2022年11月10日木曜日

親衛隊は死すとも降伏せず  La Garde Avance! (VV161) AAR ⑦

 ●第3ターン(続き)

 反撃を受けたもののまったく意に介することなく、老親衛隊が攻撃を続ける。砲撃で敵を混乱させたのち、3ユニットが攻撃。親衛隊の士気の高さにものを言わせ、敵を混乱、潰走させる。


 ここでやっと第3ターンが終了。JdGでは各ターンの最後に、潰走状態のユニットは自軍マップ端(英連合軍はマップ上端、仏軍は下端)に向けて全移動力で潰走移動(mouvement de déroute)し、マップ外に出たユニットは壊滅とみなされる。

 マップを見れば一目瞭然だが、主戦場である高地からマップ下端までは距離があるのに対し、上端まではすぐであり、特に右方は余裕がない。つまり仏軍は潰走しても何度か回復する機会があるが、英連合軍は潰走するとあっという間にマップ外に出て壊滅してしまう。

 実際、英連合軍の潰走ユニットがすでにマップ端に達しているのに対し、第1ターンの英連合軍の反撃で潰走した壮年親衛隊はまだマップ上にとどまっている。フランス軍には復活の希望を、英連合軍には後ろがない緊張感を与える優れたデザインではないだろうか。-というのは何回かプレイして感じたことです。フランス軍は精神的に厳しいけど、こういうところでバランスをとっているのかな。



●第4ターン

 このターン、戦略イニシアティブ(initiative stratégique)はフランス軍がとった。神のご加護は皇帝にあり! 当然、老親衛隊のロゲ部隊(赤)を活性化させる。

 前ターン最後に続く老親衛隊の連続活性化である。英連合軍の砲兵から防御射撃(tir de réaction)を受けても微動だにしない老親衛隊は2ユニットで攻撃。防御スタックを蹴散らし、さらにその隣接スタックも混乱状態にして高地から追い落とした。士気が高い老親衛隊が戦力を集中させるとDRMがかなり有利になり、戦闘結果で突破(choc de rupture)が出てさらに攻撃が行えるのだ。

 また戦列中央では、士気8とこのゲーム最強を誇る親衛隊第一猟兵連隊第2大隊がついに攻撃を開始。ウェリントンとスタックしている歩兵を苦も無く蹴散らした。


「やばい! まともな歩兵が残っていないじゃん!」

 老親衛隊の猛攻にさらされ、中央部が危うくなってきている英連合軍。もともとこのゲームでは英連合軍の歩兵は潤沢にあるわけではないのだ。

 だが幸い、前ターンに敵右翼(マップ右方)ドンズロ部隊への反撃が成功していたため、この方面はしばらくは打ち捨てられる。英連合軍は正常状態で残っているわずかな歩兵から2ユニットを抽出し、老親衛隊の第二猟兵連隊第2大隊に反撃を試みる。親衛隊がなんぼのもんじゃい! DRM+3の攻撃をくらえ! だが、サイの目は無情にも1。攻撃側は混乱し、士気チェックにも失敗して2ユニットとも後退。マジかよ。



 JdGのショック戦闘は戦力比などをDRMとして1d10を振る、というのは先述したが、4以下の場合、攻撃側が混乱状態となり、さらに士気チェックに失敗すると1へクス後退となる。つまりDRM+3の攻撃だと攻撃側混乱となるのは20%の確率なのだが、英連合軍は渾身の反撃でそのような結果が出てしまったのである。

 不運の続く英連合軍だが、マップ上端まで潰走していた歩兵が回復。このままだとターンの終わりにマップ外に出て壊滅だったので助かった。


 ちなみに反撃に失敗した英連合軍の2ユニットだが、Kruse、Brunswickと書かれていて、このゲームの英連合軍のユニットの中では例外的に紋章がユニット左に小さくついている。

 Kruseのほうには青地に金色の獅子らしきものが描かれていて、どうやらこのユニットはAugust von Kruseの率いるナッサウ公の部隊で紋章はナッサウ家のものらしい。もう一方はブラウンシュヴァイクの部隊で、描かれている紋章は赤字に白い馬でブランシュヴァイクを含むニーダー・ザクセン地方のもののようだ。つまり両ユニットともドイツの兵ということか。ただ自分はワーテルローも紋章も詳しくないので、知っている方いらっしゃったら教えていただけると嬉しいです。

 また、「La Garde Avance!」の英連合軍ユニットは士気値の色で国籍が識別されている。ちなみにルールでこれを説明している部分は、Vae Victisのホームページに載っている英文ルールではカットされている。プレイ上は国籍関係ないけど、ちゃんと訳そうよ~。あと、この時代に国籍って言葉でいいのかな。ルールにはnationalitéって書いてあるけど。

 英連合軍の多くは英軍だが、ナッサウ、ブランシュバイクの他、オランダ、ハノーファーのユニットも含まれている。オランダはナショナルカラーのオレンジ、というのはわかるけど、ハノーファーは黄色と白になっていて、なんでそうなっているのかわからず自分の無知を痛感します。知識があるとそういう細部も楽しめるんだろうなあ。


つづく


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