●第2ターン(続き)
ロシア軍に囲まれてしまったフランス軍親衛騎兵。包囲されていない唯一のスタックは混乱状態である。フランス軍危うし、と言いたいところだが、包囲下の仏軍主力の正面にいるSackenの歩兵は3ユニットとも混乱状態なのである。そのうち2ユニットは砲兵とスタックしているが、そんなもの、Lepicにとっては<< Haut les têtes, la mitraille, c'est pas de la merde! >>である。……と気合で突っ込む前に、確率を一応計算してみると砲撃力3のSackenの砲兵が士気7の仏擲弾騎兵を防御射撃で混乱させる確率は8%に過ぎない。そりゃ砲弾なんか意に介さず突っ込むよね。「突撃! 突撃!」である。フランス軍騎兵の猛攻を支えられるはずもなく、Sackenの兵は散り散りになって敗走していった。
ちなみに「頭を上げろ、これは砲弾だ、ク〇じゃないぞ!」っていう叱咤で知られるLepicだが、敵の包囲を突破したものの負傷し、しばらくの間自分だけでは騎乗することはできなくなったそうだ。ヒストリカルノートによると、Lepicの部隊は全滅したとナポレオンは思っていたが、親衛騎兵の帰還を見て喜び、Lepicをgénéralに昇進させた。ナポレオンは« Je vous croyais pris général, et j'en avais une peine très vive. »(もうすでにgénéralに昇進させていたと思っていた。本当にすまない)って言ったそうだけど、これってナポレオン流の人心掌握術なのかな。そう言われてLepicは« Sire, vous n'apprendrez jamais que ma mort! »って応えたらしい。これ、意訳すると「陛下、自分は戦場で死ぬ覚悟です!」って感じになるかと思う。ナポレオン時代のフランス軍の階級ってよく知らないんだけど、généralの中でも一番下のGénéral de brigade(准将)になったってことかな。Lepicはその後スペインのFuentes de Oñoroの戦いやロシア遠征、1813年のドイツ戦役やその翌年の国内戦役を戦い抜き、ワーテルローにも参加したそうだ。
ボロボロになったSacken隊だが、ここでやっと砲兵が気を吐き、至近距離からの砲撃で士気6の仏騎兵1ユニットを混乱状態にした。自隊砲兵の奮戦を見て気を取り直したか、先ほどの仏騎兵の攻撃で敗走状態となっていた歩兵2ユニットが奇跡的に回復した。敗走状態のままだとターン最後の敗走移動フェイズに盤外に逃げ去ってしまい壊滅扱いとなるので、ロシア軍としてはかなりありがたい。
再び仏軍の活性化。敵に囲まれてほぼ身動きできない状態は変わらない。攻撃あるのみ。混乱状態の砲兵と歩兵のスタックを蹴散らし、敗走させる。Somovの騎兵は敗走する自軍に巻き込まれて混乱状態となってしまった。そして仏軍は敵の至近距離からの砲撃をものともせず、砲兵を蹂躙する。さすが親衛擲弾騎兵。だが、先ほどのSackenの砲撃で1ユニットが混乱状態となっていた仏軍下端のスタックのうち、残る1ユニットがSackenのスタックを攻撃するものの、砲兵の返り討ちにあい混乱状態となった。これで仏軍下端のスタックは2ユニットとも混乱状態である。
ターン最後の敗走移動で露軍歩兵2ユニットが盤外に消えた。ロシア軍はこのターンの仏軍の攻撃で大きな損害を受け、累積損害が歩兵3,擲弾マーク付きの歩兵1、砲兵2ユニットで、仏軍の勝利得点は計13。ロシア軍の歩兵は一部に擲弾マークがついていて、普通の歩兵は壊滅すると2点のところ、擲弾付きだと3点なのである。一方、仏軍の壊滅は1ユニットにとどまっており、露軍は2勝利得点のみだ。だが、仏軍は半数が混乱状態となっており、精鋭ぞろいの親衛騎兵といえども衝力はかなり落ちている。
(つづく)


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