2022年11月7日月曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ⑥

 ●第3ターン

 Jours de Gloire(JdG)シリーズでは毎ターン冒頭、活性化チットを引く前に戦略イニシアティブ(initiative stratégique)フェイズがあり、両軍1d10を振って自軍総指揮官のダイス修正値(Modificateur au dé, MD)を足し、大きい数のほうのプレイヤーは一番最初に活性化する部隊を選べる。ナポレオンとウェリントンのダイス修正値は同じなので、単純にサイの目勝負となる。


 このターンのイニシアティブは英連合軍が得た。当然、最大兵力を擁する中央部隊(青)を活性化し、老親衛隊を砲撃する。だが老親衛隊は7や8という高い士気を誇るのだ。士気チェックの結果が出ても、80-90%の確率で無傷なのである。

 中央部隊の砲撃に微動だにしない老親衛隊。その右翼に位置するドンズロの部隊(緑)は、ナポレオンの命令を受けていなかったが親衛隊の姿を見て意気があがったか、歩兵が高地に向かって攻撃、奮戦のうえ敵を後退させた。



 JdGでは各ターン最初に命令フェイズ(Phase d’ordres)があり、各プレイヤーはどの部隊を命令下(Ordres Reçus)にするか相手にわからないように決める。命令下にできるのは総指揮官の命令値(Potentiel d’ordre)の数まで。ナポレオンとウェリントンの命令値は2である。それ以外の部隊は非命令下(Sans Ordres)となり、行動が制限される(命令下にできる部隊数についてはもう少し規定があるのだが、後述する)。なお、命令下、非命令下のマーカーはターンの最初に相手プレイヤーにどの部隊が命令下かわからないように裏返しにしてユニットの上に置くのだが、このAARでは見た目重視でユニットの下に置いています。

 このターンのドンズロの部隊は非命令下だったため、歩兵がショック攻撃を行う際に兵質チェック(test d’engagement)を行い、1d10を振ってそのユニットの兵質(Valeur d'engagement)以下を出さないと攻撃できない。ドンズロの歩兵の兵質は4で成功の確率は50%だったが、皇帝陛下の親衛隊を支援するという使命感に燃えたのか命令なしに攻撃できたのである。



 砲撃で必死に防戦する英連合軍は、ロゲの部隊に1ユニットだけ含まれている壮年親衛隊の第三擲弾兵連隊第二大隊を何とか混乱させ、仏軍左翼のバシュリュの歩兵にも損害を与えた。だがついに老親衛隊が英連合軍の戦列にとりつき、その破壊力を発揮する。


 JdGのショック攻撃では、戦力比、士気差、地形などをDRMとして1d10を振って大きな数が出るほど攻撃側に有利な結果となる。同じデザイナーのAu fil de l'épéeシリーズの白兵戦と似たようなシステムである。老親衛隊は戦闘力が3や4と低いため、戦力比から不利なDRMとなることが多い。例えば攻撃:防御が1:2の場合、DRMは-2。だが士気差がそのままDRMとなるため、士気7の親衛隊が4の歩兵を攻撃した場合DRM+3となって、2倍の兵力の敵を攻撃する不利を簡単にひっくり返してしまうのだ。


 老親衛隊の第二猟兵連隊第二大隊と第二擲弾兵連隊第二大隊の2ユニットが、右翼の丘に布陣する予備部隊歩兵を攻撃。斜面を登る攻撃でありながらも、老親衛隊の高い士気と正面と横からの連携攻撃のおかげでDRMは+5となり、戦闘結果は突破(choc de rupture)となった。JdGのショック戦闘では、DRMを適用したサイの目が10以上だと攻撃側は突破となり、戦闘後前進をしてさらに攻撃ができる。さらに、このゲームの特別ルールで親衛隊は自分から方陣を解くことができないのだが、例外的に突破を行うと方陣を解除できる。混乱状態となって後退する敵歩兵を目にして、老親衛隊は方陣から脱して猛追、潰走させた。



 左翼(マップ右方)が予想以上の損害を受けた英連合軍。予備部隊(緑)が活性化となったため、中央部にいる予備部隊を投入して反撃しようとするが問題があった。命令は部隊ごとに割り当てると上述したが、もし部隊が拡散している場合、戦術グループ(groupe tactique)に分けられ、戦術グループ単位で命令下、非命令下となる。具体的には、自部隊の他のユニットから3へクス以上離れているユニットは別の戦術グループになる。このターン、英連合軍はマップ右方の予備部隊の戦術グループを命令下としており、中央の戦術グループは非命令下だったのだ。


 非命令下だとショック攻撃の際に兵質チェックが必要など行動が制限される。だが戦術グループごとに1d10を振って活性化チット(Marqueur d’Activation, MA)のイニシアティブ値(valeur d’initiative)以下を出すと、その戦術グループのすべてのユニットが命令下と同じ状態になる。ただ失敗すると回復以外何もできなくなるため、ある意味ギャンブルである。イニシアティブ値はその部隊の指揮官がどれだけイニシアティブをとるかを表しているようだが、英連合軍の多くは4であるのに対し、ワーテルローの激戦で消耗しているドンズロは3,バシュリュは2とかなり低い。


 中央部にいる予備部隊(緑)の戦術グループはイニシアティブのチェックに無事成功、老親衛隊に反撃する。だがさすがは老親衛隊、ショック攻撃を受けて士気チェックの結果が出ても、7という高い士気のおかげで整然と1へクス後退するのみに終わった。一方、マップ右端のドンズロの部隊への反撃は成功。ドンズロ部隊が持つ歩兵は2ユニットとも混乱状態となった。



 

つづく

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