2022年10月21日金曜日

最後の騎士と呼ばれた男  Guinegatte 1479 - La Trêve ou l'Epée(Ludifolie) AAR ⑤

●第8ターン

 マップ下方でフランス軍騎兵部隊の攻撃が続き、この方面のブルゴーニュ軍騎兵部隊は半減、残存2ユニットとなった。ブルゴーニュ軍は中央から兵力を割いたものの、機動力の低い歩兵では敵騎兵による延翼運動への対応が遅れてしまう。さらには、ブルゴーニュ軍が潰走した際にはマップ右端に向かって逃走するのだが、そちら方面にフランス軍騎兵が回り込んできているため潰走できずに壊滅するユニットが出てきた。


 マップ上方でもフランス軍騎兵部隊の攻撃にブルゴーニュ軍騎兵だけでは対応しきれなくなってきている。ただしここは幸い、通行不能の川によってフランス軍騎兵の迂回運動は妨げられているため、歩兵部隊が支援に駆け付け反撃を行う。

 

 こちら方面のブルゴーニュ軍歩兵部隊を率いているのはNassau-Dillenbourg伯Engilbert二世。ギネガテの戦いのときはまだ20代の青年だったが、ブルゴーニュ公国の金羊毛騎士団に序列されている。1487年にはフランス軍の捕虜となり、莫大な身代金と引き換えに解放されているが、その後も長くフランドル地方でフランスに対抗した。


 ブルゴーニュ軍にとっては両翼の危機が続くが、総指揮官であるマクシミリアンは中央で動かない。なるべく多くの自軍ユニットを総指揮官の指揮範囲内にとどめ、柔軟な対応ができる態勢を維持するのだ。


 マクシミリアンはブルゴーニュ公シャルルの戦死後、いわば入り婿のような形でハプスブルグ家からブルゴーニュ公国に入っている。結婚相手であるマリーはシャルルの一人娘で、ブルゴーニュ家の人々にとっては我らがお姫様。その結婚相手だからマクシミリアンも一応受け入れたらしい。だがよそ者だったマクシミリアンは領内を精力的に回り率先して庶民と気軽に語り合おうとする姿勢を見せたため、次第に人々から好意を寄せられるようになったそうだ。

 ちなみにオーストリアから来たマクシミリアンはブルゴーニュ家で話されていたフランス語が分からず、マリーはドイツ語が話せないため二人は最初のうちは、当時のヨーロッパの共通語だったラテン語で会話をしていたそうだ。婚姻の際にマクシミリアンがマリーにダイヤの指輪を贈っており、婚約の際にダイヤの指輪を贈るという慣習のもとになったと言われている。いらんことしよってからに、と高価な婚約指輪をねだられた男性は思うんですかね。


●第9ターン 

 ブルゴーニュ軍の中央歩兵部隊の弓兵と槍兵の積極的な攻撃によって弱体化していたフランス軍中央歩兵部隊だったが、再編成に努め次第に戦力が回復してきている。白兵戦で攻撃に出るには戦力が足りないものの、射撃によってブルゴーニュ軍中央にじわじわと損害を与える。そしてフランス軍両翼の騎兵は敵後方への突破を目指して猛攻。ブルゴーニュ軍の損害が増え、気がついたら点差は11に縮まっていた。


 フランス軍が敵後方への突破をもくろむのは中央歩兵部隊と連携して敵を挟み撃ちするためだけではない。ブルゴーニュ軍がはるか後方に退避させている荷車4ユニットが標的なのだ。実際のギネガテの戦いではフランス軍騎兵は敵荷車の略奪に夢中になってしまい勝機を逸したが、このゲームではその誘導のためか、フランス軍は騎兵によって荷車を破壊すると10点のボーナスが得られる。荷車自体も1ユニット壊滅するごとに2点なので、一気に18点取って逆転する可能性があるのだ。フランス軍騎兵がどちらかの翼で突破した場合、騎兵がほとんど残っていないブルゴーニュ軍は荷車を防御するすべがないため、少しでも粘って戦列を維持するしかない。残りはあと3ターン。戦況は時間との戦いの様相を見せてきた。





つづく




0 件のコメント:

コメントを投稿

マーケット・ガーデン80周年なので読んでみた、『9月に雪なんて降らない』

 1944年9月17日の午後、アルンヘムに駐留していた独国防軍砲兵士官のJoseph Enthammer中尉は晴れわたった空を凝視していた。自分が目にしているものが信じられなかったのだ。 上空には 白い「雪」が漂っているように見えた。「ありえない」とその士官は思った。「9月に雪な...