●第6ターン(11月24ー25日) (続き)
仏軍三個師団の突出にドイツ軍の包囲・反撃と、戦場は両軍入り乱れての混戦状態の様相を呈してきた。
「うげー、なんかZOCばっかりでどこに動かせるのかわかんねー」
と作戦級に不慣れな両プレイヤーである。
独軍は増援の装甲・機械化部隊が次々と前線に到着。戦闘力は1や2と低いものの、兵数に劣るドイツ軍としてはありがたい。そして勝利得点源の街Altkirch奪還に向けてさらなる反撃を繰り広げた。
●第7ターン(11月26ー27日)
仏軍は包囲されている三個師団が補給切れ(Non ravitaillé)となってしまった。
「ええっと、補給切れって……げ、攻撃できなくなるの?!」
と今さらながらにルールを確認して驚く仏軍プレイヤー。
「いや、だっていつもやっているゲームは補給ルールなんてないし…」
常日頃は中世の会戦やってますからね、一日で終わった戦いばかりだから補給ルールなんてありませんよ。
このゲームでは補給が続かない状態が2ターン目となると補給切れ状態となり、攻撃は不可、防御力と移動力が半減する。被包囲下の3個師団はもう自力での脱出は不可能である。仏軍は要塞地帯の掃蕩、それにAltkirchの防衛に傾注、前ターンに増援として登場した戦力4の歩兵連隊を、トラック輸送(camion)を使ってAltkirchに急派する。仏軍は第3ターン以降、毎ターン歩兵1ユニットにトラック輸送を適用して移動力を6から8に増やせるのである。
「あれ、機甲師団を見捨てちゃうの?」
「ふん、あいつらを助けなくても仏軍は勝てるんだよ。第5ターンに突出させたのは、ドイツ軍兵力を誘引するための罠だったのさ。3個師団を封じ込めるためにかなり戦力をかき集めないといけなかっただろ? ふふん」
「いや、それ絶対うそ」
仏軍は勝利得点13で戦術的勝利(victoire tactique)を得られる。要塞地帯で12、それにAltkirchで13となるため、無理に友軍を救出する必要はないわけである。でもアルザス解放を目指した仏軍の大攻勢のはずなのに、そんなふうに守りに入っていいのか。
独軍は前ターンに続きAltkirchへ熾烈な攻撃を続ける。だが混戦状態のため、敵三個師団封じ込めに配置していた多くのユニットを有効に活用できず、第106装甲旅団以外は強力な攻撃ができないのが痛い。
ちなみに焦点となっているAltkirchだが、ドイツ語だと「古い教会」の意味になる。アルザスは現代ではフランス領内だが歴史的に見てドイツとのつながりが強く、ドイツ語の名残を地名にも見ることができる。
●第8ターン(11月28ー29日)
マップ左方の要塞地帯で唯一残っていたBelfortの街を仏軍が攻撃。ここは要塞かつ都市なので4コラムシフト、さらに三方が攻撃力半減となる河川(Rivière)が流れているため、要害堅固の地なのだ。だが仏軍は兵力を集中、衆寡敵せずBelforは陥落した。
そしてドイツ軍の最後の攻撃。Altkirchを落とせるかどうかが勝負の分かれ目となる。かき集められるだけの戦力を投入、支援砲撃も加えて攻撃。結果は強制退却、と思いきや、前ターンに仏軍が急派した歩兵連隊の兵質はB。兵質AとBのユニットは強制退却の結果をステップロスに置き換えられるのである。危ういところで仏軍は踏みとどまり、この戦いは仏軍の戦術的勝利に終わった。
いやー、面白かった。仏軍の突破に危ういところで駆け付けるドイツ軍の援軍、そして精鋭の装甲旅団による反撃と、結構面白い展開。それにコマンド部隊の要塞の強襲とか、いろいろと細かいギミックで味付けがしてあるのが楽しい。
でもゲームバランス的には仏軍が有利だと思う。仏軍としては地道に要塞地帯を掃討してあと一つ勝利得点源をとれば戦術的勝利となるので、史実のようにアルザス解放と敵軍包囲を目指した機甲部隊の突進、なんてのをやらなくても済むのだ。まあ、そういう手堅いプレイが好きな人もいるとは思うけど。戦術的勝利の基準を1点か2点引き上げて、仏軍は無理にでもライン川方面に向けて攻勢をし続けるようにした方が面白いんじゃないかな。それと、今回のプレイでは仏軍が陣地帯への攻撃に慎重だったので掃蕩に時間がかかったけど、このゲームでは攻撃側は退却で損害を回避できるので、低比率でもどんどん攻撃していけばもっと早く陣地帯は完全占領できたはず。そうすればもうちょっと仏軍は平野部への攻撃に兵力を回せたと思う。まあ、作戦級には不慣れなプレイヤーの意見ですが。
あと要塞は2コラムシフトと強力ではあるものの、強制退却はステップロスに置き換えられるというようにしたほうが抵抗力が上がって、仏軍は要塞地帯と東方への戦力の振り分けがもっと悩ましいものになって面白くなるんじゃないかな。
まあいずれにせよあんまりゲーム化されていない戦いなので、興味持たれたらプレイしてみてはいかがでしょう。
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