今回プレイしたゲームはMen of Ironシリーズ(GMT)のInfidel。Men of Ironシリーズはデザイナーのリチャード・バーグが亡くなった翌年にInfidelをふくめ3つのゲームがセットになってTri-pack版として売り出されている。The Supremacy of Cavalry in the Crusade Eraとゲームに書かれているように、Infidelは騎兵が戦場を支配していた十字軍時代の戦いを扱っている。
Infidelにはいくつかシナリオが含まれているが、アンティオキアの戦いを選んでみた。この戦いは11世紀末、現在のトルコとシリア国境近くで起こったもの。エルサレムを目指してヨーロッパをたった十字軍は、セルジューク・トルコ支配下にある主要都市アンティオキアを包囲。食糧不足に苦しみながらも半年以上の攻囲の末に陥落させた。その数日後、アンティオキア救援にかけつけたモスールの太守(エミル)のケルボガ(Kerbogha)が大軍でアンティオキアを囲む。やっと攻略した市内に閉じ込められ、食糧が枯渇し脱走兵が続出する十字軍。だがその時、イエス・キリストが十字架にかけられたときにそのわき腹を刺した聖なる槍、いわゆるロンギヌスの槍が、アンティオキア市内で発見される。
聖槍が現れたことでキリスト教徒たちは感激し大いに士気が上がった。そしてどうやらトルコ軍は内部で統制が取れていないらしい。そう見て取った十字軍の事実上の総司令官、プーリア公ボエモンドは市内から打って出ることを決める…
というのがアンティオキアの戦い。重武装で少数精鋭の十字軍に対し、機動力と数で勝るトルコ軍という対照的な軍隊のぶつかりあいである。
ユニットは部隊(Battle)という単位でまとめられており、部隊ごとに活性化して移動、射撃、白兵戦(Shock)を行う。活性化は基本的に10面体ダイスを振って指揮官の活性化値以下を出せば成功する。
そのため指揮官の活性化値が重要なのだが、十字軍は4人中3人が活性化値4で一人だけ3、対してトルコ軍は5人中2人だけが4,残りの指揮官と、援軍を登場させるために活性化値を使う総指揮官のケルボガは3となっている。
積極的な十字軍と統制の取れていないトルコ軍をこういう形であらわしているということか。『アラブが見た十字軍』という本には、「ムスリム軍なるものは一体化した勢力ではさらさらなく、往々にして利害が相反する諸君主の寄せ集めだ」なんて書かれているし。
初期配置(写真上)では両軍とも主力はまだマップ上に現れていない。十字軍はユーグ(Hugh Capet, Count of Vermandois)の部隊が出撃済み。ちなみにこのユーグ、フランス王フィリップ1世の弟なのだが、当時のフランス王朝であるカペー朝の創設者ユーグ・カペーと同名である。ヨーロッパの王族って同じ名前が多くて本当に困る。さらにどうでもいいけど、兄のフィリップ1世は好色王と呼ばれる。そんなあだ名がつけられる王様って…。
トルコ軍の初期配置としては、川の近くに軽弓騎兵の集団がいるが、実際の戦闘ではあっという間に逃げてしまったらしい。
マップ下端がアンティオキアの城壁で、十字軍は城壁左端の門から現れる。トルコ軍主力が登場するのはマップ右端上部。
両軍の増援は下の写真のとおり。各ユニットに入っている横線の色で所属部隊が識別される。トルコ軍は数は多いのだけれども、槍兵(Pike, PK)は弱くてほとんどあてにならない。指揮官の活性化値が4のQaradja(青)とDuqaq(緑)の部隊が攻撃の中心となるだろう。
トルコ軍は増援を登場させるためには総指揮官のケルボガの活性化値3を使わないといけない。これがまた、思うように登場させられなくて苦労するんだな。ケルボガの言うことを聞かない各指揮官って感じが出ていいんだけど。
一方、十字軍は数は少ないもののMen-at-Arms(MA)という重装歩兵に加えて、かなり強力な騎士(Knight, KN)がいる。だが歩兵主体で、機動力に勝るトルコ軍にどう対処するかが問題になる。
つづく
(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)
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