2022年10月3日月曜日

重騎兵の突撃、そして側面からの奇襲 Sagrajas 1086 (Alea 38) AAR ⑥

 ●6ターン目(第8ターン)

―キリスト教軍ターン

 増援の歩兵4ユニットがマップ上端から登場し、がら空きになっていた側面をカバーする。このままやりたいようにさせてたまるか。騎兵と共同して敵の弓騎兵を壊滅させた。




―イスラム教軍ターン

 ムラービト軍騎兵集団が数の猛威を振るう。たった4ユニットの増援など焼け石に水よ。弓騎兵が大群で射撃をして敵を混乱させる。そして白兵戦。次々とキリスト教軍が壊滅していく。


 だがキリスト教軍の中央ではリーダーのアルバル・ファニェスが奮戦し、敵の大軍相手に戦列を維持する。リーダーが参加している戦闘はDRMが1有利になるのだ。このアルバル・ファニェスは初期配置ミスで国王アルフォンソ六世のユニットとなっている。やはり王を目にすると兵たちも奮闘するのか。

「そうだよ。だからさ、やっぱりこっちのほうが本物のアルフォンソってことにしようよ」

「いやほんと、それだけは勘弁してください…」


●7ターン目(第9ターン)

―キリスト教軍ターン

 このターンからアルフォンソはマップ外に離脱できる。すでに述べているが、キリスト教軍はアルフォンソ六世が離脱したターン数と同じ勝利得点が得られる。さらに最終ターン(10ターン目、第12ターン)までマップにとどまっていれば15点獲得する。ただ最終ターンまでアルフォンソ六世が生き延びるのはかなり難しいと思われる。また、1ターン粘っても1点しか得られないので、敵騎兵集団によって自軍ユニットが壊滅して数ポイント献上するぐらいだったら、アルフォンソはとっととマップ外に逃げてゲーム終了にしたほうがいいのではないだろうか。

 ということで、アルフォンソはマップ外に離脱。残るはイスラム教軍のターンのみとなる。


 なおアルフォンソ六世はこのAARでは全く活躍していないが、勇敢王(El Bravo)の異名を持ち当時のイベリア半島のキリスト教諸国の中では突出した君主で、全ヒスパニアの皇帝(imperator totius Hispaniae)とも名乗った。実際に支配していたのはイベリア半島の北部だったけどね。このサグラハスの戦いでは負傷しながらも逃げ延び、それから20年以上も王として君臨、バレンシアも手に入れている。ちなみに生涯で5回も結婚している。う、うらやましくなんかないんだからね。


―イスラム教軍ターン

 これが最後の攻撃となる。敵る限り多くのユニットをマップ状態に突破させるとともに、騎兵集団の猛攻で敵3ユニットを壊滅させた。盤上に残っているキリスト教軍はわずか5ユニットである。史実同様、惨憺たる敗戦となった。




 そして勝利得点の集計。キリスト教軍は敵ユニットの壊滅で87点、さらにアルフォンソが第9ターンに脱出したので合計96点。そしてイスラム教軍は敵ユニットの壊滅で88点、そして8ユニットが突破で16点、計104点。敵に10点以上差をつけられなかったので、引き分けとなった。

「いやー、最終ターンに勝利得点を細かいところまで計算して突破とかさせていたら勝てたと思うんだけどね。そういうの好きじゃないんだよねー」とイスラム教軍プレイヤー。

「いやいや、ただの計算ミスでしょ。数字が3桁いくとわからなくなるという」

「国王を間違って配置するなんていう凡ミスしたやつが言うか」


 このSagrajas1086、ルールは簡単なので中世の会戦級が未経験の人でもすぐにプレイできると思います。ただ移動に関して規定が甘く、移動しなくても向きだけ変えることは可能なのかとか疑問が少し出てきましたが、プレイヤー同士で決めればいいかと。あと、トルナフエやヒット&ランは移動中に行うのですが、両戦術を使う際はユニットの向きを自由に変えられるという規定があるけど、そういう戦術が使える軽騎兵なんだから通常の移動中も向きが変えられるとしたほうがいいんじゃないかなと思います。まあこれは好みですが。BGGではデザイナーが次のゲームで移動ルールを見直すと書いているので、次回作を期待したいです。


 なんにせよこのゲーム、キリスト教軍は最初の強烈な突撃、そのあとは圧倒的な敵兵力の攻撃にさらされながらの後退と、劇的な状況の変化が味わえます。イスラム教軍はその逆で、諸タイファ軍が次々と消えていくのに耐えた後は、騎兵集団でキリスト教軍を崩壊させるお楽しみが待っています。いずれにせよ両軍とも激しく攻撃することになるので、殴り合いが好きな方におススメです。





(以前、SNSマストアタックに書いたものです。修正を加えている場合があります)

0 件のコメント:

コメントを投稿

マーケット・ガーデン80周年なので読んでみた、『9月に雪なんて降らない』

 1944年9月17日の午後、アルンヘムに駐留していた独国防軍砲兵士官のJoseph Enthammer中尉は晴れわたった空を凝視していた。自分が目にしているものが信じられなかったのだ。 上空には 白い「雪」が漂っているように見えた。「ありえない」とその士官は思った。「9月に雪な...