先日、9月20日はナポレオン時代の仏親衛擲弾騎兵の指揮官Louis Lepicの誕生日だったっていうツィートを見まして。Lepicって言ったらアイラウ戦で仏軍が苦戦に陥る中、露軍の激しい砲撃にさらされた親衛騎兵に対して« Haut les têtes, la mitraille, c'est pas de la merde! » (頭を上げろ、これは砲弾だ、ク〇じゃないぞ!)って鼓舞したエピソードで知られているんじゃないかと思います。でも自分はmerdeよりも砲弾のほうが怖いですけどね。だって当たったら大けがしたり命を落とす可能性だってあるじゃないですか。
つい最近たまたま『Biographie des célébrités militaires des armées de terre et de mer de 1789 à 1850』っていう、18世紀末から19世紀半ばにかけての仏軍人の辞典みたいなものがあるのを知ったので、Lepicは載ってるかなって見てみました。アイラウでは仏軍中央でオージュローの軍団が敗走しナポレオンのもとに露軍が迫るんですけど、仏軍は親衛隊を投入して反撃、さらに騎兵の突撃も行うんですね。で、Twitterでもつぶやいたんですけど、上記の資料にはこんなエピソードがありました。
…Lepicは突撃ののち、激しい降雪で方向を失いロシア軍に囲まれてしまった。降伏を促されたが、配下の擲弾騎兵たちを指して言った。
« Regardez ces figures, et dites-moi si elles ont l'air de vouloir se rendre. »
(この兵たちを見よ、そして彼らが降伏しようとしているように見えるか言ってみよ)
だがLepicは危機的状況を分かっており、擲弾騎兵たちに呼びかけた。
« Amis, il faut vaincre ou mourir aujourd'hui, nous avons trois lignes d'infanterie à renverser. Beaucoup d'entre nous y resteront sans doute; mais dût-il n'en retourner qu'un seul pour porter la nouvelle, l'honneur du corps et celui de notre étendard seront sauvés.»
(戦友たちよ、今や、勝利か死かだ。我々の前には敵の歩兵三列が立ちふさがっている。間違いなく、我々の多くはここから脱することはできないだろう。だが一人でも帰還して(我々が奮戦したという)知らせをもたらせば、わが軍団と軍旗の名誉は救われるのだ)
この言葉に奮い立った擲弾騎兵たちは叫んだ。
« La charge ! la charge! et nous passerons! »
(突撃! 突撃! 突破するのだ!)
ぐは~、しびれる~。「ク〇じゃないぞ!」よりも「突撃! 突撃!」のほうがいいわ~。Lepicの言葉じゃないけど。
こりゃいい話を見つけられてラッキー、と思っていたらこれ、Wikiにも書いてあるんですよね。しかもアイラウ戦をあつかったVaeVictis178号のヒストリカルノートにも載っていたという…。ゲームをプレイしてAARも書いたぐらいだからヒストリカルノートは絶対読んだはずなのに、すっかり頭から抜けてましたわ。
でもこのエピソード、他の資料では見つけられないんですよね。まあ、ちゃんと探していないんですが。なので本当にこう言ったのかどうか、誰かが盛っちゃってそれが後世に伝わったんじゃないかっていう疑念がぬぐえないんですが、いいんですよ。しびれるエピソードはいくらあっても。
そんなLepicですが、この突撃をシミュレートしたゲームがあるんですよ。先述のVaeVictis178号の、「La Garde veille!」。前回AARを書いたのは「アイラウの墓地」シナリオですが、それとは別に「親衛擲弾騎兵の突撃」というシナリオもあるんですよね。こりゃプレイするしかないでしょ。って意気込んだんですけど、VaeVictis178号、実家に置いてきて手元にないわ、ダメじゃん俺…。と意気消沈していたんですけど、スキャンデータをとっていたことを思い出しました。ナイス俺。で、Vassalモジュール的なものを作ってソロプレイしてみましたよ。
(つづく)

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