●2ターン目(第4ターン)
―イスラム教軍ターン
潰走ユニットが1ユニット、戦場から逃走。そしてもう1ユニットはがっちりと戦列を組んでいる味方ユニットに阻まれ壊滅した。
押され続けているイスラム教軍だが、残存兵力で反撃する。戦列中央ではこの前のキリスト教軍ターンで、潰走したイスラム教軍ユニットを追ってキリスト教軍騎兵が戦闘後前進していており、その結果わずかながら戦列に隙間が生じていた。戦闘結果で防御側が潰走すると戦闘後前進はマストなのだ。
このゲームではいわゆるZOCはユニットの正面ヘクスにしか生じず、側面や背面は敵の移動を妨げない。イスラム教軍は乱れた敵戦列の間隙を見逃さず、騎兵の側面から背面に回り込み壊滅させた。
2ターン目(第4ターン)終了時でキリスト教軍の勝利得点は60で、イスラム教軍の約2倍半だ。次ターンには敵騎兵集団が高地から降りてくるだろう。キリスト教軍はこの得点差を大きく減らすことなく退却できるのかどうか。逆にイスラム教軍は得点差をどれだけ埋めることができるのか。
●3ターン目(第5ターン)
―キリスト教軍ターン
このターンにムラービト軍騎兵集団が高地から降り始めるはず。というのも、それ以上遅らせてもアルフォンソ六世がマップ外に離脱可能になるターンは変わらない。イスラム教軍としてはアルフォンソが脱出してゲームが終了する前になるべく多くのキリスト教軍ユニットを壊滅させなければならず、主力である騎兵集団の投入を遅らせる意味はないからだ。
となればキリスト教軍は後退すべし、と慎重なプレイヤーなら考えるかもしれないが、「突撃できる騎兵は突撃するんじゃ-!」と混乱状態から回復して突撃能力を取り戻した右翼(マップ左方)の騎兵たちを突っ込ませていく。3ユニットの連続突撃でムラービト軍歩兵を蹴散らし、敵陣深く切り込んでいった。
でも、キリスト教軍の右翼って横から敵騎兵集団が現れる方面じゃないですか。だが「側面? そんなもん、敵に気にさせとけ!」とのたまうキリスト教軍プレイヤー。実際は、こちらの方面は敵騎兵に捕捉される可能性が高く、そのうち壊滅させられるのであれば突撃の破壊力を発揮して少しでも多くの敵を除去しておいたほうが得策、という冷静な計算のもとでやっていたそうである。
それに突破した先にいる敵戦列第二線の左翼はC3の弓兵。突撃後に混乱状態になった騎兵はC4で、弓兵相手にも有利に戦える。もし突破してきたキリスト教軍騎兵の排除のために敵が騎兵を一部派遣してきたら、それこそ敵兵力の誘引となる、との考えだったらしい。リーダーユニットを間違って配置したプレイヤーとは思えない。
―イスラム教軍ターン
ついにユースフ率いるムラービト軍騎兵集団15ユニットが高地を下り始める。そして中央ではムラービト軍がジャベリンで敵騎兵を混乱させ、セビリア・タイファ軍の精鋭A4騎兵がとどめを刺した。
ジャベリンと言えば今次のウクライナ侵攻で有名になったが、このゲームで登場するのはもちろん、投槍のことである。古代ギリシアやローマの時代から使われていた由緒ある武器ですね。
イスラム教徒の軍隊に関する資料で手に入りやすいものは少ないと思われるが、OspreyのMen-at-Armsシリーズ『El Cid and the Reconquista 1050-1492』によると、ムラービト軍の歩兵はもともと、ファランクスのような密集陣形で戦っていたらしい。第一列が長い槍、大きな盾で守り、その後方からジャベリンを投げる。機動性はないががっちりと守るというイメージか。
●4ターン目(第6ターン)
―キリスト教軍ターン
敵主力が遂に側面から現れた。敵の奇襲にお約束で驚愕するキリスト教軍プレイヤー。これ以上の攻勢は無理だと判断したキリスト教軍は後退を始める。
3ターン目(第5ターン)終了時で両軍の勝利得点はキリスト教軍77、イスラム教軍33と、いまだ2倍以上の開きがある。敵騎兵集団のいるマップ左方の部隊を足止めに使い、その他の方面ではなるべくユニットを温存しながら、アルフォンソ脱出が可能になる7ターン目(第9ターン)まで粘るしかない。
だがこのゲームでは、敵ユニットの正面ヘクスにいるユニットは1へクスしか移動できない。そのため、遅々とした後退になってしまう。
幸い、キリスト教軍騎兵は練度・戦闘力ともに高く、混乱状態でもほとんどのユニットがC4だ。諸タイファ軍のB4ユニットやムラービト軍歩兵のA3ユニットが攻撃する場合、DRM+1にしかならないうえ、戦闘結果で混乱が出てもすでに混乱状態のユニットには影響がない。損害を受ける確率は8分の3、37.5%で、攻撃側が混乱する確率は8分の2、25%あるため、攻撃側にとって大きく有利なわけではない。しかも正常状態のキリスト教軍騎兵が守る場合はさらに攻撃成功の可能性が低くなる。中央やマップ右方では何とか守りながら後退していけるだろうというのがキリスト教軍プレイヤーの希望的観測である。
つづく
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