たぶんこんな感じ↓でしょうね。
接近戦ではこのフレイルを振り回して敵をぶん殴っていたらしい。当たったら鎧もろとも骨を砕かれそうで怖い。Men of Ironシリーズ(MoI)では通常の弓兵は白兵戦では脆弱なのだが、スーダン弓兵はこんな狂暴な武器を持っているため強力で、攻防ともに槍兵に勝る。
ただし、スーダン弓兵は射撃をしてしまうとその活性化中は弓兵扱いとなり白兵戦では脆くなる。スーダン弓兵は弓兵同様、敵から射撃を受けると応射(Return Fire)ができるのだが、その直後に白兵戦に巻き込まれると不利なのだ。そのためまず十字軍は射撃戦を仕掛けたのち、すぐに騎士3ユニットを突撃させた。
射撃をしていたスーダン弓兵はフレイルに持ち帰る余裕もなく騎士の突撃を受ける。MoIでは弓兵は前面に敵が移動してきたら対応射撃(Reaction Fire)ができるのだが至近距離からの射撃をものともせず騎士が突っ込む。聖地を奪還して士気が最高潮の騎士が異教徒の弓矢に怯むわけがないだろうが! だが突撃のサイの目が振るわず、3ユニットのうち2つが混乱状態となってしまった。
残りの2隊もロベール隊に続くのだ。高い活性化値の真価を見せろ!! と十字軍プレイヤーが両翼の部隊を叱咤するも、継続活性失敗。キリスト教徒たちが躊躇している隙にファーティマ朝軍の弓兵部隊がロベール隊に弓矢の雨を降らせ、次々と混乱させていった。
自軍中央部隊の苦境を見て奮い立ったか、左翼のゴドフロワ・ド・ブイヨン(Godfrey of Bouillon)、そして右翼(マップ左方)のトゥールーズ伯レーモン・ド・サン・ジル(Raymond IV, Count of Toulouse)が動く。まずはゴドフロアの部隊(青)が射撃戦、そして騎士が突撃。たまらずスーダン弓兵が蹴散らされる。レーモンの騎士もベルベル中騎兵に突撃。敵陣に切り込んでいった。
左右両翼から十字軍の猛攻を受けたファーティマ朝軍は左翼のベルベル中騎兵を動かす。先ほどの突撃で突出してるレーモン隊(黒)の騎士を4ユニットで包囲攻撃。強力な騎士も数の暴力には勝てず、損害を被る。
以前アンティオキアのAARでも書いたが、騎士はすさまじいほど強力なのに中騎兵は弱い。どれくらい弱いかというと槍兵と同程度であり、足の速い歩兵、ぐらいの感じである。騎士に対抗する手段としては、突出してきた相手を多くのユニットで包囲して袋叩きにする、ぐらいしかないのだ。
つづく
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