2022年7月25日月曜日

スコットランドの独立のために-Freeedooom!!  Bannockburn 1314 - Men of Iron Tri-pack(GMT) AAR ①

  スコットランドといえば、ウィスキー、それにええと、なんか寒そうなところ? あ、そうだ、バグパイプもスコットランドでしょ? ぐらいしかイメージが浮かばなくて、2014年に独立を問う住民投票を実施というニュースを見たときには、なんで独立なの、とピンとこなかった。高校の世界史で、エリザベス女王の後にイングランドと同君連合になってステュアート朝が成立したって習ったのは覚えているけど、思い出せるのはそれぐらい。

 ステュアート朝までのスコットランドの歴史をちょっと調べてみると、一応独立した王国としてずっと続いていたらしい。でもまあ基本、イングランドにやられっぱなしというか、イングランドの目が大陸に向いているときにフランスと組んで後ろからちょろちょろと手を出したり、薔薇戦争などイングランド内部のごたごたに乗じて兵を出したりするけれど、イングランドが本気で攻めてきたらあっという間に負けてしまう、という感じの歴史らしい(スコットランドのみなさん、ごめんなさい)。


 そんなスコットランドにとって貴重な勝利が、1314年のバノックバーンの戦いなのである。このバノックバーンでイングランドに負けていたら、ウェールズ同様イングランドの植民地になっていただろう、と書いている本もあったりする。

 前述の2014年の住民投票はバノックバーン700周年にあたり、おそらくスコットランド人のイングランドに対する敵愾心、じゃなかった独立心が刺激されたんでしょうな。バノックバーン関連の本もいくつかこの年に出版されている。

 イングランド出身の知り合いは「え、スコットランド独立の住民投票? いや……現実的じゃないというか、独立したって経済的にやっていけないでしょ」とちょっとあきれ顔で言っていたけど、スコットランド人にしてみたら経済ではなくプライドの問題なのでしょう。

 イングランドに大勝しスコットランドの独立を守ったバノックバーンの戦いは、SPI/S&TのThe Great Medieval BattlesシリーズやポーランドのTaktyka i Strategiaからもゲームが出されている。BGGかどこかで、スコットランド人としては買わざるを得ないと書いている人もいたな。


 でもスコットランドでイングランドに立ち向かったと言えば映画「ブレイブハート」のウィリアム・ウォレスでしょ、と思うかもしれない。けれど、ウォレスが活躍したのはバノックバーンのちょい前。スコットランドに侵略し「スコットランド人への鉄槌(Hammer of the Scots)」と呼ばれるイングランド王エドワード一世に対してウォレスは立ち上がったものの、最後は捕らえられ、「フリーダーム!」と叫んで処刑される。で、あの映画の最後に描かれているのがバノックバーンである。(ちなみに、Hammer of the Scotsというゲームもある)


 というわけで、Men of Iron Tri-Packのバノックバーンをやってみることにした。MoIは正直、バランスがよくないシナリオが結構あるが、このバノックバーンはバランスが取れているらしい。そもそも、最初の活性化も両軍がサイコロを振って大きめを出したほうから始める、というもの。初期配置は写真のとおり。兵数で勝るうえに長弓兵の数も多く、さらには強力な騎兵も擁するイングランド軍に対し、指揮官の活性化値の高さで対抗するスコットランド軍という戦いになる。なお、スコットランド軍の槍兵(Pike, PK)はシルトロン(Schiltron)という防御隊形となっている。



 イングランド軍最大兵力を率いるのがイングランド王エドワード二世(水色)なのだが、活性化値が2と低いうえに、指揮範囲も2しかない。そのうえ麾下の部隊は戦場に広く散らばっており、その大兵力を有効に活用すのはむずかしい。

 さらに、混乱状態で行軍した挙句に前夜は湿地帯で野営したことを反映して、イングランド軍の槍兵(Pike, PK)はすべて混乱状態でゲームを開始する。そして最初の混乱状態からの回復には、自隊指揮官の指揮範囲にいないと回復できないという特別ルールがある。士気範囲2しかないエドワード二世が自隊の槍兵を混乱状態から回復させるには結構時間がかかるはずだ。


 一方のスコットランド軍は、総指揮官(Overall Commander, OC)ロバート一世(King Robert I)の活性化値が5,さらに他の2人の指揮官の活性化値は4と高い。しかもロバート一世は活性修正(Effectiveness)という値も持ち、指揮範囲内にいる指揮官は継続活性のサイの目が1有利になる。見てのとおり戦場は広くないので2人の指揮官はロバート一世の指揮範囲にとどまり続けるだろうから、実質的にスコットランド軍は3人の指揮官全員が活性化値5ということになるのだ。

 ちなみに、イングランド軍の指揮官の活性化値は、2しかないエドワード二世のほか、騎兵部隊の指揮官二人が4,長弓兵部隊の指揮官二人が3である。


 スコットランド軍の不利な点と言えば兵数で負けているということ。特に長弓兵の数ではスコットランド軍6に対しイングランド軍は計16もある。騎兵に関しても、イングランド軍には重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)がいるのに対し、スコットランド軍はHobilarという軽騎兵が2ユニットしかいない。ただ両側を川に挟まれた比較的狭い戦場であることを考えると、騎兵が活躍できる余地はそれほどなく、スコットランド軍にとっては敵長弓兵にどう対処するかが問題になる。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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