●第2ターン(つづき)
敵の攻撃で損害を被った仏軍右翼(マップ下方)のBruyères騎兵部隊。やられっぱなしになってたまるか。自軍Dorsenneの砲撃で混乱状態となり回復のため後退していた露軍歩兵にむかって、Bruyèresの騎兵1ユニットが突撃。当然敗走させたものの、追撃(Pousuite)は露Essenの部隊によって押しとどめられたうえに、突撃後の士気チェックに失敗して混乱状態になってしまった。
「げ、もしかしてエッセン、このターンはまだ動いていない?」
そして待ち受けていたかのようにこのタイミングで露軍Essenの活性化が回ってくる。先ほどの突撃で突出した仏騎兵を集中攻撃で敗走させた。そして近衛兵1ユニットがアイラウ村の教会にとりつく。
この教会は先述のとおりロシア軍が占領・保持していると4勝利得点を得られる。それだけでなく、ここには初期配置で軍医のLarreyマーカーと負傷兵(Blessés)ユニットが配置されている。デザイナーズノートによると、このマーカーは軍医のLarreyと重傷で動けない兵たちを表しており、移動不可でロシア軍が捕虜にすると2勝利得点となるため、ロシア軍としてはねらい目なのである。
この軍医Dominique-Jean Larreyは近代的な軍医のさきがけとも言われるそうで、ナポレオンの戦役にずっと従軍し、敵味方関係なく戦場で負傷した兵の治療に当たった。救急車やトリアージなど近代的な医療システムの構築を行い、負傷兵を素早く救護するため救急車として馬に牽かせた荷車を導入したのだが、これは馬に牽かれた砲がartillerie volante(直訳すると「空飛ぶ砲」)と呼ばれていたことからambulances volantes(空飛ぶ救急車)と言われるようになったらしい。
教会とLarreyを守っている仏負傷兵ユニットは攻撃不可で戦闘力1、士気も2とかなり脆弱なうえ、敗走すると壊滅となる。さらにこのユニットを通過した友軍ユニットは混乱状態になってしまううえ、移動はターン最後の敗走フェイズ(Phase de déroute et de démoralisation)にしか行えないため、結構邪魔と言えば邪魔である。第1ターンの最後に後方に下げておいて第2ターンの初めに他のユニットを教会の守備に入れればよかったのだが、
「やっぱ負傷兵は軍医を守るべきでしょう。だからそのままにしておいたんだよ」
と強がる仏軍プレイヤー。実際、仏軍にはDorsenneの強力な親衛隊がいるものの1ユニットだけだ。他は騎兵が8ユニットと負傷兵、あとは砲兵である。砲兵は単独でいるとZOCがないだけでなく、攻撃を受けた際に対応射撃(Tir de réaction)で敵を撃退できたらいいものの失敗すれば即壊滅で、悪天候で砲撃に-1の不利なサイの目修正が付くことを考えると砲兵は他のユニットとスタックしていないと心もとない。一方で露軍は歩兵12ユニットを擁しているため、仏軍は負傷兵を後方に下げる余裕はあまりなく、砲兵と一緒に教会を守らせておいたほうがいいのかもしれない。
露近衛兵が、負傷兵が守っている教会を攻撃する。Soulèsの砲兵が必死に砲撃を加えるものの、近衛兵は意に介さず教会に突入。負傷兵と砲兵は混乱状態になって隣のナポレオンのもとに逃げ込んだ。露軍は教会を占領、Larreyは捕虜となった。
「おいおい、近代的軍医の祖がつかまっちゃったじゃん! 一緒にいた動けない重傷の兵たちは、ロシア軍からどんな目にあわされるのか……」
「いやいや、それよりナポレオンのことを心配しろよ。皇帝を守っているのは混乱状態の負傷兵って、かなりヤバくないか?」
このターン、まだ引かれていない活性化チットはロシア軍のEssenと、仏親衛騎兵のDahlmann。次に動くのはどっちだ? そして、皇帝は助かるのか?
つづく
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