2022年9月23日金曜日

(幕間)Sagrajas 1086(ALEA38)ヒストリカルノートの和訳

  サグラハスの戦いがあった11世紀後半のイベリア半島の状況ってほんと、ぜんぜん知らないのでALEA誌のヒストリカルノートを訳してみました。

 小さなウォーゲーム屋さんにマストアタックで和訳を公開してもいいですかと聞いてみたら、版元Ludopressまでわざわざ確認してくました。ありがたや。お手間を増やして恐縮しました。

 で、Ludopressの公式ツイッターで拙訳をシェアしてくれました。ご興味ある方はどうぞ。

 ヒストリカルノートを読んでみると、イスラムのタイファ諸国が内輪もめばっかりしていて、なんだか十字軍の時期の中東と似た印象。ムラービト朝って名前しか知らなくて勝手にマイナーな印象をもっていたけど、イケイケだったアルフォンソの野望をくじいたってのをこのヒストリカルノートで初めて知りました。

 それと、スペインの主要都市といったらマドリードで、トレドは(というかトレドも)名前しか知らなかったけど、イベリア半島中央部に位置する重要都市だったんですね。サグラハスの前年にアルフォンソにとられるんだけど、そのショックでタイファ諸国が一応手を組んでキリスト教勢力に対抗した、ということから逆説的にトレドの重要性がよくわかる。数百年前に西ゴート王国の首都になっていたというのも知りませんでした。


 あと、今年4月に出たGMTのLevy & Campaignシリーズの新作『Almoravid』が1085-1086年のスペインを扱っていて、時代と地域がこのヒストリカルノートとかなり重なるんじゃないかと。


 中世のスペイン、で思い出すのが英雄エル・シド。といっても名前はなんか聞いたことがあるな、ぐらいなんだけど、チャールトン・ヘストン主演で映画になったりしている。OspreyのMen-at-Armsシリーズでは『El Cid and Reconquista 1050-1492』っていう本が出ていて、400年以上続いたレコンキスタよりもエル・シドが先にくるタイトルですよ。欧米ではそんなに有名なんですかね。エル・シドを描いた叙事詩は『エル・シードの歌』というタイトルで和訳が岩波文庫から出ているけど。

 そのエル・シドはちょうどサグラハスの戦いの時期の11世紀後半の人物で、サグラハスでは大活躍、と思いきや、この戦いには参加していない。なんで加わっていなかかったのかもヒストリカルノートのコラムで説明がしてあります。 


 Sagrajas 1086のデザイナーズノートは英訳されていて、公式サイトからダウンロードできます(英文ルールの最後についています)。ご興味ある方はどうぞ。

https://alealudopress.com/wp-content/uploads/2022/03/Sagrajas1086-ENG-rules.pdf


 ちなみに、Sagrajas1086がついているALEA誌38号には『Red Storm』(GMT)の機種カード6枚と追加ユニットが含まれています。

 ALEA誌の前号37号では第二次世界大戦のトーチ作戦の後、連合国軍がスペイン保護領モロッコに侵攻した『Operation Backbone』が付録ゲームになっています。36号では1921年のモロッコでのスペイン軍の戦いを再現した戦術級ゲーム『Cuestion de Honor』がついていて、サグラハスも含めご当地スペインのパブリッシャーならではのラインアップ。過去にはテルシオの16世紀の戦いも出していてもう絶版のようだけど、イタリア戦争あたりのゲームを出してくれないかな。



(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

0 件のコメント:

コメントを投稿

(幕間)『ブルゴーニュ国家』

  AARを書いているGrandsonの戦いはブルゴーニュ公率いる軍隊とスイス軍の戦いですが、ブルゴーニュの歴史ってよくわからないんですよね。薔薇戦争とかその他14-15世紀のヨーロッパの本を読んでいると「ブルゴーニュ公国」って言葉がちらほら出てきて、なんじゃらほいとずっとモヤモ...