2022年5月15日日曜日

マルタ島の攻防戦関連の書籍

 もうすぐ発売になるBANZAIマガジン13号の付録ゲームは、マルタ島攻防戦らしい。https://bonsai-games.net/banzaimagazine/bm13/

 マルタ島の戦いの本と言ったらこれですよね。
 "The Great Siege, Malta 1565"


 ……あれ、年代がなんかおかしくない? BANZAIマガジン13号はペデスタル作戦1942でしょ? WWⅡだよね。16世紀の戦い関係ないじゃん。

 
 そうなんです、この本は第二次世界大戦じゃなくて、1565年に聖ヨハネ騎士団がオスマントルコの大軍を激戦のうえ撃退したマルタ島の戦いを描いています。BANZAIマガジンに便乗してすみません。
 でもね、まったく関係がないわけじゃないですよ。筆者のErnle Bradfordは1942年に英海軍の士官としてマルタ島に来ているんですね。「この島の歴史で二回目の大攻囲戦に耐えているとき」って書いているけど、それって、ペデスタル作戦のときじゃないの? で、一回目は16世紀のオスマントルコの攻撃だと言いたいんでしょうな。

 1565年のマルタ島攻防戦は、オスマントルコの絶頂期、スレイマン大帝の時代。トルコの大軍の損害を顧みない攻撃、それに圧倒的な量の砲撃に騎士団はさらされるが、隣のシチリア島からは約束の援軍が全然来ない。そんな状況下、不屈の闘志を持つ騎士団総長ジャン・ド・ラ・ヴァレットのもとでマルタ島を守り切った様子が"The Great Siege, Malta 1565"には描かれています。両軍とも苦しい戦いが続いて、もう早く終わらせてーと読んでいて思ってしまいました。ちなみにド・ラ・ヴァレットにちなんで、今のマルタの首都もバレッタと呼ばれていますね。
 オスマントルコによる攻囲戦は5月から9月まで約4か月続いて、この本ではマルタ島の夏のすさまじい暑さも描写されているけれど、ペデスタル作戦が行われた8月もさぞ暑かったんでしょうな。
 この本の表紙に大きく描かれている黒いマークは、マルタ十字と呼ばれる、聖ヨハネ騎士団の象徴。一瞬、鉄十字のバッタもんかと思いましたよ。マルタ騎士団のみなさんすみません。

 あと、1565年のマルタ島攻囲戦のゲームとしてはWargamer誌50号の付録The Knights of Justiceというのがあるんだけど、マップの色とかが好みじゃなくてユニットの切り離しすらしていなかったわ。今思い出したけど。

 "The Great Siege, Malta 1565"は『マルタ島大包囲戦』というタイトルで和訳が出ています。それと、塩野七生の『ローマ亡き後の地中海世界』の文庫本第四巻でもこの攻防戦について書かれていますね。『ロードス島攻防記』と併せて読むと面白かったです。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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