Men of Ironシリーズでは基本的に部隊(Battle)ごとに活性化するのだけれど、Blood & Rosesでは全軍活性化(Army Activation)といって自軍のユニットをほぼすべて同時に活性化することができる。
敵ユニットから4へクス以内には近づけず攻撃もできないという制約はあるのだが、先手であるヨーク軍は全軍活性化で一斉に前進。さらに指揮官の高い活性化値を活用して継続活性でマップ中央の生垣地帯を抑えた。
ランカスター軍は左翼(マップ上方)のデヴォン伯ジョン・コートニー(John Courtenay, 15th Earl of Devon)の部隊が前進、射撃戦を開始する。だが、後が続かない。ヨーク軍はデヴォン隊に相対しているヘイスティングス男爵ウィリアム・ヘイスティングス(William Hastings, 1st Baron Hastings)、そして中央のエドワード四世の部隊が射撃戦に応じ、両軍ともじわじわと損害が出る。
Men of Ironシリーズでは弓兵などの射程はMen of Ironでは3へクス、Infidelでは2へクスなのに対し、Blood & Rosesでは6へクスもある。これは1へクスがそれぞれ110ヤード、250ヤード、50ヤードとマップスケールが違うためのようだけれども、Blood & Rosesではさらに砲兵(Artillery, Art)も登場し最大射程が10へクスもある。そのため両軍が離れた位置での射撃戦が起こりやすくなっている。
ただしこのゲームでの砲兵は威力が弱いうえ、一度射撃をすると移動できなくなって、かなり使い勝手が悪いように感じる。砲自体はヨーロッパでは14世紀から登場しているし、百年戦争やフス戦争でも使用された。テュークスベリーの戦いの約20年前にはウルバンの巨砲がコンスタンティノープル攻略に一役買っている。だが薔薇戦争の時点ではまだまだ信頼性や輸送手段など様々な面で問題があって、15世紀末から始まるイタリア戦争で急速に発展を遂げるそうだ。
生垣地帯をヨーク軍に抑えられたランカスター軍。今のところ射撃戦では互角の戦いを演じているが、敵の長弓兵が防御に適した地形(サイの目-1)に位置しているのに比べ、こちらは身を隠す場所のない平地だ。このままではじわじわと損害に差がついていくだろう。そう判断したランカスター軍は接近戦に持ち込むことに決める。
ランカスター軍で一番活性化値の高い右翼(マップ下方)のサマセット公エドムンド・ボーフォート(Edmund Beaufort, 4th Duke of Somerset)の率いる部隊がヨーク軍の左翼のリチャード隊に襲い掛かる。Men of Ironシリーズでは基本的に同じ隊が続けて活性化はできないのだけれど、この戦いの特別ルールとしてサマセット公の側面攻撃(Flank Attack)というものがあり、ゲーム中に一回だけサマセット隊は連続して活性化を試みることができるのだ。実際の戦いではサマセットはヨーク軍中央のエドワード四世の部隊の側面に攻撃をかけたそうで、それを再現するものらしい。
サマセット隊は射撃でリチャード隊前衛の長弓兵を混乱させたのち、白兵戦で壊滅させる。サマセット公の活性化値は4で継続活性の確率は50%だが、サイの目に嫌われることなく側面攻撃ルールでの継続活性に成功。リチャード隊をさらに攻撃し、長弓兵1ユニットが後方に回り込んだ。
サマセット公エドムンドのボーフォート家はランカスター家の分家で、薔薇戦争ではランカスター派に属していたがヨーク派によって滅ぼされた。エドムンドはテュークスベリーの敗戦で処刑されるが、いとこマーガレットがエドムンド・テューダーと結婚してヘンリー・テューダー、のちのヘンリ-7世が生まれる。
サマセット公がこの戦いのあとに斧で斬首されるシーンの絵が、Blood & RosesのシナリオブックにあたるBattle Bookにも載っている。この絵↓ですね。
The historical reputation of Edward IV, 1461-1725 - Medievalists.net
ちなみに左側で王冠をかぶっているのがエドワード四世。なんか漫画っぽくて威厳や強さを感じないな。
エドワードが持っている盾に描かれているのはイングランド王の紋章で、赤地に三頭の金色のライオンがイングランドの王、青地に金の模様はフランス王を表しているらしい。なんでイングランド王の紋章にフランスのが入ってんのかというと、百年戦争の際にエドワード三世がフランスの王位継承を主張してフランスに喧嘩をふっかけて以降、建前上はイングランド王はフランス王も兼ねている、ということになっていたからだそうだ。あー、ややこしい。
つづく
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