2022年6月5日日曜日

「馬だ! 馬をよこせ! 代わりにわが王国をくれてやる!」 Bosworth 1485 - Blood & Roses (GMT) AAR ②

  ヨーク軍は射撃戦でオックスフォード隊(黄)の前衛に損害を与えたのち、ノーフォーク隊(緑)の歩兵と騎兵が攻撃に移る。オックスフォードは即座に対応。ノーフォーク隊の戦列の両端のユニットを混乱状態にさせる。


 そこにリチャード本隊が騎兵の機動力を生かしてノーフォークの左翼に突撃する。陣頭に立つリチャード。シェイクスピアがなんぼのもんじゃい。馬を失うことを恐れて突撃ができるか。

 このゲームの指揮官にはカリスマ(Charisma)という数値があり、スタックしているユニットが攻撃する際にサイの目修正ができるのだが、リチャードのカリスマは+2だ。強烈な突撃で敵歩兵を敗走させる。


 だがランカスター側のオックスフォード隊がすかさず反撃。長弓兵の射撃でリチャード指揮下のMMが強制下馬(Unhorsed)。馬を失った騎兵など物の数ではないわ、と歩兵(Infantry, Inf)2ユニットが攻撃。シェイクスピア「リチャード3世」の再現だ、と思いきや、防御側混乱で終わった。ふう、やばいやばい。歴史は繰り返すって言うからね。


 リチャード直属部隊の攻撃を受けているオックスフォード左翼の支援のため、ヘンリーは自分の直属部隊を派遣。だがスタンリーを裏切らせようとマップ右側に寄って行っていたため、すぐには間に合わない。

 トマス・スタンリーはこの戦いの13年前にヘンリーの母親と再婚しており、ヘンリーは継子になる。そのためリチャードはスタンリーが裏切らないように息子を人質に取っていた。このゲームでは自由活性化を使ってスタンリーの裏切りチェックを試みられるのだが、リチャード軍の猛攻でランカスター側は自由活性化をそんなことに使う余裕がなくなってきた。ヘンリーの母親と再婚してるんでしょ、早くこっちについて参戦してよー。


 リチャードとスタックしているユニットが混乱状態のうちに討ち取ってしまいたいランカスター軍。ヘンリー隊が間に合わないため、頼むぞオックスフォード。オックスフォードの活性化値は4で、ヘンリーの士気範囲にいるとサイの目が1有利になる。だが継続活性に失敗してしまう。リチャードは窮地を脱し、再び怒涛の攻撃。オックスフォード隊の左翼に大きな損害を与える。


 続いてヨーク軍のノーフォーク隊が活性化。長弓兵の射撃でオックスフォード隊に損害を与えるが、混乱状態の歩兵に対する攻撃はなんとサイの目0が出て攻撃側の混乱に終わった。10面体ダイスを振るのでこういうこと時々あります。


 ヨーク軍の連続攻撃に対して態勢を立て直したいランカスター軍。Seizureカウンターを使っての継続奪取を試みようか迷ったのだが、継続奪取成功の可能性は60%。リチャードの継続活性は60%の確率で失敗するはずなのでSeizureカウンター使用を見送る。だがヨーク側はリチャード隊の継続活性に成功。これは痛い。

 先ほどの攻撃で損害を受けていたオックスフォード隊に、リチャード隊が再び猛攻をかける。リチャードが陣頭に立ち、オックスフォードの軍旗(Standard)に迫った。敗走状態のユニットは軍旗まで逃げていたのだが、リチャードは2回連続の継続攻撃で3ユニットを壊滅させる。おそるべし、リチャード三世。


 リチャード三世は悪人というイメージがイギリスでは定着しているそうなんだけど、これはシェイクスピアの書いた「リチャード三世」の影響が大きいらしい。シェイクスピアが活躍したのはイングランドの黄金時代を築いたチューダー朝エリザベス1世の治世で、エリザベス1世はヘンリー7世の孫である。長きにわたった内乱に終止符を打った名君でチューダー朝の開祖、ヘンリー7世をシェイクスピアが悪く書くはずがなく、ヘンリー7世が打ち破ったリチャード三世は極悪人に描かれているのだ。

 だがそういったリチャード像は正確ではないようで、例えば「物語 イギリスの歴史(上)」という本なんかでは、リチャードは

「兄王エドワード4世からも絶大な信頼を寄せられ、劇中に見られるような兄クラレンス侯爵、妻アン、二人の甥(エドワード5世と弟リチャード)を次々と殺害したという証拠はいっさいない。むしろ勤勉で公正な支配を進めたと言われている」

とまで書かれている。このゲームのデザイナーもリチャードを正当に評価しようとする立場だって言っているしね。名前が一緒だからってわけでもなさそうだし。


つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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