2022年5月19日木曜日

少数精鋭の十字軍vs機動力に富むトルコ軍  Antioch 1098 - Infidel, Men of Iron Tri-Pack (GMT) AAR ⑥

  トルコ軍の波状攻撃に十字軍中央のゴドフロア隊(青)が反撃。だがDuqaq隊(緑)の重騎兵の守りは固く、痛み分けに終わる。そして十字軍は継続活性に失敗。Duqaq隊(緑)がゴドフロア隊(青)にやり返す。MAを敗走させ、槍兵を3ユニット混乱状態にする。戦列にも穴が開いた。

 このままではゴドフロア隊(青)が危ない。十字軍がここでSeizureカウンターを使用。敵の継続活性を奪い、崩れかけているゴドフロア隊の救援に主力のボエモンド隊(緑)が駆け付けた。指揮官のボエモンドが陣頭に立ち、騎士を率いて突撃。重騎兵を壊滅させる。さすがはボエモンド。


 ボエモンドはノルマン人の家系で、11世紀の初頭にフランスのノルマンディーから兄弟とともに南イタリアとシチリア島を征服したロベール・ギスカールの息子。ノルマン人はアンティオキアの戦いの30年ぐらい前にはノルマンディーからイングランドを征服するノルマンコンクエストなんてのもやってるし、まあとにかく戦いには強かったらしい。もともとヴァイキングだしね。
 ちなみに資料によってはボエモンドはボエモンとフランス語読みで書かれたり、ロベール・ギスカールはロベルト・グイスカルドとイタリア語読みだったりして、結構混乱する。『ノルマン騎士の地中海興亡史という本の巻末に主要な人名のラテン英仏独伊各国語の対応表があって、ラテン(羅)語でマリアが英メアリ、仏マリ、独マリア、伊マリアっていうのはまあわかるけど、ウィレルムス(羅)が英ウィリアム、仏ギョーム、独ヴィルヘルム、伊グリエルモなんてのもあって、絶対同一人物だってわからんだろ、ウィリアムとギョームとグリエルモがなんで同じ名前なんだよと自分の無学を棚にあげて突っ込みたくなる。まあ、東アジアでも「もうたくとう」が「マオ・ツォードン」だろっていうのもありますからね。「李小龍」が「ブルース・リー」とか。いや、これはちょっと違うな。

 閑話休題。半数近くが混乱状態となっているDuqaq隊(緑)はボエモンド隊(緑)とやりあっても益なしと、ひとまず後退。騎兵の機動力を活用して十字軍と距離を取り、態勢の立て直しをもくろむ。
 続いてトルコ軍は右翼のQaradja隊(青)の活性化に成功。軽弓騎兵がヒットエンドアウェイの連続射撃でゴドフロア隊(青)の騎士を混乱状態にする。そこにQaradja隊(青)の中騎兵が集中攻撃。この連係プレーで騎士は壊滅した。なんかペルシアのころから続く東方系の軍隊の伝統を見た気分。その一方でトルコ軍の歩兵が一切活躍していない。というか下手に戦列に加えると味方の邪魔になるうえ、あっという間に敗走しそうなのもオリエントの雰囲気がぷんぷんする。

  Infidelの参考文献として挙げてあった"Crusading Warfare, 1097-1193"という本には、十字軍が最も恐れ称賛した相手がトルコ軍だと書いてある。十字軍に比べて軽武装で機動力に優れていたため、敵との距離を維持し攻撃するタイミングを選べたそうだ。十字軍が攻撃したら逃げ、側面や後方に回り込む。そうして弓騎兵の射撃で敵に損害を与え混乱させ、最後は接近戦で決定的なダメージを与えるという戦術をとっていたらしい。ゲームやる前に読んどきゃよかった。でもこのゲームでも、兵種の特徴や部隊構成を考えたら自然とそう言う戦い方になるよね。

 トルコ軍は継続活性に失敗。突出していたQaradja隊(青)に、十字軍左翼のアデマール隊(黒)が攻撃を仕掛ける。中騎兵が3ユニット壊滅した。


 両軍の激しい攻防が続いたが、この時点で両軍のFPは十字軍8,トルコ軍19。敗走レベルはそれぞれ20と35なので、今のところややトルコ軍有利といったところか。

つづく



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

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