2022年5月9日月曜日

少数精鋭の十字軍vs機動力に富むトルコ軍  Antioch 1098 - Infidel, Men of Iron Tri-Pack (GMT) AAR②

  このシナリオは十字軍の活性化から始まる。初期配置されているトルコ軍の軽弓騎兵集団は指揮官がいないためほとんど使い物にならないのだが、十字軍にとっては敗走ポイント(Flight Point、以下FP)を稼げるいいカモである。

 Men of Ironシリーズではユニットの除去や敗走によってFPが加算されていくのだが、各陣営に敗走レベル(Flight Level)というものが設定されていて、累積FPと10面体ダイスの目の合計が敗走レベルを超えた側が負けになる。

十字軍の敗走レベルは20,トルコ軍は35で、十字軍が勝つためには多くの損害をトルコ軍に与えないといけない。軽弓騎兵は1ユニットが2FPなのでマップ上の6ユニットを除去するだけで12FPとなる。十字軍としては敵の増援主力が現れる前に、ユーグの部隊(赤)で軽弓騎兵部隊の除去を目指す。

 軽弓騎兵に正面から接敵すると対応射撃(Reaction Fire)で撃たれてしまううえ、歩兵が攻撃しても戦闘前後退で逃げられてしまう。そのため歩兵は接敵せず、まず騎士(KN)を側面から回りこませて攻撃する。

 だが十字軍は増援の活性化に失敗し続ける。このゲームでは1部隊の活性化のあと、自軍の別部隊の活性化を試せるのだが、この活性化の継続に失敗した場合、敵軍には自由活性化が与えられる。自由活性化の場合は活性化チェック無しに任意の部隊を活性化できるため、十字軍は唯一活性化値が3と低いユーグをまず動かし、ついで増援部隊の活性化を試みていたのだが、なかなか成功しない。50%の確率で成功するはずなのに、狭い城門から我先に出陣しようとして大混雑でもおきてんのかな。自由活性化のときにユーグを動かさずに増援部隊を出すことを優先すればよかったのだが、後の祭りである。

 トルコ軍の増援は、登場させる部隊の指揮官ではなく総指揮官のケルボガの活性値3を使わないといけない(なおケルボガのユニット自体はマップに登場しない)。10面体ダイスで0~3(40%)で成功なのだが、十字軍と対照的に次々と成功させていく。

 まずQajadja(青)の部隊の活性化に成功。軽弓騎兵と中騎兵(Medium Cavalry, MC)が中心の部隊だ。快速の一方で接近戦には弱いため、十字軍とは距離を取りながらマップ左側のオープンスペースに展開することを目指す。

 続いてDuqaq(緑)の部隊も登場。これは重騎兵(Heavy Cavalry, HC)のみで構成されている部隊で、トルコ軍の打撃力の中心となる。

 十字軍が増援の活性化に失敗している間に、さらにSoqman(紫)の部隊も登場。こちらもQajadja(青)の部隊同様に軽弓騎兵と中騎兵が中心の部隊だが、指揮官の活性化値が3とやや低く、思うように動かせない可能性が高い。そのためオープンスペースが広がるトルコ軍右翼は活性化値4で騎兵中心のQajadja(青)とDuqaq(緑)の部隊にまかせ、この部隊は左翼を固める。

 十字軍はユーグ隊(赤)に後続部隊が続かないのに、トルコ軍は着々と態勢を整えている。おいおい、トルコ軍は統制が取れていなかったんじゃないのかよ。



 だがその後は十字軍も増援を出すことを最優先。ロレーヌ公ゴドフロア(青)、そして司教アデマール(黒)と出撃する。が、1へクスサイドしかない狭い城門から橋を渡って出てくるため団子状態になるうえ、ほとんどが歩兵なので移動力が低く、部隊を展開して隊列を整えるのに時間がかかる。指揮官の活性化値が十字軍のほうが比較的優れているため、活性化する回数はこっちのほうが多くなるはずだが…。


 ちなみにこの司教アデマールは法王代理として第一回十字軍の精神的指導者だっただけでなく、戦闘指揮官としての才もあったようで、前年のドリレウムの戦いでも活躍している。中世は祈る人、戦う人、耕す人っていう3つの身分に分けられていたってどこかで読んだ気がするけど。まあこの戦いの20年ぐらい後には騎士修道会なんてのができますからね。

つづく


(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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