2022年5月13日金曜日

少数精鋭の十字軍vs機動力に富むトルコ軍  Antioch 1098 - Infidel, Men of Iron Tri-Pack (GMT) AAR ④

  Men of Iron Tri-Pack版ではSeizureカウンターというものがあって、攻撃を有利にしたり、相手の継続活性を中断させて自軍部隊を活性化したりする活性継続奪取(Seize Continuity)など数種類あるのだが、ゲーム開始時に両軍が決められた数だけランダムに引く。アンティオキアの戦いでは十字軍は4つ、トルコ軍は3つだ。

 十字軍のゴドフロア隊(青)の左側面ががら空きなうえ、最左翼のMAも騎士も混乱状態になっているため、チャンスと見たトルコ軍はSeizureカウンターを使用。10面体ダイスを振り0~7で活性奪取成功のチットである。80%で成功だからこれで十字軍にたたみかけらる、と思いきや、十字軍側もSeizureカウンターを使用。奪取を無効化(Seizure Negation)で、せっかくのトルコ軍の試みも無駄に終わった。
 十字軍はアデマール隊(黒)を前進させ、ゴドフロア隊(青)の左翼をカバー。これで城門の前が空くので、十字軍最大兵力のボエモンド隊も出撃できる。

 続けてゴドフロア隊(青)を活性化させ、混戦状態となっているDuqaq隊(緑)を攻撃する。重騎兵が1ユニット壊滅し、Duqaq隊(緑)の残り8ユニットのうち6ユニットが混乱状態となった。重騎兵は敗走ポイント(Flight Point, FP)が3と結構大きいため、十字軍としてはDuqaq隊(緑)をさらに攻撃しなるべく多くのユニットを壊滅させたいところだ。

 だが十字軍は活性継続に失敗、トルコ軍の自由活性となる。多くが混乱状態となっているDuqaq隊(緑)をひとまず退かせるべきか。それとも敵のゴドフロア隊(青)が左翼をさらけ出しているところにQaradja隊(青)で攻撃を仕掛けるべきか。


 ゴドフロア隊の横には無傷のアデマール隊(黒)がいるため、攻撃を仕掛ければ補足され白兵戦に持ち込まれてしまう可能性が高い。重騎兵で構成されているDuqaq隊(緑)と違い、Qaradja隊(青)の中騎兵は攻撃されるともろい。アデマール隊(黒)の弓兵の射撃によって混乱状態になったあとに騎士やMAに攻撃されたらかなりの損害が出る可能性がある。

 しばし迷ったトルコ軍だが、攻めを選択する。虎穴に入らずんば虎子を得ず。班超ほど追い詰められた状況じゃないけどね。しかし学者一家からあんな冒険野郎がよく生まれたもんだ。それはさておき、Qaradja隊(青)の中騎兵がゴドフロア隊(青)の騎士とMAに襲い掛かる。
 だがMAは中騎兵2ユニットの攻撃を持ちこたえた。そして騎士への中騎兵3ユニットの攻撃。騎士はゲームで最強のユニットで、中騎兵が攻撃する場合サイの目に-3の修正がついてしまう。さらにこの騎士ユニットの防御力は-1なので計-4。だが前面と側面からの同時攻撃で+4、さらにユニット数の差で+2の修正で、差し引き+2となる。混乱状態のユニットへの攻撃で+2だと、通常だと70%の確率で攻撃は成功となり防御側は除去もしくは自軍本営に逃げて行く。だが騎士は自軍本営に敗走する結果(Retired)は、1へクス退却だけで済むのだ。そのためこの場合、騎士を退却ではなく除去するにはサイの目6以上、40%の確率となる。3ユニットで側面からも攻撃して、しかも混乱状態で防御しているのに、騎士強すぎ。BGGかどこかのレビューでこのゲームInfidelの騎士は中世のパンツァーだと書かれていたが、確かにそんな感じ。今回はあんまり活躍していないけど。
 気合を入れてトルコ軍が振ったサイコロは、6。おっしゃ、騎士壊滅。へなちょこ中騎兵でもやるときはやるのだ。


 騎士の壊滅により、十字軍のFPは13に達していた。サイコロを振って出た数を足すと、十字軍の敗走レベルの20を越す可能性がある。そしてそのチェックは自由活性化が終了する度に行われる。これまでは両軍ともサイコロを振っても敗走レベルに達するほどのFPではなかったため、今回が初めてのチェック。そして出た目は…なんと9。FP13と足して22、十字軍の敗走レベルを超えたため、トルコ軍の勝利となった。えええ、こんなにあっさり負けちゃうの?

つづく




(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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