VaeVictis誌の最新号はMolodi1572……って言ってもどんな戦いなのかさっぱり。モスクワ大公国がクリミア・ハン国を破ったそうだけど、16世紀のロシアって言ったらイヴァン4世、いわゆるイヴァン雷帝の時代じゃないですか。とはいえイヴァン雷帝について詳しく知っているわけでもなくて、確かアンリ・トロワイヤの本やらエイゼンシュテインの映画を見たなあ、ぐらい。そういえばグロズヌイっていう駆逐艦だか巡洋艦だかもあったよね。
ということでヒストリカルノートを読んだんですけど、いつもながら知らないことばかりで勉強になりました。Molodiの戦いの前年、1571年にはクリミア・ハン国に攻め込まれてモスクワを焼き払われたとか、イヴァン雷帝、ダメじゃん。まあMolodiの戦いで決定的な勝利を収めることで、クリミア・ハン国からの大規模な侵攻はその後なくなったそうだけど。でもモスクワ大公国の封建的な軍事体制の欠点も描写されていて、
Les campagnes militaires successives ont épuisé ce système. Les pertes humaines empêchent le renouvellement des troupes. L'épuisement économique est patent. Faute de bras, l'agriculture s'effondre. On ne peut plus équiper hommes et chevaux. ... 'armée russe ne pourra plus rien face aux hussards polonais et aux mercenaires hongrois de Stéphane Bathory lors des campagnes en Livonie, entre 1575-1580.
だそうだけど、おいおい、大丈夫ですかって突っ込みたくなりました。
付録ゲームはL'or et l'acier(黄金と鉄)シリーズで、1ターンは一ヵ月、1571年と1572年の二つのシナリオが収録されている。このシリーズ、ついこないだもVV180号で1526年のオスマン帝国のハンガリー侵攻を扱ったりしていて、ある程度の数が出ているので一度ルールを覚えればいろんなゲームやれるはずなんだけどね。あんまりプレイしたって話を聞かないなあ。テーマ的には5-16世紀で自分的にはばっちりなんだけど、ウォーゲーム界ではマイナーですかね…。ちなみにこのシリーズはこれまでこれだけ出ています→https://boardgamegeek.com/boardgamefamily/38723/series-gold-and-steel-philippe-hardy/linkeditems/boardgamefamily
L'or et l'acierシリーズは基本的に戦略マップ上でプレイするんだけど、大兵力同士がぶつかる会戦は戦闘マップ上で中央、両翼などにユニットを展開する。その際、戦術チット(marqueur tactique)が使用できるんだけど、Avalanche(雪崩)なんてチットがあって、あー、ロシアって大雪降るもんね。でも、ん? 戦いの最中に雪崩? と思ってルールを読んでみたら、このチットの注釈にtactique de cavalerie employée par les deux armées visant à envelopper une des ailes adversesって書いてある。ヒストリカルノートのほうにはLes cavaliers russes utilisent des tactiques qui se rapprochent de celles des cavaleries occidentales mais en combinant le choc et le tir, << l'avalanche >>.とも書いてあって、要は騎兵の波状攻撃のことですかね。
他にはGulylai Gorodってチットがあって、火縄銃兵が防御時に使用できるんだけど、ルールの注釈によるとlors des batailles, à l'instar des armées hussites et ottomanes, les unités russes étaient protégées par un mur mobile (<< ville mobile >>). Streltsy et artilleurs pouvaient tirer sous cette protection.だそうで、ヒストリカルノートにはL'infanterie est protégée derrière une fortification de campagne, la << ville mouvante >> (<< gulyay gorod >>), des parapets mobiles en bois, avec un fossé face à l'ennemi.って書かれている。どうやらこれのことのようですね→https://en.wikipedia.org/wiki/Gulyay-gorod このMolodiの戦いがあったのは日本だと戦国時代に当たるけど、日本でも確か竹の束で鉄砲の弾除けをしたってどこかで読んだことがあるけど、おんなじようなもんだったんですかね。
戦術チット以外にも、モスクワ大公国はBrûler la steppe(焦土)を使えてタタール軍(クリミア・ハン国)の消耗が大きくなったり、タタール軍はcaptifs(捕虜)をとってVP源にできるけど、捕虜を連れていると移動力が減少する、なんてルールもあって、マップやユニット構成だけでなくこういった特別ルールがなんか雰囲気を出してくれている気がする。あ、イヴァン雷帝はゲームには登場しません。でも早くプレイしてみたいなあ。




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