●第4ターン
射撃戦で両軍ともに損害を受ける。前ターンに引き続きブルゴーニュ軍は中央で押していくが、両翼、とくに左翼(マップ下)では敵騎兵部隊によって劣勢に立たされている。
AFdEでは各ターンの最後に回復(Ralliements)フェイズがあり、ブルゴーニュ軍の潰走や士気低下状態ユニットの多くが回復した。回復フェイズでは接敵していないユニットは士気低下状態や潰走状態からの回復を試みることができる。各ユニットには戦闘力(Facteur de combat)のほかに兵質(Qualité)という数値を持っており、10面体サイコロを振って兵質以下の目が出れば士気低下状態から回復できる。ブルゴーニュ歩兵は3分の2が兵質5,残りが4だ。一方フランス軍歩兵の兵質は6割が4,残りが3と、ブルゴーニュ歩兵のほうが高い。
なおフランスは、百年戦争中の1445年には常備軍の走りとなる勅令隊(compagnies d'ordonnance)が、1448年には各教区ごとに平民が一人を民兵を出すという国民弓兵隊(francs archers)が創設されている。このゲームでのフランス軍の歩兵ユニットには勅令隊と国民弓兵隊が含まれているが、兵質は勅令隊のほうが国民弓兵隊より1高く、常備軍と民兵の違いが現わされていると思われる。
ブルゴーニュ軍は多くのユニットが回復したものの、フランス軍で遅れ気味だった中央上方のAntoine de Chourses率いる歩兵部隊が戦闘に参加してきているため、中央の多数の敵歩兵部隊に適宜反撃しつつ両翼の騎兵部隊にどう対処するかが悩ましい。逆にフランス軍は中央でプレッシャーをかけつつ両翼の騎兵部隊で早く突破したいところだ。
●第5ターン
中央の射撃戦で両軍とも大きな損害が出る。兵数で劣っているブルゴーニュ軍としてはこうして消耗戦となるのが痛い。
だがこのターンはブルゴーニュ軍がイニシアティブを握った。マクシミリアンの指揮のもと、中央の仏歩兵部隊に総攻撃を仕掛ける。砲撃で吹き飛ぶフランス軍歩兵。ブルゴーニュ軍は歩兵部隊の指揮官Romont伯が陣頭にたち、仏軍弓兵の防御射撃を受けながらも果敢に白兵戦をしかける。フランス軍の歩兵戦列は崩れ多数が潰走、騎兵部隊も損害を受けた。
ブルゴーニュ軍を指揮するマクシミリアンだが、ハプスブルグ家の神聖ローマ皇帝フリードリヒ三世を父に持つ。ハプスブルグ家といったらその後何世紀にもわたってヨーロッパにおける有力な王朝となるが、フリードリヒ三世の時代はそれほど勢力が飛び抜けていたわけではないらしい。分裂状態のドイツにおいて、毒にもなにもならない無能者とみなされていたからこそ神聖ローマ皇帝の君主に選ばれた、なんてなことが書いてある文献もある。だがフリードリヒ三世は50年以上の長きにわたって統治し、その子マクシミリアンは初めて教皇による戴冠を受けぬまま神聖ローマ皇帝となり、以来神聖ローマ帝国の君主はローマに出向いて教皇から戴冠を受ける、ということをしないまま皇帝になる。つまりマクシミリアンの代になってドイツの皇帝となったと言えるらしい。
しかし神聖ローマ帝国ってほんと、ややこしい。大空位時代や金印勅令とか世界史の授業で習った覚えがあるけど。まあとにかくずっと分裂状態で、三十年戦争が有名だけどその前から何世紀も諸侯がずっと勝手なことやっていて、18世紀にはヴォルテールが「神聖でなければローマでもなく、帝国でもない」という有名な言葉を残していますね。
フランス軍は両翼の騎兵で攻勢を続けるものの、戦果が上がらない。だが後方からゆっくりと進んできた砲兵がやっと戦列に参加、砲撃で敵弓兵を士気低下させた。さらに多くの損害を受けている歩兵部隊では、指揮官を士気低下状態のユニットに隣接させる。指揮官は指揮ボーナス(Bonus)という値を持ち、指揮官と隣接もしくはスタックしているユニットは回復チェックの際、指揮ボーナス分サイの目が有利になるのだ。戦場から逃げ出そうとしている兵たちに指揮官が駆け寄って叱咤激励、士気回復させるというやつである。
つづく
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