●4ターン目(第6ターン)
―イスラム教軍ターン
このターンも、潰走していた諸タイファ軍のユニットが地図外に遁走した。敵に勝利得点を献上することになるが仕方ない。タイファの軍勢はキリスト教軍を釣るための餌。敵騎兵が突撃し、側面をがら空きにさせるのがこちらの策なのだよ。
と、あたかも自分がこの形勢を作り出したかのようなセリフをイスラム教軍プレイヤーは言いつつ、騎兵集団をキリスト教軍の右翼(マップ左方)に襲いかからせる。アンダルスの同胞を脅かす異教徒どもに鉄槌を!
キリスト教諸国によるイスラム勢力への攻勢は十字軍が有名だが、1096年の第一回十字軍より前に、イベリア半島では1060年代からローマ教皇の呼びかけによってイスラム勢力に対抗するためヨーロッパ各地から騎士たちが集まってきていた。1064年にはイベリア半島北部の町バルバストロが陥落している。ちなみにこのときキリスト教軍によって数万人が殺害されレイプなど残虐行為が繰り広げられたと言われている。エルサレムなど東方での十字軍がやったこととこの点はあんまり変わりませんな。
キリスト教軍は4ユニットが壊滅し、イスラム教軍の勝利得点は53と追い上げる。損害が累積してきたため、キリスト教軍騎兵の士気も3まで低下してしまった。
一方で、中央からマップ右方にかけてはキリスト教軍騎兵が頑強に抵抗する。イスラム教軍は囮攻撃であるトルナフエを試みるがこれも失敗してしまった。
トルナフエとはkarr wa-farrとも呼ばれ、もともとはアフリカ北西部の勢力が使っていた戦法でイベリア半島では最後のイスラム勢力となるナスル朝でも採用されている。騎兵が小競り合いののちわざと退却することで敵に追撃させ、味方が待ち伏せしているところまで誘い出したり、時間を稼いだりした……と英文ルールに書いてありました。ALEA誌本文にはこの説明はなくて、もしかしてスペインの戦史愛好家では常識的な知識なんですかね。
Sagrajas1086ではイスラム教軍騎兵のうち一部がトルナフエの能力を持っており、成功すると敵が混乱したり、誘い出されて1へクス前進したりする。イスラム教軍騎兵の中にはトルナフエのほかに、移動中に射撃ができるヒット&ランという能力を持つものもある。デザイナーズノートによると、この二つの戦術はともに軽騎兵が敵を混乱させるためのもので非常に似ており、一つのルールに統一してもよかったのだがムラービト軍の異質さ、多様性を表現するために二つに分けたそうだ。
ただしデザイナーも認めているようにこのゲームではイスラム教軍は数的優位を利用すればいいので両戦術を使う必要性はあまりない。ぜひトルナフエやヒット&ランが活用できるゲームを出してほしいものである。
●5ターン目(第7ターン)
―キリスト教軍ターン
敵の騎兵集団が現れたので側面から捕捉される前にとっととマップ上端から逃げ出したいのだが、移動ルールの関係でそうもいかない。だがマップ右方で2ユニットが回復、A5となった。この方面のイスラム教軍はB4やA3が主体なので、正常状態に戻ったキリスト教軍騎兵が簡単にやられることはないだろう。
また、マップ左方で孤立していた騎兵が孤軍奮闘する。混乱状態ながらも、ムラービト軍歩兵を壊滅させた。キリスト教軍の勝利得点はこれで80。かなりのペースで追い上げられているものの、まだイスラム教軍の1.5倍ある。
「考えてもみろ。我々が最初に稼いだ勝利得点の数を。キリスト教軍はあと10年は戦える」
「いや、あんた、マ・クベ?」
―イスラム教軍ターン
マップ右方ではキリスト教軍にがっちりと守られたものの、マップ左方では騎兵集団が数の猛威を振るう。キリスト教軍騎兵が壊滅、潰走していく。またマップ上端まで騎兵が進出した。これでいつでも突破ができる。
2ターン後にはアルフォンソがマップ外に離脱可能になり、そうなったらゲーム終了だ。イスラム教軍はキリスト教軍をどれだけ補足、壊滅させることができるか。
つづく
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