英仏百年戦争という比較的マイナーな戦争の中で、まだ名前が知られているのがエドワード黒太子じゃないだろうか。あ、ジャンヌ・ダルクがいたな。でもウォーゲーマー的には、ポワティエの戦いで寡兵でもってフランス軍を完膚なきまでに叩きのめした黒太子のほうが琴線に触れるんじゃないのかな。
今回プレイするのはエドワード黒太子が大勝した戦いの一つ、ナヘラである。ゲームはMen of Iron Tri-pack。時代は百年戦争の前半にあたり、場所はスペインの太平洋側、ピレネー山脈近くのところ。
イギリスとフランスが戦争していたのになんでスペインで戦い? と思って調べてみたら、1360年に英仏間で講和が結ばれていたが、スペインでは中央部のカスティーリャ王国の王位をめぐって英仏の代理戦争が行われていたらしい。確かGJの英仏百年戦争でもこの地域は含まれていたはず。カスティーリャ王ペドロ1世の異母弟トラスタマラ伯エンリケがフランスの支援を受けて王位を狙い、ペドロは当時フランス南部のアキテーヌ地方を支配してたエドワード黒太子に助けを求めた、というお家騒動である。
この戦いには小説「双頭の鷲」の主人公、デュ・ゲクランも参加している。1360年の和平のあと、仕事にあぶれた傭兵たちがフランス国内で盗賊化していたため、その厄介払いも兼ねてデュ・ゲクラン指揮下のもとカスティーリャに派遣されていたからだ。
街道沿いに東から進軍してくるイングランド軍に対しもっと有利な態勢で戦えるようデュ・ゲクランは退却を進言したが、エンリケはナヘラの町から川を渡って平原で迎え撃つことを決める。だが黒太子は山道を使って迂回し、エンリケ軍の側面に現れたのだった。
初期配置では、エンリケ軍は東(マップ右下)を向いて布陣している。見事に川を背にしていて、あなた、韓信ですか。この戦いの一週間ほど前にイングランド軍の一部隊を壊滅させているから、相手をなめていたのかな。
イングランド軍はエンリケ軍の左翼、マップ右端上方から登場するのである。エンリケは完全に虚を突かれている。さすが黒太子、グッジョブ。
イングランド軍は数は少ないものの、重武装の歩兵(Dismounted Men-at-Arms, DM)と、百年戦争を通してその威力を発揮した長弓兵で構成されている。
前衛であるチャンドスの部隊(青)から登場し、主力である3部隊が続く。4人の指揮官のうち半分が活性化値4,残りが3。後衛としてマヨルカ王ジャウメ4世の部隊(緑)がありイングランド軍の中では貴重な騎兵主体の部隊となっているが、活性化値が2と低いため登場させない(させられない)かもしれない。
一方のエンリケ軍、というかこれ以降はMen of Ironの表記に従ってカスティーリャ軍と書くことにする。この戦いのときにはペドロを追い出してエンリケ2世としてカスティーリャ王になってたようだしね。そのカスティーリャ軍だが、指揮官の活性化値はデュ・ゲクランが5と突出して高いものの、ほかは3が3人、2が2人だ。活性化値が低めの指揮官を使ってこれだけの大軍の正面をイングランド軍側に転換しないといけないため、下手をすると大混乱が起きてしまう。
しかも20ユニット以上ある投槍騎兵は移動力は8もあるものの、接敵しないと槍を投げられず、一度投げてしまうと再装備するまでかなり脆弱になる。さらに再装備には敵から3へクス以上離れた状態で何もしないせずに一活性化を使うことが必要で、つまり一度攻撃すると1回か2回の活性化を経ないと再び攻撃できるようになれない。イベリア半島で主な敵だったイスラム教徒相手にはある程度有効だったこの兵種は、イングランド軍にはほとんど通用しなかったらしい。どうなることやら。
つづく
(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)
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