2023年3月1日水曜日

トルケルとクヌートを前に、尽きるかイングランドの命運  Assandun 1016 - The Great Heathen Army(Hollandspiele) AAR ④

  両軍の古参兵が相打ちになって生じた間隙からトルケルの兵が斜面を駆け上がり、ついに丘の上に進入。さらに徴集兵がエドモンドのステップロスしている古参兵を攻撃する。

 この徴集兵は兵質Cで、「Shields & Swords II」シリーズ(S&S)の中では下から二番目に弱い。だが戦闘結果はEX。消耗していた古参兵は壊滅し、王冠付きだったので4点をヴァイキングに献上してしまった。愕然とするアングロサクソン軍プレイヤー。

「なんで貧弱で下賤な兵たちに貴族が討ち取られるんだよ~。What went wrooong?」

「そのフレーズ、トルフィン以外に使ったらヴィンランド・サガのファンに怒られるよ。というか、俺が怒る」


 ちなみにヴィンランド・サガのシーズン1のオープニング曲ですが、オリジナルももちろんすごくいいんですけど、英語の(勝手にやっている?)カバーは女性ボーカルの高い声が悲劇性を増しているような感じがして好きです。


 のっぽのトルケルと剛勇王エドモンドの間で斜面上での攻防が続く。攻め上がるトルケルの部隊は消耗が激しい。3分の1の兵力が壊滅し、残存ユニットもほとんどがステップロス状態だ。だがエドモンドの部隊も損害が溜まってきている。


 これまでトルケルに自由に暴れさせるままにしておき冷静に戦況を観察していたクヌートだったが、ここで動いた。そろそろトルケルも満足であろう。余の部隊にも攻撃をさせよと号令一下、兵たちが整然と前進。エアドリックの部隊に攻撃をしかける。


 先述のように裏切りが生じるとエアドリックの部隊のすべてのユニットが消えるのだが、そうやって取り除かれるユニットだけでなくそれまでに除去された同部隊のユニットも勝利得点にはカウントされない。つまりヴァイキング側としては自軍が損害を受けるリスクを冒してまでエアドリックのユニットを除去していくメリットはない。

 そのためクヌートもエアドリックへの攻撃を控えていたのだが、もともとイングランド国王への忠誠が低いエアドリックだ。アシンドンの戦いの前までエドモンドがクヌート相手に善戦したためイングランド側に戻ったが、この戦いでも有利な方につこうと日和見をしているはず。トルケルとの激戦でエドモンドの部隊に損害が蓄積している今、クヌートから攻撃を受ければあの変節漢は動揺して戦場から逃げ去るだろう。 — というのがヴァイキング・プレイヤーの読みである。


「そんなかっこいいこと言ってるけど、ほんとはトルケルの部隊がやばいからクヌートの兵を投入せざるを得なくなったんでしょ」

と図星を突くアングロサクソン軍プレイヤー。このシナリオでは移動と戦闘の命令マーカーが一つずつしか与えられていないため、二つある部隊のうちどちらかしか移動や攻撃ができない。アングロサクソン軍がクヌートへの対応を優先してエアドリックの部隊に命令を与えると、エドモンドの部隊が思うように移動や戦闘ができずトルケルへの圧力が減るのだ。

 

 クヌートから攻撃を受け、アングロサクソン軍に迷いが生じる。クヌートが攻めてくるままにして、トルケルにとどめを刺すことに集中するか。それともクヌート軍が斜面の下にいる今のうちに反撃をしておくか。

 トルケルはかなり消耗しているのでいつでも始末ができる。エアドリックの部隊がまだ健在のうちに、有利な地形からクヌートに反撃をして相打ちでもいいから敵に打撃を与えておいた方がいい。そう判断したエドモンドはエアドリックに反撃を命じた。斜面上からの攻撃でクヌートの古参兵に損害が生じるものの、エアドリックの古参兵も消耗しているので痛み分けといった状態である。




つづく

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