薔薇戦争の初期の1460年、王位を狙うヨーク公リチャードはヘンリー6世を捕え、マーガレット王妃をはじめとするランカスター派に対して戦いを有利に進めていた。だが12月30日にウェイクフィールドの戦いで数的優勢なランカスター軍に大敗を喫し、ヨーク公は戦死してしまう…というのが今回のゲーム「The Battle of Wakefield」である。Men of Ironシリーズの一つで、C3i誌の31号に付いたもの。なんでこれをプレイしたかというともちろんMoIが好きだから、というのもあるんだけど、ウォーゲーマーだったらよく知っているようにカリフォルニアの火災でRodger MacGowan氏の自宅兼仕事場が焼失してしまって、C3i製作に必要な機材などもなくなってしまったという衝撃的なニュースが1月にありまして。少しでも応援になればとC3iのゲームをプレイすることにしたわけです。いやプレイだけじゃなくてゲームも買えよ自分。ちなみにMacGowan一家への寄付はこのブログを書いている2月13日現在も受け付けています。
Support Rodger, Mae and Steven post-Palisades Fire
このウェイクフィールドの戦い当時、ヨーク公はサンダル城に入って援軍を各地から集めようとしていた。だが食料調達に出た兵たちが敵と小競り合いを始めたのを見て、城から打って出る。そしてランカスター軍の待ち伏せをくらい両翼から包囲されて惨敗した―とよく言われているらしい。だがデザイナーは、数千のランカスター軍が布陣していたのならサンダル城からも見えたはずで、数的に劣勢だとわかっているヨーク公がわざわざ城から出て敵の罠の中に突っ込んでいくなど馬鹿げたことをやるはずがない、と書いている。まあ、12月の末なんで降雪や悪天候で視界が悪かったからヨーク公も敵の状況を誤認した、という説もあるらしいけど。いずれにせよ突出したヨーク軍に対し待ち受けていたランカスター軍が挟撃、というのはゲームのシチュエーションとしては面白く、このゲームでもランカスター軍の増援がマップ左右の両端から登場しヨーク軍の側面や後方を襲う、という形をとっている。増援が現れる前にランカスター軍を敗北に追いやりたいヨーク軍、かたやランカスター軍はひたすら耐えて増援を待つ、という展開になる。
初期配置は写真のとおり。ヨーク軍の各部隊は歩兵(Infantry, Inf)、長弓兵(Longbow, LB)、重装騎兵(Mounted Men-at-Arms, MM)と兵種のバランスが取れているのだが、部隊ごとの兵力は少なく、各部隊5~6ユニットとなっている。一方のランカスター軍はほとんどが歩兵で、長弓兵は各部隊に1ユニット、重装騎兵はサマセットの部隊にのみ1ユニットだ。ただしランカスターの両部隊とも歩兵を8ユニット擁しており、増援が現れるまでひたすら防御するのには向いているのかもしれない。
というわけでプレイ開始である。
「敵の増援? んなもん気にすんな。初っ端からフルスロットルで攻撃!」
ヨーク軍は全部隊を急進させ、左翼(マップ左方)のヨーク公から攻撃をしかける。敵長弓兵を射撃戦で混乱状態にし、そこに歩兵が切り込んだ。たまらずランカスター軍の長弓兵は散り散りになって軍旗まで敗走。さらにヨーク公の部隊の最左翼では重装騎兵2ユニットが降り積もった雪を蹴散らしながら突撃、敵歩兵を混乱状態に陥らせた。
続いてヨーク軍中央のソールズベリー伯リチャード・ネヴィルがヨーク公を支援。長弓兵でランカスター軍唯一の重装騎兵に射撃を加える。Men of Ironシリーズでは重装騎兵は射撃を受けた場合、条件さえそろえばカウンターチャージが行える。チェックに成功しさらに射撃でも損害を受けなかった場合、射撃をしてきた長弓兵ユニットに突撃ができるのだ。
だが、たしかにカウンターチャージに成功すれば敵長弓兵を敗走させられる可能性が高いが、その結果重装騎兵が単独で突出することになる。ランカスター軍は増援が到着するまで防御に専念していればいいのだ。敵の挑発に乗ることはない。
そう考えて自重したランカスター軍だが、百年戦争でもその威力を発揮したロングボウによって強制下馬(Unhorsed)の結果を被る。強力なはずの重装騎兵が、歩兵よりも脆弱なユニットになってしまった。
「げ、ランカスター軍唯一の騎兵ユニットなのに、馬をなくしちゃったの?! My kingdom for a horse!」
「そのセリフ、言っていいのはリチャード三世だけだからね」
つづく
おまけ。出先でぶらぶらしていたらたまたま見つけたウェイクフィールド通り
0 件のコメント:
コメントを投稿