ドリュラエウムの戦いのAARが途中だけれども、ちょっとアンナ様ネタを。
十字軍とセルジューク・トルコ軍が衝突したドリュラエウムの戦いの約20年前。まだ20代の将軍だったアレクシオス・コムネノスは、バルカン半島で起きたビザンツ帝国に対する反乱の討伐に派遣される。兵の数でも質でも劣っていたにもかかわらず、カラヴリエの戦いで反乱軍を打ち破ったこの若き将軍が、のちの皇帝アレクシオス一世、つまりアンナ・コムネナの父親である。
反乱を起こしたニケフォロス・ブリュエンニオスは一万二千の兵を集め、しかもその多くは戦闘経験豊かな兵士。一方、アレクシオス側は二、三百のノルマン人傭兵のほか、アナトリアから派遣された部隊やセルジューク・トルコからの援軍二千など雑多な部隊で構成されていた。アンナによると、不死隊と呼ばれる部隊もいたそうだけど、名前だけで戦闘経験はほぼゼロだったそうだ。ビザンツの最盛期となったバシレイオス2世の治世から約50年、帝国の栄光は過去の遠いものとなり、実際このカラヴリエの戦いの数年前にあったマンジケルトの戦いではビザンツ軍はセルジューク・トルコに大敗している。
だがカラヴリエの戦いではブリュエンニオス側の同盟者である遊牧民ペチュネグ人が勝手に略奪行為に走ったり、アレクシオスが待ち伏せ攻撃をしかけたりして皇帝軍の勝利となる。アンナの書いた歴史書「アレクシアス」では結構な分量を割いてこの戦闘について描写しているけど、そりゃお父様の活躍場面ですからね。
ちなみに負けたニケフォロス・ブリュエンニオスは当時の皇帝の命令で目をつぶされるが、その同名の孫がアンナ・コムネナの夫なのである。このことは漫画「アンナ・コムネナ」でも触れられていますね。
このカラヴリエの戦いがVae Victis誌87号の付録ゲームとなっている。買った当時、ユニットを自作して2,3回プレイした記憶はあるけれど、ふーん、ビザンツね、まあいろいろ反乱があったでしょうね、ぐらいにしか思っていなかった。アンナ様、ごめんなさい、あなたのお父様だなんて思っていませんでした。で、今回nyaoさんが漫画「アンナ・コムネナ」を紹介してくれたおかげで久しぶりに取り出してみる気になったわけである。
ゲーム自体はÀ la charge(犠牲において)というシリーズの最初期のもので、中世の会戦を簡単なルールで再現している。ユニット数は20数個、マップも小さいミニゲームだ。皇帝軍の伏兵やペチュネグ人の裏切りルールもある。アンナのパパの野戦修正値(スタックしているユニットの戦闘力にプラスする)は2で、敵のブリュエンニオスは1。やっぱりお父様、若い時からすごいんだわ! とアンナ様が喜びそうなレーティングである。
漫画「アンナ・コムネナ」は早々に売り切れて重版出来となったみたいだから、VaeVictisもこのゲームを再販して「アンナ・コムネナのお父様の活躍がここに!」みたいな感じで宣伝すればあの漫画のファンに売れるはず。いや、売れないだろうな…。
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