2022年6月23日木曜日

血まみれの野に散ったランカスター Tewkesbury 1471 - Blood & Roses (GMT) AAR ①

  SNSの知り合いnyaoさんがMen of Iron Tri-Packを買われて、薔薇戦争のものをプレイしたいとのことだったんだけれど、もしかして「薔薇王の葬列」の影響でWars of the Rosesが世の中的に今は旬? そうだ、そうに違いない......のか? (nyaoさんがあの作品を見られたのかどうかは知らなくて、自分が勝手に薔薇王で盛り上がっているだけです。)

 あの作品の独特の世界観を考えると一般の人がアニメや漫画を見てウォーゲームに流れてくることはまずないだろうけど、ウォーゲーマーの間では薔薇戦争に関する興味がほんのわずかでも高まっていると思いたい。


 ということでMen of Iron Tri-Pack所収の、薔薇戦争のゲームBlood & Rosesのなかからテュークスベリーの戦いをやってみることにした。B&Rに関してはSNSで知り合ったこーちゃさんがルールだけでなくシナリオブックにあたるBattle Bookも訳されていて、計40ページの力作には頭が下がります。

 

 この戦いは約30年続いた薔薇戦争のちょうど真ん中あたりで起こったもので、約三週間前にあったバーネットの戦いに続けてヨーク派が勝ちランカスター派はほとんど壊滅。敗走するランカスター軍が虐殺された野原は「血まみれの牧草地」(Bloody Meadow)と呼ばれる。この勝利でエドワード四世の政権が安定することになったらしい。


 らしい、というのは自分も薔薇戦争のことを最近かじったばかりで、こーちゃさんにお勧めの本を紹介してもらっているのだけれどすみません、まだあんまり読めていません。

 でもほとんど知識がない者としては「薔薇戦争 イングランド絶対王政を生んだ骨肉の内乱」で大要をつかんで、「薔薇戦争新史」でもう少し細かいところが分かるようになった(実際に読んだのは"Lancaster Against York"のほう)。困るのは人名で、爵位と名前が全然一致しない。例えばテュークスベリーの戦いに出てくるサマセット公はエドムンド・ボーフォートだ、なんて言われてもピンとこないというか混乱しまくる。その点、「薔薇戦争新史」は巻末に主要登場人物の一覧があってそこで爵位と名前を確認できるのがありがたい。でも主要登場人物とか言いながらそのリストが20ページにわたっていて、どんだけ多いんだ。加えてこの本には詳細な索引があるので、この人どこで出てきたっけな、と思った時にすぐに見つけられるので重宝する。(ただし自分は和訳のほうは読んでいないので、和訳本で人物リストや索引がどうなっているかは未確認です。すみません)


 で、テュークスベリーである。初期配置では、赤いユニットのランカスター軍と白いユニットのヨーク軍が相対している。兵力的にはややランカスター軍が優勢だが、両軍それぞれ3人いる指揮官の活性化値はマップ上方からランカスター軍が2,3,4でヨーク軍が3,4,4と、ヨーク軍が優位だ。



 このときはまだグロスター公だったリチャードも、兄エドワード四世に従って弱冠18歳ながら左翼の部隊を率いている。

 ところで弱冠って本来は数え歳で二十歳を意味するそうですね。でもリチャードの生年月日から計算してみたら、この戦いのときは数え歳で二十歳じゃないですか。セーフ。でも、じゃあ「弱冠18歳」という表現は間違いになるのかな。


 話がいつもながらズレたが、両軍の間にはマップ中央を縦断するように生垣/灌木(Hedgerow/Brush)が続いている。この生垣/灌木はノルマンディーのボカージュの親戚みたいなものらしくて、防御に適した地形だ。生垣地帯を確保できた側が有利になることは目に見えているが、ゲーム開始時に先に活性化できるヨーク軍が先取する可能性が高い。


つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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