2022年5月21日土曜日

少数精鋭の十字軍vs機動力に富むトルコ軍  Antioch 1098 - Infidel, Men of Iron Tri-Pack (GMT) AAR ⑦

  この戦いの舞台となったアンティオキアだが、アレキサンダー大王の死後にセレウコス朝シリアの首都として建設され、ローマ時代においてもローマやコンスタンティノープルと並ぶ政治的、軍事的に重要な都市だったらしい。キリスト教にとっても重要な都市で、キリスト者という言葉がはじめてつかわれたのもこの都市だそうで初期キリスト教伝道の拠点となっていた。ローマ時代にキリスト教が公認されたのちは、コンスタンティノープル、ローマなどに置かれた5大総主教座がこの都市にも置かれていた。

 ――という感じの、歴史的にはメジャーな都市のはずなんだけど、個人的にはなんだか印象が薄い。20数年前にこの町を訪れた、というかシリアに行くために長距離バスの乗り換えでちょっと下車しただけなんだけど、水を買おうとして高かったからやめたというどうでもいい記憶しか残っていない。現在はアンタキヤと呼ばれて遺跡もあんまり残っていないそうだ。長く続くシリア内戦でトルコは反政府勢力を支援してるって聞いたことがあるけど、シリア国境近くのこの町もその影響を受けているんだろうなあ。

 それはさておきアンティオキアの戦いの続きである。十字軍左翼のアデマール隊(黒)に続いて、ゴドフロア隊(青)が活性化。Duqaq隊(緑)の攻撃で多くのユニットが混乱状態になっていたゴドフロア隊(青)だが、このゲームでは、混乱状態のユニットは自隊の活性化中に移動も攻撃もせず、接敵していなければ正常の状態に回復できる。Duqaq隊(緑)が後退していたおかげで、混乱状態だった槍兵ユニット3つが回復した。

 続いて十字軍左翼のアデマール隊(黒)がQaradja隊(青)を再び攻撃。まずクロスボウの射撃で軽弓騎兵を混乱状態に。そうなると軽弓騎兵は戦闘前退却ができないため、槍兵で捕捉、壊滅させた。また中騎兵も2ユニットを混乱状態に。Qaradja隊(青)はボロボロだ。

 3回活性化が続いていた十字軍だが、ここで継続活性に失敗。このゲームでは継続活性に成功するごとに、次の継続活性判定でサイの目が1不利になっていく。そのため、一方の軍が何度も続けて活性化できないようになっている。やっと活性化が回ってきたトルコ軍は損害を受けているQaradja隊(青)を退かせる。接近戦での殴り合いには不利なトルコ軍だが、こういうときは機動力を生かせる。

 続いて中央のDuqaq隊(緑)が活性化。混乱状態にある約半数のユニットは回復させ、残りの部隊でユーグ隊(赤)を攻撃。ユーグ隊(赤)は残存3ユニットとなり、そのうち2ユニットが混乱状態。もうユーグ隊(赤)は使い物にならないだろう。


 そしてQaradja隊(青)が中騎兵を回復させつつ、軽弓騎兵のヒットアンドアウェイでアデマール隊(黒)の槍兵を壊滅させる。

 今度は十字軍が自由活性。中央のボエモンド隊(緑)が、ユーグ隊(赤)を攻撃したDuqaq隊(緑)の重騎兵に反撃。再びボエモンドが騎士とともに陣頭に立つ。指揮官とスタックした騎士が攻撃する場合、サイの目1有利になるのだ。1ユニットが壊滅、1ユニットが混乱状態、さらに1ユニットを包囲化におく。

 このまま一気にたたみかけるチャンス! なのだが、十字軍は継続活性に失敗。トルコ軍はDuqaq隊(緑)がボエモンド隊(緑)に反撃。MAを混乱状態にして退却させる。そしてボエモンドとスタックした騎士に対して、重騎兵4ユニットの包囲攻撃。サイの目修正+4、退却路は無し。さすがの騎士もこれでおしまい、と思いきや、結果はNo Result(効果なし)。ボエモンドの騎兵はシシリー島から連れてきたノルマン騎兵だからね。そりゃ強いよね。


 重騎兵の攻撃をしのいだボエモンド隊(緑)が反撃。ボエモンドと騎士は包囲網を打ち破る。さらにゴドフロア隊(青)がDuqaq隊(緑)に追い打ちをかけ、重騎兵が1ユニット壊滅。トルコ軍のFPは27に。

 十字軍は再びボエモンド隊(緑)の継続活性に成功。弓兵の射撃で重騎兵を混乱状態にしてから、歩兵の攻撃で壊滅させる。さらにもう一ユニットもボエモンドの陣頭指揮で壊滅し、トルコ軍のFPは33に。敗走レベルの35に迫る。

 怒涛の十字軍の攻撃の後、やっと迎えたトルコ軍の自由活性。このままでは負けてしまう。とにかく全力で攻撃して、敵ユニットを壊滅させるのだ。無傷で残っていた左翼のSoqman隊(紫)が動く。軽弓騎兵の連続射撃でボエモンド隊(緑)の槍兵が壊滅。そして中騎兵3ユニットの攻撃で、混乱状態だったユーグ隊(赤)の騎士が壊滅する。十字軍のFPは14になった。


 自由活性化の最後に敗北チェック(Loss Check)がある。両軍がそれぞれサイコロを振って出た目を自軍FPに足し、敗走レベルを超えると負けだ。デザイナーズノートによると、このようなサイコロによる勝敗の不確定さは士気の上下や戦場の霧など様々な要素を表しているらしい。

 十字軍の敗北レベルは20で、FPは14。サイの目は、5。耐えた。続てトルコ軍。敗走レベルは35でFPは33。サイの目は…3。トルコ軍の士気は崩壊し、アンティオキアの戦いは十字軍の勝利となった。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)



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