フランス軍が前進を開始。まずは騎兵で敵左翼(マップ下方)をけん制した後、歩兵が一斉にスペイン軍の防衛ラインにとりつく。
塁壁の向こうにずらっと並んでいるスペイン軍歩兵は、パイク兵(Pike, PK)と、SBという兵種。パイクは長い槍。SBはSword & Bucklerという兵種で、bucklerは鍋の蓋ぐらいの小さな丸い盾のこと。ビジュアルで見たほうが分かりやすいよね。
パイク兵と戦うときは、この小さな盾でパイクを払いあげ、敵に接近する。パイク兵は至近距離での戦いではパイクを使うことができないため剣にやられてしまうわけだ。このゲームでも対騎兵ではパイクのほうがSBより優位だが、パイク対SBではSBのほうが強いレーティングになっている。
でもこの戦い、火器が戦場を制したんでしょ。パイク兵とかSBって射撃できなくて白兵戦をするんでしょ? とMen of Ironシリーズをやっていると思ってしまうんだけど、スペイン軍のパイクやSBユニットが射撃もできることがこの戦いの特徴、というかAruquebusの特徴になっている。
この時代、火縄銃が発達して多くの軍隊で使用されるようになっていった。弓やクロスボウを扱う兵士の訓練には数年を要するが、火縄銃だと数か月で済んだそうだ。さらにこの時代の特徴として、パイク兵部隊の両翼にクロスボウや火縄銃の兵を加えるようになったという変化がある。クロスボウや火縄銃兵はまず敵を射撃し、接近戦になったらパイク兵の後ろに退避するという戦い方になっていった。パイク兵の部隊に火縄銃兵を加えるという編成を発案したと言われるのが、チェリニョーラの戦いで大勝利を収めたスペイン軍の指揮官ゴンサロ・デ・コルドバ(Gonzalo de Cordoba)だそうである。このような編成がのちにテルシオに発展していくわけですな。全部ヒストリカルノートの受け売りだけど。ちなみにゴンサロ・デ・コルドバは生涯に一度しか負けていないらしい。すげー。
Men of Ironシリーズでは弓兵など射撃ができるユニットと槍兵など白兵戦向きのユニットが分かれているが、Arquebusでは上記のような変化を反映して、パイク兵やSBでも多くは射撃できるようになっている。つまり、敵が近づいてきたら対応射撃をして、しかもそのあと白兵戦を仕掛けられてもちゃんと戦えるのだ。Men of Ironシリーズのほかのゲームだと、弓兵やクロスボウは敵が隣接してきたら対応射撃ができるけど、そのあとの白兵戦には弱い。アジンコートの戦いのように杭でしっかり守られているんだったら別だけど。
ふーん、同じシリーズでも違うのね、ルールはちゃんと確認しなきゃ、と読んでいると、Seizure(活性継続の奪取)の説明のところで、「…もしくは、白兵戦の際にゼロの目を7回連続で出したプレイヤーに起こること」なんて付け加えてある。え、どういうこと? 7回連続ゼロの目だと奪取できるの? これまでのシリーズにそんなのなかったぞ。でも7回連続でゼロなんてほぼあり得ないのに何で? と困惑していたんだけど、seizureっていう単語には発作や脳卒中という意味がある。白兵戦でサイの目ゼロって最低の目で、10面体サイコロを振って最悪のゼロが7回連続で出たら何かの発作に襲われてもおかしくないですわな……って、ジョークかい! ふう、真面目にルール読んで損したぜ。
気を取り直して読み続けると、次の項目Shock(白兵戦)の説明で、「…もしくは、相手プレイヤーが7回連続して9の目を出した時に起こること」って加えてある。そりゃ、相手の攻撃で最高の9の目が7回連続で出たらショックですよ。しかしこういう混乱するようなことをルールブックに書かれると困る。嫌いじゃないけど。
(後でよく読んだらMen of Iron Tri-packのルールブックにも同じことが書いてありました。このジョーク、気に入っているのかな…)
スペイン軍の歩兵はパイク兵もSBもすべて火縄銃兵が配備されていて、射撃ができるようになっている。つまりフランス軍がスペイン軍の陣地に押し寄せていくと、塁壁の向こうから火縄銃の砲弾を浴びせかけられるのだ。今回も一斉にフランス軍が塁壁にとりついたけど、あー、見てられない。待ち構えていたスペイン軍の火縄銃が火を噴き、数ユニットが混乱状態に。
フランス軍の歩兵のうちSBはクロスボウが配備されていて射撃能力があるため、対応射撃を受けた後に射撃ができる。クロスボウの威力はこのゲームでは火縄銃と同等だ。だが塁壁の向こう側に身を隠しているスペイン軍を撃つも、被害は皆無。
通常であればこの後フランス軍は白兵戦が行えるのだけれど、壕にとりついたのと同じ活性化中に白兵戦をしかけることができず、攻撃できるのは次の活性化になる。塁壁を一度でも突破するとこの制限はなくなるが、今は次の活性化まで待ちだ。それまでスペイン軍が壁の向こうでのんびりしているはずもなく…。
つづく
(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)
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